第11回
SASUKEを引退した神戸。
自宅のセットも取り壊し、SASUKEを忘れ、まじめに就職活動に取り掛かっていた。
しかし、何もかもやる気が起きず、アルバイトもまととに手がつかない。
今の自分はいったい何をしてるんだろう。何をしたらいいんだろう。
先日長谷川に話した。
もしSASUKEに出会ってなければ、今でも運送トラックドライバーでいられた。SASUKEに出会ってなければ、今でも長谷川の務めるガソリンスタンドで毎日ガソリンを入れていた。
それでも自分はSASUKEをやったことを後悔していない。そしてこれからも絶対に後悔したくない。
このままSASUKEをやめてしまえば、いつか必ず後悔すると思った。
1度やめると言って、男が一度言ったことをたった数ヶ月で変えるのはかっこ悪い。そんなこと言ってたら必ず後悔する。
かっこ悪くていい。自分に正直でいたい。
もう一度、SASUKEに挑戦したい。
わずか半年での引退撤回。神戸は復帰を決意した。
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この日、海の家の補修をしていたマリン。壊れて板などが出っ張っているところに一時的にガムテープを貼る。
ガムテープはあくまで一時的な処置。
「ここはもう危ないから修理に来てもらったほうがいいね。」
「そうだね。」
「そういえばもうすぐSASUKEの収録だよね、まりんちゃん。」
「はい、もうすぐですね。」
「今回は完全制覇できるんじゃないですか」
「いや、そこまでは自信ないです」
「でも前回はファイナルステージまで行ったじゃないですか」
「といっても今回もファイナル行けるとは限らないし、でも今回はファイナルまで行けたら、自信持っていこうかな。」
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「おはよう、結衣ちゃん。」
「おはよう、マリンちゃん。」
「いつもこの日、結衣ちゃんに会える日が楽しみだよ。」
「そんな…、照れるな。」
「神戸さんもいる」
「あれ?本当だ。神戸さんって引退したんじゃなかったの?」
「別に驚くことじゃないよ。私はなんとなくわかってたよ。神戸さん、やっぱり簡単にはやめられないんじゃないかって。」
「ということは、引退撤回したんだ。」
「そうだろうね。でも嬉しいな。やめなくてよかった。」
「今日は合宿のときに買った必勝祈願のお守りも持ってきたよ。」
「私もちゃんと持ってきたよ。」
「子供のころ、結衣ちゃんがくれた思い出のお守りも毎回持ってきてるんだ。池に濡らすわけにはいかないから、挑戦するときは身につけてないけど。」
「それ今日は私も持ってきてる。まりんちゃんがくれた約束のお守り。」
「私たち、こうして再会できたのもSASUKEのおかげだよね。」
鞄からいろんな品を取り出すマリン。そのとき、結衣はマリンの鞄の中から謎の物体を見つけた。
「ねえマリンちゃん、これは何?」
「あ!海の家の補修に使ったガムテープ、鞄に入れっぱなしでうっかり持ってきちゃった。こんなの持ってきても意味ないよね。」
「いや、今日のSASUKEに使えるかもしれないよ。」
「使わないよ。」
わずか半年で帰ってきた。神戸勝樹、引退撤回である。
「また戻ってきちゃったな。これでいいんだ。」
今回は無職じゃない。アルバイトとはいえ、ちゃんと職についてSASUKEに戻ってきた。
「長谷川はいないのか。あいつはやっぱり引退しちゃったんだな。」
とはいえ長谷川はもう目標を達成してしまった。ここでやめても悔いはないのだろう。
俺は違う。ファイナルステージの頂に登るまで、俺はSASUKEをやめることはできない。
神戸は自分の鞄をあけると、あるものを見つける。
「ガムテープじゃん。こないだ建設業のバイトで使った奴を、そのまま鞄に入れっぱなしで持ってきちまったのか。まあ、このくらいあってもかさばらないし、別にいいか。」
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1stステージは第3エリアがリニューアル。ダースブリッジがバランスブリッジに変わった。
1.5段跳び
2.ローリング丸太
3.バランスブリッジ
4.ジャンプハング
5.そり立つ壁
6.ターザンロープ
7.ロープクライム
制限時間85秒
今年もSASUKEの季節がやってまいりました。全国から集まった100人の猛者が完全制覇を目指します。
まず最初の挑戦者は、神戸裕治。神戸と書いて「ごうど」と読みます。
五段跳び、おーっと足を滑らせた!ゼッケン1番、初陣飾れず。
神奈川県川崎市、東急東横線元住吉駅の商店街の八百屋さん、佐々木翔太です。ネギ、白菜、大根を売っている八百屋。
まずは五段跳びクリア。続いてローリング丸太、八百屋の店長が回っていく。
さあバランスブリッジ、東急東横線元住吉駅の八百屋が渡っていく。続いてジャンプハング、川崎市、元住吉駅の八百屋、飛びついたー。八百屋の店長、普段何しているのか。
白菜も応援しているぞ。野菜たちも応援しているぞ。さあそり立つ壁までやってまいりました。たまねぎ、白菜、ネギが応援している!
…初出場ながらジャンプハングをクリアした佐々木翔太。そり立つ壁は越えられず、惜しくも1stステージリタイア。
アナ「中川さん、今のところまだ誰もクリア者が出てないんですよ」
「俺が最初に赤いボタンを押します!」
2回目の出場、筋肉アイドル、中川冬馬が行きます。さあアイドルのが最初のクリア者となるのか。
このSASUKE出場にあたりまして、SASUKEの歴史を変えると意気込んでおります。ローリング丸太は見事クリア。
前回はそり立つ壁でタイムアップ。2回目の出場で初の1stステージクリアはなるか。
SASUKEの歴史を変えることはできるのか。さあジャンプハング。中川冬馬、しがみついた!見事にしがみつきました!
さあそり立つ壁。前回の雪辱となるか、おーっと失敗。2回目、惜しい。
3回目のチャレンジ。届いた!しがみつきました!さあ残りは20秒、時間との戦いになる。
さあ初めての1stステージクリア者となるか。41人目の挑戦者で、初めての成功者となるか。残り3秒、残り2秒、おーっと行った!
1stステージ初めてのクリアは中川冬馬!前回苦渋を飲んだそり立つ壁にリベンジし、見事今大会最初のクリア者となりました!
続いての挑戦者は、SASUKE予選会1位通過で、SASUKEの出場権を獲得しました。初出場、学生の水無月裕樹です。
SASUKE予選通過者の水無月裕樹が行く。5段跳びはあっさりクリア。
さあローリング丸太はどうだ。小学校時代は野球のリトルリーグで県大会ベスト4の経験があります。
予選2位通過の自衛官はここでリタイアしたが、水無月はローリング丸太クリア。SASUKE出場のために過酷なトレーニングに耐えてきた。
バランスブリッジ、おーっと、危なかった。一瞬ヒヤっとしました。
ジャンプハングはどうだ。飛びついた!上に登る。上から行く。ジャンプハングクリアしました。
そり立つ壁、SASUKE予選1位通過。予選会で敗れたものの分まで!おーっと1回目は失敗。
残り30秒、おーっと届かない。焦ってはいけない。そり立つ壁3回目…届いた!
しかしまもなく残り10秒、時間との戦いだ。SASUKE予選会を勝ち抜いた水無月裕樹、時間がない。
残り3秒、2秒、1秒…。残念!
SASUKE予選会を勝ち抜いて、悲願のSASUKE初出場を果たした水無月裕樹、初の1stステージクリアにあと一歩届きませんでした。
アナ「初めてSASUKE、1stステージクリアまであと少しでした。」
「楽しかったです。夢でしたね。SASUKEの舞台に立つのがずっと夢だったので。楽しかったけど…」
「めっちゃ悔しいです。応援してくれた家族と、予選会の仲間のために、1stステージクリアという結果を届けたかったです。」
人目もはばからず悔し涙を流す裕樹。それを見て観客席の詩織も泣きそうになる。
アナ「またのチャレンジお待ちしてます。」
「はい、次こそは必ずクリアします。」
詩織「お疲れ様。頑張ったよ。」
裕樹「SASUKEに出れたのも、姉ちゃんのおかげだよ。ありがとう。なんていうか、負けて悔しいって思えるものができて幸せだよ。」
水無月裕樹の挑戦は、まだ始まったばかりだ。
ここまで海原愛を始め6人がクリア。
SASUKEファイナルステージのゴール地点。今回ここを見据えている人の登場です。
フィギュアスケート日本代表、佐藤静香。ジャンプの魔術師の登場です。
目標の3rdステージクリアのために、この1stステージで落ちるわけにはいかない。五段跳びはさすがにお手の物だ。
ローリング丸太、ものすごい回転!ものすごい回転!しかし大丈夫だ。フィギュスケーター、三半規管には自信がある。
バランスブリッジをクリアしてジャンプハング。飛ぶついた!そして上から行く。
さあ最大難関そり立つ壁であります。一発!
そしてターザンロープ、ロープクライム。登っていく、残り15秒、これは余裕がある。ちょっと腕は限界に来ているが余裕がある!
残り10秒を残して7人目の1stステージクリア!
1stステージ97人目の挑戦者、赤い衣装がトレードマーク。ファイナルステージの赤い鳥居の先を目指して。
埼玉県川越市の神社の巫女、氷川結衣です。
1stステージは現在4大会連続クリア中。SASUKEナンバー1とも言っていい安定感を誇ります。横ではこのあと99番で挑む宮崎マリンが並走している。
バランスブリッジ、さすがバランス感覚はトップクラスだ。
さあジャンプハング。がっちりグリップ!そして上から攻める、上によじ登って転がっていく。
そり立つ壁。残りはまだ40秒ある。神社の石段登りで鍛えた足腰で一発で登ったー!
残りはまだ30秒余裕があるぞ。ターザンロープ、そしてロープラダーを登っていく!
残り15秒、最速タイムで8人目クリア!
ゼッケン98番、第9回大会の最優秀成績者、高校教師中上新一郎が9人目の1stステージクリア。
「みんなすごいね。私も負けてられないよ。」
「出発」
「「進行!」」
「発車」
「「オーライ!」」
1stステージ、ここまでのクリアは9人。残るは2人。
前回ただ1人ファイナルステージに進出した人の登場です。SASUKE第4回、10回大会ファイナリスト、ライフセーバー、宮崎マリンが行きます。
SASUKEの海猿が行く。まずは五段跳び、五大大陸縦断アドベンチャーを渡っていった。続いてローリング丸太、ここもがっちり危なげがない。
さきほどクリアした氷川結衣が横で並走している。さあジャンプハング。がっちりグリップ!今回は上から行く、今回も上から転がっていく。
さあそり立つ壁も無駄なくクリアすることができるか。肉体を惑わす脅威の円周率。一発クリア!
ターザンロープ、ここはファイナルステージ対策の綱登りの練習も生きそうだ。残り10秒でロープクライム、これは大丈夫だろう。警告音は鳴っているが大丈夫だろう!
ライフセーバー宮崎マリン、1stステージ10人目の成功。
そしてゼッケン100番、神戸勝樹。
これが最後の挑戦と決めて、引退を表明して臨んだ前回、まさかのそり立つ壁でリタイア。そして自宅のセットも壊し、SASUKEとは無縁の生活を送った。
しかしやっぱり夢をあきらめることはできなかった。セットを組み立て直し、わずか半年、神戸は復帰を決意した。
1度は引退を決意するも、夢捨てきれず引退を撤回してまいりました。ひとりぼっちの孤独な挑戦です。
今回は無職ではなく、フリーター、アルバイターの肩書きで出場。ゼッケン100番、職業SASUKE、神戸勝樹です。
帰ってきた神戸勝樹の第2章が幕を開けた。五段跳びを難なくクリアしローリング丸太。11人目の1stステージクリア者となれるのか。
バランスブリッジ、ここも問題ない。ジャンプハング、一呼吸置いてから。ガッチリグリップ話さない。神戸は下から行く、下からぶら下がっていく。
そして問題のそり立つ壁だ。前回の悪夢を振り払いたい。おーっと1回目は失敗。焦ってはいけない!さあ2回目、届いた!
さあ残り時間はまだある。今回はタイムアップは許されない。最後のロープクライム。これは行くか、これは行くか。クリアしたー!
やりました!もうタイムアップはできない。残された時間を有効に使っていきました。
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1stステージクリアは11人
2ndステージ
8.ロープグライダー
9.スパイダーウォーク改
10.バランスタンク
11.逆走コンベア
12.ウォールリフティング
制限時間70秒
1stステージ終了後、通り雨があった。20分ほど開始を遅らせての2ndステージ。
第2ステージ、まず華を切って登場するのは、中川冬馬です。
さあまずロープにしがみついていきましたロープグライダー。ちょっと1本目から2本目への移行に手間取っている。ロープの移行に手間取ったが陸地に着地した。
さあ続いてはスパイダーウォーク。筋肉アイドル中川にとっても未知の体験ゾーン2ndステージ。
滑り止めをつけて飛び出していくスパイダーウォーク。おーっと滑っている。ここは慎重に。左右にへばりついて進んでいくが、滑っている。かなり地下足袋が滑っているようだ。
なんとか向こう岸までたどりつきたい。ここは辛い展開になった中川。中川が手こずっている、中川が手こずっている、しかしあともうちょっとだ・・・。あーっと中川転落!
中川冬馬は2ndステージ、スパイダーウォークでリタイアです。
マリン「これかなり滑るね」
結衣「さっき雨が降ったからかな」
続くモブ男、モブ女など2人がスパイダーウォークでリタイア。
神戸「かなり滑ってるな。こんな滑るんだ今回のスパイダーウォーク。」
結衣「みんなスパイダーウォークで滑ってるね。そこは特に気をつけないと私も滑り落ちちゃいそう。」
マリン「ねえ、いいこと思いついたかも。」
結衣「何?いいことって」
結衣との会話中、マリンが奇策を思いつく。
「今朝、ガムテープを持ってきてること言ったでしょ?これを靴の下に貼って、ゴミがつかないようにして、スパイダーウォークの手前で剥がせば、滑りにくくなるんじゃないかな?」
「それすごいいい作戦じゃん。うっかりガムテープ持ってきててよかったね。」
「いや、リスクもある。」
「へえ、どんなリスク?」
このガムテープ作戦は、同じくうっかりガムテープを持ってきていた神戸も思いついていたのだ。
「靴にガムテープを貼って、スパイダーウォークに行くまでにゴミがつかないようにする。スパイダーウォークの手前で剥がせば、ゴミがついてないから滑りにくくなるんじゃないかな。」
だがこのガムテープ作戦にはリスクもあるのだ。マリンが話を続ける。
「スパイダーウォークの前でガムテープを剥がすことになるから、その作業には必ず多少の時間はかかる。その時間は、どんなに短く見積もっても5秒はタイムロスするだろうね。靴に滑り止めスプレーをかける時間も入れたら、もっとかかるかもしれない。」
「5秒か。そのくらいならマリンちゃんなら挽回できるんじゃないの?」
「いや、私ウォールリフティングが一番自信ないから。私小さいからパワーなくて、ウォールリフティングが一番苦手って前に言ったよね。」
「そうだったね」
「第7回はウォールリフティングが持ち上げられなくてタイムアップしてるし、2ndステージはクリアした回もそんなにタイムに余裕ないんだよね。2ndステージの5秒って、私にとっては結構大きいんだ。挽回できる自信はないな。」
前回、2ndステージ最終エリアタイムアップのリベンジはなるか。競泳の日本代表、海原愛が行きます。
さあまずはロープグライダー、すばやく1本目から2本目に移行したい。
ここまでまだ2ndステージクリア者はゼロ。この人が初のクリアとなるのか。
さあスパイダーウォーク、今大会はこのスパイダーウォークでかなりの人が苦しめられている。おーっとやはり滑るのか。靴が滑ってなかなか思うように進めない。
しかしあとちょっと・・・。たどりついた!スパイダーウォーククリアしました。
続いてはバランスタンク・・・おーっと転落!スパイダーウォークで時間がかかりすぎたことで焦ったか。足を滑らせ、タンクが先に行ってしまった。
さらにモブ夫は逆走コンベアでタイムアップ。11人中6人が挑戦し、未だクリア者ゼロ。
続いてはフィギュアスケート、佐藤静香が行きます。
まずはロープグライダー。ここまで6人連続、2ndステージクリアがいないという状況を打破できるのか。1本から2本目に移行した。ここはタイムのロスがない。
続いてスパイダーウォーク、しっかりと滑り止めを塗っていく。まず上に行って、平行移動。そして下りだ。ここは滑りやすい、ここは慎重に行け!クリアしました。
バランスタンクはどうだ。難なくタンクを転がして渡っていった。さあ逆走コンベア、まだ残りは20秒ある。初のクリアなるか。
そしてウォールリフティング、午前7時の商店街、最初のクリア者となりそうだ。3枚目のシャッターを開けて今クリア!
6人続いた悪しき連鎖を断ち切り、佐藤静香、7人目にして今大会初の2ndステージクリア!
マリン「静香さん、さすがですね。」
このいい流れに乗れるか。続いては埼玉県川越市の巫女、氷川結衣です。
ロープグライダー、このあたりはお手の物だ。難なく1本目から2本目に移行して着地。
続いてはスパイダーウォーク。今日はこのスパイダーウォークでかなりの挑戦者が苦しめられている。
…佐藤と同じく下りのスパイダーウォークを慎重に攻めた結衣。だがさすが2ndステージ常連、難なくクリア。
実況「さあこれは行ったも同然か。ウォールリフティング、3枚目をきっちりあげてクリア。」
高校教師、中上新一郎の登場です。
この春卒業する生徒たちに最後の勇姿を見せられるか。ロープグライダーをクリアして、続いてはスパイダーウォーク。ここで今日3人が呑み込まれた。
滑り止めスプレーを入念につけて上っていく。そして平行移動のあと、下りだ、下りが滑りやすい。
中上も下りのスパイダーウォークを慎重に攻め、クリア。
バランスタンク、逆走コンベアをクリアし、ウォールリフティング。中上新一郎、3人目のクリア。
「私、やっぱりガムテープは使わないことにした。タイムロスするリスクのほうが大きいと思った。」
「そう。マリンちゃんがそう言うなら、私はそれが正しいと思う。」
2ndステージ、6人連続リタイアのあと3人連続のクリア。残る挑戦者はあと2人。前回ファイナリスト、SASUKEの海猿、宮崎マリンが行きます。
ロープグライダー、ジャングルの猿のように飛び出して行った。2本目のロープ、無駄なく移行していった。
さあスパイダーウォーク。手だけに滑り止めスプレーをつけて登っていく。
思いついたガムテープ作戦を実行せず、滑り止めを手にしかつけずに危険地帯に入っていったマリン。その判断は間違ってなかった。
滑りやすい下りもほとんど苦にせず落ち着いてクリア。バランスタンクも躊躇なくクリア。
時間をたっぷりと残して逆走コンベア。残り20秒、ウォールリフティング、ここはパワー不足で苦手と言っていたが練習の成果が出たか。50kgの3枚目の壁も今回は軽々持ち上げてクリア。
11秒を残してクリア。ここまでの最速タイムです。
1度は引退宣言をし、自宅のセットを撤去しながらも、引退撤回後、再びセットを復元し、アルバイターとして帰ってきた人。しんがり神戸勝樹の登場です。
そして神戸は滑りやすい下りのスパイダーウォーク対策として、足にガムテープを貼ってまいりました。
さあ神戸早い。このロープグライダー、無駄なく2本目もクリアしていった。ここまではいいペースで来ている。
さあここから神戸が対策したのは、スパイダーウォークです。ここで靴の裏にゴミがつかないようにガムテープを貼ってきた。ここでそれを剥がしてからスパイダーウォークへと向かっていく。
ガムテープを剥がして、その靴に滑り止めスプレーをつけていく。おーっとちょっと時間がかかっているか。残り40秒を切ったが大丈夫か。まずは上に上がっていく。早いぞ早いぞ平行移動。
そして下り、ここでガムテープの力が出るか。ここからは時間との戦いになった神戸。
残り15秒でバランスタンク。ちょっと時間がないぞ。逆走コンベア、残り10秒を切ってしまった。時間がない。前半に時間をかけすぎた。ウォールリフティング、2枚目をあげたところでタイムアップ!
神戸、スパイダーウォークの前で時間をかけすぎたか。
神戸のタイムアップを間近で目撃したマリンと結衣
「ああ、やっぱり時間かかりすぎたか。」
「危なかったね。マリンちゃんもガムテープ貼ってたらあんな風になってたのかな。」
「5秒どころじゃなかったよね。15秒くらいはタイムロスしてたと思う。」
まさかのタイムアップに肩を落とす神戸
「ガムテープうまく剥がれなかったですね。やることがことごとく裏目に出るな。」
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3rdステージ進出は4人
13.ランブリングダイス
14.ボディプロップ
15.ランプグラスパー
16.クリフハンガー改
17.パイプスライダー
3rdステージはクリフハンガーがリニューアル
段差が上り段差と下り段差の2つになり、上り段差は30cm、下り段差は45cmとなった。
3rdステージ、腕力の修験道が広がっています。まず端を切って登場するのはフィギュアスケーター、佐藤静香です。
この佐藤静香の鬼門はランプグラスパー、前回・前々回と泣きを見ております。なんとしてもランプグラスパーまで腕力を温存しておきたいところ。ランブリングダイス、回転させていく。やや時間はかかったが着地地点にたどりついた。
続いてはボディプロップ。佐藤は過去まだこのボディプロップで沼地に落下したことはありません。第1の空白、第2の空白を越えて、苦しい横歩き、横歩き、さああと少しだ。まずはボディプロップをクリアしました。
そしていよいよランプグラスパー。豆電球に見えるこの突起部分。ここをクリアすれば過去の自分を一歩越えることができます。
さあ意を決して出ていきました。腕を鍵型に曲げています。さあ中盤まで差し掛かった。あーっと危ない。なんとか踏みとどまったが苦しそうだ。さあ行け佐藤、佐藤頑張れ、佐藤頑張れ。あともうちょっと。
…あーっと!最後の最後。あと2つの電球を残すのみだった。これは悔しい。
佐藤静香、三たびランプグラスパーに屈した。しかし前回、前々回より5mほど前進。これは価値ある前進だった。
3rdステージの赤い鳥居がこの人を待っている。史上最強の巫女、氷川結衣の登場です。
3rdステージ進出は今回が5回目。しかしこの氷川はクリフハンガーが鬼門です。今回このクリフハンガーはリニューアルされている。
まずランブリングダイス。鉄の塊をコロコロを転がしていく。いいテンポだ無駄がない。無駄な腕力を使わずランブリングダイスをクリアした。
続いては最初の難関ボディプロップ。氷川自身も第7回の大会で苦い思い出があります。さあ2つの空白を越えて、3つ目の空白も越えていった。まだ余裕がある。まだ余裕がある。
続くランプグラスパーもクリアし、鬼門のクリフハンガーへ。今回はクリフハンガーはマイナーチェンジが施されている。段差が上りの段差と下りの段差の2つになりました。
さあ過去3度敗れたクリフハンガーへ、まずは上りの段差30cm、肘は鍵型に曲がっている、そして下りの段差45cm、下りはどうだ。あーっと転落。氷川、またしてもクリフハンガー、越えることはできなかった。
結衣「半年間、クリフハンガー、そして3rdステージクリアのために練習してきたんですけど、今回はリニューアルされてたんで、そこがきつかったですね。」
1時間、2時間目の授業をクリアし、3時間目の授業は、徹底的に上半身二の腕を酷使する時間です。
高校教師、中上新一郎です。前々回大会、この3rdステージのエリアを最も進んだ人。
まずはランブリングダイス、順手と逆手で転がしていく。あとわずか、画竜点睛を欠いてはいけない。
さあボディプロップ。一瞬スタートでつまずいた。おっと苦しそうだ。あーっと2つ目の空白で転落。
中上先生、今回はボディプロップでリタイアです。
11回目を迎えた今夜のSASUKEも99人の夢が潰え、最後の挑戦者を迎えました。
第6回大会、ただ1人3rdステージに進出。そして前回、ただ1人ファイナルステージに進出。三たび最後の1人となって、99人の無念を背負って挑みます。
ライフセーバー、SASUKEの海猿、宮崎マリンです。
佐藤が消え、氷川が消え、中上が消え、残るはこの人ただ1人。第6回大会では100人中ただ1人の1stステージクリア者となったことがある。99人の無念を背負うのは慣れっこだ。
ランブリングダイスを素早く通過し、ボディプロップ。
3rdステージ進出は5回目。過去4回うち2回クリア、2回は最終エリアパイプスライダー。つまり3rdステージに進出すれば必ず最終エリアまではたどりついております。
ボディプロップ、ランプグラスパーを難なくクリアし、難関クリフハンガーへ。
過去まだクリフハンガーで落ちたことはありませんが、今回はクリフハンガーはマイナーチェンジされている。段差は2つになった。上りの段差30cm、下りの段差45cm。
さあ出ていきました空中電車道。まずは上りの段差、上にあがる段差は30cm、さあこのあとは下りの段差は45cm、下りが厳しい、上り以上に各選手を苦しめています。
下りが厳しい・・・、おーっと越えた越えた。あともうちょっと、あともうちょっとだ。宮崎クリフハンガークリア!
宮崎にとっても初体験の段差2つのクリフハンガーをクリアした。いよいよパイプスライダーであります。宮崎マリン、2大会連続で3rdステージを制することができるか。
パイプの持ち方は順手と逆手。左順手、右逆手。さあパイプスライダー前半の旅路、なんだこのパイプスライダーの速さは!前回の3rdステージよりもパイプのスライドが速い。
ここでグリーンのバーに足をかけた。まだ余力は十分ありそうだ。2大会連続のファイナルは目前です。
さあまた一気にパイプをスライドさせて行った。さあ天国と地獄を分ける最後の審判。行ったー!
宮崎マリン、2大会連続、3度目の赤い絨毯に着地!2大会連続のファイナルステージ進出。
アナ「いよいよ3回目のファイナルステージです」
「初めて出たときと、前回は自信なかったんですけど、今回は自信持っていきます。」
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18.FINALステージ
スパイダークライム
綱登り
ファイナルステージ、至高の頂、目指すことを許されたのはただ1人。
前回あと少しのところで涙を呑んだ宮崎マリンが行きます。
さあいよいよ7大会ぶり、史上2人目の完全制覇はなるのか。制限時間は30秒。
宇宙への脱出をかけて。宮崎が登っていく。スパイダークライム5メートル登った。そして10メートル。
綱登りへ移行した。残りがまもなく10秒になる。行けるか宮崎。頑張れ宮崎。史上2人目の完全制覇はなるか。
登れるか、登れるか…、登れなかったー!タイムアップ、ロープが切れた。
残り1メートルほどだった。宮崎無念。完全制覇はならず。
愛「マリン…もうちょっとだったのに…」
結衣「行けると思ったんだけどな」
下では一緒に見守っていた氷川結衣と海原愛が話す
愛「そう簡単に完全制覇できないってことなんだね」
結衣「だからこそ挑戦しがいがあるんだよ。愛さんにもわかるんじゃないかな。」
愛「私も水泳やってるときはそういう気持ちになることあるね。」
「2大会連続のファイナルはいかがでしたか?」
「今回は自信持って、上まで行きたかったんですけど、すいません。」
「また次回、期待しています。お疲れ様でした。」
「ありがとうございました。」
11回目の祭典、100人の夢、かなわず。
第11回大会結果
総合1位:99 宮崎マリン FINAL/綱登り
総合2位:97 氷川結衣 3rd/クリフハンガー改(下り段差)
総合3位:95 佐藤静香 3rd/ランプグラスパー
総合4位:98 中上新一郎 3rd/ボディプロップ
総合5位:100 神戸勝樹 2nd/ウォールリフティング(2枚目タイムアップ)