第13回 前編
かつて、30cm届かなかった頂点。
前回、わずか0.06秒届かなかった頂点。
今度こそ…
13回目のSASUKEは春と夏の間に行われた。季節外れの台風接近により、雨の中決行された。
この日の緑山の天気は、晴れときどき雨。
土砂降りになったかと思えば、1度は晴れる。さっきまで雨が降っていたのに、日が差すのだ。
しかししばらくするとまた雨が降る。
雨が降ったり止んだりの中、このSASUKE第13回大会は開催された。
史上初、嵐の中のSASUKE、歓喜と悲劇の瞬間が訪れた。
今回も100人の猛者が集まった緑山。その中には
中上「前回の大会後、俺は高校教師をクビになってしまいました。無職です。」
長谷川「無職仲間ができてよかったな、神戸。」
神戸「いや嬉しくないし。」
マリン「おはよう、結衣ちゃん。今回こそは一緒にファイナル行こうね」
結衣「行きたいね。ファイナルステージを見てるだけなのは寂しいよ。」
受け付け
「宮崎マリンさん、ゼッケン100番です。」
マリンのゼッケンは、前回に続いて100番。2回目の栄光のゼッケン100番だ。
「このゼッケンをもらったからには、1stで落ちれないね。」
「マリンちゃんなら1stは楽勝でしょ」
「でも緊張するよ」
大リニューアルされた1stステージ。実に第5回大会以来の大幅リニューアルとなった。
1.プリズムシーソー
2.バタフライウォール
3.三段ローリング丸太
4.クロスブリッジ
5.ジャンプハング
6.ねじれた壁
7.そり立つ壁
8.ターザンジャンプ
9.ロープクライム
制限時間は90秒
ローリング丸太は段差が2つついた三段ローリング丸太にマイナーチェンジ。
さらにそり立つ壁の手前にロープで壁を避けるねじれた壁が新設。そり立つ壁と違って、落水によるリタイアの可能性がある。
まず最初の挑戦者は、キリスト教会のシスター、聖澤マリアが行きます。
さあまずは新エリアのプリズムシーソー、そしてバタフライウォールをクリアしました。
続いてはマイナーチェンジした三段ローリング丸太。おーっとぶら下がって滑っていった。回転せずに滑っていった。こういう攻略法もあるのか。
クロスブリッジ、シスター聖澤マリアー!クロスブリッジクリアした。
さあジャンプハング、シスター聖澤ー!落ちたー。
中川「今回はFINALステージとはいかなくても、最低でも3rdステージのボタンは押したいと思います!」
マリン「3rdステージはボタンないけど」
結衣「時間制限ないもんね」
続いては前回1stステージをクリアしたF1レーサーの豊田麻里です。
前回はゼッケン1番トップバッターでいきなり1stステージをクリアした。
ローリング丸太、段差がついてマイナーチェンジしているが難なく通過していった。
さあジャンプハング、さあ豊田―!?あーっと落ちたー!
女子F1レーサー豊田麻里、今回はジャンプハングでリタイアです。
このあと雨が降り始め、1stステージは中断。30分ほどの中断を経て、再開された。
晴れ間が帰ってきた緑山、44人目の挑戦者は、ゼッケン44番にちなんで、獅子舞がやってまいりました。
獅子舞師、猪瀬一郎です。
さあ獅子舞ー!プリズムシーソーで、あっという間におしまい!
前半の挑戦者は、プリズムシーソーが手前に傾いてリタイアする者が続出。
さらに三段ローリング丸太の段差も猛威をふるった。
この赤いボタンを90秒以内に100人の猛者が目指します。1stステージ、クリアするものは誰か。
ここ2大会連続1stステージをクリアしている筋肉アイドル、中川冬馬の登場です。
今回はファイナルステージとはいななくても、最低でも3rdステージのボタンは押したいと意気込んでおります。
3rdステージにゴールボタンはないというツッコミは御愛嬌としましょう。
中川冬馬が行く。まずは新スタートエリアプリズムシーソー。バタフライウォールも難なく通過した。
続いて三段ローリング丸太、おーっと勢いよく行ったー。
続いてクロスブリッジ、バランス感覚がためされる。あーっとどうした!?
回転する4つの板が行く手を阻むクロスブリッジ。過去2回1stステージクリアの中川までもが沼地に引きずりこまれた。
迫りくる大型台風の影響により、またしても雨が降り出し中断。
まだクリア者なし。続いては60人目の挑戦者。
今大会前に行われたSASUKE予選会、前々回の予選通過者となった水無月裕樹は前回3rdステージまで進出しました。
今回の予選通過者は、中学校教師、山下祐輔です。高校時代はバドミントンでインターハイ出場経験があります。
新SASUKE先生が行く。まずはプリズムシーソー、そしてバタフライウォール。バドミントンで全国出場の実力を見せられるか。
三段ローリング丸太、丸太にまたがって一段、二段、三段、なかなかバランス感覚はいいぞ。続いてはクロスブリッジ、ここも難なく突破していった。
ジャンプハングです。うまくトランポリンでジャンプできるか。行ったー!ロープにつかまった。
続いてねじれた壁、壁をかけあがって横のロープにしがみつく新エリア。ここも越えて行った。
やってきましたそり立つ壁、時間は30秒切っている。一発でクリアした!
最後はターザンジャンプとロープクライム、残りは10秒となる。あとは時間の戦いだ、頑張れ山下!行ったー!
今大会初めての1stステージクリアは、予選会通過者、中学校教師、山下祐輔。
アナ「神戸さん、いい流れが来ましたね」
「そうですね。やっと1人クリアしたので、これから続々行くんじゃないですか。」
70人の挑戦を受けた1stステージ。雨の影響により複数回の中断を余儀なくされた影響で、収録時間が遅れだんだん日が沈んで行きます。
愛知県の消防士、木村康二の登場です。消防士、レスキュー隊の木村。
さあローリング丸太、二段、三段、段差があるが難なくクリア。クロスブリッジここはどうでしょうか。さすがのバランス感覚だ。
ジャンプハングはどうだ。ジャンプ―、そして飛びついた。ここも苦にしない。
ねじれた壁はどうだ。ロープに飛びついた。さすが消防士、ロープの扱いには慣れている。
そり立つ壁、ここは1回で決めたいところ、おーっとツルっと滑ってしまった、1回目は失敗。
残り20秒。2回目はどうだ。あーっと届かない!
残り15秒、ラストチャンスか3回目、登ったー!レスキュー木村登った!
しかし残り10秒を切ってしまった。残るはロープクライム!木村急げ!
残りは5秒、4秒、3秒、あー木村ー!
…押したー!残り0秒06!これは奇跡!奇跡的に間に合いました!
そり立つ壁を登ったところで残りはもう10秒を切っていた。残り時間を考えればもはや絶体絶命だった。
しかしそこから脅威のスピードでロープクライムを登りきった木村。消防士のロープクライムの実力は、我々の想像を遥かに越えていた。
木村康二の奇跡のロープクライムに、会場が沸き、常連有力選手の驚きの声。
長谷川「すげーな消防士。ファイナルまで行ったら高確率で完全制覇しちゃうんじゃね?」
神戸「ファイナルまで行ければだけどな。」
結衣「そこまで行くのにいくつも難関があるのがSASUKEですから。」
マリン「でも今の綱登りはすごかったよね。私より早いと思う。」
70番台で再び雨の影響で1度中断し、80人目の挑戦が終了したころには完全に日没。ここからはナイターでの1stステージとなった。
夜の1stステージ。続いて81番目の挑戦者は、前回3rdステージ進出、学生、水無月裕樹です。
さあ2人目のクリアなるか。前々回は予選会を通過して初めてSASUKEに挑み、1stステージクリアまであと一歩まで迫った。
今回は予選通過者が1人目のクリア。山下の続くことはできるのか。
さあ三段ローリング丸太、クリアした。クロスブリッジも難なく通過。
さあジャンプハングだ。しがみついたー!ここも全く問題ない。
続いては新エリアねじれた壁。そり立つ壁と違って失敗はできない。失敗すると池に落ちる危険性もある。しかしここも水無月は苦にしなかった。
そり立つ壁、残りはまだ35秒ある。助走をつけて、一発で登った!さあターザンジャンプ、1stステージ3人目の成功なるか。
残りはまだ15秒、余裕だ。水無月裕樹、2大会連続1stステージクリア!10秒を残して3人目の1stステージクリア。
続いては初出場、東京ディズニーランドダンスキャスト、市ノ瀬怜です。
さあテーマパークキャスト市ノ瀬が行きます。東京ディズニーランドでダンスをしておりますから、あなたも1度見たことあるかもしれません。
新エリアのバタフライウォール、さあジャンプ。クリアしました。三段ローリング丸太です。1回転、2回転、3回転と回っていった。
クロスブリッジ、ほとんど橋が揺れない。バランス感覚はお見事。ジャンプハングはどうだー。飛びついた。
ねじれた壁からロープをつかむ。そり立つ壁はどうだー、一気に登った。
まだまだ残り30秒、タイムは余裕がある。あとはターザンジャンプとロープクライム。4人目の成功となるか。東京ディズニーランドキャスト、市ノ瀬怜、初挑戦で1stステージクリア。
90番台に入るとマリンが仲間の応援のために並走しに行く。
ここまで89人、成功したのはわずか4人。続いてゼッケン90番、中原朋也が挑む。
芸能界ナンバー1の身体能力、中原朋也が行きます。まずは軽々とプリズムシーソー、そしてバタフライウォールをクリア。
ローリング丸太、今回は段差がついて三段ローリング丸太、三回転、四回転、そして五回転。見事ローリング丸太、そしてクロスブリッジをクリア。
ジャンプハング、中原が飛んだー。なんなくクリア。さあ続いては新エリアのねじれた壁、ロープにしがみついた。
そり立つ壁はどうだ、一発で行ったー。残り時間は25秒。残るはターザンジャンプとロープクライム。
これは5人目のクリアとなりそうだ。中原朋也、5人目のクリア!
「結衣ー」
1stステージ終盤にやってきたのは前回のファイナリスト、競泳オリンピック日本代表の海原愛。
オリンピック直前で水泳に専念するため、今回のSASUKEには出場していないが、今日は練習のあと、合間を縫って応援に来た。
「愛ちゃん、久しぶり。」
「3rdステージが始まるころを狙って応援に来たんだけど、今どこ?」
「実はまだ1stステージなの。今日は雨が降ったせいで何度も中断しちゃって。」
「そういえば雨降ってたね。一度止んだかと思ったらまた降るし。」
「1stステージもさっき90番台に入ったところで、そろそろ私も準備しなきゃいけないな。」
「神戸さんに長谷川さん、中上さん、本当すごい人の集団にいるね。あれ、まりんは?」
「マリンちゃんは90番台に入って、応援のために並走してるの。ほら、今そこにいる。」
結衣はスタート地点の反対側を指差した。そこは並走する人がよくいるとこだ。
「まりんー!応援に来たよー」
「愛ちゃん。オリンピックがあるから出ないって言ってたのに。」
「まりんのこと気になって、応援にだけ来た。」
「それは忙しいとこありがとう。」
93番、前回3rdステージパイプスライダーまで進出した松本信治はそり立つ壁でタイムアップ。1stステージリタイア。
次はゼッケン94番。マリンの並走のもと、春香が行く。
「春香さん、頑張れー!」
「ありがとう。頑張るよ。」
続いては前回久しぶりに3rdステージに進出。第3回大会ファイナリスト、365プロアイドル、小海春香です。
365プロ事務所のアイドルたち、そしてファンたちが声援を送っている。第3回大会でファイナルステージまで進出。あれからちょうど10大会が経った。10大会ぶりのファイナルを目指している。
さあ新エリアのクロスブリッジ。落ち着いて通過した。さあジャンプハング、つかんだー。
ねじれた壁、ジャンプしてロープをつかんだ。夜の空のもと、いつもはドームやアリーナで歌うアイドルが、今夜は緑山を盛り上げる。
そり立つ壁を登って、さあターザンジャンプ。6人目のクリアなるか。365事務所小海春香、アイドルの仲間とファンの拍手喝采手拍子の中、今フィニッシュ!
小海春香6人目の1stステージクリア!
ゼッケン95番、フィギュアスケーター、佐藤静香。
SASUKEにはこれまで5回挑戦し、1stステージクリア率は脅威の100%。未だ1度も1stステージでリタイアしたことはない。
佐藤の目標は3rdステージクリア、そして完全制覇。1stステージなど眼中にない。
「神戸さん、次は佐藤さんが挑戦しますが。」
「余裕でしょうね。」
フィギュアスケートオリンピック日本代表の佐藤静香、1stステージは得意、これまで5度の出場でまた1stステージで落ちたことはありません。
プリズムシーソー、そしてこのリバースフライをあっという間に越えた。
ローリング丸太はお家芸、フィギュアスケート選手の三半規管の強さを披露するとき。今回から2つの段差がついたが全く問題ないでしょう
…あああぁぁぁーーっと!佐藤がローリング丸太でまさか!
油断したか!?前回は初めて3rdステージのランプグラスパーを克服した佐藤、6度目の挑戦で初の1stステ―ジリタイア。
「え!?なんで!?」
並走していたマリンも突然の事態に呆然と立ち尽くす
「こういうことがあるからSASUKEは怖いですね」
佐藤静香のまさかのリタイアは、直後の挑戦者、結衣も動揺を隠せない。
「ちょっと嫌なとこ見ちゃったな。」
「結衣ちゃんなら大丈夫だよ」
「そうだといいけど。」
「結衣、1stは必ずクリアしてね」
愛も声援を送る
「ありがとう。今回はファイナルまで行けるよう頑張るよ。」
残る挑戦者はあと5人、ここまでクリアしたのは6人。
96人目のチャレンジャーは白のシャツと赤のズボンがトレードマーク、埼玉県川越市の神社の巫女、氷川結衣が行きます。
前回は鬼門としては3rdステージクリフハンガーを初めてクリア。今回は悲願のファイナルステージ進出に向けて、まず1stステージ2つの新エリアをクリアした。
さあ三段ローリング丸太、一段、二段、三段。毎日神社の石段で走り込みを行っている氷川。新エリアのクロスブリッジ、ここも全く問題ない。
続いてジャンプハング、一気に飛びついたー。ねじれた壁はどうだ。しっかりロープにしがみついた。
そり立つ壁はどうだ、一発だー!早いぞ氷川、まだ残り30秒ある。やはり氷川にとって1stステージは通過点に過ぎないのか。
ロープクライムもあっという間に登って、今フィニッシュ!なんと20秒残した。ここまで最速タイムで7人目の1stステージクリア!
「結衣はさすがだね」
「うん、1stステージの安定感は結衣ちゃんがナンバー1だと思う。」
フリーター神戸勝樹。第3回大会でファイナルステージに進出し、残り30cmでタイムアップ。その後遠ざかっていくファイナルステージの頂点。
ただ1度のファイナル進出からちょうど10大会となる今回、悲願の完全制覇はなるか。
さあファイナルステージに進出してからちょうど10大会目を迎えた今回、なんとしても再びのファイナルステージ進出、そして完全制覇はなるのか。神戸勝樹の挑戦です。
新エリアのプリズムシーソー、ちょっと危なかった。1度は引退を決意するも、夢捨てきれずこのSASUKEに戻ってきた。
おーっと危ない!クロスブリッジで1度足元をすくわれそうになったが、なんとか生き残った。
さあジャンプハング、あーっと神戸!?まさかのジャンプハングでリタイア。
マリン「神戸さん、スタートしたときから危ないシーンばかりだったもんなー」
プリズムシーソーとクロスブリッジで2度の危ない場面、スタート直後から波に乗れず、過去1度も落ちたことがなかったジャンプハングでドボン。
神戸勝樹、今回は1stステージで終わった。
「神戸君の敵は、俺が取ります。」
「うん、そうだね。長谷川さんなら前回もクリアしてるから、1stステージは大丈夫だよね。」
「でも油断しないようにしないとな」
「今日の目標は、パパでも金、いやパパでも完全制覇です。」
1200分の1、前回までこのSASUKEに挑戦した延べ1200人のうち、ただ1人栄光の頂を知る人。長谷川健一。
第4回大会でSASUKE史上唯一の完全制覇。しかしその後6大会連続の1stステージリタイアという屈辱に塗れた。
前回、その泥沼に終止符を打ち、鬼門の1stステージクリア。4年ぶりの復活に、一目もはばからず涙を流した。
完全制覇達成後に結婚し、翌年生まれた子供は4歳になった。今回は生まれたばかりの第2子も連れての家族全員での応援。
手を伸ばせばそこにいる。妻と子供に勇姿を見せることはできるのか。
目の前で盟友の神戸が散った。神戸の想いも背負ってこの1stステージに行く。バタフライウォールクリア。
さあローリング丸太はどうだ。クリアした。前回は実に4年ぶりに1stステージをクリアした。続いては完全制覇者にとっても初体験のクロスブリッジ。行った行った。
さあ因縁のジャンプハング、飛びついた。そしてそり立つ壁。かつてここでもリタイアしたことがある。さあ行くか、行ったー!一発クリア。
そしてターザンジャンプ、まだ残り時間は余裕がある。前回は残り0.02秒で奇跡のクリアとなったが、今回は余裕を残しての今フィニッシュ!
10秒弱を残してのクリア。長谷川、完全復活だ。
ゼッケン99番を背負うのは、前回ファイナリスト、中上新一郎。
しかし前回初めてファイナルステージに進出する大躍進を遂げるも、半年間教師を休んだ影響で、高校教師を解雇。
職を失った中上は、現在絵本作家を目指して、ゼロからの再スタートとなった。
両手に絵本を見せるように持ってスタート台へ。先生をクビになった元SASUKE先生、現在絵本作家を目指してます。
前回ファイナリスト、絵本作家志望、中上新一郎。
中上新一郎、元SASUKE先生が行く。このSASUKEには第1回大会から出場しています。そして前回ファイナリストの中上にとっても初挑戦のプリズムシーソー、そしてバタフライウォールを越えて、三段ローリング丸太、一段、二段、三段。
続いてクロスブリッジ、ここも新エリアだが落ち着いて越えていった。
さあジャンプハング、元SASUKE先生中上ー!ねじれた壁、このジャンプ!しっかりつかんだ。
現在成功したのは8人。9人目のクリアはなるのか。そり立つ壁、登ったー!
しかし残り15秒、そろそろ急ぎたい。さあロープクライム、時間との戦いだ。残り4秒、3秒、間に合った!
前回ファイナリスト中上新一郎、1stステージ9人目のクリア!ちょっと危なかった。
そしてゼッケン100番、1stステージ最後の挑戦者、宮崎マリン。
前回、3大会連続でファイナルステージに進出。22.5メートルを登りきり、ボタンを押しながら、わずか0.06秒届かず、完全制覇を逃した。
史上2人目の快挙に最も近づいた人が行く。
いよいよゼッケン100番、宮崎マリンの出番だ。しかしそのとき、マリンに異変が!
98番までの挑戦者の並走を行っていたマリンは、99番の中上の挑戦はスタート地点のモニターから見守った。
そして99番中上新一郎が1stステージをクリアを見届け、スタンバイに入ったそのときだった。
「中上さんもさすがだ。これで私も続ければ…」
―やばっ、おしっこしたくなっちゃった。
今回は雨で何度も中断を挟んだため1stステージの収録が長引いた上に、マリンは仲間の並走に夢中で、トイレに行くのを忘れていた。
「こんなときに…。もう私の出番だし、トイレ行けないよ。」
「まりん、ファイトー!」
愛がエールを送る。
「どうもありがとう。愛ちゃん、私もオリンピック応援するからねー。」
―絶対クリアする。最速でクリアして、トイレに行く!
「じゃあ結衣ちゃん、できれば愛ちゃんも、いつもの」
「出発」
「「進行!」」
「発車」
「「オーライ!」」
―進行…進行…おしっこ…
―ダメ!集中しなきゃ!ゾーンに入れば大丈夫だ
SASUKE1stステージ最後の挑戦者は、前回ファイナルステージ、史上2人目の完全制覇にわずか0.06秒届かなかった。
現在完全制覇に最も近い人、ライフセイバー、宮崎マリンが行きます。さあリニューアルされた1stステージに、SASUKEの海猿が行く!
さあジャンプ!SASUKEの海猿がプリズムシーソー飛んでいった。そしてバタフライウォール。
三段ローリング丸太、1回、2回、3回、4回転。あっという間の4回転半。クロスブリッジ、一気に抜けていった。
ジャンプハング、飛びついた。ここまでは全く危なげない。
―やばっ、さっきよりおしっこしたくなってきた。いつもなら次そり立つ壁なのに、今日はその手前にもう1エリアあるんだよな。ダメだ。集中しないと!
ねじれた壁、ジャンプ!飛びついた。まさにSASUKEの海猿。そり立つ壁は一発!
まだ40秒もある。これはものすごいタイムが出そうだ。ロープクライムもあっという間に登っていく。宮崎マリン最速タイムで1stステージクリア!なんと30秒も残した!驚異の最速タイム。
「やった。最速タイムだ!」
そして安堵した瞬間、マリンのゾーンが切れた。
「池に落ちなくてよかった。」
しかしマリンの池の水は氾濫寸前である。
―うわー、めちゃくちゃおしっこしたい。もう限界。早くトイレ行かないと。
「圧巻の最速タイムでした」
「はい。今回はなんとしても完全制覇したいと思います。」
―トイレに行きたいから急いでたなんて言えない。おしっこ我慢してることバレてないよね?
「2ndステージも頑張って下さい。」
「すごーい」
「早すぎるよ」
結衣と愛が向かい入れる。しかしマリンは今大ピンチ。
「あの…、お…」
「おしっこ…」
「えー!?」
「もう漏れちゃう。先にトイレに行かせて。」
「それは大変、すぐに行こうね。」
会場トイレ前
そこは長い行列があった。
さきほど1stステージが終了したため、それに合わせて多くの選手と観客がトイレに駆け込んだのだ。
1stステージ最後の挑戦者、100人目の挑戦が終了したタイミングで多くの人がトイレに向かったのだ。
その100人目の挑戦者とは…
「私だ。みんな私の1stステージを見届けた直後にトイレに行ったんだね。」
つまり、1stステージ最後の挑戦者、ゼッケン100番の挑戦者がクリアした瞬間、1stステージのゴール地点にいて、その後インタビューを受けていたマリンは、
1stステージは最速タイムでクリアしたが、1stステージ終了直後のトイレ争い、完全に出遅れた。
「そんな…、もう限界なのに…」
限界のマリンはその場にしゃがみ込む
「もうダメ…、おしっこ漏れちゃう…」
「マリンちゃん、ごめん、恥ずかしいかもしれないけど、こうするしかない。」
結衣が大声で叫ぶ
「マリンちゃん、漏れそうなんだって。皆さん、マリンちゃんに先におトイレさせてあげてくれませんかー」
「う!?」
マリンは顔を真赤にする
「それは大変ですね。さっきいいもの見せてもらいましたから、お先にどうぞ。」
「いえ、そんな、申し訳ないです。」
愛「まりん、先にさせてもらいなさい。」
結衣「そうだよ。今日はファイナルまで行って、完全制覇するんでしょ。その前に漏らしちゃったら大変だよ。」
マリン「うん、わかった。皆さんありがとうございます。」