最初の獲り合い1
一行は堺に来た。
「大っきいところ〜!」小冬は初めての世界に大興奮しているようだ。小冬以外も例外ではなく、見たことない場所にいて困惑したり感動したり…。
「小春お姉ちゃん、お腹空いた。」
「あまりお金無いんだから、少しは我慢なさい。」
「まあまあ。安いもんならいいわよ、なにがいい?」
小夏に問われて少し悩んだ挙げ句、「じゃあ…あれ。」と小冬が指を指した。視線の先には握り飯の店があった。
「じゃあ、私買ってくる!姉上達待ってて!」小秋が走り出していったので、3人で待つことにした。
「小秋も成長したわね〜。」
「ああ。ただ、姉離れできそうにない…」そんな他愛のない話をしているときに事は起こった。
「おっ、姉ちゃんイイ身体してんじゃん。借りるぜ。」
「えっ…」
「姉さん!?」
知らない人の声がした後には、全方向を塞がれていて、小春も獲られていた。
小春を獲ったのは5人組の大男らで、見るからに柄が悪そうな奴らだった。奥の方で「また来た…」「懲りなく美人を獲ってる…」というささやき声が聞こえるから、これが初めてではなさそうだ。
「おっ♪予想以上かもしれんな。」
「離して!」
小秋や小冬はこれ程までの体格のものを見てこなかったからなのか、叫ぶ声も絶え絶えになっている。
そして、大男らは待ち切れず、小春の帯を外そうとしていた。
「嫌だっ…!小夏!助けてっ!!」
小夏はその一言で我に返り、走り出した―。