11.海の幸 センディ市営地下鉄2号線&ナーパム王国国有鉄道ヘタノ線
今回は北に向かいます。
仕事のついでとはいえ、しょっちゅう泊ってきてばかりというのは主人のマリエラにも悪い。
最もマリエラは「そのくらい気にしませんよ」とは言ってくれるが、そう言ってもらえるうちが花というもの。
今回のお使いは、センディ本線のセンディの隣駅、西トミズワスにある魔法具職人から材料を買ってくるというもの。
センディ本線はまだユザイまでしか乗っていないし、西トミズワスで降りればセンディ地下鉄でセンディに向かうのも、さらに行きはセンディ本線、帰りはモオーシ線で帰ってきてもよさそうだ。
なので今回は日帰りで帰ってくることにした。
…そもそも、鉄道に乗ろうとしなければ、日帰りは簡単なのだが、それは考えないことにする。
その朝はいつも以上に早かった。
5時半過ぎにヒルデ魔法店を出発し、私はウォーミア5時55分出発の急行「オーユクエ」に乗った。
直前にモオーシ線の特急「ドラゴン」1号が発車しているが、この急行「オーユクエ」はセンディ本線の最初の優等列車になる。
ウツロマーまではおなじみの車窓、さらにその先のユザイまでも乗ったことはあるので、車窓には見覚えがあった。
ユザイを発車し、ここからが未乗区間になる…未乗区間に入る際のワクワク感は筆舌に尽くしがたい。
次の停車駅は、フサイ線の分岐駅・ナガタ。
ここも分岐駅らしく大きな操車場がある。
正直ここからはあまり車窓に変化がない。
朝が早かったのもあって、私もウトウトしてしまうくらい車窓に変化がなかった。
車窓が動くのは、停車駅付近だけで、それもあまり大きな変化とは言えなかった。
それでも、ナガタから三つ目の急行停車駅・ノスリロを発車すると住宅が途切れなくなった。
次は、トクリム線乗換駅で、以前乗った急行「オグワイ」の始発駅、アータである。
この町は「雪の町」として有名であるが、まだ雪の季節には早いため、ただの地方都市ではあるが。
列車は大きな干潟の近くに差し掛かった。
これがハチル湿原で、ナーパム王国随一の大きさを持つ。
以前センディからターキアに移り住んだヒルデ魔法店のお客さんと話した際に、この干潟を見るとセンディが近いと感じると言われたことがある。
センディの人にとってはなじみ深い干潟らしい。
そうこうするうち、列車は西トミズワスに到着した。
列車は次のセンディが終点だが、目的地がここなのでもちろん降りる。
目指す魔法具職人の工場はこの西トミズワスの駅から少し離れた工場地帯にある。
無事に魔法具材料を購入すると私は西トミズワスの駅に戻り、センディ市営地下鉄のホームに向かう。
センディ地下鉄2号線はこの西トミズワスから発車し、センディを超えてマツマの駅までを結んでいる。
地下鉄は車窓と言える車窓もないので、少しウトウトしているとマツマに到着した。
すぐに折り返し、センディで降りる。
センディはナーパム王国第二の都市で、ターキアに次ぐ人口のある市である。
本来はセンディ市営地下鉄1号線も乗車したいところだが、今回は日帰りで帰るため、すぐに国鉄の改札を過ぎ、モオーシ線ホームで普通列車に乗車した。
というのもこの列車の行先は、ヘタノ線のヘタノ港。
ヘタノはモオーシ線にあるが、この列車はそこから先ヘタノ線まで直通する。
列車は隣のトミズワスに到着する。
西トミズワスもそこそこ大きな駅だったが、このトミズワスも大きな駅だった。
センディ市営地下鉄1号線もこの駅を発着している。
ここから数駅進むと、ヘタノ線の起点、ヘタノに到着する。
ヘタノ線は二駅で終点で、すぐに列車はヘタノ行として折り返す。
しかしここでは少し遅い昼食とすることにした。
というのもこのヘタノ港は新鮮な海の幸が食べられることで有名で、しかも45分後の次の列車は、ヘタノから快速になるモオーシ行き。
ちょうどいいので、これでモオーシに向かうことにした。
マグロに似た赤身のカチという魚の刺身を堪能し、ヘタノ港の駅に戻ると、快速・モオーシ行きはすでに入線していた。
先ほど乗ってきたヘタノ線を通り、ヘタノに戻り、モオーシ線に入ってモオーシへと向かった。
モオーシからは急行「トキムイ」に再度乗車したところで、すでに夕方になっており、ウォーミアに到着した際にはすでに夜も更けているという時間であった。
乗車録:ナーパム王国国有鉄道 センディ本線 ユザイ~西トミズワス
モオーシ線 モオーシ~センディ
ヘタノ線 ヘタノ~ヘタノ港
センディ市営地下鉄2号線 西トミズワス~マツマ
ついにセンディ市営地下鉄も一部乗車しましたが、1号線のりにセンディはまた来訪が必要です。
ローカル線もちゃっかり乗車。