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第13回 後編

―おしっこいっぱい出たー。すっきりしたー。


「いやー、今日最大のピンチをしのいだよ。この調子で2ndステージもやるよ。」

「今日最大のピンチだったと思えたらいいね。」


「あの、さっきは恥ずかしい想いさせちゃってごめん。」

「ううん、本当ありがとう。危うく漏らしちゃうとこだったよ。」

「でも尿意催してた中でよくクリアできたね」

「前に言ったノーパンノーブラでのセット練習が生きたんだろうな。こんな形で生きるとは思わなかったけど。」

「何それ」



1stステージクリアは10人。

2ndステージ直前、またしても突然の大雨。

2ndステージ開始が遅れ、感電防止のため、今回は逆走コンベアが停止となった。また雨による滑りを考慮し、制限時間が前回より10秒長い80秒に延長となった。


また今回から全18エリア縛りをなくし、1stステージとはエリア番号が別になった。

1.ロープグライダー

2.スパイダーウォーク改

3.バランスタンク

4.逆走コンベア

5.ウォールリフティング

制限時間80秒


1stステージクリア率は丁度10%。丁度10人が1stステージをクリアし、2ndステージに進出してまいりました。

2ndステージ最初の挑戦者は、中学校教師の山下祐輔です。

まずはロープグライダー、体が大きく揺さぶられる。ロープグライダーをクリアしました。

続いてスパイダーウォーク。この人は高校時代バドミントンでインターハイ出場経験があります。

スポーツ万能の中学校教師山下がああああ!

スパイダーウォークで滑り落ちてしまった。まず最初の挑戦者山下祐輔はスパイダーウォークで脱落。


長谷川「今すごい滑った」

マリン「やっぱ雨の影響あるのかな」


2人目は消防士、木村康二。

愛知県のレスキュー隊木村が行く。初出場で旋風のごとく1stステージをクリアしてまいりました。

まずはロープグライダーをクリアし、このスパイダーウォークはどうでしょうか。火のあるところに飛んでいく。人命救助のレスキュー隊木村。ちょっと滑っているが大丈夫か。中間地点にたどりついた。

さあバランスタンク、ここでバランス感覚がためされる。逆走コンベア、今回は感電防止のため停止している。

さあウォールリフティング、最初の2ndステージ成功なるか。残り10秒警告音が鳴り始めた。警告音が鳴り始めたが、3枚目を持ち上げてクリア。

最初の2ndステージクリアは消防士の木村康二!


これでいい流れになるかと思われた矢先、これが波乱の幕開けだった。

続く挑戦者は前回3rdステージに進出した水無月裕樹。

滑りやすい下りのスパイダーウォークを警戒しながらなんとかクリアした直後だった。

…さあ続いてバランスタンク、あーっと転落!バランスタンク一瞬何が起こったのか!タンクが先に行ってしまった!


神戸「あー!」

長谷川「やっぱここか。俺もバランスタンクは自信ないな。」



ここまで3人中2人がリタイア。クリアしたのはたったの1人。4人目の挑戦者は東京ディズニーランドダンスキャスト、市ノ瀬怜。

初出場で1stステージをクリアしてきました。

さあスパイダーウォーク、一気に行きたい。まずは登り。一歩二歩、リズミカルにリズムを取って、今度は下に下っていく。下りはかなり滑りやすい。あーっと滑り落ちたー!

これで2ndステージ、4人中3人が消えた!


不気味に歪んでいるこの水面。そしてブルーのライトに照らされた。ときとしてまた炎が立ち昇っているこの2ndステージにやってきました中原朋也。

まずはロープグライダー、飛び出していった。体が揺さぶられる。そして中間地点で2本目に移行する。これはタイムのロスがほとんどないぞ中原。いいペースで来ている。

さあスパイダーウォーク。登っていく、登っていく。そして今度は下り。今日は雨の影響で下りが特に滑りやすい。スパイダーウォーククリアしました。

続いてバランスタンク。まだまだ残り時間は25秒ある。逆走コンベア、今日は雨の影響で逆走コンベアはストップしている。その影響であっという間に通過。

さあウォールリフティング、残り時間は20秒ある。1枚目30kg、2枚目40kg、残り10秒になる、そして50kgの3枚目も持ち上げていく、クリアー!

中原朋也2ndステージ2人目のクリア。


365プロアイドル、小海春香。10大会前の第3回大会でファイナルステージに進出。

1stステージで足を捻挫した小海。しかし足の痛みがあろうとも、10大会ぶりのファイナルステージ進出のために、必ずクリアして見せる。

第3回大会ファイナリスト、小海春香。1stステージのターザンジャンプで右の足首を痛めてしまった。その足首の状態はどうか。

さあスパイダーウォーク、スプレーを足にかける。歯を食いしばってスパイダーウォーク登っていく。足は大丈夫か。平行移動平行移動。まもなく下りになる。残り時間は25秒になってきた。小海歯を食いしばる。

―やはり足が痛むのか。時折苦痛に顔を歪ませる小海。そして悲劇の瞬間は訪れた…

続いてバランスタンク。しかし15秒となる。小海急げ、残りは10秒を切った。今警告音が始まった。

ウォールリフティング、1枚目を持ち上げたところでタイムアップ!小海春香も2ndステージで脱落!


長谷川「これスパイダーウォークで時間かかってたな。雨の影響というより、1stで足を痛めた影響っぽいな。」


マリン「春香ちゃん、1stステージで足を捻挫したって言ってたな。すごい痛そうだった。」


足の痛みの影響でロープグライダーで横壁を思いっきり蹴ることができず。スパイダーウォークでも時間がかかり大幅にタイムロスとなった。

3rdステージクリフハンガーへのリベンジに燃えていたが、第3ステージを見ることなく小海の春が終わった。


裕樹「小海さんってアイドルだから後日ライブとか公演とかありますよね?響いちゃうんじゃ」



目の前で起きた小海春香の悲劇。史上最強の巫女はどう捉えたか。

「結衣ちゃん、今回はいつもより制限時間が10秒長いから、滑り止めをしっかりつけたほうがいいよ。」

「そうだね。マリンちゃんはどうする?靴にガムテープ貼る?」

「今日は持ってきてないよ。」

「あらー、それは残念。」

「いやいや、時間切れになっちゃうよ。」


本日のSASUKEは1stステージ中、さらには2ndステージ前に降った雨の影響が挑戦者に襲いかかります。

この人の祈りは天に届くのか。埼玉県川越市の巫女、氷川結衣が行きます。

栄光のゴールを狙え。そして雨の絶望を希望に変えてくれ。ロープグライダー、すばやく2本目に移動して今着地。

スパイダーウォーク、滑り止めスプレーをつけていく。足にスプレー、手にも滑り止めスプレーをつけた。さあ登り、巨大な蟻の巣を観察してるかのようだ。そして下り、今日は雨の影響で下りは滑りやすい。しかし難なく休憩地点に降りた。

続いてバランスタンク、ここで試されるバランス感覚。まだ残り30秒。逆走コンベアを通過。

ウォールリフティング、3人目の成功なるか、早い早い、ここは得意だ。なんと16秒66を残して、氷川結衣2ndステージクリア。


長谷川「靴にガムテープを貼りました。スパイダーウォーク前で剥がします。」

神戸「それ前に俺がやって失敗したやり方だぞ」

長谷川「今回は制限時間10秒長いのと、逆走コンベアが止まってるので、すばやく剥がせば問題ないかと。」

恵「健一、本当に大丈夫?神戸さんみたいにタイムアップになっちゃったら…」

長谷川「ちょっと勝負だけど、行ける。」


ただ1人このSASUKEをフルコースで料理したこの人の登場です

5年前、完全制覇後に結婚し、パパになりました。パパになって、2度目の完全制覇を狙います。ガソリンスタンド勤務、長谷川健一です。

そしてこの人は雨による滑りを気にして、靴にガムテープを貼りました。スパイダーウォークまでに靴にゴミがつかないようにすることができるか。ロープグライダー、1本目から2本目に移行していった。

スパイダーウォークです。ここですばやくガムテープを剥がすことができるか。そして滑り止めスプレーは手と足につけて。

さあスパイダーウォーク、いいペースで進んでいく。ガムテープを剥がすのに3秒ほど時間を使っただけに、それを取り返すために早く進んでいった。

さあバランスタンク、ここは冷静だ。逆走コンベア、今日は雨の影響で止まっている。

さあウォールリフティング、これは行ったも同然か。軽々だ、軽々と3枚目の壁を持ち上げた。ガムテープ作戦成功!難なく長谷川も2ndステージクリアです。


神戸「うわー、俺が失敗したやり方が成功したわ。」

マリン「長谷川さん勇気あるな。ガムテープ剥がすと5秒はタイムロスするのに。」


アナ「ガムテープ作戦がうまくいきましたね」

「はい。でも今日だけですね。制限時間がいつもの70秒で、逆走コンベアが動いてたら間に合わないと思います。」



続いては前回のファイナリスト。前回は完全制覇まであと一歩まで迫るも、その直後高校教師をリストラに遭い、現在は絵本作家を目指しています。

絵本作家志望、中上新一郎、今スタート。まずはロープグライダーだ。懸命にロープにつかまっていく。

さあスパイダーウォーク、まさに人間大の字状態で壁と壁のあいだを突き進んでいく。続いてバランスタンク、ジャンプしていった。

逆走コンベアを通過して残り15秒。ウォールリフティング、1枚目をクリア、40kgをクリア、50kgも持ち上げて、中上新一郎2ndステージクリア。


昼間、そして2ndステージの前に激しく降った雨、今は止んでおります。

2ndステージ最後の挑戦者は、栄光のゼッケン100番、ライフセーバー、宮崎マリンが行きます。

完全制覇に最も近い人です。1stステージは驚異の最速タイム。

スパイダーウォーク、滑り止めスプレーを手と足につけて登っていく。今日は雨の影響で滑りやすいということで、いつもより入念に滑り止めをつけたが、早い早い、この人に雨の影響は全く感じさせない。

バランスタンク、ここは得意だ。雨の影響で止まっている逆走コンベアを抜けると、ウォールリフティング、ここはやや苦手だと話していたが、いやいやそんなことはなさそうだ。20秒残し、またも最速タイムだ!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

3rdステージ、新エリアはカーテンクリングとジャンピングバー、クライミングバー。

パイプスライダーの前半部分がジャンピングバーにリニューアルした。


1.ランブリングダイス

2.ボディプロップ

3.カーテンクリング

4.クリフハンガー

5.ジャンピングバー

6.パイプスライダー


3rdステージ進出は6人。6人がファイナルステージの切符をかけて挑みます。

まずその先陣を切って消防士の木村康二が行きます。

スタートしましたまずはランブリングダイス。四角形の鉄の塊を転がしていく。まず最初のエリアランブリングダイスをクリアした。

ボディプロップ、体をつっかえ棒にして進んでいく。まずは前に1つ目の空白がある。中腹にさしかかったところで後ろに2つ目の空白。おーっと足の距離が離れている、木村の体が震えてるがーーー。木村がここで力尽きてしまった。


3大会ぶりに3rdステージに進んでまいりました中原朋也。

まずはランブリングダイスをクリアし、ボディプロップへ。

このボディプロップには嫌な思い出があります。さあスタートしましたボディプロップ、地獄の蟹歩き。歯を食いしばっている。乳酸地獄に耐えて、今ボディプロップクリア。

続いて新エリアのカーテンクリング。クリングとはしがみつく、薄青のカーテンにしがみついて進んでいく新エリアです。ここは握力勝負。

さあカーテンにしがみつく。しっかりとグリップ。半分来たぞ。3分の2は来た。残るは3分の1、あとわずか、カーテンクリングクリア。

続いて難所クリフハンガーに挑んでまいります。さあどうだ、まず1つ目の段差をクリアした。さあ中原しがみつく、続いて2つ目の段差、下りの段差、あーっと中原ー!

中原朋也、今回はクリフハンガーで力尽きました。


前回、鬼門のクリフハンガーを初めてクリアしました。7回目の3rdステージ、今回はファイナルステージ進出はなるのか。

史上最強の巫女、氷川結衣が行きます。

まずはランブリングダイスをクリアし、ボディプロップへ。ボディプロップも難なくクリアした。


この氷川結衣と宮崎マリンは小学生のとき、半年間だけのクラスメートでした。ともに父の転勤により半年間同じ街で過ごし、友達になった2人。

かつては半年だけの友達だった2人は、今は半年に1度、SASUKEの収録日に会える盟友になりました。大会前に合宿もするため、半年に1度以上会っている。

続いては新エリアのカーテンクリング。さあ進んでいく、宮崎との約束の場所、ファイナルステージに向けて進んでいく、さああとわずか、あと少しだ頑張れ。カーテンクリングクリア。

前回、宮崎と次は一緒にファイナルステージに行くという約束をした。その約束を果たすために。

さあ前回5回目の挑戦で初めてクリアしたクリフハンガー。2大会連続の成功はなるか。まず登りの段差をクリア、続いて下りの段差、腕はしっかりと曲がっている。頑張れ氷川、ここを越えればあとわずか、あとわずか。クリフハンガーをクリアしたー。前回に続いて2大会連続でクリフハンガーをクリアしました。


さあ続いては新エリア、ジャンピングバーが初お披露目です。前回まで2本あったパイプスライダーの前半部分が新エリアにリニューアルされました。

さあ新エリアのジャンピングバー。バーは6本、5回飛びます。1つ行った。2つ目、3つ目、4つ目、5つ目あと1つ、6つ目ー。ジャンピングバークリアしました。グリーンの止まり木に足をかけて、束の間のブレイクを取ることができます。

残るは最終エリアパイプスライダー。このパイプスライダーは意地悪にも、終点からあの栄光のステージまでかなりの距離がある。ここで各選手、オールスターズと言われる有力選手たちがあの距離に泣きました。

氷川も前回そこで涙をのんだ。さあ今回は初のファイナルステージ進出なるか。パイプスライダー、順手と逆手で進んでいく。

さあここだ、反動をつける。おーっとバーが後ろに後退。滑らないように体を振らなければいけない。あーっとまた後退。乳酸が溜まってしまう…。

…あーっと落ちてしまったー!ゴールに向かってジャンプする前に力尽きてしまった。

前回のトラウマか。あるいは夕方降った雨の影響で、バーがやや滑りやすくなっていたか。

振れば振るほどバーは後退。その料理に手こずった。


マリン「あー、バーが滑りやすかったね。」


結衣「今日は絶対にマリンちゃんとファイナルに行くと約束してたので、悔しいです。」

アナ「お疲れ様でした。」


「ごめん」

「謝る必要はないよ。また次頑張ろう。今日は私が完全制覇するから。」



昼間は緑山を嵐が襲いましたが、現在雨はすっかり止み、光に包まれたこのSASUKE第3ステージ。

100人が挑んだSASUKEも、残すところゼッケン98番から100番までの3人となりました。果たして今夜、この3rdステージ、さらにはファイナルステージをクリアし、鋼鉄の魔城の頂に立つものは、残された3名から現れるのか。

SASUKEの神は残る3人のうち、1人でもいいから選ぶのか。今夜ファイナルステージの頂上に両手を高らかに上げて立つ者は、現れるのか否か。

その頂点を9大会前に味わった人が、続いての挑戦者です。第4回大会完全制覇者、長谷川健一が行きます。

まずランブリングダイスを握りました。ガソリンスタンド長谷川、唯一のSASUKE完全制覇者。リズミカルにランブリングダイスを転がしていく。人生はさいころのようだ。

ランブリングダイスまずは成功。続いてはボディプロップ。このエリアは長谷川の完全制覇がきっかけで第6回大会から設置されました。

2つ目の空白を通過。さあまもなく3つ目の空白。ここを越えればあとわずか、あとわずか。ボディプロップクリアしました。

続いて新エリアのカーテンクリング。カーテンにしがみついて進んでいく。肘の角度は曲がっている、まだ余裕がある。さああとわずかだ。カーテンクリングクリア。


ここまで3人が姿を消しました。始めに挑んだ木村がボディプロップ。次に中原がクリフハンガー。そして氷川はパイプスライダーであと一歩のとこでリタイア。

それぞれが前の挑戦者を上回り、1つ1つ進んできた。

そしてクリフハンガー。前回はここで長谷川は落ちてしまった。前回のリベンジはなるか。さあ指先のみでぶらさがって進んでいく。まず1つ目の30cmの段差をクリアしていく。まもなく2つ目の45cmの段差、前回の雪辱なるか。どうだどうだ。クリアしたー!

クリフハンガークリア。前回のリベンジを果たしました。いよいよ残りは2エリア。まず新エリアのジャンピングバーが待っている。


さあ長谷川飛び出した。1つ目飛んだ。2つ目行った。3つ目行った。4つ目。そして5つ目行ったー!ジャンピングバークリアしました。

そしてグリーンのバーに足をかける。ここで束の間の休息。

完全制覇した第4回大会以来のファイナルステージ進出まであと少し。残るは最終エリアパイプスライダー。このパイプスライダーがファイナルステージへの最後の関所になります。

完全制覇の直後に結婚し、子供もできて、その子供は4歳になった。今度は2人の子供に再び完全制覇という勇姿を見せることができるのか。

右手が順手、左手が逆手で行く。さあ3rdステージの詰め、パイプスライダーの旅路に出た。あとはこの距離。ここで思いっきり反動をつける。ちょっとバーが後ろに下がった。前後に思いっきり体を振る。

飛んだ、おーっと行ったー!長谷川健一、2度目のファイナルステージ進出!


アナ「第4回大会以来となる2度目のファイナルステージ進出おめでとうございます。」

「ありがとうございます。俺の目標は、パパでも完全制覇。そのために、今日は絶対に完全制覇します!」


さあ今夜、この人の2度目の完全制覇を見ることはできるのか。ファイナルステージが楽しみです。



新一郎「前回はやり残しが残ってしまったので、今回は時間内に上まで行けるよう頑張ります。そのために、まだここで落ちるわけにはないですね。」


前回ファイナリスト、中上新一郎。第1回大会、SASUKE史上最初の挑戦者としても知られる。

しかし前回、SASUKEのために半年間休職したことが問題になり、高校教師をリストラされた。今大会は絵本作家志望としてリスタート。

前回の雪辱を果たすために、再びファイナルステージ進出を狙う。


さあ前回あと一歩のところで完全制覇を逃した。その雪辱を果たす挑戦権を得ることはできるのか。

ランブリングダイスを通過し、3rdステージ最初の難関ボディプロップ。

前回高校教師としてファイナルステージに進出。今回は絵本作家志望と肩書を変えて、2大会連続ファイナルなるか。

さきほどからまたちょっと雨足が強くなってきたか。

ボディプロップ。雨雫が心配であります。さあ手をついていく。まず1つの空白を通過。おっとちょっと左手が滑った。雨の影響か。2つ目の空白、ちょっと苦しんでいる。まもなく3つ目の空白、おっと中上が揺れている、中上の体が揺れている、しかしあとわずか、あとわずかだー。

ボディプロップクリアしました。雨の影響で少し苦しかったか。

ニューエリアのカーテンクリング。中上新一郎さあつかまった。カーテンにしがみついて進んでいく。リズミカルに進んでいく。あとわずか、あとわずか。クリアした。

前回のファイナリスト中上が難所のクリフハンガーに挑みます。前回のファイナルステージ、綱登りでタイムアップ。ゴール地点が見えるとこまで行ったが、惜しくもタイムアップ。あと一歩まで迫った夢の頂きに今度こそ登るために、さあ半年前はクリアしたクリフハンガー。

まずは1つ目の段差。大きな手の振り幅だ。そして2つ目の段差、ここをクリアすればあとわずか、まだ肘は鍵型曲がっている余裕があるぞ。クリフハンガークリア。


昼間と夕方降った雨。また雨が降ってきたか。2大会連続ファイナルステージまで2エリア。

さあ新エリアのジャンピングバーに飛びついた。ジャンプ1つ目、22目、3つ目、4つ目、そして5つ目ー、ジャンピングバークリアした。

いよいよ最終エリア、ファイナルステージへの最後の関門パイプスライダー。


勝樹「すごいな。続けて2人目のファイナリスト出そうだね。」

健一「多分このあと宮崎さんもクリアするから、ファイナリスト3人出るんじゃないかな。」


マリン「がんばれー」


このパイプスライダーをねじ伏せて、ファイナルへの切符をつかめるか。銀の山の頂きはもうあとわずかのところ。最後に22.5メートルの山を登れるか。

右手は順手、左手は逆手でパイプをつかんだ。さあ中上、元高校教師中上パイプスライダー。

さああと一歩だ。あとはこの距離。ファイナルステージの切符をかけて。体を振って、栄光への架け橋だー!

行ったああぁぁ…あーっと転落!

着地に成功したかと思われた矢先、まさかの転落!


健一「えー!?」

勝樹「俺と同じことすんなよ!」


このとき3rdステージのスタート地点でスタンバイをしながら中上の挑戦を見ていたマリンは

「がんばれー!…やったー!」


マルン中上の3rdステージクリアを見届けて後ろを向き、準備を始めた矢先、周りの悲鳴を聞いて思わずゴール地点の方に向き直す。

今ゴール地点に着地したはずの中上の姿がそこにはなく、中上の姿が沼地にあった。


「なんで?何があったの?」


「ねえ、結衣ちゃん。今の見てた?何があったの?」

「わかんないけど、ゴール地点の上で足を滑らせちゃったみたい。」

「そんなことあるの?」


先ほどからまた降り出した雨で、3rdステージのゴールの赤いステージが濡れていたことが影響したのだった。


実況「ゴール地点で足が滑ってすってんころりん。後ろの沼地に落ちてしまった!すんでのところで、一度はつかんだかと思われたかと思われたファイナルの切符が、手からこぼれ落ちた。」


今回もファイナルの切符があとわずかなところまで見えていた。

しかし中上の挑戦中に再び雨が降り出した。

パイプスライダージャンプの飛距離は十分に出ていて、両足でゴールに着地したが、その地点が雨の影響で濡れていた。

両足が前に滑り、上半身が後転。すってんころりんと仰向けの姿勢で転倒。体が後ろに転倒し、そのまま後ろの沼地へと吸い込まれてしまった。

滑り落ちた瞬間、一度はつかんでいたファイナルの切符が、中上の手から滑り落ちました。

中上無念。


マリン「雨のせいかー」

結衣「これはちょっと可哀想。」

「結衣ちゃんも雨のせいだったよね。」

「でも私は飛ぶ前に落ちちゃったし。」


アナ「雨の影響ありましたか?」

「そうですね。行けたと思った瞬間に後ろに転んでしまって、気付いたら池の中にいたので、自分でもまだ何が起きたのかわからないです。」

アナ「2大会連続のファイナルは目前でした」

「ファイナルで、前回のやり残しをきっちりやろうと思ってたのですが、悔しいですね。」


実況アナ「高校教師をリストラされて、今回は絵本作家志望という肩書での挑戦でした。」

「中上さん、まだ整理がついてないのはわかると思うのですが、あきらめるか、それともまだこのSASUKEチャレンジ、ファイナルステージクリア目指して続けるか、どっちですか?」


「やらせて下さい…」


「やりたい」

「はい」

「どうしてもやりたい」

「はい」

「何かを犠牲にしてでも?」

「はい」



神戸「俺と同じこと聞くなよ!」


中上の転落を受け、宮崎マリンの3rdステージ挑戦の前にゴール地点の赤いステージが拭かれた。

その間に雨は止んだ。


今日は本業の水泳のため参加はしなかったが応援にかけつけた愛はまだこの時間も残っていた。

「まりん、運良いよね。1stも2ndも3rdも、まりんの挑戦のとき雨は止んでるもん。」

「そうかな。でもこれから雨が降らないかどうかはまだわからないし。」


「あと1stのときはあそこがピンチだったし」

「そうだったね(笑)」



3大会連続ファイナリスト、宮崎マリン。

過去3rdステージに挑戦した7回、すべて最終エリアのパイプスライダーまで到達し、そのうち5回クリアしている。まさに3rdステージには絶対的な自信を持っている。

いざ4大会連続のファイナルステージへ。


この光の3rdステージを抜けて、青く光り輝くファイナルステージの地上22.5メートルのゴール地点に立つものは今夜、現れそうだ。この人からはそんな予感がする。

半年前に0.06秒届かなかったファイナルステージに向けて、完全制覇に最も近い人、しんがりゼッケン100番の宮崎マリンの登場です。

史上唯一の完全制覇者、長谷川健一がファイナルステージ進出を決めた。ファイナル進出は1人なのかそれとも2人か。


さあ宮崎のランブリングダイスがスタートした。このリズム早いぞ、早いぞ。あっという間にランブリングダイスをねじ伏せた。今日3rdステージに挑戦した全選手で一番速そうだ。

ボディプロップ、宮崎にとっては得意エリアだ。しかし雨の影響か、いつもより慎重に進んでいるようだ。1つ目の空白と2つ目のを難なく通過、まもなく3つ目の空白。雨で滑りやすくなっているが、難なくクリアした。

ボディプロップ、さきほどまでの雨の影響で滑りやすかったが宮崎はモノともしなかった。

今夜の宮崎マリンは1stステージと2ndステージをいずれも最速タイムでクリアしました。これは第6回大会以来となる。しかしこのときは1stステージ、2ndステージともにクリア者が宮崎ただ1人という大会でした。

2人以上がクリアしての1st、2ndダブル最速タイムというのは初出場の第4回大会以来となります。このときは宮崎は初出場でファイナルステージに進出。鮮烈なデビューでした。

さあ宮崎にとっても新エリアのカーテンクリングに挑む。3rdステージ最強の人がカーテンクリングに初めて挑んていく。肘の角度をきっちり曲がっている。さあもう3分の2は来た。さすが3大会連続ファイナリスト、新エリアも全く苦にしなかった!カーテンクリングクリア。


宮崎が初出場した第4大会は長谷川が史上初の完全制覇を達成した大会でした。完全制覇した長谷川とともにファイナルに進出した宮崎。

今回長谷川は第4回大会以来のファイナルステージ進出を決めている。この宮崎がクリアすれば、長谷川と宮崎、第4回大会と同じファイナリストの顔ぶれになります。

クリフハンガーにしがみついた。腕は90度に曲がっている。あっという間に1つ目の段差をクリア。2つ目の段差、さすがの宮崎もここは慎重に行くが難なくクリアした。

6つのエリアの4つをクリアしました。残りはジャンピングバーとパイプスライダーの2つのエリア。

さあ3大会連続のファイナリストも未体験の新エリアのジャンピングバーです。5回のジャンプがある。まず1つ、2つ、緑山の夜を宮崎が行く、史上2人目の完全制覇に向かって、さあ5つ目最後のジャンプだ、行ったー。

ジャンピングバークリアしました。グリーンのバーに足をかける。残るはパイプスライダーだ。


今宵長谷川がファイナルステージ進出を決めている。長谷川に続いて2人目のファイナリストとなるのか。

さきほどまで降っていた雨はまた止みました。今回のSASUKEは雨が降ったり止んだりの大変な大会となったが、宮崎は神に愛されたのかこの人の挑戦時はいつも雨は止んでいた。

さあ4大会連続3rdステージをクリアし、ファイナルステージの切符を手にできるのか。パイプスライダーの旅路。さあここだ、下半身を振って反動をつける。完全制覇に向かって、栄光の架橋だー!

難なく着地。4大会連続のファイナルステージ進出!

これでファイナルステージは、史上初の完全制覇者長谷川、そして4大会連続ファイナリスト宮崎、一騎打ちです。


アナ「おめでとうございます」

「ありがとうございます。さっき中上さんが最後の着地に成功したのに落ちてしまってたんで、今回はちょっと慎重の行きました。」

「ファイナルステージ、長谷川さんの一騎打ちとなります。」

「力全部出して、必ず完全制覇します。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

FINALステージ

1.スパイダークライム

2.綱登り


新一郎「すごい2人がファイナルに残ったな」

勝樹「だな。今日は2人とも行っちゃいそうだな」


しかし、ファイナルステージの準備をしている最中に、大型台風接近の影響による雨はさらに強まり、ファイナルステージ開始の時間にはこの日一番猛烈な雨が降り出した。

この日、健一とマリンの挑戦時は1stも2ndも3rdも運の良いことに雨は止んでいる状態だった。

しかし最後の最後でその幸運が尽き、逆風に変わった。


予報では翌日には台風が関東地方に上陸し、明後日までこの雨は止まない予報となっている。

緑山のこの会場を使えるのは明日まで。明日実施できる天候ではない。

やむを得ず大雨の中、長谷川健一と宮崎マリンのファイナルステージは強行された。


愛「これからファイナルやるの?こんなに雨降ってるのに?」

結衣「明日も雨だからもう延期できないんだって」


結衣「雨が降ってなかったら今日は2人とも完全制覇しちゃいそうだったのにな。」

愛「でもあきらめちゃダメだよ」



容赦なく注がれる強い雨。この収録に翌日に台風が上陸するため延期はできません。かつてない過酷なコンディションの中でも、ファイナルステージは実施されます。

ファイナルに挑むのは第4回大会、2人。

史上唯一のSASUKE完全制覇者、一時期は6大会連続の1stステージリタイアというスランプを乗り越えてファイナルステージに帰ってきた。ガソリンスタンド勤務長谷川健一。

第4回大会で初出場でファイナル進出の大旋風を起こし、前回ファイナルステージのゴールにわずか0.06秒届かなかった。現在完全制覇に最も近いと言われる人、ライフセーバー宮崎マリン。

奇しくも長谷川が完全制覇し、宮崎が初出場でファイナルステージに進出したた第4回大会と同じファイナリストの顔ぶれとなりました。

しかしそのときと違うのは、第4回大会と挑戦順が逆になります。

先の挑戦はゼッケン98番、完全制覇者長谷川健一。後の挑戦、栄光のゼッケン100番、宮崎マリン。


上空22.5メートル上空にいるアナウンサーを呼んでみたいと思います。


アナ「はい、朝から雨の影響で中断を挟んで行われた今回のSASUKE。時刻はすっかり真夜中です。あたりを見回しますと、漆黒の闇の中、SASUKEのステージだけが美しく輝いています。夢のゴールでお待ちしております。」


長谷川2度目の完全制覇か、宮崎史上2人目の完全制覇か、それともその両方が達成されるのか。

さあ第4回大会と同じ2人が挑むファイナルステージ。第4回大会とは挑戦順が入れ替わってのファイナルステージ。

まず挑むのは、長谷川健一です。


生まれてきた子供に、再び完全制覇という勇姿を見せることはできるのか。

まずはスパイダークライム12m。そして50cmの間隔を挟んで、10mの綱登りが待ってます。

制限時間は30秒。しかし半分の15秒を過ぎると、スパイダークライムの間隔が動いて広がっていってしまいます。


さあスタートであります。雨の中登っていく。しかしちょっと足を滑らせたか。それでも登っていく。

さすが史上初の完全制覇者。第4回の再現なるか。2度目の完全制覇はなるか。

しかしながら雨の影響かスピードが上がらない。まもなく残り時間は15秒を切る。

15秒を過ぎて、開いてきた、スパイダークライムが開いてきた…。綱登りに手が届きそうもない。M字開脚になってしまった。

なんと長谷川、綱登りに辿り着けず、ここで転落!無念!

2度目の完全制覇の夢は、雨のスパイダークライムに阻まれてしまった。


傘を差しながら長谷川のファイナルステージ挑戦を見守ったマリンは、あまりの雨の強さに顔をしかめる。

「これはきついな。行くしかないけど。」


アナ「雨の中のファイナルステージ挑戦となりましたが、いかがでしたか?」

「雨で滑りやすかったのもあるんですけど、周りが全く見えなかったのも大変でしたね。今回、『パパでも完全制覇』を合言葉にやってきて、それは達成できなかったんですけど、全力は尽くしました。」

アナ「ありがとうございました。お疲れ様でした。」



完全制覇長谷川を退けた雨のファイナルステージ。それを見届け、4大会連続のファイナルステージに挑む。

台風の接近により雨足は強まるばかり。長谷川の挑戦時より雨は強くなった。

この最悪のコンディションの中、今夜も敗れ去った99人の想いを乗せて、宮崎マリンが行く!


完全制覇者、長谷川健一が散りました。99人が消え、今夜も残るはこの人ただ1人。

この凄まじい大雨に人間のチャレンジは無力なのか。いや、この人ならやってくれるはずだ。

前回完全制覇にあと0.06秒まで迫った栄光のゼッケン100番、宮崎マリンが挑みます。

これが4大会連続5度目のファイナルステージ。しかし過去一番過酷なコンディションでのファイナルステージとなります。


制限時間30秒。15秒でスパイダークライムは開いてしまう。手足に滑り止めスプレーをつける。この雨の中、なるべく滑りにくいようにしておきたい。

さあスタート!雨の中、宮崎が登っていく。猛スピード、すごいスピードであがっていく。雨が降っていながらなんだこのスピードは。

…おっと一瞬滑った。それでもまた猛スピードで駆け上がっていく。

残り15秒でボードは開いてします。さきほど長谷川がボードが開いて綱登りに届かなったが…

宮崎はボードが開きながら綱登りに手が届いた。

残り10秒、この雨の中、ものすごいスピード、ゴールは目前。雨の中ゴールに向かっていく!

あと5mほど。しかし無情にも時間は経過していく。残り3秒、2秒、1秒…

…宮崎が急転直下。しかしこの雨の中、ゴールまで残り1mほどまでは行った。

雨さえ降っていなければ、ゴールに届いていたかもしれない。

1stステージ、2ndステージ、いずれも最速タイムで駆け抜けた宮崎も、雨のファイナルに散りました。


雨足と拍手の嵐!この大雨の中、本当に1日よく頑張りました。

また雨足が強くなった。宮崎の悲しみの雨が降り注ぐようだ。


アナ「かなり雨の影響もあったと思います。」

「今回は行きたかったですけどね…。弱かったからダメでした。私の力不足です。」

アナ「お疲れさまでした」

「ありがとうございました」



ファイナルステージの下で挑戦を見ていた結衣と愛は言葉が出ない。

結衣「思わず見入っちゃった」

愛「私も」


愛「雨が降ってなかったら行けてたよね、絶対。」

結衣「うん、行けてたと思う。でもマリンちゃんは雨とか、そういうの言い訳しないだろうね。」

愛「今日のまりんは自然の力に負けたね。」

結衣「マリンちゃんはライフセーバーだから、いつも自然と戦ってる人だよ。このSASUKEでも、障害物というより、自然と戦ってるように思う。だから私はマリンちゃんに憧れたんだ。」


今大会のSASUKEを終え、家路につく挑戦者たち。

結衣「マリンちゃん、お疲れ様。今回も頑張ったよ。」

マリン「うん」


またしても完全制覇に届かず、目に涙を浮かべているマリン。結衣はなんて言葉をかけていいかわからない。

マリン「びしょ濡れになっちゃったから、とりあえずホテルに帰ってお風呂に入りたい。」



第13回大会結果

総合1位:100 宮崎マリン FINAL/綱登り

総合2位:98 長谷川健一 FINAL/スパイダークライム

総合3位:99 中上新一郎 3rd/パイプスライダー(ジャンプ、ゴールの上でバランスを崩し沼地に転落)

総合4位:96 氷川結衣 3rd/パイプスライダー(最終地点)

総合5位:90 中原朋也 3rd/クリフハンガー改(下り段差)

総合6位:71 木村康二 3rd/ボディープロップ

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