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第7回

神戸勝樹

俺はかつてトラックドライバーの職業に就いていたが、リストラに遭い、職を失った。

仕事中にSASUKEのための練習をしたのが原因だった。

現在無職。再就職せず、ひたすらSASUKEのためのトレーニングをしている。


しかしそれでは食べていけないので、たまにアルバイトをして生計を立てている。

ある日は野球場でのビール売りのアルバイト。


「ビールいかがですかー、美味しいビールはいかがですかー」

「あれ神戸さんじゃん。SASUKEの」


どうやらたまに俺のことを知ってる人もいるようだ。、まあテレビに出てるからな。


「あの神戸さん、一緒に写真取って下さい」

なんと、俺もプロ野球選手やアイドルみたいに声かけられる日が来ようとは。

これはSASUKE完全制覇して、もっと有名になりたいな。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

氷川結衣

私は10年ほど前、一時的に田舎に引っ越してたとき友達がいた。その友達も半年ほど一時的に引っ越していただけだった。

私が引っ越すとき、再会の約束として買っておいたお守りをあげた。それを2人で持っておいて友情の証とした。


SASUKEでまりんちゃんに会ったとき、ずっと心に引っかかってた。

私はその友達のことを忘れていた。あんなに大切な友達のことを。


「まりんちゃん」

「あ、結衣ちゃん」

「あのときのまりんちゃんだったんだね。」

大切な友達との約10年ぶりの再会


「忘れててごめん。まりんちゃんはずっと覚えててくれたのに。」

「いいの。私、結衣ちゃんとまた会えただけで幸せだよ。」

あのあと私も引っ越してしまったから、2人はもう会えないと思った。

こんなところで再会を果たせて、SASUKEには感謝しかない。


「運命だよね。結衣ちゃんと再会できただけでなく、これからは同じ目標を目指せるなんて嬉しいよ。」

「同じ目標…」

「今日は絶対、2人で1stステージクリアしようね。」

「ねえ、今日はお母さんも来てるから会ってあげて。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

前々回は3人、前回は1人、2大会あわせてクリア者がわずか4人という難関の1stステージ。

リニューアルはなし。

1.丸太登り

2.ローリング丸太

3.揺れる橋

4.ジャンプハング

5.そり立つ壁

6.ターザンジャンプ

7.ロープクライム

制限時間75秒


ルール説明のとき、結衣が質問した。

「あの、ジャンプハングの網を上に登って行っていいんですか?」

「それはOKです」


「結衣ちゃん、まさか上から行くの?」



さあ最初に登場するゼッケン1番は、高校教師、中上新一朗です。SASUKE界一トップバッターが似合う人。

第4回大会で3rdステージまで進出、生徒からはSASUKE先生というあだ名をつけられたと言います。さあSASUKE先生中上がローリング丸太で回転していく。

揺れる橋を通過してジャンプハング。さあSASUKE先生中上、つかまった。中上ジャンプハングをクリアしました。

そり立つ壁、ここを越えればいきなり最初の1stクリアのチャンスだ。過去にはゼッケン1番での1stクリア経験もある。

1回目は失敗。2回目はどうだSASUKE先生中上ー、行った行った。そり立つ壁を越えた。

ターザンジャンプ、残り10秒、中上行け、中上行け、初1stクリアは…ならなかったー。

ゼッケン1番中上新一朗、惜しくもタイムアップ。そり立つ壁で1度失敗したのが響いてしまった。


ゼッケン24番、居酒屋経営、福岡県のYさん。この男が前代未聞のハプニングを起こす。

実況「やってまいりました福岡県のYさん。おっと丸太登りに激突、大丈夫か。」


さあローリング丸太です。おっと丸太に乗り損なった、そして池に落ちたー。丸太がスタートエリアの池に落ちてしまった。これは前代未聞だ。



はっけよい!大阪義塾高校相撲部、鳥沢隼人であります。身長178cm、体重140kg。

さあまずは丸太登りに向かって、立ち上がって飛び込んで行ったー。立ち会いで滑り落ちてしまった。

そして…

実況「鳥沢池から上がれません。自力で上がれません。スタッフ数人で救出活動が続いております。」


ゼッケン1番でいきなり1stクリア目前まで行った第7回SASUKE。

しかしそれ以降の挑戦者はジャンプハングに苦戦。終盤の難関そり立つ壁を越える者は現れず。

またしてもクリア者は1人も現れないまま、1stステージは終盤81人目の挑戦者へ。


実況「第1ステージここまでの挑戦者は、ローリング丸太、ジャンプハング、そり立つ壁などで80人が潰えました。クリア者未だゼロ。有力選手が揃う残り20人は、果たして何人が生き残ることができるのか。」


大注目株の登場です。前々回、難関1stステージを初出場にしてクリア。彗星の如く現れた神社の巫女、氷川結衣の登場です。

前々回、わずか3人しかクリアできなかった1stステージをクリア。今回も神業を見せていく。

ローリング丸太、筋肉の抱きまくら、丸太を抱いて回っていく。揺れる橋もお見事。ほとんど揺れなかった。

さあジャンプハング、一番上の縁を掴んだ。そして上によじ登って行く!初めてジャンプハングの網の上に登って、転がり込んで行ったー。

初めてジャンプハングの上に登った氷川結衣。

そり立つ壁はどうだ。一発だー。前回はここで苦しんでタイムアップとなったが、今回は一発で登った。

残り20秒でターザンジャンプ、まだ時間がある。初のクリア者が出るのか。

これは楽勝でしょう。前々回は最初の1stステージクリア者となった。今回も最初にボタンを押したー!

氷川結衣、2大会前に続いて、最初の1stステージクリアを決めました。


その後2人目のクリア者が出たのはゼッケン95番。実力者が並ぶラスト6人。

兄のアクション俳優中原武はSASUKEではお馴染み。3rdステージ進出の経験があります。その弟、中原朋也の登場です。

過去2回は1stステージでリタイア。初の1stクリアはなるか。

ローリング丸太、勢いがつきすぎているが大丈夫かー。ものすごい勢いだ。人間ダッチロールのようであった。揺れる橋、前回はここだった、今回は見事に通過した。

ジャンプハングはどうだー。足が危ない足が危ない、着水したら失格になるぞ。足をあげてなんとかクリアした。

このあとには兄の中原武が控えている。兄の前に弟が突破口を見出すことはできるのか。

そり立つ壁はどうだ。一発で登ったー。さあ初の第1ステージクリア、今大会2人目のクリアは目前。中原朋也、初の1stステージクリア!


このクリアに兄も続く。

過去3rdステージ進出経験のある中原武も、前々回の第5回大会は1stステージでやられてしまった。同じ轍を踏むわけにはいかない。

さきほどクリアした弟に続けるのか。ローリング丸太、おーっと勢いよく行く。弟同様、勢いがつきすぎていたが大丈夫だ。

揺れる橋は全く揺れない。バランス感覚はトップレベルだ。

ジャンプハング、飛びついた。おーっと上によじ登っていく。これは氷川に対する意地かー!氷川に続いて網の上によじ登って行った。

そり立つ壁、一発!弟よりも余裕がある。弟に対する意地。兄の意地炸裂。

残りはまだ30秒もある。これは最速タイムが出そうだ。弟のタイムを余裕で上回って行く。

弟とともに、中原武、1stステージクリアー。残り16秒、最速タイムが出た。

さあ今夜、この中原兄弟は2人でどこまで行くのか。まずは兄弟揃っての1stステージクリアです。



「まりんちゃん、頑張ってー!」

「絶対結衣ちゃんについていくから。だから一緒に掛け声やってくれる?」


「出発」

「「進行!」」

「発車」

「「オーライ!」」


今日から私はこの掛け声でスタートするよ


残る挑戦者はあと4人。97人目に挑むのは、前回たった1人この1stステージをクリアし、3rdステージまで進出したこの人。

今日は両親も応援にかけつけている。。4回目の出場、ライフセーバーの宮崎まりんです。

第4回大会はファイナルステージに進出。前回は第3ステージ、さあ今回目指すは悲願の完全制覇。今回は母親が応援に来ている。

ローリング丸太、三半規管は十分だ。揺れる橋、全く揺れず。実力者は揺れる橋が揺れない。

ジャンプハング、宮崎も上から行く、宮崎も上に登っていった。

そり立つ壁、人間ねずみ返し。一発で行った。残り20秒、前回はただこの1stステージをクリア。

前回はかなりギリギリでのクリアとなったが、今回は余裕があるぞ。残り10秒を残して、余裕がある。宮崎まりん、この1stステージは通過点か。

4人目のクリアです。


神戸勝樹。リストラに遭い、職を失った神戸はこのSASUKEにすべてをかける。

1stステージ98人目のチャレンジャー。仕事は失業中、筋肉は24時間営業、神戸勝樹の登場です。

この神戸も前回はまさかの1stステージリタイア。

ローリング丸太はどうだ。がっちりしがみついて密着している。全く無駄がない。揺れる橋も通過していく。

ジャンプハング。おーっと一瞬危なかった。神戸は下から行く。一瞬ヒヤっとした。

さあそり立つ壁に行きます。おーっと1回目は失敗。2回目は失敗はプライドが許さない。

2回目で登った。1回目は失敗というより感触を掴むためのウォーミングアップだったのか。さあこれは行けたでしょう。ロープクライム、登って行く。

残り9秒ちょっとで5人目の1stステージクリア。


ゼッケン99番、鎌田秋夫。この男も2大会前、収録中にリストラを言い渡され、職を失った。

残る挑戦者はあと2人。仕事は失業中、筋肉は24時間営業、鎌田秋夫の登場です。

過去2回ファイナルステージに進出。鋼鉄のジャングル、このSASUKE第1ステージは鎌田の庭だ。

しかしこの鎌田も前回は第1ステージで無念のほぞをかんでしまった。このローリング丸太はどうだ。早めの回転、早めの回転。あまりにも早すぎるー。

勢いがつきすぎたー。何がどうした?

ローリング丸太でやられるという筋書きは、鎌田秋夫にはなかったでしょう。


鎌田「勢いつけすぎました。これは悔しすぎます。」


そしてゼッケン100番。前回までこのSASUKEのスタート台に立った延べ600人のうち、唯一完全制覇の喜びを知る人、長谷川健一。

3大会ぶりに再び栄光を手にすることはできるのか。

第1ステージ最後の挑戦者は、お馴染みガソリンスタンド勤務、長谷川健一。

しかしこの長谷川も前回、前々回と、1stステージでやられている。ローリング丸太、まず前々回はここでやられた。完全制覇者の意地として同じ轍を踏むわけにはいかない。

少し最後手こずったが大丈夫だ。揺れる橋、こちらも全く揺れない。

前回はここジャンプハングが鬼門であった。奥さんの恵さんと同じとこで落ちてしまった。あーっとまたしても。

トランポリンの踏み切りに失敗した。完全制覇者がまたしても1stステージで消えました!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1stステージクリアは5人

2ndステージ。エリア変更はなし。

8.ナロー

9.スパイダーウォーク

10.5連ハンマー

11.逆走コンベア

12.ウォールリフティング

制限時間 50秒


アナ「人生初の2ndステージです」

朋也「とりあえず、兄さんについていけるように頑張ります。俺が先ですけど。」


アナ「氷川さんにとっては2回目の2ndステージです」

「前々回はあと一歩でタイムアップだったので、今回はクリアできたらいいですね。」


アナ「神戸さんにとっては目指してるとこは、まだまだ先だと思いますが。」

「そうですね。こんなとこで落ちるわけにはいかないですけど、前々回スパイダーウォークで落ちてるんで・・・」


結衣にとっては2大会ぶり2回目、まりんにとっては2大会連続3回目の2ndステージ。

まりん「2人で一緒に2ndステージに来れたのはこれが初めてだね」

結衣「すごく嬉しい。3rdステージも一緒にいけたらいいね。」

まりん「じゃあ、トップバッター、頑張ってね。」



緑山は夜になりました。2ndステージに生き残ったのは100人中たった5人。

まずは巫女、氷川結衣が挑みます。前々回、初出場にして難関第1ステージをクリア。第2ステージ、ゴールボタン手前で無念のタイムアップに終わりました。

さあ初の第2ステージクリアはなるか。まずはナローを落ち着いてクリア。

続いて人間突っ張り棒、スパイダーウォークだ。スパイダーウォーク、各壁は動いている。動いてる壁を突き進んでいく。見事にクリアしました。

5連ハンマー、人間ゲートボール、見事にくぐり抜けていった。逆走コンベア、これはうまい、赤ちゃんの高速ハイハイだ。

ウォールリフティング、筋肉の序破急、筋肉の序破急、まだ余裕があるー。残り5秒を残してクリア。見事前々回のリベンジを果たしました。


実況「さあウォールリフティング、午前7時の商店街、働き者の商店街の壁が開いたー」

中原朋也、中原武も2ndステージをクリア。


ここまで3人連続のクリア。続いては前回ただ1人第2、第3ステージに進出したライフセーバー、宮崎まりんです。

前回はただ1人2ndステージに進出し、見事クリアしています。この2ndステージは宮崎にとっては通過点か。

さあやってまいりましたスパイダーウォーク、ここは早い、初出場時からここは得意としている。あっという間にポールに到達。

5連ハンマー、人間だるま落とし。逆走コンベア、肉体の回転寿司、ここも余裕で越えていく。

さあウォールリフティング、午前7時の商店街、おーっと苦しんでいる。なんとか1枚目をあげた。

2枚目、時間がなくなってきた。あーっと、挟まれている。なんとか抜けたか。3枚目、残り2秒、残り1秒、どうした宮崎…。

3枚の壁が持ち上がらなかった。仲間が、両親が、見守っていたが…

宮崎まりん、まさかのタイムアップ!


結衣「がんばれー。あー…」


思えば初出場時からウォールリフティングは苦手としていた。パワー不足が響き、無念の2ndステージタイムアップ。


2ndステージ最後の挑戦者、神戸勝樹。

完全制覇に最も近いこの人も、この第2ステージには苦い経験があります。前々回の第5回大会、スパイダーウォークで悪夢を見ました。

第4回大会後に会社をリストラされて現在無職。それでも次の職を探すことなく、SASUKEのために打ち込んできた。

2ndステージ最後のチャレンジャー、史上最強の無職、神戸勝樹です。

筋肉は24時間営業、史上最強の無職が行く。スパイダーウォーク、前々回のSASUKEでは神戸はここで陥落してしまった。悪夢を振り払うことはできるか。早いぞ、早いぞ。あまりに早すぎて滑り落ちてしまうこともあるが、それは杞憂に終わった。

5連ハンマー、ここも難なく通過した。逆走コンベア、肉体の回転寿司、筋力の回転寿司。

ウォールリフティング、軽々と持ち上げていく、これは行ったも同然でしょう。

やりました。神戸、見事なパフォーマンスで2ndステージクリア。4人目の3rdステージ進出です。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この大会唯一の2ndステージリタイアとなってしまったまりん。

「ごめん」

「大丈夫。また次頑張ればいいよ。」

「次は3rdステージに一緒に行こうね。そのためには、パワーあげないとね。」

こうして3rdステージに挑む結衣にエールを贈った。


「結衣の3rdも楽しみなんだけど、神戸さんが久しぶりに3rdに挑戦するってのが楽しみだな。」

「まりんちゃん、神戸さんのこと好きなの?」

「いや…、好きとかじゃないよ。でもなんていうか、素敵な人じゃない。こういう、何かに打ち込める人は。仕事クビになるのは勘弁だけど。」



「神戸君、いよいよ第3ステージだな。」

1stでリタイアした長谷川が歩み寄る。

「ああ、ここまで来ればファイナルは目の前だ。前はスカイウォーク、今はクリフハンガーだっけ。そこで落ちてるから、そこさえ行ければ、完全制覇できると思ってる。」


2ndステージのあとは身体測定が行われる。ボディプロップの幅の長さを決めるための身長と手の長さの測定だ。


3rdステージ

13.プロペラうんてい

14.ボディプロップ

15.アームバイク

16.クリフハンガー

17.パイプスライダー


周囲の闇が深くなりました。そこに忽然と姿を現しました鋼鉄の魔城。いよいよ第3ステージの幕開けです。

生き残ったのは4人。まずは初の第3ステージ進出、神社の巫女、氷川結衣の挑戦です。

前々回は初出場にして、100人の中で最高の成績を収めた氷川もこれが初めて第3ステージ。まずはプロペラうんてい。おっと2本目の移行に失敗。

いったんスタート地点に戻ってリスタート。今度は移行に成功。おーっと今度は2本目から3本目の移行に失敗。あまり無駄な体力は使いたくない。

さあ今度こそ移行に成功したー。ややプロペラうんていで移行に苦しんだ。

さあ続いてはボディプロップ。この装置は2ndステージ後に測定した身長に合わせて幅が調節されています。初挑戦のボディプロップ。まるでガリバーのシューキーパーのようだ。

まもなく1個目の空白が前にある。続いて2個目の空白は後ろ、足側にあります。おっと震えている。体力の限界が近いのか。まもなく3個目の空白、あーっと動けない、苦しんでいる。それでも踏ん張っている…。

あーっと、転落!筋力をすべて使い果たした。初っ端のプロペラうんていで1本目から2本目、2本目から3本目で2度の移行に失敗。ここで体力を使ってしまった。


「初めての3rdステージ、いかがだったでしょう?」

「完敗です。」


「結衣ちゃん、お疲れさま。」

「ダメだった。まりんちゃん、前回これを最後まで行ったんでしょ?すごいよ。」



さあ次なる登場は中原朋也です。今大会兄弟でそろって3rdステージ進出を果たしました。

さあこのあとに兄の挑戦を前に、この3rdステージを見事に決めることはできるのか。

まず腕力のメリーゴーラン、プロペラうんていをクリアして、続いては難関ボディプロップ。2ndステージ後に身体測定が行われました。このボディプロップは身長に合わせて幅が調節されています。

進んでいく進んでいく、おっと苦しい、1個目の空白で落下ー。中原朋也もボディプロップでリタイアです。


氷川が消え、弟の中原朋也が消えました。残るは2人、中原武が挑みます。

目の前で弟が潰えた3rdステージ、弟の無念を晴らせるか。まずプロペラうんてい、腕力のメリーゴーランドは難なく通過した。

さあ弟が涙を呑んだボディプロップ。人間突っ張り棒だ。3rdステージ進出は3回目。1回目はポールブリッジ、2回目はスカイウォークでリタイア。中原にとってもこの3rdステージクリアは悲願であります。

2つ目の空白を越えて、3つ目の空白。行ったー。ボディプロップクリアしました。弟のリベンジを果たした。

アームバイク、腕力の剛腕猫じゃらし、剛腕ねこじゃらし。さあアームバイクを越えると、いよいよクリフハンガーです。

第4回のSASUKEでは、ちょうどこの位置にあったスカイウォークで中原は撃沈しました。スカイウォークはクリフハンガーと名前を変えて、段差がついて進化しております。

クリフハンガー、命がけの握力測定であります。さあ行きます、僅かな突起にぶら下がって横移動。まもなく30cmの段差がある。ちょっとここで立ち往生した。あーっと!

中原転落。中原武、3rdステージクリフハンガーで残念ながらリタイアです。

これで残るはあと1人、神戸勝樹を残すのみとなりました。


第4回大会の長谷川健一の完全制覇によりリニューアルされたFINALステージ。しかし前々回は2ndステージ、前回は3rdステージで全滅。

未だ新FINALステージは全貌を明かされることのない、閉ざされた扉となっております。

SASUKE第7回大会も99人の者たちが消え、ついに残る挑戦者はたった1人となりました。最後の1人は新FINALステージの扉を開けることはできるのか。

その最後の1人は、完全制覇に最も近い人です。第3回大会でFINALステージのゴールまであとおよそ30cmに迫った、史上最強の無職、神戸勝樹の挑戦です。

さあ神戸の出番だ。神戸よ、我々に新FINALステージを見せてくれ。


第4回大会のあと、運送トラックドライバーをリストラされましたが、再就職をせず、SASUKEのためのトレーニングのみに日々を費やしてまいりました。

前回3rdステージに進出した3大会前の第4回大会では、いきなりこの第1エリア、プロペラうんていに手こずり、体力の限界を迎えてしまいました。

今回はややタイミングを見計らってからスタートしていった。今回はタイミングはばっちり無駄がない。余裕を残してプロペラうんていをクリアした。

続いては今大会3人中2人を呑み込んだ難関ボディプロップです。神戸にとっては初挑戦のエリアとなる。

自ら枠組みの中に己のみを投じる。そしてそこから脱出していく、人間の根源的な営み、動きを象徴するエリアです。

1つ目と2つ目の空白を越えていった。ここは一瞬の隙も許されないぞ。3つ目の空白も越えていったー。ボディプロップに難はありませんでした。

さあわずかなインターバルを挟んでアームバイクに進む。アームバイク、早いぞ早いぞ、人間ケーブルカーだ。

続いてはクリフハンガーです。第4回大会では、神戸はクリフハンガーの旧版、スカイウォークで撃沈しました。進化したクリフハンガーにリベンジはなるか。

さあ手をかけた。わずかな突起にぶら下がって進んでいく。空白をクリアした。30cmの段差が近づいてきた。スカイウォークとの違い、この30cmの段差。

どうだどうだ。この段差をクリアすればあと少し、あと少し。クリフハンガークリアした。


休憩地点に一旦ひざまずいた神戸。腕力に疲労が溜まってきたか。しかし残るは最終エリア、パイプスライダーであります。

この休憩地点で腕力、筋肉を一旦休めて、腕力を回復できるか。リニューアル後初のファイナルステージまで、いよいよあと1エリア。


結衣「すごいね神戸さん」

まりん「これファイナル行くんじゃないかな」


長谷川「2人目の完全制覇に向けて、頑張ってほしいね。」

武「でも疲れが心配だな」


神戸の自宅にはSASUKEのセット、1stステージのそり立つ壁、2ndステージのスパイダーウォーク、3rdステージのボディプロップ、今見せたクリフハンガー、

そしてこのパイプスライダーと、自作のセットを作ってトレーニングしてきた。今その成果を見せるときだ。

さあパイプスライダー、栄光が待っているのか、それとも沼地が待っているのか。左手は順手で、右手は逆手。

グリーンのバーに足をかけた。まさに類人猿の動きだ。人類に分化する前の、進化する前の、類人猿の動きのようだ。

あとは後半のパイプスライダー。栄光の赤いステージは目前ですが、選手にとっては遠くに感じるのでありましょう。

第3ステージをクリアすれば、あとはいよいよファイナルステージ。神戸、腕の力はもう限界に近いか。それともまだ余力が残っているか。

さあパイプスライダー後半、まだ腕は曲がっている、鍵型に曲がっている余裕がありそうだ。

さあ最後の難関、天国と地獄を分ける最後の審判。反動をつけて、思いっきりジャンプしなければいけない距離があります。


神戸飛んだー


神戸勝樹、ゴール地点の赤いステージに届く。着地に成功したかと思われた。だがしかし…


実況「あーっと!」


次の瞬間、神戸はゴール地点の上でバランスを崩し、ステージの横の地面に転落してしまった。


一瞬拍手をした中原武。しかし次の瞬間、まさかの事態に中原兄弟は唖然。会場は騒然、呆然。


実況「どうした神戸、何があった神戸。これはどうなるのか、沼地には吸い込まれていないが。」

「これはダメです。ステージから転落すると失格だ!」

「クリアしたかと思われた神戸。次の瞬間、バランスを崩し、SASUKEの魔物に飲み込まれた。」


余力は十分に残していたかと思われたが、やはり疲れがあったか。それとも余力はあったが、最後の詰めに失敗したか。


この事態に神戸の挑戦を見守っていたまりんと結衣も呆然。

まりん「うわー、もったいない。ゴールに届いてたのに。疲れちゃったのかな」

結衣「神戸さん、パイプの持ち方が順手と逆手だったでしょ。横にねじれて、落ちやすくなるんじゃないかな。」

まりん「地面に腰を打って、痛そうだな。」


アナ「神戸さん、腰は大丈夫ですか?」

「かなり痛いですね。」


「神戸さん、今大会実は引退を覚悟していたとスタッフに言っていたそうですね。」

「はい、仕事もせず、このままじゃいけないと思って、これがラストチャンスのつもりでした。」

「ではあきらめるか、それともまだこのSASUKEチャレンジ、FINALステージクリア目指して続けるか、どっちですか?」


「やらせて下さい…」


こうして悲劇のコースアウトでSASUKE第7回は幕を閉じた。



第7回大会結果

1位:98 神戸勝樹 3rd/パイプスライダー(ジャンプ、コース外転落)

2位:96 中原武 3rd/クリフハンガー(段差)

3位:81 氷川結衣 3rd/ボディプロップ(3つ目の空白)

4位:95 中原朋也 3rd/ボディプロップ(1つ目の空白)

5位:97 宮崎まりん 2nd/ウォールリフティング(3枚目)

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