12.寝台急行の夜 ナーパム王国国有鉄道 トクリム線&フサイ線
寝台列車、旅情はありますが私は眠れませんでした。
秋の気配が近づいてきた今日この頃。
これと言ってシーズンでもないので、魔法店はゆっくりした時間が流れる。
今度の休みには、どこかに行こう…と思いながら、誰も来ない店番をしながら時刻表をめくる。
そういえばフサイ線乗ってないんだよなー…と思いながらページをめくると、とあるものが目に入った。
よし、次の休みはこれだ。
秋が更けてきたこの時期にしては暖かいお昼前。
私はウォーミアで急行「トクリム」1号・アータ行きを待っていた。
以前、トクリム山に行ったときに乗った急行列車。
定期列車が一日2本あり、急行「トクリム」1号がこのお昼前にウォーミアを出る。
モオーシ線を北に向かい、夏に来たハラキを通る。
隣のトーカリからトクリム線に入り、山の間の川の横を縫うように列車は走る。
トクリムを出ると、フナビクに停車した後、アータ本町に到着。
アータの旧市街はこのアータ本町付近で、この列車の終点・アータは鉄道ができてから栄えた新市街になる。
確かに車窓は古い家並みが多い。
そこまでは山の間を縫うだけの列車で、ほとんどが秘境駅と言われる部類の駅だったが、このアータ本町は歴史ある町である感じが出ていた。
急ぐ旅でもないので、アータ本町で降りてみることにする。
アータ本町の駅前には、鉄道博物館がある。
センディ本線とトクリム線の分岐駅だったアータはウォーミア、キットに並ぶ鉄道の町として有名で、センディ本線やモオーシ線の歴史を主に紹介する博物館であった。
ちなみに、キットに近いマイブリアとウォーミアに近いワートダには国鉄、ナグレーマにはツバイ鉄道、シキイエにはウォーミア鉄道、キット三番街にカンセイ急行の博物館があるが、最も古くからあるのが、トクリム線のアータ本町駅の位置移転で開いた場所に作ったアータ鉄道博物館が一番古い鉄道博物館である。
現在もある特急「サロナ」「ドラゴン」の初代の車両や、旧型車両の運転台をそのまま使い、魔法で目の前のガラスに車窓を映し出すという手法で作られた、運転シミュレーターは最も人気のある展示である。
私はどちらかというと、急行「オーユクエ」や準急「マニルユクエ」の歴史に興味があるので、資料室で歴史資料を見ながらしばし時間を過ごした。
18時過ぎ、博物館が閉まってしまったので、トクリム線の普通列車でアータに向かう。
アータでも多少時間があるのでいったん降りるが、それほど大きな観光名所があるわけでもないのに、列車の発車までにはまだ5時間ほど時間がある。
とりあえず、19時までは外をぶらぶらしたあと、駅の中で本を読みながら過ごす。
そして23時過ぎ。
待っていた列車がアータのセンディ本線ターキア方面ホームに滑り込んだ。
急行「キタグ」。
センディ始発ハロスカ行の夜行急行列車。
このナーパム王国唯一の夜行列車で、しかも寝台列車でもある。
オフシーズンであることから、寝台車も予約が取れた。
初めて寝台車に乗るが、そこそこ揺れそうではある。
列車は発車すると、センディ本線をターキア方面に向かう。
次の停車駅はすでに一度来ているナガタの駅だが、昼間と違い、若干駅の中も違うように見える。
ここからは未乗区間、フサイ線に入る。
次のヤヒクォまでは起きていたが、その先、トマやフサイは寝てしまっていて通過したのがわからなかった。
起きたのはキットの少し前だった。
キットまではフサイ線で、最後の1駅だけフサイ線を見ることができた。
キット到着5時半。
ゆっくり走っているとはいえ、まだ早い。
そしてカンセイ本線に入って、カンセイに到着した。
カンセイの駅に降りたのはこれが初めてで、商都と言われるカンセイは、首都・ターキアとは一線を画す感じがある。
列車から降りると私は、地下鉄3号線のホームへと向かった。
乗車録: ナーパム王国国有鉄道 トクリム線 トクリム~アータ
フサイ線 ナガタ~キット
次回、第二の都市圏・カンセイ都市圏での乗りつぶし。