プロローグ

4月。桜が私の頬をかすめる。心地いいぐらいの風が私の髪とベールを揺らして鼻をくすぐる。

私の住んでいる街では毎年、桜が満開で花見客がにぎわう。今までの26年間ずっと見慣れていた風景。でも今日はより一層私の心を高揚させてくる桜。体を刻む心臓の音、何気ないことが特別に感じる。

これからは私は彼と2人で新しい一歩を踏み出していくんだ。

私は鏡の前でいつも通りの笑顔を、彼が大好きだと言ってくれた笑顔で、自分に微笑みかけてみた。

「よし、行くか！」

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