第6回
これは約10年ほど前のお話。小学4年生のころのこと。
先生「今日から転校してきた宮崎まりんさんです。」
私は父の転勤の都合で転校が多くて、人見知りなこともあって友達がいなかった。
今回もこの街には多分半年くらいしかいないだろう。
「またー?」
先生「そうこと言わない」
先生「ごめんなさいね。1ヶ月前にも転校生が来たの。田舎で1学年1クラスしかないのに、こういうこと珍しいから。」
へえ、私の他にも転校生いるんだ。
「ねえ、休み時間遊びに行ったりしないの?」
「わたし、友達いないから。転校が多くて、どこの学校にも少ししかいないから。」
「私もここではまだ友達いないんだ。1ヶ月前に転校してきたばかりだから。」
そういえば先生が1ヶ月前にも転校生が来たって言ってたな。
「だから友達になろう。私は氷川結衣。」
「わたし、宮崎まりん。」
「じゃあまりんちゃんって呼んでいい?私のことは結衣でいいよ。」
こうして私は、結衣ちゃんとの半年間の夢のような日々、大切な思い出の始まりだった。
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俺は神戸勝樹。半年前、勤めていた運送トラックドライバーをリストラされた。原因は、トラックの運送中の合間にSASUKEの練習をしたことが目撃証言でバレたのだ。
再就職をすることもなく、現在無職。
長谷川のガソリンスタンドでガソリンを入れることもなくなり、長谷川には心配をかけた。でも仕事中にSASUKEのトレーニングをしてクビになったなんて格好悪いこと言えなかった。
そしてもう1人、仕事中にSASUKEの練習をしたせいでクビになった者が。
鎌田秋夫。SASUKE第5回大会の収録中、1stステージと2ndステージの合間に上司からの電話でリストラを言い渡された。
鎌田も再就職することなく、毎日SASUKEのトレーニングに励んでいる。
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前回、3rdステージすら見ることなく全滅を喫した100人。逆襲を誓い、待ちに待ったリベンジのとき。
だが、悪夢再び。100人を待ち受けていた、史上最悪の結末。
1stステージ 今回は前回と全く同じ
1.丸太登り
2.ローリング丸太
3.揺れる橋
4.ジャンプハング
5.そり立つ壁
6.ターザンジャンプ
7.ロープクライム
制限時間75秒
「宮崎さん、また会えたね。」
「氷川さん、またSASUKEに出てくれたんだね。」
「前回1stステージクリアして、自信があったからね。」
「ねえ、氷川さんのこと、結衣ちゃんって呼んでいいかな。」
「え?」
「だから私のこともまりんって呼んで」
「いいよ。そのくらい。」
「じゃあ・・・、結衣ちゃん。」
「まりんちゃん。」
(嬉しい。また名前で呼んでくれた…。少しでも長く結衣ちゃんと一緒にいるために頑張らないと。)
挑戦するのは、新体操選手伊藤虹子です。さあまずは丸太登り、ちょっと危ない、登れるか、なんとか登りました。
ローリング丸太、新体操の伊藤がまたがった。グルっと回転していく、おっと止まってしまった。丸太が止まってしまった。
肩から上が黄色いラインをはみ出て手前側に偏りすぎていたため、左右のバランスが崩れて丸太の回転が停止。丸太が動かないままそのままタイムアップとなった。
タイムアップとなったあと、伊藤虹子は金具にぶら下がり、沼地に落ちることなくうまく地面に着地した。会場からは拍手が贈られた。
前々回、あの長谷川健一からファイナルステージの頂上でプロポーズを受けて結婚しました。
SASUKE史上初の完全制覇者、長谷川健一の妻。美を追求するプロバレエダンサー、長谷川恵です!
おっとバランスを崩した。本当にプロのバレエダンサーなのか。
完全制覇者の妻、プロバレエダンサーにこのあと史上最も恥ずかしい結末が。
さあ丸太登りはテンポ良く行きました。そしてこのローリング丸太です。丸太が回転、バランスはいい。さすが完全制覇者の妻、夫に負けない三半規管だ。
前々回、完全制覇したファイナルステージの頂上から長谷川健一にプロポーズされ、会場は湧いた。感動のプロポーズとなりました。そのときのように会場は湧いている。
さあジャンプハング、トランポリンです。ここでちょっとトランポリンの踏み位置、跳ね返りを確かめている。さあジャンプハング、あーっと踏み外した!
せっかく確かめたのにー
一度トランポリンを確認した。跳ね返りを確かめた。しかし…、前だった。踏み位置が前だった。間違えました。本当に間違えました。
前回、わずか3人しかクリアできなかった1stステージ。今回も1人もクリア者が出ないまま70人、80人が過ぎていく。
「まずいんじゃないの。このままじゃまたクリア者が出ないまま私の出番が来ちゃう。その前に結衣ちゃんがいるけど。」
「前々回、まりんちゃんが出たときは30人以上クリアしてたんでしょ?リニューアルでこうも変わるんですね」
次第に日が西に傾き、夕陽に照らされ、緑山は夕方になっていく。
ゼッケン81番から実況がサブ実況からメイン実況に変わる。
実況「茜色の夕陽に照らされる緑山に、参加選手の無念が蓄積しています。第1ステージ、ここまでジャンプハングと、そり立つ壁までで、80人が飲み込まれてしまった。
1stステージ全滅の危機に瀕しております。果たして有力選手が揃う残りの20人は、1人でも多く生還することはできるのか?」
前回は初のクリア者が出た83人目も過ぎていった。
そしてなんと有力選手が揃う80番台でもクリア者が1人も現れず、太陽が沈み、夜になった。
とうとう1人のクリア者も現れないまま夜になり、ゼッケン90番台、91人目の挑戦者を迎えた。
前回1stステージをクリアしたこの人である。
6回目のSASUKEは異常事態。なんと90人を終わって誰1人クリア者がいない状況で、大注目株の登場です。
初出場の前回、わずか3人しかクリアできなかった1stステージで、突破口を開いた。見事一番乗りを決めました。
赤い衣装がトレードマーク。巫女の氷川結衣です。
さあ今回も最初のクリア者はこの人になるのか。前回は2ndステージ最終エリアまで進出、100人中最高の成績を収めました。
軽快だ。ローリング丸太回っていく、この巫女、三半規管は強いぞ。
さあ揺れる小悪魔、揺れる橋クリア。ここまでは順調だ。
さあジャンプハング。おーっと、危ない、危ない、足をかけた。一瞬足が池につきそうになった。ちょっと飛距離が出なかった。しかしなんとか踏みとどまった。
続いてそり立つ壁だ。神社の巫女、氷川結衣、1回目は失敗。しかし前回は越えている、そり立つ壁ー、あーっと行けない。一瞬手は届いたが行けなかった。
焦ってはいけない。3回目のトライ、手が届かない。次が最後のチャンスか。あーっと行けない。
残り10秒になってしまった。時間がない。行ったー、行ったが、警告音が鳴っている…。氷川結衣、ここでタイムアップ!
ジャンプハングでのタイムロスで焦ってしまったか、そり立つ壁を登った直後にタイムアップ。前回の最優秀成績者・氷川結衣、今回は1stステージでリタイアです。
「宮崎さん、まだ誰もクリアしていません。」
「私が1人目になります。私が氷川さんとか、落ちてしまった人の仇を取りたいと思います。」
1stステージの赤いボタンを押し、ゴール地点の黄色い鳥居を開ける者はいったいいつ現れるのか?
とうとうSASUKE第6回大会、92人目のチャレンジャーです。前々回、初出場でファイナルステージに進出した。前回は1stステージあと一歩のところでタイムアップ。
3回目の出場、SASUKE第4回大会ファイナリスト、ライフセーバーの宮崎まりんです。
私が最初の1stステージクリア者となると意気込んでスタートしていった。ローリング丸太、抱き枕抱き枕、筋肉の抱き枕だ。
92人目、夜になった緑山、爽やかな風とは裏腹に重苦しい空気が立ち込めている。
続いては難関ジャンプハング、ここで数多くの猛者たちが飲み込まれたが、がっちりグリップ離さない。
ここまでは順調、時間は十二分にある。さあそり立つ壁。前回このそり立つ壁を初めてクリアしたのが宮崎まりんでした。
あーっと、1回目は失敗。まだ時間はたっぷりあるぞ。2回目、あーっと、届かない、届かない!またしてもか!
またしても悪夢が襲うのか。次がラストチャンスになるかもしれない。届いたー!右手が届いた。残り15秒、またしても時間の戦いになった。
ついに黄色いゲートが開くのか。まもなく残り10秒。警告音が鳴り始める。タイムアップだけはやめてくれよ宮崎。
残り5秒、4秒、3、2、1、…間に合ったー!残りわずか0.93秒。
ついに黄色い鳥居が開きました!会場に今日初めての歓声が沸き起こります。ついに92人目にして、この1stステージのゴール地点に立つ者が現れた。
さきほど氷川結衣が苦しめられ、ここまで何人もの挑戦者が阻まれたそり立つ壁。ここまでは順調に来ていた宮崎も、まさかの2度の失敗。
しかしあきらめなかった。前々回ファイナリストのプライド、なんとしても最初のクリア者になるという意気込みが、絶対にあきらめなかった。3回目のトライでそり立つ壁の頂点に右手をかけた。
ロープクライム、前回はここで惜しくもタイムアップ。今回も時間との戦い、残り10秒の警告音が鳴る中、懸命にロープを登り、前回のリベンジ。そしてついに押した、まだ誰も押していない赤いゴールボタン。
前々回ファイナリスト宮崎まりん、2大会ぶりの1stステージクリアです。
「92人目に初めての1stステージクリアです。おめでとうございます。」
「ありがとうございます。残りの8人にいいバトンを渡せたと思います。こんなことになってしまいましたが、残りの人たちには長谷川さんとか、神戸さんとか有力な人が揃ってるんで、ここからみんなクリアして、一緒に第2ステージに行きましょう!」
ゼッケン97番、中原武。そり立つ壁でタイムアップ。
1stステージに98人目の挑戦者は、第2回・3回大会ファイナリスト、鎌田秋生。
目指すはファイナルステージ、悲願の完全制覇。第1ステージなど眼中にない。さあこの鎌田が2人目のクリアを果たしてくれるはずだ。
6回目の出場、まだ1stステージでリタイアしたことは1度もない。ローリング丸太、ぐるぐると回っていく。
続いてジャンプハング、しがみついた。まだ時間はある。そり立つ壁、1回で行くことができるか。
…あーっと登れない!なんと2度のファイナリスト、鎌田秋生までもがこのそり立つ壁で阻まれるのか。
残り10秒を切ってしまった。万事休す。鎌田秋生、なんとかやっとそり立つ壁に指先をかけたが、まさかまさか警告音が鳴っている、鎌田秋生、ここで時間切れー。
アナ「神戸さん、クリア者まだたった1人です。」
「2人目になります。」
なんとここまでたった1人しか、1stステージのゴールボタンを押せていない状況。まさにSASUKE第6回大会は異常事態。
いよいよSASUKE1stステージ、残る挑戦者は2人となりました。ゼッケン99番、第3回大会でファイナルステージ残り30cmまで迫った、完全制覇に最も近い人、神戸勝樹。
さあ神戸が行く。過去1stステージでリタイアしたことは1度もない。1stステージはあくまで通過点だ。
ジャンプハング、がっちりつかんだ。残り30秒以上を残してそり立つ壁。あーっと登れない。
まだ時間はある、焦ってはいけない。届かない!
神戸、ここまではいいペースで来ていた神戸がなんとそり立つ壁に苦しんでいる。
残り10秒、ラストチャンスだ、届かない、神戸勝樹、なんと1stステージ、ここでタイムアップー。
そしてゼッケン100番、
いよいよSASUKE第6回大会1stステージ、最後の挑戦者を迎えました。難攻不落を極めたSASUKEで、前々回の第4回大会、完全制覇を成し遂げた。
地上15mの頂から、外界を見下ろし、歓喜に湧いた。そしてゴール地点から、世界で一番かっこいいプロポーズをした。
この人が最終100人目のチャレンジャーとして、SASUKE1stステージ今宵2人目のクリアをかけていく。
仲間たちが散っていった、その無念・想いを背負って、挑んでいくのは長谷川健一です。
会場は長谷川コールの大声援。数々の実力者たちが姿を消しました。まさかこんなにも1stステージが厳しいものになるとは。
鋼鉄の魔城は挑戦者たちに牙を向いた。1stステージクリアはここまでたった1人。過去類を見ないほどの、厳しい戦いとなりました。
さあ妻の恵さんが阻まれたジャンプハング、あーっと!どうしたー!?長谷川がジャンプハングで落ちたー!
妻が落ちたジャンプハングで、なんと完全制覇者、長谷川健一までもが苦杯をなめたー。
会場は悲鳴、絶望、挑戦者とそれを見守った応援者たちの無念に包まれている。
SASUKE第6回大会はまさに難関を極めた。1stステージ、100人中99人が消えました。
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「あの、まりんちゃん…」
「なに」
「頑張ってっていうのは、簡単だし、今のまりんちゃんの気持ち考えたら、きついかもしれない。でも他に言葉がないの。」
「たった1人ってのは心細いかもしれないけど、頑張って。」
「ありがとう。大丈夫だよ。むしろ今は誇りに思ってるよ。2ndステージにいけたの、私1人だけだぞって。」
「そうだね。」
「ねえ、私は昔、10人くらい前にある友達とアスレチックで遊んだことがあったの。それがSASUKEに出るきっかけになったんだ。」
「私、小学校と中学校のころは父の仕事の都合で転校が多くて、友達がいなかったから、その人が初めての友達だったの。」
「へえ、そんなことが。」
(そういえば私も昔、友達とアスレチックで遊んだことがあったな。一時期田舎に転校してたときだったな。)
「結衣ちゃんはなぜこのSASUKEに出ようと思ったの?」
「それは…、この番組、筋肉番付が好きだったからかな。」
結衣ちゃんは多分あのころのことは覚えてないみたいだけど、私はこんなところでもう一度結衣ちゃんと会えただけで幸せだよ。
そして私は2ndステージに行く。結衣ちゃんに見守られながら。
2ndステージ
8.ナロー
9.スパイダーウォーク
10.5連ハンマー
11.逆走コンベア
12.ウォールリフティング
制限時間 50秒
SASUKE第6回大会、1stステージをクリアし、2ndステージに進出したのは史上最少、たったの1人。
1stステージで、100人中、99人の挑戦で悲鳴、溜め息、絶望に包まれました。しかしたった1人、緑山に歓喜と希望をもたらした人。
あの難関1stステージをたった1人だけクリアした人。ライフセーバー、宮崎まりん。
声援を受けて、たった1人の2ndステージが始まる。
50秒間のミッションインポッシブルが始まった。ナロー、たったの10cmの幅の10mの橋を渡っていく。ここのバランス感覚はお手の物だ。
前回のSASUKEはこの2ndステージで100人が消えた。2大会連続2ndステージ全滅はなんとしても避けてほしいところ。
スパイダーウォーク、前々回のSASUKEでは初出場で最速タイムでクリアしていった。今回もここは軽快に行った。
5連ハンマー、人間ゲートウォール。そして逆走コンベア、四足歩行で走る。獲物を見つけた野生動物のように四足歩行で走っていく。
ウォールリフティング、3枚の壁。商店街の朝7時のように、続々とシャッターが開いて…、おっと苦しんでいる、苦しんでいるがなんとか開けたー!
残り2秒、なんとか間に合った。たった1人2ndステージに進出したこの人、2大会ぶりに第3ステージの扉を開けました。
さきほどまで静まり返っていた緑山の会場は再び歓声に湧いてます。
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前回は進出者がいなかったため、2大会ぶりに実施される3rdステージ。
13.プロペラうんてい
14.ボディプロップ
15.アームバイク
16.クリフハンガー
17.パイプスライダー
新エリアは第2エリアのボディプロップ。両手両足を壁に突っ張って進む。手側に2つ、足側に1つの空白がある。
ボディプロップが新設されたことによりプロペラうんていは第1エリアに移動。
第4エリアはスカイウォークの改良版として前回から新設されたクリフハンガー。途中に空白と、30cmの段差がある。
3rdステージ、悶絶の空中庭園に、孤高の選手、100人中ただ1人の生き残りが行きます。ライフセーバー、宮崎まりん。
万雷の拍手を浴びて、第3ステージのスタート地点にあがります。
まずは肩口のメリーゴーランド、プロペラうんてい。前回までの第2エリアから、第1エリアに変更されました。
1本目から2本目に移行、そして3本目への移行も一発で行った。タイミングはばっちりだ。
続いては今回から設置された新エリア、人間シューキーパーと言われるボディプロップ。
さあ初お目見えのボディプロップ、両手両足で突っ張っての横歩き。1つ目の空白をクリアした。間もなく2つ目の空白、今度は足側、そして3つ目の空白も越えていった。
ボディプロップクリアしました。続いてはアームバイク、剛腕猫じゃらし、腕力の剛腕猫じゃらしアームバイクをクリアした。
さあ最難関のクリフハンガーだ。前々回まであったスカイウォークが段差がついて、二段になって進化したのがこのクリフハンガーです。
この宮崎は前々回のSASUKEでスカイウォークはクリアしているが、このクリフハンガーは初体験であります。
さあ3cmの突起に手をかけた。宮崎が3cmの突起に手をかけて進んでいく。まもなく30cmの段差がある。
30cmの段差だ。どうだー。越えていったー。クリフハンガーをクリアしました。
いよいよ最終エリアパイプスライダーであります。たった1人3rdステージに生き残った宮崎が、ファイナルステージまであと1エリアとしました。
さあスライドしていく、肘を曲げてスライドする。これはいいぞ。グリーンの止まり木にたどりついた。
前々回の第4回のファイナリスト、宮崎まりん。あの史上初の完全制覇者、長谷川とともにファイナルに進出した宮崎。
果たしてこの3rdステージをクリアして、2度目のファイナル進出を決めることはできるのか。
さあ後半のパイプスライダーの旅路に出ていった。まだ肘は曲がっている、順調に行く、順調に行く。
さあここだ。天国と地獄を分ける最後の審判。前後に体を振る。かなりの距離がある。
宮崎、99人の想いを背負ってー飛んだー!
わずか数センチ距離が足りなかった。ファイナルステージには届かなかった。
前々回は成功した最後のパイプスライダージャンプ。しかし前々回よりも距離が開いていた。あと数センチ、ファイナルステージに届かず。
しかしたった1人第2ステージ、第3ステージに進出した宮崎まりん。今大会、唯一の勇気と希望を与えた人。本当に1日よく頑張りました!
会場からは盛大な拍手、万雷の拍手が贈られます。
アナ「3rdステージクリアまであと一歩でした。」
「自分でもここまで行けるとは思ってなかったです。今日は全力を出し切ったので悔いはありません。」
アナ「本当に皆さんに勇気と希望を与えてくれたと思います。ありがとうございました。お疲れ様でした。」
「ありがとうございました」
そこには今日1日見守っていた挑戦者たちが
結衣「まりんちゃん、すごいかっこよかったよ。私感動しちゃった。本当にありがとう。」
神戸「たった1人でここまで来てすげーよ」
長谷川「宮崎さんがいなかったら第1で全滅してたもんな」
鎌田「1人に背負わせちゃって申し訳ない」
こうして100人全員の競技が終了した
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約10年前
私が田舎に転校してきてから、初めての友達になった結衣ちゃんと毎日のように遊んだ。
夏休みには2組の家族で旅行にも行った。
結衣ちゃんと過ごした日々は大切な思い出になった。いつまでも忘れられない、半年間の思い出。
やがて半年が過ぎ、そんな楽しい日々も終わりを迎えた。
結衣ちゃんが転校してしまう日が。この街には父の仕事の都合で一時的にいただけだった。
私ももうすぐこの街を離れてしまう。転校したらもう会えない。私はいっぱい泣きました。
「結衣ちゃん、転校しちゃうんだ。」
「わかってたことだけど、せっかく友達になれたのに…。」
「泣かないで。わたしたち、これからも友達だから。」
「でももうすぐわたしももうすぐ引っ越しちゃう。そしたらどうやって会えばいいの?」
「ねえ、ちょっとついてきてくれる?」
そこは結衣ちゃんの家の系列の神社
「このお守りを私たちの友情の証にしよう。このお守りを持っていれば、きっとまた会える。」
「信じよう。離れていても、いつまでも友達だから。」
こうして私と結衣ちゃんはお守りを証に再会の約束をした。
そして結衣ちゃんは引っ越してしまいました。そのあと私もその街から引っ越しました。
もうあの街に行っても結衣ちゃんはいないから、どこにいるかわからない結衣ちゃんと会うことはできなかった。
第6回大会収録後
まだ小さかったから、お互い別々の街に離れ離れになってしまっては、会う方法はない。
結衣ちゃんとはもう二度と会えないと思ってた。
でも・・・
「わたしは小学校のころ、父の仕事の都合で転校が多くて、なかなか友達がいなかったんだけど、ある田舎町にいたときに、初めてできた友達がいて。」
「転校してお別れすることになったけど、その子と再会の約束をしたんです。」
「へえ、そんなことが。で、その人とはその後会えたんですか?」
「実は今日、会えたの。」
「今日?まりんちゃん、1日中緑山にいたよね。」
「うん、今日ここで。半年前、前回のSASUKEにもいたんだけどね。」
「それって、観客の誰か?」
「ううん、出場した人。」
「へえ、100人のうちの誰かか。」
(といっても今日はまりんちゃん以外は1stステージでリタイアしたから、その人も1stで落ちちゃったのか。)
「その人はわたしのこと覚えてなかったみたいだけど、わたしはその人と再会できただけで幸せなんです。また会えたらいいな。」
「それって運命の再会じゃん。いい話だね。そんなこともあるんだ。」
「うん、それだけでSASUKEやっててよかったな。」
「結衣ちゃん。また会えるよね?」
「うん、次のSASUKEで。」
「じゃあ、また半年後に。」
あのときは、もう二度と会えないと思ってた。でも、次もまた会える。
次のSASUKEで
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結衣の帰り道
まりんちゃんにそんな昔から深い絆で結ばれた友達がいたんだ。
てっきり自分がまりんちゃんの一番の友達になった気分になったからちょっとショックだ。
そんなわけないか。まだ2回しか会ってないのに。
そういえば私にも昔、半年ほど住んでた田舎町で友達がいた。転校するとき、その子と再会の約束をした。
まりんちゃんと同じだな。まさかまりんちゃんも同じような体験をしていたなんて。
ん?それってもしかして…
第6回大会結果
1位:92 宮崎まりん 3rd/パイプスライダー(ジャンプ)
2位:98 鎌田秋生 1st/ターザンジャンプ(挑戦前タイムアップ)
2位:91 氷川結衣 1st/ターザンジャンプ(挑戦前タイムアップ)
4位:99 神戸勝樹 97 中原武 他多数 1st/そり立つ壁