新婚夫婦の奥さんに興味がある俺は浮気をそそのかす。
俺は昔から、“彼氏がいる女の子に興味があった。”
勝手に俺に告白してくる女なんかに俺は興味がない!
いつも自分勝手に、俺を呼び出しといて告ってくる女達が
俺の周りにはたくさんいた。
皆まとめて、俺は断ってやった!
“好きだ、付き合ってほしい”なんという言葉は俺には届かん!
俺は彼氏がいる女の子が好きなんだよ!
なんで、普通の女が俺に告ってんだ?
・・・まあ、こんな性格だからなのか?
恨まれる事は多々あった。
【おれの女になに手―だしてんだよ!』
【コイツのどこがいいんだ! 戻ってきてくれよ!】
【お前の事は絶対に許さないからな!】
取られた彼女の腹いせに、男は俺に捨てセリフでこう言うんだ。
勿論俺は! 奪った女とその後付き合って飽きたら別れる。
自分のモノになったら、飽きてしまう事も多々あった。
だから、付き合った途端に明らかに冷めている俺を見て
彼女は俺に言い寄って来るんだよ。
『どうしたのよ? あんなに熱烈に私を奪い取ったクセに!』
『・・・そ、そうだっけ?』
『ふざけないでよ! 私の事が好きだから奪ったんでしょ!』
『・・・まあ、そうだね、』
『何よ! 私は“元カレの事が凄く好きだったのよ!”』
『じゃあ、ヨリ戻せば?』
【バチン】
『アンタばかじゃない! そんなこと今更できる訳ないじゃない!』
『・・・・・・』
いつもこんな感じで、俺はフラれる。
別に“奪った女の子の事は、その時は本気で好きだった。”
・・・ただ、奪い取ってしまうと?
飽きてしまうというか、完全に冷めてしまう。
付き合って3日で別れた女の子もいた。
でも? それ以外の女の子に俺は全くといっていいほど興味がない!
*
そんな俺も社会人になり、少しは大人になったと思う。
相変わらず、奪い取った女の子にしか興味がない俺。
それでも、2年付き合っている彼女もできた。
彼女とは将来結婚も考えている。
こんなに長く付き合えた彼女は今まで俺にはいない。
この子となら? きっと上手くいくと想っていた。
・・・でも? 俺の悪い虫が騒ぎ出す。
会社の同僚がつい最近、結婚したのだ! 結婚式にも俺は呼ばれた。
その同僚の奥さんになった子が俺は“どうしても欲しく”なってしまった。
俺の心が完全にその奥さんに“ロックオン”している。
一度こうなると? 俺は他の女性が見えなくなる。
今付き合っている彼女の事もほったらかしで。
俺はどうしたら? 同僚の奥さんを俺のモノにできるか毎日考えていた。
そんな時、俺は同僚の家で食事会をするから来いと誘われる。
勿論! 俺は即答で【OK】と答えた。
久々に、同僚の奥さんに会える喜び。
心の底から湧き出てくる嬉しさが止まらない!
にやにやしていないか、気になっている俺。
【ピーポーン】
『はーい! 秦野さん? 直ぐに開けますね!』
『ありがとうございます。』
家の中に入ると? 美味しそうな食事がテーブルに置かれていた。
お酒もいろいろ用意してくれている。
『おう! 早かったな!』
『そうか。』
『まあ、座れよ!』
『うん!』
『他の皆は?』
『いや、秦野しか誘ってないんだ!』
『えぇ!?』
『お前なら、真剣におれの相談に乗ってもらえると思ってな。』
『“相談?”』
『・・・まあ、ううん。』
『なあ、蘭!』
『えぇ、』
彼女が作ってくれた食事を3人で食べながら相談を聞くことにした。
『・・・実はな? 俺達子供ができないみたいなんだ。』
『えぇ!?』
『今二人で、“不妊治療”をしているところだ!』
『でも、不妊治療をしたら? 子供はデキるんだろう。』
『・・・どうかな、それも難しいらしい。』
『蘭さんだって、貢一の子供が欲しんだよね?』
『・・・それは、そうなんですけど。』
俺と貢一は、話をしながらお酒を飲んで彼らの“不妊治療”に
ついて詳しく話を聞いていた。
そうすると? 元々お酒が弱い貢一はお酒に酔って眠ってしまう。
俺と二人きりになった蘭さんに俺から話をふってみる。
『・・・気を悪くしないで聞いてほしんだけど?』
『えぇ!? 別に大丈夫ですよ。』
『もし? 本気で子供が欲しいなら、“俺と蘭さんとの子供はどうかな
と思うんだ!”』
『・・・えぇ!? 何を言ってるんですか!』
『これは! 貢一を裏切る事じゃないよ。君たち二人の間に子供がいるか
どうかの話だ!』
『・・・でも、』
『“一回限りの事だ!”』
『・・・貢一さん、』
彼女は、眠っている貢一の方をじっと見つめて俺にこう言った。
『分かりました。』
『じゃあ、寝室に行こうか。』
『はい。』
*
・・・一年後。
ふたりの間に子供ができて、今は幸せらしい。
愛する蘭さんと俺の子供。
それでも、旦那の貢一は何も知らない!
その方がいい! 知らない方が幸せな事もあるという事だ!
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