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第17.5話

郊外の団地で育った水無月家の姉弟。水無月詩織と水無月祐樹。

幼いころからアイドルになることが夢だった詩織。弟の祐樹はそんな姉の最初のファンだった。

祐樹の夢は、詩織がアイドルになること。いつも詩織の唯一の観客として応援していた。


ただそのうち祐樹自身にも夢ができた。それはプロ野球選手。

小学校にあがると、少年野球チームに入った。

もちろんプロ野球選手というのは並大抵の努力ではなれない。彼がどこまで本気だったかはわからない。


そんな平穏の日々は、ある日突然崩れた。

夏休み、姉弟2人で遊びにいっていた帰り、祐樹は交通事故に遭った。

姉の詩織を追いかけ、道路の真ん中で転んだ直後、車が接近してきたのだ。


幸い急ブレーキが効いたこと、わずかに逃げて急所を打たなかったことで、一命をとりとめた。

しかし祐樹の身体の一部には、麻痺が残った。


祐樹は長期間の入院により学校に行けなくなり、少年野球チームもやめることに。

下半身の一部麻痺の影響でリハビリが必要となり、激しいスポーツはできなくなった。

中学では野球チームには入れなかった。

プロ野球選手の夢はあきらめるしかなかった。


そんな中、詩織は夢をかなえた。今365プロ所属のアイドルになった。

当初は弟が事故で夢を絶たれた中、自分だけ幸せになっていいのか悩んだが、祐樹の最初の夢は詩織がアイドルになること。

2人の最初の夢は1つかなったのだ。



祐樹が一時退院した日、家族で野球観戦におとずれた。

当初は祐樹が辛くなるのではないかと心配したが、夢だった野球選手にはなれなくても、野球が好きなことには変わりなかった祐樹は喜んだ。

そこで祐樹の人生を変える出会いを果たすのだ。


「ビールいかがですかー、美味しいビールはいかがですかー」


とある球場のビール売りのバイト。だがその人はテレビに出ていた人だ。

それはスポーツ選手や芸能人ではないが、あるテレビ番組に常連として出ている人だ。


球場のほとんどの人が気付かなかったかもしれないが、祐樹は知っていた。


「あれ神戸さんじゃん。SASUKEの」


そう。SASUKE第3回大会ファイナリスト、神戸勝樹である。

当時SASUKE完全制覇に最も近いと言われた人が地元の球場でビール売りのアルバイトをしていたのだ。


「あの神戸さんですよね。SASUKEの」

「ほう、俺のこと知ってるのか。」

「一緒に写真撮ってもらっていいですか?」


この1枚の写真が、神戸勝樹と水無月祐樹の最初の出会いだった。



祐樹はその後も厳しいリハビリを懸命に行った。

そしてリハビリをこなすうちに、新たな夢ができた。

神戸勝樹と会ったことにより生まれた、新たな夢。


「祐樹、SASUKEに出たいんだよね?」

「わかってたんだ」

「私と一緒に応募ビデオ撮ろうか」


姉の撮影で応募ビデオを作成。

第9回、第10回大会の公募に選ばれなかったが、第11回大会では予選に参加。見事予選を1位で通過し、SASUKE出場を決めた。


初出場の第11回は1stステージ最終エリアでタイムアップ。第12回は初めて1stステージをクリアし、3rdステージまで進出。


こうして水無月祐樹の夢は始まったのだった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第18回大会前に行われた夏合宿は、今まで以上に賑やかに行われた。

場所は宮崎マリンの地元。

参加者は神戸勝樹、氷川結衣、長谷川健一、中上新一郎、海原愛、小海春香、水無月祐樹、そして前回ファイナリストの松本信治の計9人。

小海と松本は合宿初参加だ。


マリンが話し始める

「今日は皆さんに発表があります。」

「なんだ?」

「3rdステージのエリアの攻略法についてです。前回、前々回と皆さんを苦しめたあのデビルブランコについてです。」

「マリンちゃん、デビルブランコの攻略法を思いついたんだよね。」


「デビルブランコの前に緑の休憩用バーがありますよね。ここにいったんぶら下がって、デビルブランコを緑のバーに近づけて、反動をつけます。こうやればパイプスライダーに移行することができます。」

「おお、そんな方法があったのか。」


「実は私、このやり方、前回のSASUKEの大会中から思いついてたんですが…」


しかしマリンは前回、デビルブランコでリタイアしている。


「ただこのやり方にも欠点がリスクがあるんですよ。それは緑のバーにデビルブランコが絡まってしまうこと。


「前回このやり方をした私は、デビルブランコがグリーンのバーに絡まってしまい、それを直そうとした結果、パイプスライダーのパイプを突き放してしまいました。」


「あれは不運だったね」


「でもちゃんと練習してうまくやれば、絡むことなく成功すると思います。皆さんもこの攻略法でやりましょう。」


「さすがマリンちゃん。クリフハンガーといい、メタルスピンもそうだし、上手な攻略法を思いつくよね。」

結衣が感心する。


こうしてマリンが考案したデビルブランコ攻略法により、この日のトレーニングでは合宿参加者全員がデビルブランコを攻略した。


「そういえば前回、松本さんがこのデビルブランコクリアしてファイナル行ったよな。この攻略法教えてたの?」

「教えてません。松本さんはこのやり方をやらずに、デビルブランコをクリアしたんですよ。まあそれができふくらい余力を残してたんだと思います。」


「へえ、そんなこともあるのか」


「でもこんなやり方しなくても前回クリアした松本さんはすごいですよ。」

「まあ俺は気合でたまたまうまくいっただけですから。」


それからどしたの…


「マリンちゃん、トレーニングに夢中になるのもいいけど、熱中症にならないように気をつけてよ。」

「マリンちゃん、昔夏休みにはしゃぎすぎて、熱中症になったことあるんだから。」


「そんなこともあったね。」

「あのときは私よりまりんちゃんのママが慌ててたけどね。」

「まあ、今となってはいい思い出だよ。」


遠い昔の結衣ちゃんとの思い出。

転校が多くて友達が少なかった私にとって、初めてできた大親友。

転校のとき、再会の約束をした結衣ちゃんとの思い出。

まさか本当にまた会えるなんて思ってなかった。


「ちゃんと水分補給するんだよ」

「うん。でも自分の出番の前にトイレに行きたくならないように気をつけなくちゃね。」

「そんなこともあったね(笑)」


「でもマリンちゃんはおしっこ我慢しながらでも1stステージクリアしたよね。それも最速タイムで。」

「早くトイレ行きたくて最速タイム出しちゃいました。今となってはそれもいい思い出だよ。」


こうしてSASUKE夏合宿は過去一盛大に行われた。



第18回大会が近づいてきたころ、アイドル界にまさかの出来事が。


365プロ所属の人気アイドル、水無月詩織の弟に関する話題だ。

SASUKEでの活躍で有名になりつつあった弟

それがかつて交通事故に遭い、半身麻痺の重症を負ったことが週刊誌で報じられたのだ。


週刊誌では、姉が原因で弟が事故に遭ったかのように書いてある記事もあった。

そのことがショックで、詩織は数週間芸能活動を休んだ。


部屋に引きこもるようになった詩織


「姉ちゃん、なんでアイドルの仕事休んでるんだよ。」


「祐樹をあんな目に遭わせて、私だけ自分の好きなアイドルなんてやってていいのかな?」


「何言ってんだよ!姉ちゃんのせいなわけないだろ。俺が不注意で事故に遭ったんだよ。」


家族の誰も、姉のせいなんて思っていない。


「でも祐樹は夢だった野球選手の夢もあきらめて」

「父さんが言ってたけど、俺、本当にプロ野球選手になりたかったのか今となってはわからないんだよね。本気でなりたかったわけじゃないかもしれない。だからそんなにショックじゃなかったんだ。むしろ今のほうが楽しいって言うか。」


「今新しい夢を見つけられて、十分幸せなんだよ。でもそんなに姉ちゃんが気にしてるならさ…」


「今度のSASUKE、見に来てよ。絶対に完全制覇するから。」


祐樹は自分の勇姿を姉に、家族に見せることを決意した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

時系列が一旦飛んで、第18回大会の収録後


巷はSASUKE第18回大会の収録が終わり、放送日を待つ時期。

そんな時期に噂が流れ始めた。


―完全制覇者が出た―


第4回大会のただ1人の完全制覇を最後に13回大会、挑戦者を拒み続けている鋼鉄の魔城。

完全制覇者が出ないのにSASUKEはリニューアルを重ねて難易度を増し、視聴者からは「このまま一生完全制覇は出ないのでは?」と言われ始めた今日このごろ…。

ついに第4回大会以来、史上2人目の完全制覇が出たという噂が流れ始めたのだ。


子供A「おい、今度のSASUKE、完全制覇者が出たらしいぞ」

子供B「マジ?それは楽しみだな」

子供C「いったい誰だろう」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ネット掲示板


500名無しでいいとも!@放送中は実況板で 20XX/09/09(土) 21:09:09.09

なあ、完全制覇したのって誰だと思う?


501名無しでいいとも!@放送中は実況板で 20XX/09/09(土) 21:15:00.XX

>>500

宮崎だな


502名無しでいいとも!@放送中は実況板で 20XX/09/09(土) 21:16:00.XX

>>500

神戸だったら嬉しい


503名無しでいいとも!@放送中は実況板で 20XX/09/09(土) 21:17:00.XX

>>500

宮崎マリン以外考えられない

松本信治はファイナルクリア無理そう

宮崎はデビルブランコさえ越えれば行ける

第12回はあと一歩だったし、第13回は雨が降ってなければ制覇してた。


504名無しでいいとも!@放送中は実況板で 20XX/09/09(土) 21:18:00.XX

神戸がいいけど、多分マリンだろう


505名無しでいいとも!@放送中は実況板で 20XX/09/09(土) 21:20:00.XX

◎宮崎マリン

◯海原愛

▲中上新一郎

△松本信治

△長谷川健一

△神戸勝樹

△氷川結衣


506名無しでいいとも!@放送中は実況板で 20XX/09/09(土) 21:25:00.XX

ついに宮崎が完全制覇したか。

今まで長かったよ。

14大会ぶりの完全制覇者、宮崎マリンだと確信してる。


507名無しでいいとも!@放送中は実況板で 20XX/09/09(土) 21:30:00.XX

でも第4回も完全制覇者が出たって告知されて

誰もが前回完全制覇まで残り30cmまで行った神戸か2大会連続ファイナリストの鎌田かと思わせといて

まさかの長谷川だったからな


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第18回大会の朝

緑山には詩織を追いかけているマスコミが祐樹のところへ


「水無月祐樹さんですね。小学生のとき、姉の詩織さんの前で交通事故に遭ったんですよね?詩織さんが見殺しにしたって本当ですか?」

「姉のせいじゃありません。」


「そう言っても、自分を事故に遭わせておいて、姉がアイドルになれたの見て、姉のこと恨んでるじゃないですか」

「恨んでません。帰ってください。」


「ちょっといいですか。あなたたち、SASUKEの出場者じゃないですよね?観覧のチケットも持っていませんよね?」

「部外者の立ち入りはご遠慮いただいております」


「助かった。あんな奴に追いかけられたらたまったもんじゃねえよ。」

「姉ちゃん、気にしなくていいからさ。」



そしてあの人も会場に到着

「マリンちゃん、今日はすごい調子良さそうだね。合宿での合同練習でも完璧だったし。これは今回は完全制覇行けそうじゃない?」


「そうかな。SASUKEはそんなに甘くないよ。」


「でも私が見る限り、今回は落ちるとこないよ。綱登りの練習も完璧でしょ?よほど難しい新エリアでもできなければ、もう完全制覇はマリンちゃんの手の中にあると思うよ。」

「私はなんとかついていかないとね。今回こそ3rdステージをクリアして、ファイナルステージまで行かないと。」


マスコミが乱入するハプニングもありながら、SASUKE第18回大会はスタートした。

第17回大会編から投稿遅れてすいません。


次回、ついに完全制覇者が出ます!

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