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おじさんの家の下

「...ん、まあ、とりあえず、コーヒーでも飲めや。」

自分の為に持って来たであろう、紙コップのコーヒーを手渡してくれる。


隣に腰掛け、噴水を眺めつつ、もぐもぐホットドッグを食べる。そして何も言わずに、俺が落ち着くまで待ってくれる様だ。

俺は、ゆっくりコーヒーを飲みながら、ゆっくり考える。


何も関係ない、このホームレスのおっさんなら、変な話を言ってもどうって事ないかな?


なんかもう、一人で抱えるの辛くなってきた。そう思って、拓は、ぼそりとつぶやいた。

「なんか、変なの見えちゃうんすよね。見たくもない人の秘密とか。昨日のアレから。」

「...ん?」

おじさん、ちょっと首を傾げる。

「さっき、変な奴見ちゃって。そいつ、犯罪者っぽいんすよ。俺、どうしたらいいのか...

困ってる人が居るのに、助ける勇気も力も無い。」

おじさん、胡散臭げに、じっと俺を見る。

じーっと見て、視線をピアスに向ける。

「なんか、訳ありだなぁ〜。力になれる分からんが、よかったら詳しく話せや。話聞くぜ?」

おじさんは、ニヤリと笑った。


ーーーー

それから、しばらく自分に起こった事を順に話してたが、はっきり言って、ピアスがくっついてしまったとか、他人の能力が見えるだとか、信じてもらえるのか、甚だ疑問だ。


おじさんは、胡散臭げにじっと聞いていたが、しばらく考え込んだ後、

「…それが、本当なら、そうだなぁ〜。

俺を見てみろや、儂の事わかったら、信じてやるよ。」

と、言った。


おじさんを見る、見た目は、60歳過ぎ、ブルーシートの家に住んでるよな。ホームレスだと思うけと…?

耳たぶを押した。


ーーー河口 湖太郎 58歳ーーー


…!何これ?

会社社長や、役員などの肩書き。資産350億円…って。

あと、何げにスキル高すぎ!

体力とか、筋力無いけど、頭良いし、コミュニケーション能力高!

あと、日本中に、情報のネットワーク張り巡らせてる?ヤクザ…でもないみたいだし、他にも諸々、スキル高いのに、倹約家...というか、都内をぶらぶら渡り歩く生活してる。なんだこりゃ?金持ちのホームレス?


この小汚い おじさん…いや、河口さん、狼狽える俺の顔見てニヤリと笑った。

「…どうやら、わかっちゃったかな?一応、声に出して言ってみろや。確認な。」


ーーーー


「まあ、世の中、色んな人間が居るわなぁ〜。おめーもまた面倒な能力授かったもんだな。儂も大概、普通とは言い切れんが。」


…どうやら信じてくれたらしい。

「んー。…良し、ちょっと来い。」

河口おじさんは、俺の手を引っ張って、ブルーシートの家に直行。

「さっきの危ない奴、気づいたからには、黙っておく訳にもいかんからな。」


ブルーシートのドア?をめくり、中に入る。

寝床らしき所の奥にもう一つの仕切りを通る。 何も無い部屋の真ん中には、マンホールがあった。

おじさん、バールを手にして、マンホールを開ける。

「付いて来い。なんとかしちゃるわ。」

マンホールの下は、5mほど縦穴で、梯子を使って降りると、横向きの広めの通路がのびている。

一直線に随分と長い距離を歩く。目的のドアを開けるまでには、時間があるからと、歩きながら話しをする。


「その危ない奴の情報、詳しく頼む。」

「え、そいつ何とかなるのかよ?」

「多分。まあ、あとは部下次第だが。ほれ、詳しく聞かんと上手くいくかも分からんよ。」

拓は慌てて話し始めた。


ーーーー相模 智 42歳 ーーー


住所、都内御茶ノ水駅から徒歩10分のマンションに住む。

現在。デイトレーダーとして生活している。某IT企業に6年程在籍後、自力で株の運営しての依頼生計を立てている。

元々モデルガンの趣味もあったのだが、偶然にも実弾入りの銃を拾ってしまったようだ。

彼女との別れ話からのストーカーに発展し、

脅しからの自宅監禁。今現在、マンションの一室に閉じ込められている。


と、まあ、大雑把には、こんなとこか。

「んで、どうやって助けんのさ。一般人が、のこのこやって来ても、銃持ってるんだぞ。」

「そうさなぁ〜〜。んーあれ使えるかな。

おっ、着いた。開けるぞ。」

おじさんは、そう言って、一つのドアに手をかけた。


そこは、こじんまりとした6畳程の部屋で、小さなロッカーと机と椅子の応接セットがある。

反対側にもう一つの扉があり、おじさんは、着ていたジャンパーを脱ぎ、ロッカーから、背広を出して着た。

ガチャリと 反対側の扉を開ける。そこは、コッペパン屋の隣の扉。上野公園の横の繁華街の一角だった。

西郷像の下辺りか?結局、上野公園の下を突っ切った様だ。

若い店員さんの女の子と目が合う。

「あ、あれ?お疲れさまです。河口さん。朝ごはん、おかわりですか?」

おじさん、軽く手を上げ、

「ん、あ、いや、ちょっと用事できただけだ。要らんよ、くーちゃん。」


ポケットから、スマホを出し、どこだろうか、電話する。

「おー。俺だ。至急人を集めて欲しい。

警備員上位2名と、開発局から市川君を。あと、開発中だった防犯ボール持って来てくれ。ちと、試してみようと思う。1時間後に上野に集合な。じゃ、よろしく〜。」


「あ、ところで多賀君、今日は一日暇じやろか?」

「あ、はい。昨日退職したばかりなので、特に用事は無いです。」

「よし。なら今日中に解決するかわからんが、多賀君も見届けてくと良い。」


「はい。よろしくお願いします!」

拓は、ドキドキしながら、そう言った。

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