黒い影
薄暗く冷たい空気中で7人が水晶越しにある少年を見つめていた。
黒髪黒目。肌の色は黄色っぽい。
「ヴァルベロの本は見つかったんだよなぁ?なんでさっさと奪いに行かねぇ。」
気だるげな男が言う。
「ここ1か月ほど観察しておりましたが暴走の傾向は見られず。そして水晶に映る少年が開こうとしていましたがびくともしません。」
知的な雰囲気の男性が言う。
「心配だわ…あの本のことを何もわかっていない人間が所有しているなんて…このガキはどうでも良いけどヴァルベロ様が心配で心配で…。」
黒地に金の刺繍が施されたローブ着て杖を持った美女がため息をもらした。
「それでどうするの?」
「奪い返すしかないでしよ。」
「あれは我々の主の物だ。」
知的な雰囲気の男性が眼鏡をあげながら
「しかしここ1か月で我々が500年探し続けたものがいきなり現れました。もう少々様子を見たほうが良いのでは。」
「はぁ~?あなたはなんにもわかってないわね!早くヴァルベロ様に会いたくないの?」
「ミーシャ殿落ち着いてくだされ。」
黒地に金の刺繍が施されたローブを着たミーシャを背が2mは優に超える巨漢な人物がいさめる。
「しかしなぜこうも長年見つからなかったこの本が1か月前に急に現れたんでしょうな。しかも所有している少年の見た目も問題では。日の国など1000年以上前に滅んでいるはず…いまやあそこは魔獣の巣窟ですし。」
巨漢の男が言う。
「この少年は生まれも育ちもスクーデリア王国ようですよ。祖父と二人でとある田舎の村に住んでましたが15歳になったころ首都のメイスに出てきたようです。」
「じゃあその祖父も黒髪黒目なのか?」
「いいえ。金髪に緑の目です。実は問題があるのはこの少年の祖父もでして…。」
知的な雰囲気の男がため息をもらす。
「スクーデリア王国に来るまでの来歴が一切調べられません。」
「はぁあ?。そんなことあるわけ?こんなに魔法も魔術もあるのに?」
「住んでいた田舎の村に部下を向かわせましたが皆様ここに来るまで何をしていたかは知らないがとてもいい人だったの1点張りです。」
「不自然すぎる。なのに村の連中は疑問を抱いていない…?」
「さらに。」
「まだあるの?」
「この祖父がヴァルベロの本の先代所有者ですよ。孫はその辺に置いてますが祖父のほうは厳重に管理してたみたいですね。」
「何故祖父が所有している時点で本が見つからなかった…?」
それぞれ考えていると
パンパンと乾いた音が響いた。
「3日後に本を奪還。少年も捕縛する。殺すなよ。」
白銀がベースの髪色に光の加減によっては金にも薄桃色にも輝く長髪を結い畏怖さえ抱く目を持ち恐ろしいほど顔が整った男が言う。
「ハフネ殿よろしいのですか。」
「本は直ちに奪還すべきだ。あのような少年が持っていいものではない。」
「この世界は腐りきってる。2000年前のような素晴らしい黄金の世に正すのだ。そしてヴァルベロ様を必ずや復活させてみせる。」
ハフネの眼光には確固たる意志があった。
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