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第5回

第2部開始です

俺は長谷川健一。SASUKE第4回大会で初の完全制覇を達成した。

ガソリンスタンドに勤めている。そして俺が勤務してちるガソリンスタンドでいつもガソリンを入れる常連客が、運送トラックドライバーの神戸勝樹。俺とともにSASUKEに挑む男だ。

ところがSASUKE第4回が終わってから2ヶ月くらい経ったころだった。

神戸が突然、ガソリンスタンドに来なくなった。平日はほぼ毎日このガソリンスタンドでガソリンを入れていたのに。

皆勤賞ってわけじゃないから本当に毎日来てたわけじゃないけど、ある日を境に、1週間以上神戸の姿を見かけなくなった。

2週間経っても、1ヶ月経っても神戸はガソリンスタンドに来なかった。


「健ちゃんどうしたの?」


彼女は俺の妻、恵だ。完全制覇のゴールでプロポーズしたのはまだ記憶に新しい。


「神戸がもう1ヶ月もガソリンスタンドに来ないんだ。」

「神戸君ってSASUKEに出てたトラックドライバーの?」

「そうだ。平日は毎日のようにガソリンを入れに来てたのに、突然姿を現さなくなった。まさかトラックが事故にでも遭ったんじゃ…」

「この辺に住んでるんでしょ?事故があったならもっと騒ぎになってるわよ。でもそんなニュースないでしょ?」

「事故じゃなきゃいいけど」


2ヶ月が経った。神戸は今どうしてるのだろう。一体どこに行ってしまったのだろう。

そしてついに神戸が姿を消してから4ヶ月が経って、次のSASUKE第5回大会の収録が近づいてきた。もし緑山にも神戸の姿がなかったらどうしよう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私は宮崎まりん。ライフセーバー志望の学生。

父親の仕事の都合で転校が多く、友達が少なかった。あるときまでは。

ある街で出会って、半年間一緒に過ごした友達。私にとっての大切な思い出。

それまで上がり性だった私は、あの子のおかげで変わった。あの子がいたから、あれから私は積極的に友達を作ろうと思えるようになった。

今こうやってSASUKEに挑戦しようと思えたのも、きっとあの子のおかげ。

その友達もあの街にいたのは一時的。私も転校してしまい、もうあの街に行ってもあの人と会うことはできない。

転校するとき、あの子と再会の約束をした。いつか、あの人ともう一度会えることを信じて。でも一体どうやって・・・


こんな過去話はさておき、SASUKE第5回大会の日が来た。

SASUKEには全国からいろんな人がやってくる。私はかつていろんな街に転校した。もしかしたら、昔どこかで私と会ったことがある人がいるのかもしれない。

なんて思ってたが、前回はそんな人はいなかった。


「宮崎まりんさん、ゼッケン80番です。」


私の今回のゼッケンは80番。基本的に100番は完全制覇に最も近い人が、その次は99番、その次は98番といった具合に、90番台に有力選手や注目選手が配置される。

81番から実況がサブ実況からメイン実況に変わる。つまり80番はサブ実況の最後の挑戦者で、そういうポジション故この80番も90番台並に期待されてる選手が配置される。

つまり前回ファイナルステージまで進出したこともあり、私も有力候補なのだ。


あの人は今、どこにいるのだろう。再会できるなんて思ってないけど、もしあの人がこのSASUKEを見ててくれたら、どう思うのかな?


「お隣いいですか?」

「はい」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

SASUKE第5回大会の日だ。俺にとっては完全制覇者として、そして結婚して初めてのSASUKEだ。

だが今一番気になるのは神戸の安否だ。4ヶ月前からガソリンスタンドに突然来なくなった神戸。もし今回のSASUKEにも出ていなかったら…

俺は必死に神戸の姿を探し、見つけた。


「神戸君!」


「長谷川君…」


俺たちは、4ヶ月ぶりに再会した。


「なんで突然ガソリンスタンドに来なくなっちゃったんだよ。」


そして神戸の口から衝撃の事実が告げられた。


「リストラされた」

「え!?」

「運送トラックドライバーをクビになったんだ。」

「俺はもうトラックドライバーじゃない。だから君のガソリンスタンドでガソリンを入れることはなくなった。」

「…それは大変だったな。でも事故に遭ったとかじゃなくてよかった。心配したんだぞ。」

「事故?それは考えたことなかったな。事故ったら、もうSASUKEにも出られないとこだったな。」

「でも笑いごとじゃない。俺は失業中だ。」

「そうか」


俺は気まずくなって神戸のもとを後にしようとした。


「なんでクビになったか聞かないのか?」

「それを聞くのは無神経じゃないのか」

「そうか。気を使ってくれるんだな。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私は氷川結衣。神社の巫女をやっている。今日、初めてのSASUKEに出る。

テレビで見たセット。そしてテレビでは見れなかった初めて見る光景。これが鎌田秋夫さん、神戸勝樹さん、長谷川健一さんなどが挑んできた舞台なんだ。

今日、これから私はどんな出会いがあるのだろう。どんなドラマが待っているのだろう。


「氷川結衣さん、ゼッケン83番です。」


83番とはけっこう後ろの方に番号だな。


「お隣いいですか?」

「はい」

「あ、もしかして前回ファイナリストの宮崎まりんさん?」

「はい」

「ごめんなさい。初めて出た私は隣に座っちゃいけない人ですね。」

「別にいいですよ。私もまだ2回目ですし。」

「そうでしたね。でも前回の宮崎さん、かっこよかったですよ。私もあんな風になりたいなー、って。」

「ありがとうございます」


「あの、名前教えてもらっていいですか。」

「私は氷川結衣といいます。神社の巫女をやってます。」

「……」

宮崎さんはこのとき、なぜか放心状態になった。


「宮崎さん、81番なんですか。私83番なんです。宮崎さんの次の次ですね。」

「本当だ。偶然ですね。」

「今日こうして隣になれたこともあって、なんか運命ですね。」

「運命…」


本当宮崎さんのような実力者に会えてよかったな。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

前回、長谷川健一が完全制覇したことにより大リニューアルが行われたSASUKE第5回大会。

1stステージには新エリア、ジャンプハング、そり立つ壁が新設された。


1stステージ

1.丸太登り

2.ローリング丸太

3.揺れる橋

4.ジャンプハング

5.そり立つ壁

6.ターザンジャンプ

7.ロープクライム

制限時間75秒


さあパワーアップしたSASUKE、最初の挑戦者はローリング丸太が脱線しリタイア。


ゼッケン20番、前回3rdステージまで進出、高校教師、中上新一郎です。

さあ最初の成功者となるか、切り込み隊長中上新一郎が飛び出していきました。

前回3rdステージ、前々回は2ndステージ。ローリング丸太、抱きかかえていく、難なくクリア。揺れる橋だ。ここも越えていった。

続いては新エリアジャンプハング。飛びついたー!足を絡めて向こう岸につたっていく。中上新一郎が初めてジャンプハングをクリアしました。

残りは30秒。続いては新エリアのそり立つ壁。行けるかー、1回跳ね返された。さあもう一度。そり立つ壁、5mの高さ。越えられない。

初めてジャンプハングを成功した中上新一郎。しかし続くそり立つ壁が越えられない。

残り10秒の警告音が鳴り始めた。残り5秒、ラストチャンスか、跳ね返されたー。

前回第3ステージ最終エリアまで進出の中上新一郎、1stステージそり立つ壁で涙を呑みました。


新人女優、佐藤あかです。前回は名前由来の赤いTシャツ、しかし今回は紺の衣装で挑む。

前回第3ステージまで進出した佐藤。ローリング丸太です、回転していく佐藤あか。

揺れる橋行った行った。続いては難関新エリア、ジャンプハング。トランポリンをうまく使えるかー、使えなかった。

前回3rdステージ進出佐藤あか、ジャンプハングでリタイア。


続いて靴屋さんの春田和彦です。

初挑戦の素人ながら難関ローリング丸太、揺れる橋をクリアした春田。しかし続くジャンプハングで前代未聞の事態が!

新エリアのジャンプハングだ。靴の営業マン、春田和彦、おーっと、ハイソックスがトランポリンに絡まって頭から落ちてしまった。

なんと靴屋でありながら、靴がいけなかった。ハイソックスがトランポリンの段差部分にからまって、転んでしまいました。


50人目に登場するのは前々回ファイナリスト、とび職の三浦かいじです。

過去3rdステージには2回進出しています。この三浦に初クリアの期待がかかります。

ローリング丸太、三浦の体ががっしり捕まっている。揺れる橋、見事にクリアしていきました。

続いては新エリアジャンプハング。一体トランポリンのジャンプを確認をした。一旦確認してからもう一度、助走の位置を取って。あーっと、三浦もジャンプハングで落ちたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

なんと前半50人は全滅。そのほとんどがローリング丸太とジャンプハングで脱落し、そこを突破した者もそり立つ壁に阻まれた。

前回は36人がクリアした1stステージ。それが50人終わっても1人もクリア者が出ていない。それでもいつかはクリア者が出ると誰もが信じていた…。


体操オリンピック金メダリスト、中田望です。さあSASUKE第2回大会ファイナリスト、中田が行きます。

丸太登りは軽々、そしてローリング丸太、ここも楽勝だ。揺れる橋、ここも一気に行った。

さあ新エリアのジャンプハング。体操選手の力を活かせるかー、どうだー、飛びついたー。ジャンプハングクリア。

さあ続いて新エリアのそり立つ壁。おーっと1回では行けない。1回では行けなかった。さあもう1度、行けるか、届かない。

残り15秒。3度目の挑戦。まもなく残りが10秒となる。ああダメか。3大会前のファイナリスト、体操オリンピック金メダリスト、中田望ここでタイムアップー!

どうしたことかSASUKE第5回大会。次々と有力選手が姿を消していく!


結衣「この中田望さんって体操のオリンピック金メダリストですよね。」

まりん「はい。SASUKEでは第2回大会のファイナリストでもあります。」

結衣「そうだったよねー、びっくり。まさか中田選手まで。まだ誰もクリアしてないよね。」

まりん「1stステージクリアどころか、まだあのそり立つ壁を誰も越えられてませんね。」

「まさかこのまま誰もクリアできなかったら…」

(誰もクリアできなかったら…。嫌だな…、1stステージで全滅なんて。そしたら終わっちゃう。今日のこの日々が。)


それでもいつかはクリア者が出ると誰もが信じていた。しかし60人、70人が過ぎてもクリア者はゼロ。とうとうサブ実況が終わる80人を過ぎてもそり立つ壁を越える者すら現れず、サブ実況範囲のゼッケン80番までの挑戦が終わってしまった。

前代未聞の1stステージ全滅も予感させる中、メイン実況のトップバッター、ゼッケン81番がスタート台に立つ。


「1stステージ全滅なんて嫌だ。そしたら結衣ちゃんとの時間が終わっちゃう。もう次会えるかどうかわからないのに。私がクリアするしかない。」


実況「5回目SASUKEは異常事態。なんと80人終わってクリア者は1人もいません。第1ステージ絶滅の危機に瀕したところで、大注目株の登場です。」

前回ファイナリスト、ライフセーバー志望、宮崎まりんの登場です。前回はこの1stステージを最速タイムでクリアした。

さあどうだ。今回も早い。ローリング丸太、最初の難関もあっという間に越えて行った!そして揺れる橋、ここも通過点だ。

さあ問題のジャンプハング。さあどうだー、飛びついた。ライフセーバーが網にぶら下がって向こう岸に進んでいく。ジャンプハングクリアしました。

さあ80人、まだ誰も越えていないそり立つ壁。さあ宮崎まりんはどうか、そり立つ壁、届かない。1度目は届かない。2度目は行けるか、あーっと、届かない。でもあきらめるな。前回のファイナリスト。

さあ3度目のそり立つ壁、届いたー!行ったー!81人目にして初めてそり立つ壁を越えた。ついに初のクリア者が出るのか。

しかし残り10秒、時間との戦いだ。初の1stに向けて、時間がない。初めてそり立つ壁を越えた前回ファイナリスト、ここでタイムアップー!


ついにSASUKE新1stステージの全貌が明らかになった。しかしやっとここまで来た人に、与えられたのはタイムアップという試練だった…。


「惜しいー」

「この宮崎さんって前回最速タイムだったよね。それがまさかタイムアップなんて。」

「今回タイムも相当厳しいな。」


結衣「かっこよかったですよ。」パチパチパチ

まりん「でもタイムアップになっちゃった。」

結衣「誰もクリアしてなかったそり立つを越えただけですごいですよ。良いお手本見せてもらいました。まあ私はあそこまで行けるかわからないけど。」

まりん「じゃあ、頑張ってね。」


82番もクリアできず。そしてついに83人目を迎える。


初めて成功者はまだ出ていない。続いては神社の巫女さんがやってまいりました。氷川結衣です。

最初に1stステージの鳥居をくぐることはできるのか。さあ巫女の氷川。ここは軽やかです。

神社の巫女として、正月には舞を披露としている。このローリング丸太も難なくクリア。揺れる橋です。行った、行ったー。

さあジャンプハング、巫女のジャンプー、行ったー!普段は神社の巫女、このトランポリンも得意なのか。

続いてはそり立つ壁だ。登れるかー、惜しい。ここはまだ成功者が1人しかいない。

さあもう一度そり立つ壁。巫女さん氷川結衣、そり立つ壁届いたー!行った行った。

残り時間は15秒を切った。氷川、初の第1ステージクリアなるか。ターザンジャンプ、残り10秒、登れるか、登れるか、残り6秒、残り5秒、4秒、3秒…。行ったー!

最初の1stステージクリアは神社の巫女、氷川結衣!

そり立つ壁。これまで何人もの挑戦者が跳ね返されたそり立つ壁、見事2回目の挑戦で越えてみせた。

宮崎まりんが時間に泣いたロープクライム。この氷川結衣も時間に余裕はなかった。しかし懸命にロープを登り、残り時間わずか1秒08で今夜初めての1stステージクリアです。


アナ「おめでとうございます。」

「ありがとうございます。」

アナ「83人目にして初めての1stステージクリアです。」

「さきほどの宮崎さんがそり立つ壁を越えて、見本を見せてくれたおかげです。」


まりん「おめでとう。」パチパチパチ

まりん「私よりすごいです。」

結衣「いえ、まだ1stステージだから。宮崎さん、前回ファイナルまで行ってるし、全然勝ってないよ。」


しかし84番から96番も全滅。第3回大会のファイナリスト、アイドルの小海春香もジャンプハングでリタイアした。

クリア者はわずか1人のまま、97番へ。


今回のSASUKEは大波乱。なんとここまでクリア者はたった1人という状況で、97人目の挑戦者、アクション俳優、中原武の登場です。

さあ中原はこのニューSASUKE、第1ステージをクリアすることはできるのか。さあローリング丸太、グリップを固めてグルッグルッと回っていく。揺れる橋、ここはお手の物。

中原にとっても初体験のジャンプハング、おーっとここもさすがだ。

さあそり立つ壁に挑んでいきます、1回目失敗。残り時間は20秒、2回目も越えられない。

残り10秒を切ってしまった。なんと中原武も、このそり立つ壁に前に、全くなすすべなし。タイムアップー。

なんと中原武を持ってしても、このそり立つ壁に歯が立たない。


SASUKE始まって以来の異常事態。たった1人のみの成功者で、1stステージ、残るはわずか3人になってしまった。

続いては第2回大会と第3回大会、過去2度のファイナリスト、保険会社に勤務するサラリーマン、鎌田秋生です。さあ5回目の出場。過去4大会すべて3rdステージまで進出している。

4大会連続第3ステージ以上進出の有力候補、サラリーマンの星が、果たして第1ステージ2人目のクリア者となれるのか。

ローリング丸太、軽快に回転していく。前回は3rdステージ、前々回はファイナルステージ、過去4大会すべて3rdステージまでは進出。

ジャンプハング、今大会は注目株がこのあたりで次々消えていっている中、なんとしても鎌田には決めてもらいたい。足をかけた、足をかけて向こう岸へ。

そり立つ壁だ。あーっと1回目は失敗。2回目を失敗すると時間が厳しくなる。2回目、届いたー!

さあ残り20秒、2人目のクリアなるか。過去まだ1stステージでリタイアしたことはない。残りあと10秒、ロープクライム、行けるか、行けるか。

ちょっとよろけたが行ったー!サラリーマン鎌田秋生、2人目のクリア!


アナ「98人目にして2人目のクリアです。おめでとうございます。」

「98人目でまだ2人ですか。でも僕はこの半年間、SASUKEのためだけにトレーニングしてきたので、なんとしても完全制覇します。」


98人が終わって第1ステージクリア者はたったの2人。続いてゼッケン99番は、前々回のSASUKEにおいて、ファイナルステージ、あと一歩のところで悔し涙に暮れました。

運送トラックドラ…ゴホンッ…神戸勝樹の登場です。


結衣「あれ?今噛みましたよね。運送トラックドラ…ゴホン、って。なんで職業を言うところで咳しちゃったんですか。」

まりん「実況のアナウンサーだってたまにはそういうことありますよ。人間ですから。」


神戸勝樹、3人目の成功者となれるのか。ローリング丸太、第1の難関、越えた。揺れる橋もクリア。

やってまいりましたジャンプハング。神戸勝樹はどうだー。今日数々の遊直選手を呑み込んだこのジャンプハングも、神戸は苦にしなかった。

さあそり立つ壁はどうだ。あーっと、1回目は失敗。まだそり立つ壁を一発で越えた者はいない。残り25秒まだ時間はある。2回目は行ってもらいたい。行ったー。手がかかりました。

神戸の肉体、類人猿のような肉体。そり立つ壁もお手の物。あとはロープクライム、神戸勝樹、3人目のクリアー!


健一「いい流れが来たな。この調子で行っちゃおう。」

恵「うん、この調子で。」


ついに完全制覇者の出番である。しかしこのあと、SASUKE史上最大の衝撃が…


さあいよいよSASUKE史上初の完全制覇者の登場です。ゼッケン100番、1stステージのトリを飾るのは、ガソリンスタンド勤務長谷川健一!

SASUKE初の完全制覇者が行く。鎌田と神戸の成功でいい流れをもらった。長谷川、4人目の成功者に名乗りを上げることはできるのか。

ローリング丸太、あーっと勢いがつき過ぎた!丸太が外れた!丸太が傾いで外れた!

ローリング丸太で長谷川がまさかの転落。なんと前回完全制覇者長谷川健一、初めて1stステージで敗れました!

緑山は騒然、悲鳴、阿鼻叫喚!ここまで多くの有力選手が呑み込まれましたが、まさか完全制覇者の長谷川までもが1stでやられるとは。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1stステージクリアはたったの3人。巫女の氷川結衣、保険会社勤務の鎌田秋生、そして神戸勝樹。

冒頭でも説明したように、神戸勝樹は運送トラックドライバーをリストラに遭った。現在の肩書は「無職」である。

そして1stステージ終了後のブレイクタイムに、無職がもう1人増えてしまったのである。


それは1stステージの収録後のこと、鎌田秋生の携帯に1本の電話が…


「もしもし」

「おい鎌田」

「部長でしたか、こんにちは。」

「お前よくわからんテレビ番組のために、仕事サボってトレーニングしてたようじゃないか。」

「いえ…それは…」

(クソッ、バレちまったか)

「今日はそのテレビ番組に行ってるようだな」

「はい、頑張ってます」

「お前もう明日から会社来なくていいぞ。」

「え?」

「お前はクビだ。今日社長が決めた。」

「そんな…。なんで?」

「社長が激おこだ。変なテレビ番組のために仕事サボる奴なんかいらねえんだよ。」 プチッ

「部長!?」


鎌田秋生、1stステージの直後に保険会社をリストラされた。

1stと2ndの間に、無職がもう1人増えた。2ndステージに進出した者は、3人中2人が無職となった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2ndステージはスタートエリアに新エリア、幅10cm、距離10mの一本橋を渡るナロー。

8.ナロー

9.スパイダーウォーク

10.5連ハンマー

11.逆走コンベア

12.ウォールリフティング


100人にうち、この2ndステージ、鋼鉄のジャングルに進んだのはたったの3人。

さあ先陣を切るのは、初出場で難関1stステージをクリアしました3人の中で唯一の初出場、巫女の氷川結衣です。

…そして実況は述べないが、今回の2nd進出者、唯一の有職者、無職でないものである。


第2ステージもリニューアルされた。まずは幅10cm、距離10mのナローに挑んでいく。さあ一本橋を進んでいく。この狭い一本橋を慎重に進んでいく。しかし時間も気にしなければいけない。

続いてスパイダーウォーク、人間突っ張り棒。真ん中のこの移動する壁は要注意だ。スパイダーウォーク、動いてるところでちょっと躊躇した。さあスパイダーウォークを越えてポールをつたって地上に着地したところで残り22秒。

さあ5連ハンマー、人間ゲートボール、人間ゲートボール。逆走コンベア、肉体の回転寿司、肉体の回転寿司。

残り10秒を切ってしまった。ウォールリフティング、3つの壁。急げ氷川!時間がない、ギリギリか、滑り込んだー

滑り込んでボタンを押したが…、これはダメです。

うわー、残念!第1ステージで脚光を浴びたスーパールーキー氷川結衣、寸でのところで時間に泣いてしました。

第1ステージは残り1秒の差でクリア。今度はあと1秒届きませんでした。


「さっき1秒間に合ったのにな。これがSASUKEですよね。」



2ndステージ進出はわずかに3人。早くも1人消えました。残り2人は果たしてどうなのか。

完全制覇に最も近い人は神戸だけではない、この男もいる。第2回、第3回、2度のファイナリスト、鎌田秋生が挑みます。

まずは狭い一本橋ナロー、ちょっとバランスを崩しているが大丈夫か。ここは慎重に行け、しかし慎重に行き過ぎると時間がなくなってしまう。

さあスパイダーウォーク、サラリーマン鎌田秋生、あーっと転落!

スパイダーウォークの入り口でいきなり落下!鎌田秋生2ndステージリタイア。これで99人が消えました。残りはわずか1人。


5回目のSASUKEはまさに異常事態。SASUKE完全制覇に向け、100人が挑んでまいりました。99人が消えました。とうとうこの人1人になってしまいました。

リストラに遭い、職を失って現在無職。完全制覇に最も近い人、神戸勝樹が挑みます。さあSASUKE第5回大会、このまま終わるわけにはいかない。最後の砦神戸勝樹!

まずはナロー、幅10cm、距離10mの一本橋を渡っていく。一直線に渡っていく。ここは軽々。

さあスパイダーウォーク、上下動する壁、あーっと!神戸が滑った!神戸呆然、会場も呆然!

第5回SASUKE、2ndステージで100人が消えた!


結衣「え?終わり?」

鎌田「終わりですね」


神戸「なんで落ちたのかな?スパイダーウォークは練習積んできて、得意中の得意だったのにな。」

実況「そうですよね。」

実況「神戸さんも、今日参加した100人の皆さんも、この結果を受け入れるというのは辛いかもしれませんが、切り替えるしかないですね。」

神戸「そうですね」

実況「ありがとうございました」

神戸「すいません、ありがとうございました。」

第5回SASUKE、3rdステージを見ることなく、全選手の挑戦が終わりました。


このときはわからなかったが、神戸は練習のし過ぎで股関節を痛めていたのである。


今回進出者がいなかった3rdステージは新エリアが多く設置されていた。

13.針山

14.プロペラうんてい

15.アームバイク

16.クリフハンガー

17.パイプスライダー


第1エリアは8本のポールを渡っていく針山。ポールはしなりやすい。第4エリアはスカイウォークに段差がついたクリフハンガー。

そして最終エリアパイプスライダーの先に、新ファイナルステージが挑戦者を待ち構える。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

まりん「氷川さん、頑張ったね。お疲れ様でした。」

結衣「うーん、まだまだだな」

「初めて出てここまで来ただけでもすごいと思いますよ」

「それを言ったら宮崎さんのほうがもっとすごいですよ」

「でも前回とセット全然違うし。私が前回出たときは前とあまり変わらなかったからやりやすかったから。私はリニューアルされて、初めて出て1stステージをクリアした氷川さんのほうがすごいと思うな。」

「ありがとうございます」


「終わっちゃったな。今回のSASUKE。まさか2ndステージで終わっちゃうなんて。」

「ねえ、また会えるよね?」

「…次も出させてもらえたら、また会えるかもね。」

「出れるよ。次も応募すれば。今回1stをクリアしたんだから。私はどうなるかわからないけど。」

「私が出れるなら宮崎さんも出れるんじゃないですか。前回ファイナルまで行ってるし、今回も最初にそり立つ壁を越えたのは宮崎さんだったんですから。」

「じゃあ、また会いましょう」

「はい」


しかし、宮崎さんはなんで初めて出た私にここまで仲良くしてくれたのかな。


第5回大会結果

1位:83 氷川結衣 2nd/ウォールリフティング(ボタン目前タイムアップ)

2位:99 神戸勝樹 2nd/スパイダーウォーク(後半)

3位:98 鎌田秋生 2nd/スパイダーウォーク(突入直後)

4位:81 宮崎まりん 1st/ロープクライム(タイムアップ)

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