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第15回

神戸勝樹。

SASUKEのトレーニングを仕事中にも行った結果、トラック運送業を解雇。

無職にならながらも次の定職を探そうとせず、アルバイトで生計を立てながらSASUKEに出場してきた。

しかしその生活も限界に達し、ついに、ある決意をした。


―今回、最後なんですよ。


引退宣言。

完全制覇でも、1stステージリタイアでも、神戸は今大会限りで引退すると決意した。



宮崎マリン、氷川結衣、長谷川健一、中上新一郎は今回も大会直前に合同合宿をした。

しかしそこに神戸は不参加だった。引退を決めた神戸は最後のSASUKEに向けて自分だけのトレーニングに専念したかったのだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1stステージ

1.ハードルジャンプ

2.バタフライウォール

3.三段ローリング丸太

4.クロスブリッジ

5.ジャンプハング

6.ねじれた壁

7.そり立つ壁

8.ターザンジャンプ

9.ロープクライム

制限時間95秒



「結衣ちゃんおはよう。今日もよろしく!」

「マリンちゃんおはよう。」

「あれ?マリンちゃん、今日は100番じゃないんだ。99番か。」

「うん、100番は神戸さんみたいだよ。どうも今回で引退するからだって。」

「え!?神戸さん、引退するの?」



15回目を迎えたSASUKE。今回も100人の猛者が集った。

まず最初の挑戦者は前々回1stステージをクリア。筋肉系アイドル中川冬馬が行きます。

まずは新エリアハードルジャンプ。軽快に行く、軽快に行く。バタフライウォール、回って行く。

さあ三段ローリング丸太、全く問題ないぞ。クロスブリッジ通過していった。

ジャンプハング高い!過去2度1stステージをクリアしている中川。ねじれた壁も行った。

さあいきなり1stステージクリアが出るのか。そり立つ壁はどうだ。一発で行った!

残りはまだ30秒以上ある。筋肉系アイドル中川冬馬、残るはターザンロープにロープクライム。余裕を残して、20秒以上残して1stステージクリア!

いきなり1人目で中川冬馬がやりました!


不動産会社に勤務するサラリーマン、目黒孝宏。サラリーマンの星となれるか目黒。

スーツ姿で新エリアハードルジャンプを越えて、バタフライウォール。おーっと着地に失敗、しかし回転する壁に飛びついた!九死に一生を得た。

さあバタフライウォールから仕切り直し。今度は着地した。

さあ三段ローリング丸太。あーっとサラリーマン!

スーツで挑んだSASUKE。バタフライウォールで1度着地に失敗しながら、再びウォールにしがみついて生き残る粘り。サラリーマンの執念を見せた。


新人女優、さゆりの登場です。

―ローリング丸太まで到達したさゆり。しかし丸太にまたがったまま、なかなか回らない。

すると逆回転に回り、丸太がレールから外れてしまった。

どうすることもできず、そのままタイムアップ。タイムアップ直後、さゆりは自ら池にダイブして落ちた。


続いてはアイドルの斉藤翔太です。同じ事務所に所属する中川冬馬はトップバッターで1stステージをクリアした。中川に続けるか。

これは早いぞ飛び込んだバタフライウォール。三段ローリング丸太、回っていく回っていく、完璧だ。

クロスブリッジ渡った。ジャンプハングはどうだ。斎藤が飛んだ、行ったー!さあ腕力で上に登っていく。残り時間はまだ1分ある。ここまでは順調だ。

ねじれた壁、1本のロープにつかまった。そしてそり立つ壁、一発で登った!残り30秒、2人目のクリアなるか。

ロープクライム、残りは20秒。さあ登れるか。おーっと苦しんでいる。なかなか登れない。苦しんでいる。

残り8秒、7秒、6秒、斎藤登れ。登りきった。赤いボタンは目前。どうだー。間に合うか…。間に合わなかった!

余裕のクリアかと思われたが、ロープクライムでまさかの大失速。これが史上最長のロングコースの1stステージの恐ろしさか。


第12回大会、初出場で3rdステージパイプスライダーまで進出した自動車整備士、松本信治の登場です。

その後の2大会は1stステージリタイア。3大会ぶりの1stステージクリアはなるか。

三段ローリング丸太に入ってきた。このあたりはお手の物、お手の物。ここまでゼッケン1番の中川冬馬以来クリア者が出ていない。この人が2人目のクリア者となるのか。

さあジャンプハング、飛びついた。前回はこのジャンプハングでリタイアとなったが、まず前回のリベンジを果たした。

ねじれた壁、ロープにつかまっていく松本。

いよいよそり立つ壁に入ってきた。おーっと1回目は失敗。2人目のクリアはこの松本となるのか、おーっとどうした松本。3回目、あーっとなんだなんだ。またしても魔物は牙を向くのか。

松本登れるか。ダメか。10秒切った。松本信治、またしても1stステージ、SASUKEの魔物に呑み込まれたー!

松本信治、今回はそり立つ壁。3大会連続の1stステージリタイア。



いきなりのクリアで始まり、クリアラッシュかと思われたが、その後88人連続でリタイア。

90人目の挑戦者はお馴染みフィギュアスケーター、佐藤静香です。

まずは新エリアハードルジャンプ。おーっと飛んだ飛んだ。あっという間にバタフライウォール。

ローリング丸太、フィギュアスケーター佐藤が回っていく。ここまで89人がチャレンジし、ゼッケン1番がクリアして以来88人連続クリア者が出ていない。

クロスブリッジ、危ない!危ない!一瞬バランスを崩した。

フィギュアスケーター佐藤、ジャンプハング、ジャンプ力はお手の物だ。過去4回3rdステージ進出の経験がある。しかし前回は2ndステージタイムアップ。

90人目のチャレンジャー、ゼッケン2番豊田麻里以来のクリア者となるのか。ねじれた壁からのそり立つ壁、届かない。1回目は失敗。

2回目、行った行った!残り20秒、久しぶりの1stステージクリアが見えてきた。フィギュアスケーター、佐藤静香、2人目の1stステージクリア!

そり立つ壁、1回目は失敗したが2回目はしっかり登った。88人連続リタイアを止め、間に88人を挟んで2人目の1stステージクリア!


続いてゼッケン91番の挑戦者、前回3rdステージまで進出、学生、水無月祐樹です。

前回の最優秀成績者。全選手中3rdステージのエリアを最も進んだ人。さあ行きます。新エリアハードルジャンプを越えていきました。

前回は3rdステージ最終エリア、パイプスライダーまで到達。今回はファイナルステージ進出を目指しています。三段ローリング丸太クリアした。ここまでは軽やかにやってまいりました。

あの神戸勝樹にあこがれてこのSASUKEに挑む決意をした。神戸とともに3rdステージ、さらにはファイナルステージ進出はなるのか。

さあジャンプハング、ここも水無月にとっては問題ないだろう。…あーっと、どうした!?水無月まさかのジャンプハングで転落!


神戸「油断するなって言ったのに」


水無月祐樹、5回目の出場で初めてジャンプハングでミス。これがSASUKEの恐ろしさか。


365プロアイドル、小海春香もジャンプハングでリタイア。


さあ悪い流れを止められるか。

埼玉県川越市、神社の巫女、氷川結衣が行きます。

11回目の出場、現在8大会連続1stステージクリア中。ここまで軽やかな身のこなしでまず最初の3つのエリアをクリアしていった。

過去10回の出場、1stステージでリタイアしたのは1度しかありません。その1度は100人中、わずか1人しか1stステージをクリアできなかった大会。この人が1stステージで消えたとき、それはかなり異常事態ということでしょい。

さあジャンプハング、ここも楽勝。上に登っていく。続いてねじれた壁、しっかりとロープをつかんでいる。そしてそり立つ壁、一気に行った!

やはり氷川1stステージは通過点に過ぎないのか。ロープクライム登って行く、これは最速タイムか。最速タイムが出るのか。23秒残し!最速タイムが出た!


ここから一気にクリアラッシュかと思われた矢先、まさかの事態が。


残る挑戦者はあと5人。続いて96人目の挑戦者は、元SASUKE先生、中上新一郎です。

現在は絵本作家志望と肩書きを変え、今年デビュー作が出版された。

―そり立つ壁はどうだ。あーっと登れない!

第12回大会ファイナリスト、中上新一郎、そり立つ壁を越えられずまさかの1stステージリタイア。


延べ1400人中ただ1人、このSASUKEをフルコースで料理した人。ガソリンスタンド長谷川健一。

さあまずはハードルジャンプを越えて、バタフライウォール。ここも難なくクリア。

ローリング丸太、かつてはここで落ちたこともあるが、苦手意識はなかった。クロスブリッジも越えて、ジャンプハング。さあどうだ、飛びついた。ジャンプハングクリアした。

しかし続いては前回苦い思いをしたねじれた壁。悪夢を払拭できるかー。しっかりとロープをつかみました。今回は同じ轍は踏まない。

そり立つ壁、おーっと失敗。2回目はどうだ。残りは20秒を切った。…あーっと届かない!どうした長谷川。

ここで警告音。なんと唯一の完全制覇者、前々回もファイナルに進出した長谷川までもがそり立つ壁を越えられず。

緑山は沈黙。中上新一郎に続いて、長谷川健一もそり立つ壁でリタイア。


ゼッケン98番、オリンピック競泳金メダリスト、第12回大会ファイナリスト、海原愛。

―さあジャンプハング、あーっとまさかー。トランポリンの踏み場が前にずれていた。海原愛、ジャンプハングで痛恨のミス。


そして残る挑戦者はあと2人。ゼッケン99番、ライフセーバー、宮崎マリン。

第10回大会から13回大会まで4大会連続でファイナルステージに進出し、第12回大会では完全制覇まであと0.06秒に迫った。

しかし前回、3rdステージクリフハンガーで無念のリタイア。5大会連続のファイナリストを逃した。

2大会ぶりのファイナルで、悲願の完全制覇はなるか。


「愛ちゃんと、中上さん、長谷川さんが残念なことになりましたが、私が流れを変えたいと思います。」


「出発」

「「進行!」」

「発車」

「「オーライ!」」


ここまでクリアはわずか4人。さあ残るはあと2人。4大会連続のファイナリスト、宮崎マリンが行きます。

完全制覇に最も近い人の1stステージが始まった。

今大会はここまで大波乱。まだ4人しか1stステージクリア者がいない。そして中上、長谷川、海原、ファイナリストを経験した有力選手が次々1stステージで脱落してしまった。

なんとしてもこの宮崎に流れを変えてもらいたいところ。散っていったものたちの分まで、仲間の想いを背負うのは慣れっこだ。

さあジャンプハング、しがみついた。今回は下から行く、今回は下から行く。

ねじれた壁にさしかかる。…おーっと、どうした!?

なんと宮崎マリンまでもが1stステージで脱落。

大異変だ!どうした15回目のSASUKE。次々と有力選手が呑み込まれていく。


ジャンプハングでいつもより高さが足りず、それが焦りにつながったか。

ねじれた壁のロープを掴む際、一瞬足元を確認。その迷いが命取りに。6大会ぶりの1stステージリタイア。


そしてゼッケン100番、神戸勝樹。

今大会限りでの引退を表明。有力選手が次々消える波乱の中、神戸の最後のSASUKEが始まる。


1stステージ最後の挑戦者、ゼッケン100番、神戸勝樹。

中上が、宮崎が、そして盟友の長谷川が潰えてしまった中、引退をかけて挑みます。すべてを犠牲にして、このSASUKEに打ち込んできた人がついに引退を決意した。

今回がラストチャレンジ。最後のチャレンジで、完全制覇で有終の美を飾ることはできるのか。そのためにも果敢に行ってもらいたい神戸。

ローリング丸太をクリアし、クロスブリッジ。ここは慎重に行く。

次なるジャンプハングはどうだ。中断のあたりに飛びついた。神戸は下から行く、神戸も下から行く。

ねじれた壁はどうだ。がっちりをロープをつかんだ。さあそり立つ壁。残りはあと20秒。一発で行った!

しかし残り時間は15秒を切った。時間との戦いになった。残り10秒、神戸が登っていく!残り5秒、4秒、3秒、2秒、間に合った!


神戸がやりました。残り時間を考えるともはや絶体絶命と言っても過言ではなかった。しかしそこからすばやくロープを登りきった。

今大会引退を表明した神戸勝樹。最後のSASUKEは、2ndステージに進みます。


神戸「よし、ありがとうございます!」


長谷川「最高だったよ。これで引退は撤回かな?」

神戸「いや、クリアしても、リタイアしても引退することを決めてる。」

長谷川「それは残念だね」

神戸「これからは家族を大切にしたいんだ。今回はSASUKEはおしまいにすると決めた。」

長谷川「なら絶対に完全制覇しないとね」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1stステージクリアは4人。中川冬馬、佐藤静香、氷川結衣、神戸勝樹。

前回の約3分の1以下に留まり、久しぶりの1桁となった。


2ndステージ、新エリアはデルタブリッジ

1.ロープグライダー

2.スパイダーウォーク改

3.バランスタンク

4.デルタブリッジ

5.ウォールリフティング

制限時間65秒


緑山は夜になりまして、2ndステージが始まります。100人中わずか4人が2ndステージに進みました。

さあまず登場してきたのは筋肉系アイドル、中川冬馬です。3大会前の第12回大会はこの2ndステージ、無念のタイムアップ。

さあ進んできたロープグライダーだ。まずは2本目に綱渡り。しっかりとこのロープを持って進んでいく。

さあスパイダーウォーク。過去にここで落ちたこともあり、第12回大会でもここで時間がかかってタイムアップとなってしまっているが、今回はスムーズだ。前回よりもパワーアップしているようだ。

続いて待っているのはバランスタンク。しっかりとバランスを取る。さあ新エリアのデルタブリッジ。一気に行けるか。大きくジャンプ。

残り10秒でウォールリフティング、1枚目30kg、おーっとものすごいスピードで持ち上げていく、さあ初めて2ndステージの扉をこじ開けるか。行った!

中川冬馬、初めての3rdステージ進出!


アナ「やりました」

「ギリギリだったですけどクリアできて嬉しいです」

アナ「ウォールリフティングの早さはすごかったですね」

「パワーには自信ありますから」


続いてはフィギュアスケーター、佐藤静香。

絶妙のボディバランスで行きました。体を振り子のように振られたロープグライダー。さあ空中乗り換え駅だ。ここから2本目に移行していく。

さあ出てまいりましたスパイダウォークであります。この筋肉の飾り棚に向かって行きます。滑り止めを手と足につけていく。まず登っていく。そして平行移動。これから下りが待っています。無駄なく行きます。

さあバランスタンク。フィギュアスケートで鍛えたバランス感覚はお手の物だ。そして新エリアのデルタブリッジ。ここも大丈夫だ。

さあウォールリフティング。まず30kg、続いて40kg、最後は50kgを盛り上げて。佐藤静香、4大会ぶりの2ndステージクリア!


さらに巫女の氷川結衣もクリア。これで9大会連続の3rdステージ進出。


水面に揺れる幻想の2ndステージ、これまで3人が3rdステージのチケットを手にしておりますが、なんとしても4人目になりたいところでありましょう。

職業SASUKE、神戸勝樹が行きます。

今大会で引退を表明。神戸の挑戦はこのステージで終わってしまうのか。それとも3rdステージに駒を進め、引退を先延ばしにすることができるのか。

まずはロープグライダー。65秒で苦労に苦労を重ねてきた2ndステージを料理したい。そしてロープグライダー2本目に乗り換える。

さあスパイダーウォーク、神戸は自宅の庭にSASUKEの番外ステージを作っている。常にSASUKEを念頭においての人生だ。さあ要注意ポイントのスパイダーウォーク、ここは慎重に攻めて行った。

さあそしてバランスタンクであります。ここも要注意ポイントだ。さあ大丈夫だ。残り15秒、デルタブリッジ、反動をつけてジャンプした。

残りあと12秒、さあ行けると確信したか。こじあけていくマッスルアーケード。モンスターの唇を3度こじ開けていく!

やりました!神戸、6大会ぶりの3rdステージ進出!神戸勝樹、最後のSASUKEはまだ終わりません。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

4人全員が2ndステージをクリア。

3rdステージ

1.ランブリングダイス

2.ボディプロップ改

3.カーテンクリング

4.クリフハンガー

5.ジャンピングバー改

6.センディングクライマー

7.パイプスライダー


アナ「ファイナルは見えてきましたか?」

神戸「最初から見えてますよ」

アナ「今大会をラストチャレンジとしていますから、是非ともファイナルステージまで進出してほしいとこです。」

神戸「そうなんですけど、あまり考えんようにしてます。」


3rdステージ、端を切って登場するのは筋肉系アイドル、中川冬馬です。

まずランブリングダイス、1回1回、鉄骨を運んでいきます。さあもう少しであります。剛腕観覧車が1回ごとに音を立てて回転していきます。画竜点睛を欠いてはいけない。まず最初の休憩地点に着地しました。

続いてのボディプロップは前回マイナーチェンジされました。3つ目の空白は手と足、両方にあります。

今出ていきましたボディプロップ。さあどうだ、かなり苦しそうだ。しかし必死に腰を浮かしております。…ああー、転落!中川冬馬、ボディプロップ2つの目空白で沼地に転落!


続いてフィギュアスケーター、佐藤静香の登場です。

3rdステージ進出は3大会ぶり。第12回大会では、自己最高となるクリフハンガーまで到達しました。

―順当にランブリングダイスをクリアし、ボディプロップへ。

次なる難敵はボディプロップ。さあまず1つ目の空白を通過、調子は良さそうだ。2つ目の空白も通過して、まもなく最後の空白。さあ苦しい、うめき声が聞こえてくる…。ボディプロップクリアしました。

かつて第9回大会から第11回大会、3大会連続でランプグラスパーに阻まれたことがあった。現在はカーテンクリングにリニューアルしたことは幸運となるか。さあカーテンクリング、左右に体を揺らしながら進んでいく。さあ半分来た。あとわずかだ。カーテンクリングクリアしました。

そしてクリフハンガー。3大会前は佐藤もここでリタイアした。まず第1の段差30cm、そして第2の段差は45cm。突起はわずか3cm。

さあクリフハンガーに出ていきました。3cmの突起に神経を集中させていく。まず上りの段差、あーっと佐藤!1つ目の段差直後、2つ目の突起で落下。指先は限界だったか。


3rdステージ、残る挑戦者はあと2人。巫女の氷川結衣です。

1stステージで親友の宮崎マリンがまさかの脱落。宮崎の分まで行きたいところ。

まずはランブリングダイス。3rdステージ進出は今回が9大会連続。ランブリングをリズミカルに転がしていく、あっという間にクリアしました。

さあ前回はこのボディプロップで氷川の体が落ちてしまった。前回の悪夢を振り払いたい。1つ目の空白ここは大丈夫。2つ目も通過、さあ前回落ちた3つ目の空白。さあここを通過すればあとわずか。

ボディプロップクリアしました。まずは前回のリベンジを果たしました。

青白いカーテンの向こう側、そこがファイナルへの道のり。さあカーテンクリング。半分は来た。ちょっと腕が伸びている、大丈夫か。懸命にこらえる。カーテンクリングクリアした。

さあクリフハンガー。2大会ぶりに挑む。まずは登り段差、そして下りの段差。指先に魂をこめるー。

氷川、9回目の3rdステージ。今回は3rdステージクリアはなりませんでした。


マリン「ねえ、神戸さん、本当に引退しちゃうのかな。」

健一「アルバイトだけで生計を立てるのが限界になったとか言ってたしな。家族のために、もうこれ以上は無理ってことなんだろう。」

マリン「神戸さん、引退したら寂しくなるな。」

マリン「今回が最後なら完全制覇で終わらせてほしい。神戸さん頑張れー!」


「頑張れー」



SASUKE15回大会も、挑戦者たちの夢は次々と潰えていった。そして最後の1人、神戸勝樹。

最後の1人は、今大会で結果に関わらず引退を表明。泣いても笑っても、これが最後のSASUKE 3rdステージ。

8大会前の第7回大会、一度は3rdステージのゴール地点に着地に成功しながら、バランスを崩し、ゴール地点から落下。長年待ちわびたリベンジなるか。

まずはランブリングダイス、早い早い、あっという間に通過していった。リズミカルな音を奏でていった。

なんとしても最終エリアパイプスライダーに行き着くまでに腕の力を残しておきたい。そのために前半はテンポよくいきたいところ。

さあボディプロップです。慎重に行きます第1の空白。そして今度は足元の第2の空白。まもなく第3の空白、そこを難なく通過していった。

カーテンクリング、ファイナルステージに向けてこのカーテンを開けることはできるか。さあ神戸リズミカルに進んでいる。腕は鍵型に曲がっている。カーテンクリングクリアしました。ここはちょっと苦しかったか。

さあ次なる難敵はクリフハンガーであります。今大会で引退を表明した神戸。リタイアしても、完全制覇しても引退。今回が完全制覇のラストチャンス。

飛び出していった神戸のクリフハンガー。まず30cmの段差をあがった。そして今度は45cm下りの段差。ここは慎重に行ってもらいたい。さああともう少しあともう少し…。

クリフハンガークリアしました。残るはジャンピングバー、ハングクライミング、パイプスライダーの3つのエリア。3rdステージの3分の2を越えた。


さあ神戸が挑むジャンピングバー。まず1つ、2つ、3つ、緑山の夜を行く!、さああと1つ、5つ目行ったー!5つ目のバーをしっかりと握った。そしてセンディングクライマー登っていく。足も使える。足も使ってうまく登っていく。

たどりついた!グリーンのバーにたどりついた。いよいよ残るはパイプスライダーへの旅路であります。

8大会前の第7回のSASUKE。パイプスライダージャンプでゴール地点の上でバランスを崩し、大粒の涙を流した神戸。数々の挑戦者の無念の涙、その涙の粒子もこの地獄の池には溶けています。それを一度水に流して、ファイナルステージへの新たな旅路。

今大会で引退を表明した神戸。さあ最後のSASUKEをファイナルステージ進出で飾れるか。

さあパイプスライダーの旅路。腕は鍵型、手は順手逆手で進んでいく。さああとはこの嫌な距離。どう反動をつけるか。ファイナルまであとわずか。ファイナルに向けて神戸、最後のジャンプだー!

ああああぁぁぁ…

神戸またしても、3rdステージのゴール地点に嫌われた。悔しさの波紋が広がる沼地に吸い込まれた。


この瞬間、今大会の100人の挑戦、そして神戸勝樹のSASUKE人生が終わりました。


アナ「神戸さん、お疲れ様でした。」

「はい」

アナ「第7回大会に続いてのパイプスライダーでのリタイアとなりました。」

「あのときはゴール地点から転げ落ちて、今回赤いゴールが見えたとき、急にそれがトラウマになって脳裏によぎってしまいました。」

アナ「あれがトラウマになってましたか」

「はい、すいません」

アナ「今大会で引退を表明されての挑戦でした」

「はい、俺は今大会限りでSASUKEを引退します。これからは家族を大切にして、ひっそりと生きていきます。本当にありがとうございました。」

「ありがとうSASUKE!」


結衣「神戸さん、本当に引退しちゃうんだ。」

マリン「ここまで来たのに…。まだやれるのに…。」

結衣「なんでマリンちゃんが泣いてるの?」

マリン「ぐすっ、だって悲しすぎるよー」


神戸勝樹、3rdステージ最終エリア、パイプスライダーでのリタイアで引退。

1人の男のSASUKEへの挑戦が幕を下ろした。



第15回大会が終わり、全挑戦者が家路につく。

神戸との思い出を振り返りながら


俺と神戸との出会いは、ガソリンスタンドの店員と、ガソリンスタンドで毎日ガソリンを入れる客、トラックドライバーという関係だった。

といってもSASUKEが始まるまでは、1度も話したことはなかった。

SASUKEのおかげで、SASUKEとガソリンスタンド、両方での交流関係を持つことができた。

神戸が仕事をクビになり、ガソリンスタンドを利用しなくなってからは、SASUKEとそこに向けた合宿でだけ会えるようになった。

神戸がSASUKEを引退すれば、もう会えないかもしれない。

それでも俺の中にいつまでも、神戸の記憶は残り続けるだろう。


神戸勝樹、その人のことをいつまでも忘れない。



宮崎マリン。

私がSASUKEに出場する前から常連だった神戸さん。

私にとっても尊敬する先輩。

私は仕事をクビになってまでSASUKEに打ち込みたいとは思わないけど、その生き様にはあこがれていた。

なんだろう。私は神戸さんのことが好きだったのかな。

いや男性としてとか、恋愛感情ではないけど。

いや、男性として好きだったのかもしれない。

神戸さんには会えなくなるけど、今度は私がSASUKEを盛り上げていく。



そして半年後、またSASUKEの季節がやってくる。

君のいないSASUKEが始まる。



第15回大会結果

総合1位:100 神戸勝樹 3rd/パイプスライダー(ジャンプ)

総合2位:95 氷川結衣 3rd/クリフハンガー(下り段差)

総合3位:90 佐藤静香 3rd/クリフハンガー(第2突起)

総合4位:1 中川冬馬 3rd/ボディプロップ(3つ目の空白)

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