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10.寂れていない廃線跡 トマ高速鉄道&ナーパム王国国有鉄道 ツーガリ線(廃線)

廃線跡、マニアとしては「ここが現役のうちに来たかった」という人と「歩いたりするのも一興」という人がいます。

 

 廃線跡。

 鉄道マニアにとって、今はないけど昔はこの区間に列車が走っていた、それはなかなか空想の世界を膨らませる。

 現在ナーパム王国は鉄道全盛で、鉄道がもてはやされているから、廃止になった路線はほとんどない。

 そう、ほとんどないということは、あるにはあるのである。

 

 モオーシ線の山越えをしてから1か月、私は今回、センディ本線の準急「マニルユクエ」に揺られていた。

 今回の目的は、魔法具職人からの物品受け取りであるが、いつものシモディトのマッティアさんも扱っていないもので、それを扱うのはナガタ県の北にあるトマにいる職人さんだけらしい。

 トマは、センディ本線のナガタとカンセイ本線・キット線のキットの間をつなぐ国鉄フサイ線がつながっており、今回の旅では、センディ本線方面から正攻法で行くことにした。

 

 乗っていた準急「マニルユクエ」はナガタ県の地方都市・フクマに到着する。

 ここで乗り換えになる。

 フサイ線はこの先のナガタから行くことになるのだが、トマに直通する特急列車はナガタやその先のアータではなくこのフクマから出る。

 というのも、ナガタから出るフサイ線はターキア方面から行くと遠回りになり、数年前トマの地元鉄道であるトマ高速鉄道がフクマの少し先・ユザイからトマをショートカットするウラガー線を開通させた。

 今回はこのトマ高速鉄道・ウラガー線を利用することにした。

 

 フクマからは30分ほどの接続で急行「ワイヴァーン」7号、フサイ行きに乗車した。

 最もこの列車非常に運転区間が短い。

 しかも、最短距離でショートカットするため、トンネルばかりである。

 途中停車するウラガーの駅に至っては、トンネルの中に駅がある。

 トマ高速鉄道ウラガー線を乗り終えると、トマに到着。

 急行「ワイヴァーン」はこの先フサイまで向かうが、ここで私は列車を降り、魔法具職人のいるトマ港へと向かう。

 

 トマの駅で改札を降り、今度はトマ高速鉄道の本線に向かう。

 終点のトマ港で列車を降りて少し歩くと、魔法具工場がある。

「これはこれは、遠いところようこそ。

 ヒルデ魔法店のお使いの方ですね」

 その入り口で声をかけると、人の好さそうなおじさんが丁寧に応対してくれた。

 そして魔法具を受け取り、お金を渡して再度トマ港の駅に戻る。

 

 トマ港からは、オエノ行きの急行に乗った。

 トマまでは各駅に停車したが、国鉄フサイ線と並走するトマ~フサイ間は通過運転をしている。

 ほぼ国鉄フサイ線の普通列車と同じ駅に止まるが、一駅、気になった駅に降りてみることにした。

 というのもこの駅だけフサイ線に駅がない、トヌミという駅があったからだ。

 降りてみると、駅前には大きな商店街がある。

 後で調べたが、トマとフサイの次に大きな商店街はこのトヌミらしい。

 市場が近い関係で商店街が栄えているが、駅間距離の関係で、国鉄フサイ線には駅が作られなかったらしい。

 すでに昼という時間ではなかったが、名物の「レッドフィッシュサンド」で食事を済ませる。

 今夜の宿はフサイにとっており、明日帰ることにしている。

 

 宿に荷物を置いて、再度フサイの駅に向かい、トマ高速鉄道のオエノ行きに乗る。

 このオエノ方面はトマ港から直通しているものの、実はもともと国鉄ツーガリ線の廃線跡で、比較的乗降客の多いオエノまではトマ高速鉄道が経営を引き継いでいる。

 そしてオエノ~ツーガリ間はバスで転換されている。

 今回はトマ港にお使いのついでに、このツーガリ線を制覇することを目標にしていた。

 そのためわざわざ翌日が休みである金曜日に来ることにした。

 イチジョダミやら、アワラユノチやら、少し長めの珍しい駅名を聞きながら、トマ高速鉄道の列車は廃線跡を走っていく。

 

 終点のオエノに着くと、駅前に乗合馬車が出ているのが見えた。

 どうやらこれが国鉄が運営する唯一の乗合馬車・国鉄馬車ツーガリ線である。

 国鉄ツーガリ線が廃止するにあたり、乗客が比較的多かったフサイ~オエノ間はトマ高速鉄道が運転を引き継ぎ、その先の乗客の少なかったオエノ~ツーガリ間は乗合馬車として残すことになった。

 この国鉄馬車ツーガリ線はオエノを越えてフサイ迄通っているため、帰りはこのままフサイ迄乗って行ってしまう予定である。

 

 ツーガリは、ナガタ県で唯一北側の海に接している公共交通で行ける町である。

 観光名所としては、ここから転落した神官の名前が使われている「トージボーの谷」があるが、さすがに日が暮れてしまっているので行くのはやめておく。

 ツーガリ到着後、同じバスでフサイまで戻り、その日は終了。

 翌日はフサイからトマ、さらにトマからフクマまでトマ高速鉄道経由で帰り、フクマから急行「オーユクエ」でウォーミアに戻って、廃線跡探訪は終了した。

 


  乗車録:ナーパム王国国有鉄道 センディ本線 ホーセクジ~ユザイ

                 乗合馬車ツーガリ線 フサイ~ツーガリ

      トマ高速鉄道 ウラガー線 ユザイ~トマ

             本線 トマ港~フサイ

             オエノ線 フサイ~オエノ

 

トマ高速鉄道は富山地方鉄道をイメージして書きましたが、大手私鉄という設定です。

何となくこのツーガリ近辺は北陸地方を想定しています。

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