第10回
神戸勝樹。完全制覇目前で脱落の悲劇となった第7回、そして絶対的な自信を持って挑んだ第8回。
まさかの1stステージリタイア。
復活を誓った第9回大会は、3rdステージまで進出するも、その最初のエリアでいきなりリタイア。
リストラに逢い、職を失いながら、再就職もせず、無職でSASUKEのトレーニングだけに日々を費やしてきたが、その生活も経済面でとうとう限界に近づいた。
こうして神戸はこの第10回大会、引退することを決意した。
そしてもう1人。
今から5大会前の第4回大会、史上初の完全制覇を成し遂げた男、長谷川健一。
しかしその後、ただの1度も1stステージをクリアできず。
そして今回、1stステージをクリアできなければ、引退することを決意した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
SASUKEに2度目の出場となる海原愛。
愛「久しぶり、まりん」
マリン「愛ちゃん、いるなら声かけてくれたらよかったのに。」
愛「まりん、ここではすごい人みたいだから話しかけずらかったんだよ。」
マリン「私にとっては愛ちゃんのほうが話かけずらいよ。なんとか遠い人になっちゃったからね。愛ちゃんなら絶対オリンピック行くって思ってたけどね。」
結衣「え、水泳の海原選手と、マリンちゃんが知り合いなの?」
マリン「同じ中学だったの」
結衣「えー、すごい」
海原愛と宮崎マリンは中学校のときのクラスメイトで、同じ水泳部の部員でもあった。
マリン「愛ちゃんのこと、テレビで見てたよ。オリンピックにも出てて、なんか遠い人になっちゃったなって。」
愛「でも私はずっとまりんのこと友達だと思ってるよ。」
マリン「ありがとう。それは光栄に思うよ。」
「だって私はまりんの初めてのブラを選んだ仲なんだから。」
「…それは恥ずかしいからあまり言わないでほしいな。」
愛「ここではまりん、実力者でしょ?私もまりんに少しでも近づけるように、第1ステージくらいクリアしたいな。」
1stステージ
1.5段跳び
2.ローリング丸太
3.ダースブリッジ
4.ジャンプハング
5.そり立つ壁
6.ターザンロープ
7.ロープクライム
制限時間80秒
新エリアはダースブリッジとターザンロープ。SASUKEの新名所となるか。
長谷川「僕はもうあとがないんで、危機感持ってます。」
神戸「俺は今回でSASUKEに終止符を打とうと思います。」
実況「今回でSASUKEは10回目。つまり今大会の100人目の挑戦者は、延べ1000人目ということになります。」
今回は記念大会ということで特別に、ゼッケンは901番から1000番、第1回からの延べ人数を表したゼッケンとなります。
10回大会最初の挑戦者、901人目は初出場、ライフセーバー海田義行です。さあトップバッター海田、まず五段跳びクリアしていきました。
ローリング丸太、グルっと回転、回転していった。さあローリング丸太をクリア。続いて大玉、海田ー。
さあ行くぞ、続いてはジャンプハングー、飛びついたー、あーっと着水!網にしがみついたが足が着水。
マリン「うわー、もったいないなー」
結衣「着水したら失格なんだよね。」
マリン「だからジャンプハングは上に登ったほうがいいんだよ。」
競泳オリンピック日本代表、海原愛です。初出場の前回はそり立つ壁でタイムアップ。2回目の出場でリベンジとなるか。
まず五段跳びを越えてローリング丸太、回っていく回っていく、さすがオリンピック選手三半規管も強い。
大玉を越えて続いてジャンプハング。上のほうをつかんだ。今回は上から行く、今回は上から行く。
残り35秒、さあ因縁のそり立つ壁。競泳の海原愛、そり立つ壁クリアなるかー!一発で登った!
残り20秒だ。ターザンロープ、ここは伸び縮みするぞ。うまく縄をつたっていった。さあ行けるか海原愛、登っていく、最初の成功者か。行ったー!
競泳日本代表の海原愛は、SASUKEでも強かった!
続いては66人目の挑戦者、体操日本代表、白鳥寿の登場です。
まずは五段跳び、さすが体操選手軽やかだ。出身者千葉県北総市。ローリング丸太も回っていく。
さあジャンプハングはどうだ。一番上をつかんだ、そして上に登っていく。体操選手はトランポリンは大得意だ。
そり立つ壁はどうだ。行きました!登った登った。残り20秒だ。体操のオリンピック日本代表白鳥寿行けるか。
ロープクライム登っていく、白鳥が登っていく、2人目のクリア!
その後佐藤静香他1人がクリアし、挑戦者は90番台へ。
実況「SASUKE第10回記念大会。今回は特別にゼッケンが901番から1000番までとなっております。ここからは実力者が登場する990番台。」
ゼッケン991番は、中原朋也です。中原1stステージは制しておきたい。
…五段跳び、ローリング丸太、ダースブリッジ、ジャンプハングを難なくクリア。
さあ最大難関そり立つ壁であります。行った一発!
さあターザンロープであります。そしてロープクライム、残り15秒、余裕があるぞ!さあクリア!
いよいよ残る挑戦者はあと5人。ゼッケン996番、白と赤の衣装がトレードマーク、神社の巫女、氷川結衣です。
お馴染みのSASUKE専用に巫女型衣装。過去3回3rdステージに進出しております。
さあダースブリッジ、バランス感覚はいいぞ神社の巫女。
続いてジャンプハング、上から行くか下から行くか、上から行く、上から転がって行った。
そり立つ壁、その頂上の先には1stステージクリアへの鳥居がある。越えたー。まだ残り時間は30秒以上ある。
さあ新エリアターザンロープ、ここも早い。最後にロープに手がかかった。登っていく、余裕がある、残り20秒、余裕を残して今フィニッシュ!
6人目の1stステージ成功!氷川結衣、残り18秒を残して余裕のクリア!
「出発」
「「進行!」」
「発車」
「「オーライ!」」
ゼッケン997番、ラーフセーバー、宮崎マリン。
初出場の第4回大会、完全制覇した長谷川健一とともにファイナルステージ進出。第6回大会ではただ1人3rdステージに進出し、最終エリア、パイプスライダーまで進出した。
しかし前回は不覚にも1stステージジャンプハングでリタイア。以来、自宅近くの体育館でトランポリンの練習。果たして主役の座に返り咲けるか?
さあSASUKE海猿、宮崎マリンが行きます。五段跳びはなんなくクリア。ローリング丸太、ちょっと勢いがつき過ぎたが大丈夫か!見事にクリア。
ダースブリッジを通過して、ジャンプハング。前回はここだった。ここは一呼吸置いていきます。飛びついたー、そして上から行く、上によじ登っていく。
そり立つ壁は無駄なくクリアすることができるか。一発クリアだ。
さあターザンロープだ。そしてロープクライム、これは大丈夫でしょう。警告音は鳴っているが大丈夫だ!
残り5.5秒。宮崎マリン、前回の悪夢を綺麗に精算。7人目の第1ステージクリア!
ゼッケン998番、前回3rdステージ最終エリアまで進出、高校教師、中上新一郎です。
前回100人で最高の成績をあげた人。五段跳びを通過、ローリング丸太。転がってい転がっていく、クリアしました。
ダースブリッジも難なく通過。さあジャンプハング、飛びついた。過去にここで落ちたこともあるだけに慎重に行ったか。
そり立つ壁はどうだ。一発クリア!残り25秒。ターザンロープ、中上にとっても初めての試みだが、おーっと苦しんでいる。反動がつきすぎたか。ロープが振り子のように振られてしまった。
ここで時間を食っている。残り15秒、ようやく最後のロープにたどりついた。おーっと下に行ってしまった。一番下からだ、これは時間がかかる。残り5秒、時間がないぞ、時間がないぞ。どうだー!
タイムアップ!中上新一郎、氷川結衣に次ぐ2番目の好タイムでそり立つ壁をクリアしながら、ターザンロープの伸び縮みするロープに大苦戦。
最後のロープで一番下まで落ちてしまい、下から登るも無念のタイムアップ。
ガソリンスタンド勤務、長谷川健一。SASUKEただ1人の完全制覇を達成したのは第4回大会。
しかしその後の5回の挑戦ではすべて1stステージでリタイア。ジャンプハング、そり立つ壁への苦手を克服するべく、自宅に自らセットを製作してトレードマークしてきた。
さきほど中上新一郎を襲った80秒間の悲劇。ここまで7人が成功者、残るは2人。延べ999人目の挑戦者。ガソリンスタンド勤務、ご存知第4回大会の完全制覇者、長谷川健一が行きます。
背水の陣で行きます。さあ前回はいきなり五段跳びで撃沈した。しかし同じ轍は踏まなかった。
続いてローリング丸太、さあどうだ。かつてここで阻まれたこともあるだけに慎重に行った。
新エリアのダースブリッジ、おーっとバランスを崩した危ない!踏みとどまった。
さあここです、ジャンプハング、過去ここで2度阻まれているが。飛びついた。危ない!足が着水したら失格だぞ。向こう岸にたどりついた。
そしてそり立つ壁。1回目は失敗。ここからは時間との戦い。あーっと登れない!2回目も失敗。無情にもときが刻まれていくー。
そり立つ壁が登れない。残り10秒を切った。完全制覇者長谷川健一、そり立つ壁で長谷川のSASUKEが終わってしまったー。
ゼッケン1000番、神戸勝樹。今大会限りでの引退を表明。泣いても笑っても、これが最後のSASUKE挑戦。
ファイナルステージ、完全制覇まで残り30cmに迫ったのは第3回大会。
第4回大会後、運送トラックドライバーをリストラされ、無職となるも、次の職を探すことなくSASUKEだけに打ち込んだ。
悲壮な覚悟で挑んだ第7回大会は、一度は3rdステージのゴール地点に着地しながら、バランスを崩し、ゴール地点から落下。
第8回大会は1stステージリタイア。第9回大会でも思うような結果をあげられず。
無職での挑戦も限界となり、ついに引退を決意した。完全制覇でも、1stステージリタイアでも、引退。
この大会が終わったら、SASUKEに終止符を打ち、まじめに働くと家族に約束した。
実況「完全制覇に最も近いと言われた人が、引退をかけて挑みます。10回目の出場、延べ1000人目の挑戦者、ゼッケン1000番神戸勝樹!」
今回、これを最後にすると決意した。完全制覇かそれとも引退か。まずは五段跳び、これは文句なし無駄がない。今日100人の中で1番と言っていいでしょう。
さあローリング丸太は慎重だ。ここも盤石。今回引退がかかっている。
さあジャンプハングだ。これはお見事。今回は上から行く、今回は上から行った。
さあ残り30秒。そり立つ壁は一発か、ここは一発で決めてもらいたい。・・・おーっとどうした、1回目は失敗。
2回目は失敗プライドが許さない。おーっと、焦ってはいけない、焦ってはいけない!
3回目・・・登れない!どうした神戸、全く行くことができない。残り10秒。
4回目、ラストチャンスか、テが届いた。しかしここでタイムアップ。あまりにも皮肉だ。ようやくそり立つ壁に手がかかった瞬間にタイムアップ。
スタッフに対して手を合わせるようにして、もうちょっとここにいさせてくれとお願いした。
このパフォーマンスは見せておさなければ無念であります。最後慈しむようにロープクライム。
引退を決めた神戸、これが最後のパフォーマンス。これが神戸の花道か。万雷の拍手。万雷の拍手とともに神戸勝樹のSASUKEが幕を閉じました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1stステージクリアは7人
2ndステージは新エリア、バランスタンクが登場。
8.ロープグライダー
9.スパイダーウォーク改
10.バランスタンク
11.逆走コンベア
12.ウォールリフティング
制限時間70秒
日が沈み、闇夜に緑山。そこに忽然とまるで廃墟のように浮かび上がっておりますSASUKE 2ndステージ。
まずは端を切って登場は、競泳オリンピック日本代表、海原愛です。
絶妙のボディバランスで行きました。さあロープグライダー1本目から2本目への空中乗り換え駅であります。
続いてバランスタンク、初お目見えだ。バランスを取っている絶妙なバランス。
さあ出てまいりましたスパイダーウォークであります。滑り止めの白い粉を手足に付着させる。まずは登っていく、そして平行移動、最後は下りが待っている。
逆走コンベア、残りあと10秒となる。急げ海原、急げ急げ。残りあと5秒でウォールリフティング、残りあと2秒、1秒…
海原愛、ウォールリフティングの2枚目を持ち上げたところで無念のタイムアップ。70秒の戦い、制せず。
続いても2ndステージ初挑戦、体操日本代表の白鳥寿。
さあ体操の実力を2ndステージでも見せるか。ロープグライダー、後半のロープに乗り移った。無駄がない無駄がない。安定しております。
さあやってまいりましたスパイダーウォーク。斜め上方へと向かっていく。そして水平に移動する。そして下に降りていく、ここは滑らないように力んでいく。まもなくバーだ。
バランスタンクをクリアして、そして逆走コンベアであります。悪魔のルームナンバーだ。
そしてウォールリフティング、マッスルアーケード、午前7時の商店街、その3枚の扉を開けたー。
フィギュアスケーター、佐藤静香は2大会連続の2ndステージクリア。
モブ男はリタイア。
中原朋也も2大会ぶりの2ndステージクリア。
第2ステージ残るは2人、神社の巫女、氷川結衣です。
まずはロープグライダーだ。後半はどうだ。ちょっと左右に振られたが大丈夫だ。
このあとはスパイダーウォークだここで滑り止め、手足に滑り止めを装着させる。さあ水平移動、ここは降下する、滑らないように行くことができるか。
バランスタンクはどうだ。落ち着いている、落ち着いている。巫女はバランスエリアは得意だ。
逆走コンベア、早いぞ早いぞ、あっという間に通り過ぎた。さあウォールリフティング、まだ時間はたっぷりある。ものすごいスピードだ!
残り20秒!なんと60秒かからなかった。1分間、60秒の戦いだった。氷川結衣、1stステージに続いて最速タイム。
2ndステージ最後の挑戦者、ラーフセーバー宮崎マリン。
がっちりとロープをグリップ、ロープグライダー。そして後半に乗り移っていく。
スパイダーウォークは万全だ。強いぞ宮崎のスパイダーウォーク。
続いては新エリアバランスタンク、宮崎にとっても初の試みであります。ここも無駄がない。盤石だ。逆走コンベア、ここも盤石。
残り時間をたっぷりと残してウォールリフティング。残り25秒もある。ウォールリフトはちょっと苦手だが、これだけ時間を残していれば大丈夫でしょう。
残り18秒。余裕を残して宮崎マリン、5人目の2ndステージクリア。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2ndステージは5人がクリア
3rdステージ
13.ランブリングダイス
14.ボディプロップ
15.ランプグラスパー
16.クリフハンガー
17.パイプスライダー
腕力の修験道、3rdステージが幕を開けます。まず端を切って行くのは、体操日本代表の白鳥寿です。
ランブリングダイス。順手と逆手で滑らせていく。剛腕観覧車が1回ごとに音を立てて回転していく。1回滑らせるごとに最終地点に歩を進めていく。さあまず第1地点にたどりつきました。
3rdステージ第2エリアはボディプロップ。さあ臨戦態勢、海原がボディプロップを突き進んでいく、まず1つ目の空白を越えて、2つ目の空白、ちょっと体が震えているが大丈夫か、3つ目の空白を越えればあとわずか、あとわずかだ。オリンピックの海猿、海原愛がボディプロップをクリアしました。
続いてはランプグラスパー。怪しく光るランプであります。さあ腕を鍵型にしてランプを持って進んでいく。まもなく中盤を過ぎる。ちょっと腕が伸びてきた。苦しいか、しかしあともう少しだ。どうだ、行った行った。ランプグラスパークリアしました。
続いては3rdステージの最難関、クリフハンガーにやってまいりました。途中に30cmの空白、そして30cmの段差があります。突起はわずか3cm。オリンピック選手でも、このような突起に己の指先のみで全体重を支えることは日常ではないでしょう。
さあ出ていきました。3cmの突起、空白もクリアしていく。まもなく30cmの段差、上にあがらなくてはいけなーい…。白鳥も沼地に吸い込まれたー。
続いてフィギュアスケーター佐藤静香です。
この佐藤静香は前回は3rdステージランプグラスパーでいきなり瞬殺されてしまった。今回は同じ轍を踏まないために、徹底的に腕力を強化して参りました。
まずはランブリングダイス、さきほどの海原のように体を振って反動をつける。ちょっと時間がかかっている。ちょっと手こずっている。時間をかけると腕に乳酸が溜まるぞ。まもなく着地、ようやく休憩地点にたどりつきました。
まず第1地点に到達いたしまして、続いてはボディプロップ。さあ突っ張って横に移動、1つ目の空白クリア、今度は足元に空白が迫っている。そこを通過してまもなく3つ目の空白、かなり苦しそうだ、なんとか行ったー。
そして前回の第9回大会で苦汁を飲んだランプグラスパー。握力地獄ランプグラスパー…あーっとまたしてもいきなり転落!前半で腕力を使い果たしたか。まるで前回のVTRを見てるかのように、またしてもランプグラスパーに沈んだ。
マリン「愛ちゃんと静香さんは、多分ボディプロップ単体やランプグラスパー単体ならできたかもしれないんだけど、SASUKEは1stステージ、2ndステージをクリアして、やっとここにたどりつけるんで、そこまでどれだけ余力を残すかがポイントなんだよね。」
結衣「それわかる。いつも3rdステージまでに力を使っちゃうんだよね。」
続いては中原朋也、輪廻するうんてい地獄ランブリングダイス。そこを越えて、さあ鬼門のボディプロップであります。
中原朋也、ボディプロップ、第7回大会の雪辱はなるか。息遣いが放送席に伝わってきます。2つ目の空白をクリアしていく。間もなく3つ目の空白、そこを越えればあとわずか。ボディプロップクリアしました。
さあ続いては初挑戦のランプグラスパー。突き進んでいく、命がけの電球交換。まだ余裕がある。反動をつけて休憩地点に着地した。
そしてやってまいりました最難関のクリフハンガー。今夜まだここを越えた者はいません。さあクリフハンガーに出ていきました。あーっと空白の部分で落下!
しかし中原朋也、自身の最高記録、クリフハンガーまで到達しました。
オリンピック選手と俳優が消え、残るはSASUKE完全制覇に全てを捧げる無名アスリート2人となった。
6回目の出場で4回目の3rdステージ進出、神社の巫女、氷川結衣です。今宵の神楽の舞、第1章と第2章を成功し、続いての第3章は徹底的に腕力に負担のかかる舞となります。
まずはランブリングダイス、鉄のパイプを回転させて滑らせていく。おーっとテンポがいいぞ。神楽のように音を刻んでいくー。今大会もっとも早くランブリングダイスをクリアした。さすが氷川です。
ボディプロップに出ていきました。1つ目、そして2つ目の空白を越えた。まだ余裕がある、まだ余裕がありそうだ。行った。ボディプロップに難はありませんでした。
そしてランプグラスパーであります。さあ出ていきました。腕を曲げている。鍵型に腕を曲げている。握力地獄、ランプグラスパーを進んでいく。まもなくランプグラスパーを越える。
さあ因縁のクリフハンガーにやってまいりました。このクリフハンガーで前々回は空白前にいきなりの落下、前回は30cmの段差の部分で落下しました。このエリアを越えれば、過去の自分を越えることができる。
さあクリフハンガー、3cmの突起にぶら下がっていく。空白を越えていく。まもなく30cmの段差だ。どうだ、越えたか、氷川頑張れ!氷川頑張れ…あーっと落下!
30cmの段差を越えたが、あとわずか、最終突起で惜しくも落下!氷川結衣、三度クリフハンガーでリタイア。しかし前々回、前回よりも少しずつだが価値ある前進をしました。
結衣「あと少しでクリアできたので、めっちゃ悔しいですね。でもすごく前に進めた気がします。」
「どうもお疲れさまでした」
結衣「ありがとうございました」
SASUKE第10回大会も、100人中99人が散り、残る挑戦者はただ1人となりました。その人は、4大会前のリベンジに燃える人です。
第6回大会、大波乱のSASUKE、ただ1人3rdステージに進出し、最終エリアパイプスライダーで、あと一歩のところで涙を呑みました。
それから4大会経ち、再び最後の挑戦者となりました。あのときと同じ、最後の挑戦者となってこの3rdステージを迎えます。7回目の出場、ゼッケン997番、ライフセーバー、宮崎マリンが挑みます。さあ99人の無念と、4大会の自分の無念を晴らすために行きます。
自宅の庭にクリフハンガー、海の家にボディプロップ、パイプスライダーといったセットを自分で作り、暇さえあればトレーニング。まずは鋼鉄の打楽器ランブリングダイス、ここはあっという間に消化しそうだ。第1エリアランブリングは難なく通過。
第4回大会、初出場でファイナリスト。第6回大会は最終エリアパイプスライダーで惜しくも届かず。第8回大会もパイプスライダー。なんとしてもパイプスライダーへの雪辱を果たしたいところ。
海で鍛えた身体能力、それを使って3rdステージボディプロップ。海の家でトレーニングをしてきた、今その成果を出すとき。進んでいく、2つ目の空白、まもなく3つ目の空白、ここも通過した。まずはボディプロップをクリア。
結衣「行ける行ける!頑張れ!」
氷川結衣が声援を贈る。氷川を含めた99人の夢がかかる。
さあランプグラスパー。丸い突起、握力地獄のランプも宮崎にとっては海に浮かぶクリオネの灯りに見えるのか。軽快なリズム、まるで空中を散歩しているかのようだ。まだ余裕がありそうだ。ランプグラスパーも難なくクリア。
結衣「段差のあと、滑るのだけ気をつけて」
やってまいりましたクリフハンガー。今夜のSASUKE、まだこのクリフハンガーを越えた者はいません。宮崎はどうか、さあ飛び出していったクリフハンガー。空白は軽々越えていく、まもなく30cmの段差だ、まだ余裕がある、まだ余裕がありそうだ。しかしながら油断は禁物。ここを越えればあと僅かだ!
クリフハンガークリアしました。さあいよいよ因縁のパイプスライダーだ。第6回大会、ただ1人1stステージをクリアした宮崎マリンは、3rdステージパイプスライダーに阻まれた。2度ここで沈んでいる。99人の夢と、過去の自分の夢を背負って、このパイプスライダーに行きます。
パイプは順手と逆手、左が順手、右が逆手で持つ。さあ栄光のゴール、ファイナルステージへの旅路に出た。あっという間に中間地点に到達。この緑のバーで一瞬の休息を取る。飛び続けてきた鳥が木の枝で一瞬の休息を取っているかのようだ。
表情が険しくなってきた。宮崎の腕にも疲労が溜まってきたか。しかし3rdステージクリアまではあとわずかだ。さあ残るは後半のパイプスライダー。
後半も順手と逆手で行く。意を決して出ていく、無駄な力を使わずまっすぐ進む。さあここだ、天国と地獄を分ける最後の審判。かなりの距離がある。赤いゴールへのジャンプは、栄光への架け橋だー!
行ったー!スクっと着地した!宮崎マリン、6大会ぶりのファイナルステージ進出!
かつてこれほどまで綺麗で完璧なパイプスライダージャンプの着地を見たことがあったか。手もつかず、赤い絨毯の上に両足着地。
会場は大歓声。100人中ただ1人、宮崎マリンが3rdステージをクリアしました。
アナ「宮崎さん、おめでとうございます」
マリン「ありがとうございます」
「会場の親族や友人たちも大歓喜でした」
「そうですね。見に来てくれた両親、そして仲間からパワーもらったんで、力になりました。」
「第4回大会以来、6大会ぶりのファイナルステージ進出です。」
「ありがとうございます。」
「たった1人の生き残りとして、第3ステージをスタートするときはどんな気分なんですか?」
「他の人、みんな落ちてしまったんで、私は行かなきゃなって思ったので、行けてよかったです。」
「ファイナルステージ、いかがですか?」
「前行ったときは全く自信なかったので、今回は自信持って行きたいなって思うんですが、リニューアルされちゃってますからね。でも頑張ります。」
「頑張ってください」
結衣「おめでとう!」
愛「すごいよ。ここではマリンがナンバー1なんだね。」
マリン「ありがとう」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
18.FINALステージ
スパイダークライム
綱登り
リニューアルされて2回目のファイナルステージ。
新ファイナルステージは、高さは22.5m。12mのスパイダークライムと、50cmの間隔をあけて10mの綱登り。
2大会前、初めてこのファイナルステージに挑んだ中原武は、スパイダークライムを肩を脱臼し転落。そのため、まだ人類でスパイダークライムを越えた者はいない。
アナ「長谷川さん、どうなんですかファイナルステージの上の気分は?」
長谷川「どうなんですかね。忘れちゃいました。」
恵「え!?」
長谷川「でも夢のような場所ですよ。」
マリン「ちょっと、綱登りの練習もしてきたんですけど、やっぱ本番は違いますね。」
宮崎マリンは今回、クレーン車で綱登りの練習もしてきた。しかし、練習用の綱登りと本番のセットは大違い。
第4回大会で長谷川健一が登頂した至高の頂き。マリンは史上2人目の快挙達成はなるのか。
長谷川健一の完全制覇によってリニューアルされたこのファイナルステージ。
ここに挑む史上2人目の挑戦者は、100人のうちたった1人の生き残り、長崎県のライフセーバー、宮崎マリンです。
第4回大会、初出場でファイナルステージに進出。完全制覇した長谷川健一とともにファイナルステージに進出。
そのとき以来2度目のファイナル。今回はたった1人のファイナルステージ挑戦です。
30秒という短い制限時間で、まず12mのスパイダークライム、そしてそのあと10mの綱登り。
そして15秒を経過すると、スパイダークライムの両方の壁が徐々に開いていくという難関です。
実況「ではゴール地点のアナウンサー、どうですか?」
アナ「はい、こちらは手を伸ばすと闇に手が届きそうなほどの高さです。そして眼下にはここまで100人が挑戦し、99人が悔し涙に暮れたSASUKEの1stステージから3rdステージまでのセットが広がっています。ゴールは間違いなくここにあります。」
さあこの至高のゴールに肉体を運ぶことはできるのか。
まずはスパイダークライム。ここから宮崎マリンのファイナルステージの挑戦が始まります。
さあ始まりました12mスパイダークライム。なかなか軽快なテンポだ。ここを登りきればまず人類初の快挙となる。
10秒経った。残り5秒でスパイダークライムは開いてしまうが…、ここは大丈夫だ。
残り15秒で綱登りに移動。さあ綱登り、まもなく残り10秒となる。警告音が鳴り始めた。さあ行けるか!残り6秒を切った。残り2秒、1秒、あとちょっとー…。
残念!縄が切れた。急転直下。
宮崎マリン、完全制覇はならず!しかし人類で初めてスパイダークライムをクリアし、リニューアル後初めて綱登りに到達しました。
マリン「ごめん。ちょっと綱への以降に手こずった。」
結衣「ロープ、後ろにあったね。また練習しよう。私はクリフハンガーの練習しなきゃ。」
そしてこの大会を最後に、神戸勝樹、長谷川健一がSASUKEを去った。
第10回大会結果
1位:997 宮崎マリン FINAL/綱登り
2位:996 氷川結衣 3rd/クリフハンガー(最終突起)
3位:991 中原朋也 3rd/クリフハンガー(段差)
3位:966 白鳥寿 3rd/クリフハンガー(段差)
5位:971 佐藤静香 3rd/ランプグラスパー