第18.5話 これが本当の神戸勝樹の2ndステージです!
SASUKE第18回大会、2ndステージ。
神戸勝樹は機械トラブルにより残り10秒を切ったことを知らせる警告音が鳴らず、残り時間に余裕があると勘違いしタイムアップになるという前代未聞のリタイアを喫した。
しかしこの悲劇には、続きがあった。これが本当のSASUKE第18回大会、神戸勝樹の2ndステージ。
そして水無月祐樹の史上2人目の完全制覇。そこにあった裏事実とは。
今語られるSASUKE第18回大会の裏側。
水無月祐樹は小学生のころ、姉と2人で遊びにいっていた帰り、交通事故に遭った。
幸い急ブレーキが効いたこと、わずかに逃げて急所を打たなかったことで、一命をとりとめた。
しかし祐樹の身体の一部には、麻痺が残った。
姉の水無月詩織は現在365プロに所属するアイドルだ。
しかし事故のことを週刊誌で取り上げられると、芸能活動を休み、自宅に引きこもるようになった。
自分のせいで弟は事故にあった。自分を責める日々が続いた。
そんなとき、祐樹が出場するSASUKE第18回大会の収録が近づいてきた。
そのとき祐樹は姉に言った。
「今度のSASUKE、見に来てよ。絶対に完全制覇するから。」
「…わかった。」
こうして姉と両親は、祐樹の応援のためにSASUKE第18回大会の観覧に向かうのだった。
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第18回大会の1stステージクリアは赤羽孝宏、山口県のKさん、豊田麻里、水無月祐樹、佐藤静香、中上新一郎、小海春香、氷川結衣、長谷川健一、神戸勝樹、海原愛、宮崎マリンの12人。
12人が2ndステージに進出した。
2ndステージ
1.ロープグライダー
2.スパイダーウォーク改
3.バランスタンク
4.メタルスピン
5.ウォールリフティング
制限時間65秒
先陣を切って登場した赤羽孝宏、2人目の山口県のKさんはメタルスピンでリタイア。
2回目の2ndステージ進出となった豊田麻里。第12回大会では逆走コンベアで力尽き、後ろの池に落ちた。今回は6大会越しに2ndステージにリベンジを果たし、初の3rdステージ進出。
さらに前回メタルスピン集団落下の巻き添えになった水無月祐樹、佐藤静香、小海春香もメタルスピンにリベンジを果たし、3rdステージ進出。
そして中上新一郎。彼はなんと前回・前々回、2大会連続でメタルスピンで苦杯をなめている。
前々回はただ1人の2ndステージリタイア。前回はメタルスピン集団落下の被害者の1人になった。
3度目の正直なるか。
この人の脳裏にはあの悪夢がよぎります。前回、前々回、2大会連続であのメタルスピンの餌食になっている。今夜こそメタルスピン攻略なるか。
絵本作家、第12回大会ファイナリスト、中上新一郎です。
なんとしても今回、鬼門のメタルスピンをクリアし、3rdステージ、そしてその先にファイナルステージまで駒を進めたい。ロープグライダー2本目、滑っていった。
スパイダーウォーク、このあたりは慎重、手に滑り止めのスプレーを噴きかけてスパイダーウォークを上がっていく。早い早い、なんだなんだ、あっという間のスパイダーウォーク。
そしてバランスタンク、火を噴いている2ndステージ、これも軽い。
―そしてついにやってきた魔のメタルスピン。3度目の正直での攻略を狙ったが。
さあいよいよメタルスピンだ。ここで2回ともやられている鬼門であります。さあどうだ、あーっとまた振り落とされた!
中上がまたしてもメタルスピンで振り落とされた。どうして中上はこのメタルスピンに弱いのか!?
アナ「失敗したあと一番先に何を考えましたか?」
「なんか今までやってきたことが無駄になったなと。応援してくれてたみんなに申し訳ないです。」
続いて熱中症を乗り越えて1stステージをクリアした氷川結衣。
体調が戻った氷川はこの2ndステージもまったく苦にせず。いつも通りのパフォーマンスを見せつけて2ndステージクリア。
そしてあの人の出番となった。
第2ステージ残るは3人となりました。我SASUKEを戦う、故に我あり。職業SASUKE、神戸勝樹が挑みます。
日々アルバイトの合間にトレーニング三昧。この慣れ親しんだSASUKE第2ステージ。まず1本目のロープから2本目のロープへと移行していく。ちょっと時間がかかったか。2本目のロープグライダーを進んで、今着地した。
制限時間は65秒。さあスパイダーウォーク、神戸は自宅の庭に、SASUKEの番外ステージを作っている。常にSASUKEを念頭に置いての人生だ。スパイダーウォーク、ここは慎重に攻めていった。
続いてバランスタンクであります。ここも要注意ポイントだ。さあ最大の鬼門メタルスピン。ここで数多くの挑戦者が飲み込まれていったが、つかんだー。
あとはウォールリフティング。残り時間が10秒を切ったが大丈夫か?急がなくてはいけない。残り4秒、3秒、2秒…。
祐樹「神戸さん急いで、残り5秒です!」
マリン「何やってるんですか、急がないと」
残り4秒、3秒、2秒、1秒、タイムアップ!
勝樹「タイムアップ?なんで?警告音鳴ってなかったのに」
神戸勝樹の挑戦時、残り10秒を切ったことを告げる警告音が鳴らなかった。
残り時間に余裕があると勘違いしたか、ウォールリフティングをゆっくり持ち上げているうちにタイムアップ。
赤いボタンを押したがゲートが開かないのを見て、タイムアップを知った。
健一「あ、警告音鳴ってないんだ。」
結衣「そういえば警告音鳴らなかったね。」
マリン「でも私だったら警告音鳴ってなくても突き進んでいくけどね。ゆっつりしていられないし。」
神戸は納得がいかなかった。メカニカルトラブルで警告音が鳴らなかったことが原因によるリタイア。
これは自分のミスではないと番組スタッフに抗議に行ったのだ。
「警告音が鳴らなかったんですよ。なにかのトラブルで警告音が鳴らなかったから時間に余裕があると思ったんです。これは俺のミスじゃないと思うんですが。」
警告音が鳴らなかったことはスタッフの目にも明らかだった。その結果…
「もう一回やりましょうよ、そしたら」
リタイアの裁定は一時預かりとなり、異例の再挑戦が認められた。
スタッフ「神戸勝樹さん、もう一度トライということでお願いします。」
2ndステージのスタート地点には既に次の挑戦者、海原愛が待機していたにも関わらず、一度海原の挑戦は後回しとなり、神戸の再挑戦が行われた。
異例の再挑戦、そこで再び事件は起きた。
我SASUKEを戦う、故に我あり。職業SASUKE、神戸勝樹が挑みます。
さあロープグライダーから始まっていきます。振り子のように振られておいて、そしてもう1回身を切って左腕で2本目のロープをたぐりよせていく。冷静に2本目のロープも滑っていく。
さあ続いてのスパイダーウォークは注意ポイント。この注意ポイントを斜めに上がって、次は平行移動、そして降下していきます。ここは慎重に行け神戸。
さあそしてバランスタンク、過去にここでも落ちたことがあるが、二度と同じ轍は踏まない神戸。
そしてメタルスピン、ここからは時間との戦いになる。
残りあと10秒でウォールリフティング、第1の扉から第2の扉、そして第3の扉を開けた。さあどうだ間に合うか。
…あーっと!
「押した押した」
これはクリアのゲートは開かない
「押したって」
押したと神戸は主張
「押した、押したって!」
押したと叫んでいる。まだ正式な裁定は下ってこない。
神戸はボタンを押した。またしてもメカニカルトラブルを主張した。
リプレイ映像で確認すると、確かに右手がボタンに届いていたように見える。ボタンを押したのに反応しなかった。メカニカルトラブルの可能性は否定できない。
審議は難航した。
「もう1回やりましょう」
抗議を却下する決定打が見当たらない。またもリタイアの裁定は預りとなり、時間を開けての再々挑戦が認められた。
あきらめきれない神戸は、再々挑戦に望む。
後日の審議により失格の裁定が下される可能性は十分に残されている。しかしそれでも今は、まだ完全に絶たれてはいないわずかな望みを探っていくしかなかった。
一方そのころ、待たされた海原愛の2ndステージが始まった。
しかし、神戸の再挑戦の影響で一度スタートがお預けに鳴り、仕切り直しとなったことで動揺したか、スパイダーウォークでまさかの落下。
第12回大会のファイナリストがまさかの2ndステージリタイアとなった。
そしてゼッケン100番、完全制覇に最も近い人と言われる宮崎マリンは、度重なる異例のトラブルにも動揺を見せず、1stステージに続き、2ndステージも最速タイムを記録した。
祐樹「神戸さん、必ずクリアしてくださいね。一緒に3rdステージ行きましょう。」
勝樹「わかってる」
祐樹「ゴールの前で待ってますから」
異例づくし、神戸3度目の2ndステージトライ。
これは神のいたずらなのか。SASUKE史上初、開拓以来初、3回目のチャレンジ、再々チャレンジとなりました神戸。異例中の異例。
さあ3回目のロープグライダー、さっきと同じ動きだ。もう満身創痍、体力は残っているのか。
さあスパイダーウォーク、あーっと落下!もうグリップ力すら残っていなかったのか。満身創痍の神戸、滑ってしまった。
神戸勝樹、3回目の2ndステージ挑戦はスパイダーウォークでリタイア。
後日、改めて審議が行われ、神戸勝樹に正式な裁定が下された。
1回目の挑戦はメカニカルトラブルで警告音が鳴らなかったため、ノーコンテストとするも、2回目の挑戦でのメカニカルトラブルは認められない。
2回目のトライでのウォールリフティングタイムアップが正式な記録になった。
アナ「今回の挑戦はどうでしたか?」
「結局は最初に残り時間に余裕があっても全力でやってればよかったんですよ。悔いは残りますけど、仕方ないです。」
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3rdステージ、2人目に水無月祐樹が登場した。
―さあデビルブランコ。グリーンのバーにぶら下がって、ブランコに反動をつけて、パイプスライダーに移行する。さあパイプをつかむ、これを離してはいけない。
さあパイプスライダー、水無月進む、水無月が進む。さあファイナル進出はなるか。4大会前の雪辱なるか。あとは体を振ってゴールに飛ぶだけ。近くて遠いこの距離。さあ水無月飛んだー。
しがみついたー。やったー!水無月祐樹、3rdステージクリア!初めてのファイナル進出!
あこがれの神戸が見守る前で、初めてのファイナルステージ進出を決めた。
ファイナルステージは水無月祐樹と宮崎マリンが進出した。
実況「さあ宮崎の挑戦が始まった。6回目のファイナルステージチャレンジ。いいペースで登っている。
さあ残りが20秒となる。宮崎マリン、水無月祐樹に続いて完全制覇はなるか。水無月祐樹に続いて、史上3人目の偉業に向けて、体が登っていく。
まもなく残り10秒、行けるか宮崎、史上3人目、今夜2人目の完全制覇はまであと少し。がんばれ宮崎、宮崎がんばれ、宮崎…。
…最後まで懸命に綱をたぐりよせたが、30秒間、ここでタイムアップ。振り落とされた無念の宮崎。」
宮崎マリンは6回目のファイナルステージも、完全制覇はならなかった。
もう1人の挑戦者は大学生、水無月祐樹。
実況「さあ水無月が挑む、水無月が行った。制限時間は30秒、30秒で22.5メートルを駆け上がっていく。まずはスパイダークライム。
さあ残りは20秒になる。残り20秒で綱登りに移行した。どうだ水無月、夢へあとわずかだ。水無月祐樹が夢を乗せて、体が登っていく。
さあ残り10秒となる。完全制覇、達成はなるか。夢にまで見たSASUKE完全制覇はすぐそば。
史上2人目の完全制覇…達成ー!
水無月祐樹、一番星。今宵、ついに魔城は陥落した!
7年間挑戦者を跳ね返してきた、鋼鉄の魔城、SASUKE、陥落!
夢をつかみました、水無月祐樹。史上2人目、14大会ぶり、7年ぶりの完全制覇!」
水無月は後押ししてくれた家族、そして自分をSASUKEに参戦するきっかけを作った神戸の見守る前で、史上2人目の偉業を達成した。
「この気持ちを今、一番誰に伝えたいですか?」
「それは家族のみんな、お父さん、お母さんですけど、一番伝えたいのは姉ですね。」
「僕、小学生のとき事故に遭ってしまって、体が動かなくなって、入院したんですけど、そのとき一緒にいた姉ちゃんがずっと自分を責めて、自分のせいで事故に遭ったって言ってて、本当は僕が注意してなかったのが悪いのに、姉はずっと責任を感じてて。」
「だから姉に夢をかなえたところを見せて、安心させたかったんです。自分は姉のせいで不幸になってない。今の自分は夢をつかめて幸せだと、結果をもって示したくて。」
「誰よりも僕のSASUKE挑戦を応援してくれた姉にも、そして父と母にも感謝してます。本当にありがとう。」
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SASUKE第18回大会の翌日、詩織は久しぶりに365プロの事務所に行った。
詩織「長い間休んでしまって、ご心配おかけしてすいませんでした。水無月詩織、今日からアイドルに復帰します。」
春香「やっと戻ってきてくれたんだね。」
詩織「あんなの見せられたら、私も弟に負けてられないと思って。」
こうして水無月詩織は芸能活動に復帰した。
詩織「みんな、今度のSASUKEのオンエア、絶対見てね。春香は結果知ってると思うけど。」
春香「うん、ちゃんとオンエアを見ないとね。」
詩織「春香、昨日は頑張ったね。」
アナ「水無月さん、次の目標はなんですか?」
祐樹「それはもちろん、2度目の完全制覇ですね。」
そして次回、SASUKEは全ステージがリニューアルされ、新たな難関が生まれる。
第18回大会結果
1位:86 水無月祐樹 完全制覇(残り2.56秒)
2位:100 宮崎マリン FINAL/綱登り(残り1m)
3位:95 氷川結衣 3rd/パイプスライダー(ジャンプ)
3位:94 小海春香 3rd/パイプスライダー(ジャンプ)
5位:98 長谷川健一 3rd/ボディプロップ(2つ目の空白後)
6位:90 佐藤静香 3rd/ボディプロップ(2つ目の空白)
7位:81 豊田麻里 3rd/ボディプロップ(1つ目の空白)
8位:97 神戸勝樹 2nd/ウォールリフティング(タイムアップ)




