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第10.5話 予選会

第10回大会と第11回大会の間

再び結衣の住む街、川越に来たマリン。今日は結衣の務める神社で巫女さんの手伝いだ。


「結衣ちゃんと一緒にSASUKEに出てる宮崎まりんです。お久しぶりです。」

「小学生のころ結衣と一緒に遊んだまりんちゃんね。結衣から聞いてるよ。次のSASUKE完全制覇は絶対まりんちゃんだって。結衣もSASUKEに出てるんだから、自分が目指しなさいって言ったんだけどね。」

「でも、私はまだマリンちゃんにはかなわないよ。ファイナルステージまで行ったことないし。」

「私もまだまだです。まあ、次は一番上、目指したいですけどね。」


「結衣ちゃん、いつもこんな可愛い衣装着てるんだ。いいな~。」

「そんなに動きやすい服じゃないんだけどね。マリンちゃんの巫女服も似合ってるよ。」

「ありがとう」


神社

「あれ?あの人宮崎さんじゃない?」

「誰?」

「SASUKEの宮崎マリンさん。この前の大会ではファイナルステージまで行った。氷川さんもいるし、あの2人が揃ってるなんてすげー。」


SASUKEの常連選手2人が巫女をやってるという噂を聞きつけると、神社には人だかりができた。

話しかけてきたのはとある参拝客


「宮崎さん、今日はなぜこの神社にいるんですか?」

「少し前から結衣ちゃんと私は、SASUKEに向けた練習合宿として交互にお互いの街に来てるんです。今日は合宿のついでに、巫女さんの体験をしたいなと思って。」

「へえ、合宿か。まるで部活みたいですね。」

「合宿…」


私、結衣ちゃんと中学や高校で同じ部活の部員になれてたらよかったなって思ったことあるんだよね。これは夢がかなったのかな。


また別の参拝客には

「氷川結衣さんと宮崎マリンさん、2人ってなんかSASUKEの始まるずっと前から出会ってたみたいな距離感ありますよね。」

「そうそう。幼馴染みたいな。」

「え!?」


このお客さん察しがいいな。私と結衣ちゃんのことは、いずれドキュメンタリーとかで話さなきゃいけないかなと思ってるけど。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

神戸と長谷川の出会いは、長谷川の勤めるガソリンスタンドだった。

長谷川はガソリンスタンドの店員として、運送トラックドライバーの神戸はそのガソリンスタンドでガソリンを入れる客として、SASUKEが開始される前から会っていたのだろう。

SASUKEに出場するまでは話したこともなかった2人。SASUKE第1回大会の翌日、ガソリンスタンドで再会してから始まった2人の友情。

そしてそれは、長谷川が史上初のSASUKE完全制覇を成し遂げた第4回大会のあと、終わりを迎えた。


リストラに遭って職を失い、それでもSASUKEのトレーニングのため再就職をせず、無職でSASUKE出場を続けてきた神戸勝樹。

だがその生活も限界になり、とうとう第10回大会を最後に引退を決めた。

SASUKE第10回大会、1stステージ そり立つ壁でリタイアし、神戸のSASUKEが終わった。


…終わったはずだった。

とある日、神戸は車である場所に向かった。


この日もいつものようにガソリンスタンドで働いていた長谷川。

黒い自家用車でガソリンスタンドに入ってきた。


「長谷川君ー、俺の車にガソリンを入れてくれないか?」


「あのー、こんなのは指名するものではないんですけど。ていうかなんで僕の名前知ってるんですか?」


そこにいたのは・・・


「神戸!」


神戸は運送トラックドライバーをリストラされて以降初めて、長谷川の勤めるガソリンスタンドを訪れたのだ。


「今、時間ある?」

「今は仕事中だしな。今日、勤務時間後なら時間空けるよ。」


勤務時間後、ガソリンスタンド近くの公園のベンチに座る2人。そこで神戸が話す。

「なんというか、不思議だよな。多分俺たち、けっこう前から出会ってたんじゃないか?」

「そうだろうな。何度か見かけた気がする。」


2人はSASUKEが始まる前も、ガソリンスタンドの店員と客として会ったことはあったのだろう。


「でもSASUKEがなかったら、俺たちはただの店員と客。ちょっと呼びかける以外、1度も話すこともなかっただろう。」

「だろうな」


SASUKEで出会ってから、2人は半年に1度は緑山で、それ以外の平日はガソリンスタンドで会う関係になった。


「でもSASUKEに出会ってなかったら、俺は今でも毎日このガソリンスタンドでガソリンを入れる運送トラックドライバーだったはずだ。」

「だろうな」


神戸は仕事中の合間にもSASUKEの練習をしたことが会社にバレて、クビになった。

トラックドライバーをクビになったため、長谷川のガソリンスタンドでガソリンを入れる機会もなくなったのだ。

こうして神戸はガソリンから姿を消し、長谷川とガソリンスタンドで会うことはなくなった。

以降は半年に1度、SASUKEの日に緑山で会うだけになった。


「SASUKEがあったから俺と長谷川は友人になれた。でもSASUKEがあったから、俺は仕事をクビになった。」

「SASUKEがなかったら、俺たちは今でもガソリンスタンドの店員と客でいられたのか。皮肉なもんだな。」

「でも俺、SASUKEでをやったことを後悔してないよ。そして・・・これからも後悔したくない。」


「俺、長谷川に言いたいことがある。」

「なんだ?」

「俺、やっぱりSASUKEをあきらめられない。引退を撤回する。次回もSASUKEに挑戦することにした。」

「えー!?」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

SASUKE予選会。そこにはSASUKE出場を夢見る挑戦者たちが参加した。

最終ラウンドはSASUKE本戦の1stステージ、2ndステージのエリアを再現した仮想SASUKEのタイムレースだ。

クリアタイム上位2人がSASUKE出場権を獲得する。


①五段跳び

②ダースブリッジ

③スパイダーウォーク

④ジャンプハング

⑤そり立つ壁


前のラウンドを1位で通過し、最終競技者となった上牧裕樹。2位以内でクリアボタンを押せば悲願のSASUKE出場決定だ。


実況「夢のSASUKE出場に向けて、SASUKE予選会最後の挑戦者水無月裕樹。2位のタイムを抜けばSASUKE本戦出場です。」


まずは五段跳び、ここは軽やかだ。続いてダースブリッジ、難なく通過していった。

続いてはSASUKE本戦では2ndステージにあるスパイダーウォーク、今回はここでも多くの挑戦者が滑り落ちてしまったが、この人は速い!。

続いては今回最も多くの挑戦者を呑み込んだ最難関ジャンプハング。うまくトランポリンを使って、飛びついた!

そして上から行く!上から行く挑戦者は今日初めてか?。

さあ最後のエリアそり立つ壁、一発で行けば予選通過は間違いない。

…一発で行った!トップでフィニッシュ!

水無月裕樹、予選1位通過でSASUKE出場決定です!


電話で報告をする裕樹

「姉ちゃん、やったよ。SASUKE出場決めたよ!」


SASUKE予選会の詳細を書く機会があったらまた別のときに

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