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第27話「初出勤!④」

東導 号 書籍化作品

⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

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 ロジエ魔法学院本校舎地下1階、学生食堂……


 まだ理事長アレクサンドラ以下、校長リュシー、教頭エレンの3人は出勤していないらしい。

 3人が来るまで待つと決め、シモンは紅茶を頼み、飲んでいる。


 そんなシモンの目の前、対面の席には、シモンが助けた貴族令嬢が、

 「どっか」と座っていた。

 結局、貴族令嬢はここまでついて来てしまったのである。

 

 そして彼女の前にはシモンと同じように紅茶のカップが置かれていた。

 一見、カップルがお茶をしていると見えなくもない。


 だが、貴族令嬢は想い人のような慈愛に満ちた温かい表情ではない。

 疑わしそうな訝し気な顔付きで、加えてジト目なのである。

 目の前に居るシモンが、襲った悪漢から自分を助けたとは全く思っていない。

 そんな感じだ。


 こういう場合、貴族令嬢がまず尋ねる事は決まっていた。

 教師らしきシモンの、はっきりとした素性確認である。


「ねぇ! さっき、騎士との話が完全に聞こえなかったわ。貴方、名前は?」


 貴族令嬢がすこぶる元気なのを見て、シモンは少し安堵する。

 治癒魔法は上手くいったらしい。

 女子が苦手な自分も、この子となら普通に話せるのかな、とも思う。

  

 取り調べをする衛兵の如く、質問する貴族令嬢に対し、シモンは正論を戻す。


「いやいや、君さ。相手に名前を聞くのなら、先に名乗るのが礼儀だと思うけど……」


 貴族令嬢は、反論されるのがお嫌いなようだ。

 バン!と、テーブルを叩き立ち上がる。


「何ですって! 私が先に名乗れ?」


「ああ、普通はそうじゃないのかな?」


「はあ? 何言ってるの! 貴方は所詮、下賤(げせん)な平民でしょ! 高貴な私に向かって超生意気よ!」


 身分を盾にし、理不尽に言い張る貴族令嬢。

 

 正論は全く通用しないらしい。

 とりあえず、名乗っておこうとシモンは決めた。

 

「はいはい……俺は下賤なシモン。シモン・アーシュだ」


「よし、シモンね! じゃあ、私も名乗ってあげるわ!」


「おいおい、シモンって……君は教師の俺を呼び捨てかい?」


「だって! 貴方は正式に、ウチの教師になってないでしょ!」


「はいはい」


「はいは、一回!」


「じゃあ、はい。それで君は?」


「じゃあは要らないわよっ! 私はね、魔法女子学園2年A組クラウディア・ラクルテル。高貴なるラクルテル公爵家の長女よ、ふん!」


 最後には偉そうに鼻を鳴らしたお嬢様は……

 本当に上から目線のお嬢様であった。

 

 彼女の名はクラウディア。

 上級貴族たるラクルテル公爵家の長女であると分かった。


 正面から改めて見れば、クラウディアは結構な美少女である。

 小さな顔。

 美しく長い金髪。

 宝石のような碧眼。

 すっと通った鼻筋。

 可愛く薄い唇。

 きめ細やかな肌。

 スタイルもバランスが取れていた。 


 顔立ちは少し冷たい印象を受けるが、クールビューティと言って良いだろう。


 クラウディアは顔をそらせ、見下すように言う。

 こういうタイプは、完全に『悪役令嬢』じゃないかと思ったが、

 もし言えばクラウディアが超激怒するのが「確定」である。

 なのでシモンは黙っていた。


「シモン! 貴方が私を助けてくれたのがもしも本当なら、リゼットにも言われたし、とりあえずお礼を言っておくわよっ!」


「いや、良いよ、礼なんて」


「駄目よ! わざわざ言ってあげるのだから、しっかりと聞きなさいっ!」


「分かった。じゃあ、言ってくれ」


「ふ、ふん! あ、あ、ありがと! 助かったわ!」


 鼻を鳴らし、噛んだ上に、極めて短いお礼。

 吐き捨てるように言ったクラウディアは、シモンの正面からやや顔をそむけた。

 どこかの高所から、思い切って飛び降りたという雰囲気である。


「……………」


「何、反応なく黙ってるのよっ! これで良いでしょっ! この私が平民へお礼を言うなんて今まで一度たりともないのよっ! ありがたく思いなさいっ!」


「ああ、ありがたく思うよ」


 ここまで会話を続け、シモンは……ホッとした。

 

 何故、ホッとしたのか?

 改めて気付いたのだ。

 やはり『大丈夫』であると。


 苦手な女子……クラウディアと正対し、話し、見つめ合ってもノープロブレム。

 全然あがったりしないからである。

 

 思いっきりガンガン(さげす)まれてはいるが、悪役令嬢クラウディアのお陰と言えなくもない。 

 

 やはりカップルだらけ、女子だらけの『カフェトレーニング』のたまものなのか。

 『お茶を飲むだけ』というプレッシャーのないシチュエーションも良かったかもしれない。

 

 まさに雨降って地固まる。

 これならば、学園の授業にも問題なしで臨む事が出来る。

 

 女子とのコミュニケーションに自信を深めたシモンは、クラウディアとの会話を続けて行く。


「ふ~ん。でも君は……公爵家のお嬢様だったのか」


「な、何よ! 私に対して、その反応の超薄さはっ!」


「いやいや君に反応が超薄いって、じゃあ、どういう反応すれば良いんだよ」


「え? あの高貴な! とか、凄い家柄ですね! とか、ストレートにお美しいとか! よっ!! ちゃんと、驚きのけぞるアクションも付けなさいっ!」


「いやぁ……驚きのけぞるアクションもって、そんな超ベタな反応は、絶対に無理だって」


「んまあ!」


 シモンの物言いを聞き、クラウディアはむかっとしたらしいが、

 更にシモンがひと言。

 

 クラウディアへ『対女子の克服』感謝の気持ちも込めて。


「ありがとう! 君のお陰だ!」


「え? 何それっ! 何故貴方が、いきなり私へお礼を言うのよっ!」


「いや、何でもない。まあ、その様子だと、何事もなく無事みたいだし、良かったよ」


「え? 良かった?」


「ああ、元気になって良かった。君はとても可愛いしね」


 君は可愛い。

 

 クラウディアは、自ら自慢し告げておきながらも、

 さりげなく且つ改めてシモンから言われ少し嬉しかったようだ。

 慌てふためき、更に頬を少し紅くした。


「か、可愛いっつ!? わ、 わ、私がっ!? ま、ま、まあ! と、当然ですわっ! い、い、今頃! き、き、気が付いたのですかっ!!」


 と、ここでシモンに聞き覚えのある声が。

 

「お~いっ! シモンく~ん。やっぱここかぁ! ウチの教師達に紹介するよぉ!」


 階段から姿を見せ、遠くから呼びかけて来たのは、校長のリュシーこと、リュシエンヌ・ボードレールであった。

 出勤して来て、保安室でシモンの事を聞き、迎えに来てくれたらしい。


「校長、おはようございます!」


「あら、おはよう! クラウディアさん。どうしたの? シモン君……いえ、シモン先生と、もう知りあいになったの?」


「い、いえ、ちょっと……ウチの侍女がうるさくて」


「え? リゼットちゃんがうるさい? 一体どうしたの?」


「な、何でもありませんっ!」


 リュシーとクラウディアの会話がひと区切りついた。

 と見て、シモンは、リュシーへ挨拶した。


「おはようございます! 校長、すんません。ちょっと早く出勤してしまいまして」


「おはよう、シモン先生。いえいえ、良い心がけよ。遅刻するより、全然良いわ。じゃあ、クラウディアさん、シモン先生の紹介は来週だから」


 ここでシモンがさりげなく、教師としてクラウディアへ挨拶。


「という事で、俺は新人教師のシモンだ。今後とも宜しく。これで失礼するよ」


「はあ? 何よ、私を置いて行っちゃうの?」


「君もそろそろ授業が始まるだろ? バイバイ……じゃなかった、ごきげんよう」


 シモンとリュシーが去って行くのを見て、クラウディアは思い切りしかめ面をしていたのであった。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

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WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


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毎週月曜日更新予定です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、連載中である

「帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者」《連載再開!》

「絶縁した幼馴染! 追放された導き継ぐ者ディーノの不思議な冒険譚」

「辺境へ追放された勇者は、銀髪美少女と新たな国を創る。気が付いたら魔王と呼ばれていた?」

「迷宮下層へ置き去りにされた底辺冒険者が裏切者へざまあ!銀髪美少女に救われ、成り上がる冒険譚」


も何卒宜しくお願い致します。

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