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29.執務室にて――世界の危機




 **********




「主、落ち着けって!! 何の情報もないまま飛び出しても無駄に体力使うだけだって!! 義父さんが情報持って来るの大人しく待ってろって!!」



 ウルグレイン家の執務室にて。

 怒りで血気盛んの状態なジークハルトの両肩を掴み力ずくで抑えているのは、彼の護衛であるセトラだ。



「落ち着けるわけがないだろッ!? こうしている間にも、ユーシアが奴に何をされているか分からないんだ!! 王と王妃には抗議したが、案の定聞く耳持たずだ! ――クソッ、あの腐れ外道王子め!! 次会ったら確実にブチ殺すッ!! 魔物の餌にしてやるッ!!」

「だからちょっと待ってって!! お前そんな熱血なヤツだったか!? キャラ変わってね!?」

「それは攫われた相手がユーシアだからな」



 執務室の扉が開かれ、レスカが中に入ってきた。

 その表情は呆れ顔だ。



「執務室の外にも聞こえるくらいの大声だぞ、二人共」

「レスカぁ! いいところに来てくれた! コイツを止めてくれ!! 少しでも力を抜けばぜってぇにこっから飛び出して行っちまう!!」

「そんな弱っちい声を出すなよ、セトラ。私の旦那として情けないぞ。――主、ユーシアは大丈夫だ。一日一緒にいて分かったが、彼女はそんなに弱くない。主もそれは分かっているだろう?」



 レスカの諭しに、ジークハルトはきつく唇を噛む。



「……そんなこと分かってる! だが、奴がユーシアに触れていると考えると、身体中に怒りが沸き上がってどうしようも出来なくなるんだ!!」

「……確かに、あの女たらしの王子なら手が早そうだ……」

「ッ!!」

「ちょっ……おいレスカッ!? フォローするなら最後までフォローしてくれよ!! オレの力がもう限界だ!!」

「悪い悪い。主、ユーシアは猫のようにすばしっこくて足が速い。きっと王子から上手く逃げ出していると思う。だからそんなに思い詰めるな」

「俺はユーシアと奴が同じ空気を吸ってるだけで許せないんだ!!」

「…………悪い、セトラ。もうフォローのしようがない……」

「あぁっ! ――ったく、どんだけ独占欲と嫉妬が強いんだ主はよぉ!!」



 ジークハルトがセトラをズリズリと引き摺りながら執務室の入口へと向かう。セトラの方が背も体重もジークハルトよりあるのに、だ。



「おぉ……執念だな……」

「感心してないで主を止めるのを手伝ってくれよレスカぁ!!」

「騒々しいですね。一体何があったのですか?」



 そこへ、眉根を顰めたヴォルターが姿を現した。



「義父さん、丁度いいところに!! 何か情報は掴めたか!? 主がもう怒り頂点で飛び出す寸前だ!!」

「おやおや……。旦那様、お気持ちは分かりますがこういう時こそ冷静になりましょう。頭に血が上っていては、何も良い案が浮かびませんよ」

「……クソッ!!」



 ジークハルトは大きく舌打ちをすると、漸く動きを止めてくれた。



「……はぁ、助かったよ義父さん……」

「父さん、情報が手に入ったんだろ? 教えてくれないか」

「えぇ……。その前に緊急事項をお伝えします。旦那様も貴方達も落ち着いて聞いて下さい」



 ヴォルターの言葉に、三人は怪訝な表情で顔を見合わせる。

 ヴォルターは三人の顔を順番に見、神妙に口を開いた。



「数百年前に最上級の魔導師達によって封印された、脅威の海の魔獣『レヴィアタン』が、何者かの手によって復活しました。今現在海の上におり、少しずつこの大陸に向かっております。彼奴が一度大津波を起こせば、この国だけではなく、大陸全てが大波に呑まれて壊滅するでしょう」




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