第11話「超ダークサイド且つ不毛な会話」
◎新連載です!
ご愛読と応援を何卒宜しくお願い致します。
本日2/7は、主人公シモンの大逆転ざまあ展開を含む
『第9話、第10話、第11話、第12話の都合4話』を段階的に一気更新致します。
本日以降の更新は随時です。
毎日1話更新が目標ですが、力尽きたら申しわけありません。
出来うる限り頑張ります。
引き続き、追っかけてください。
お読みになりましたら、ぜひ『ブックマーク』と『評価』をお願い致します。
真面目な苦学生だった魔法大学4回生のシモン・アーシュ22歳。
就職失敗、借金等々、あの手この手ではめられ……
超ダークサイドな悪徳会社コルボー商会に入社させられ、命がけで仕事をするトレジャーハンターとしてデビューし、1年後……
良い子が絶対に真似してはいけない地獄のパワハラ特訓のたまもの?
世界各地の未知の遺跡や底知れぬ迷宮、奥深き洞窟の他、様々な土地を巡り……
探索先で数々の修羅場を潜り抜け……
シモンは何とか、死なずに生き延びていた。
襲いかかる怖ろしい魔物、凶暴な魔獣、おぞましき不死者etcと、血みどろの戦いを繰り広げ、どんな強敵が現れても何とか勝利していたのだ。
また、仕事のモチベーション維持の為、何とか時間を作り、更なる魔法やスキルの研鑽、及び『仮面の賢者』として人々を助ける善行も続けていた。
この1年、商会はろくに休息も取らせず……シモンに対し、
出張につぐ出張の連続を命じた。
結果、シモンは更に数多の強敵と実戦経験を積み……
行使する魔法とスキルはとんでもなく強力となった。
そして遂にほとんどの魔物に対し、無双するほどとなった。
オーガの大群を蹴散らした上、何と、火を噴く巨大なドラゴンに単独で勝つまでとなったのだ。
こうなると、どこの誰からも『最強レベルの賢者』と呼ばれても全くおかしくはないくらいであった。
但し、本人は「少しは強くなったかな?」と思うくらい、偉ぶることもなく、ひたすら謙虚。
ほぼ無自覚に近いままなのである。
更にシモンは、課せられたお仕事もきっちり果たしていた。
貴重なお宝を大量に発見し続け、商会の売り上げに大きく貢献した。
結果、強靭かつ魔法にも長けた、
オールマイティな叩き上げのトレジャーハンターとして、王都に名を馳せている。
しかし、コルボー商会は徹底的にこれでもかというくらい、
超ダークサイドな会社であった。
商会3階の営業部長室では、今までにもう何度も繰り返された抗議が行われていた。
当然、抗議するのはシモン。
抗議されるのは、直接の上司であるブグロー営業部長である。
「ブグロー部長! 酷いじゃないっすか」
「ほう、何が酷いんだ? シモン、お前の扱いは悪いようにはしておらん」
「もう! 悪いようにはしておらんって、よくある騙し言葉でしょ?」
「何言ってるシモン」
「いえいえ、人生において、何度その言葉にごまかされた事か。部長……一応、念の為言っときますよ」
「何が念の為だ?」
「いいように部長に騙され、ごまかされ、最後には脅され、入社したって経緯は、もう怒りを通り越して、完全に諦めてますけどね」
「バカヤロ、シモン! 何を言う! さっきからおとなしく聞いていれば、人聞きが悪いぞ、ごら! 俺は騙してなどおらん。ごまかしてもおらん。脅すなど、お前の理解不能さが生んだ単なる錯覚だ! 白昼夢でも見てたんだろ!」
「はあ~、いつもながら部長は、速射砲のように喋りまくりますね」
「バカヤロ! 営業は口と押しが肝心なんだよ! お前だって営業だろが」
「まあ、一応そうっすね。所属だけは」
「そもそも! 雇用契約書を良く見なかったお前の不注意さがもたらした結果だ、自己責任だ!」
「うっわ! 相変わらずの自己責任ひっで! 部長に反省の色は全くナッシングですね」
「当たり前だ。反省などしない。俺もいち社員、商会の命令でやってる。それに生意気言うな! お前は先日、魔法鑑定士試験のランクAに受かったんだろ? そもそも誰にここまで育てて貰ったと思ってるんだ」
「はあ? 誰のおかげって、俺が死ぬ手前まで必死に仕事を頑張り、その合間に資格試験の勉強もしてたからじゃないすか」
「馬鹿言うな、シモン! お前の才能が開花したのは、ウチの社員教育研修システムが優れていたからだ! お前に指導した師匠たる教官達はバスチアン以下、超一流ばかりだ!」
「はあ、部長の言う超一流の教官達は全員、パワハラ、モラハラ、暴力の3拍子揃ってましたけどね」
「何言ってる? パワハラ、モラハラ、なんて、でっちあげだ! 世の中の都市伝説と同等の、真っ赤なうそっぱちだ。ちなみに暴力は全て愛のムチなのだ!」
「はあ? 部長! 何かとんでもない事言ってません? 速攻で訴えられますよ?」
「バカヤロ! シモン! 彼等教官達のおかげでお前は一流のトレジャーハンターになれたんだ。それにもうひとつ、これは絶対に忘れるなよ」
「何を? 絶対に忘れるなって言うんですか?」
「お前に投資した金貨300枚だよ! しっかり1億枚にして取り戻すからな! 一生馬車馬のように、ウチでガンガンこき使ってやる! がははははははは!」
「部長の笑い方から凄く邪悪のオーラを感じますよ。まるで暗黒の底から聞こえて来る魔王の高笑いっす」
「がはははははは、魔王か? 最高の誉め言葉だと受け取るぜ! どうとでも言え!」
「でも、部長。その金貨300枚は前払いの退職金でしょ?」
「うん? 記憶が曖昧だな。そんな昔の事、良く覚えておらん」
「ホント部長は自分の都合が良いように、嘘を付くし、とぼけるし、ああ言えばこう言いますね。まあ、それは今更だから良いとして、先月もそうですよ」
「何がだ?」
「部長! これは何すか?」
シモンは一枚の紙片をアピールした。
「給与明細書だろ?」
「そんなの分かってます。金額が問題なんです」
「金額がどうかしたのか?」
「はあ? 何言ってるんすか? 約束では利益の10%が歩合として俺の取り分すよね?」
「ああ、雇用契約書に記載してある通りだ」
「じゃあ! 月の売り上げが金貨1万枚を超えてるのに、何故、手取りがたった金貨20枚なんすか! 計算が間違ってません!?」
「ふん! 必要経費が引かれてるからだろ?」
「そんなバカな! 何すか? 見習い期間の3か月はとっくに終わったのに何故、毎回毎回出張手当てなしの上、各地への交通費もオール自己負担なんすか!」
「ああ、社則が急に変更となった。お前に言ってなかったか?」
「冗談じゃない、全く聞いてないっす! それに税金は分かるっすけど、わけのわからん社名使用料とか、生命保険とかが引かれているって、どういう事っすか?」
「知らんのか? 社名使用料とはな、お前が当商会の看板を背負って仕事をする肩書きの使用料だ」
「看板背負うって、わけわからんっす。正社員として契約したのに、俺ほぼ個人事業主じゃないっすか。そもそも生命保険にも加入した覚えがないっす」
「うむ、生命保険はな、福利厚生費だ。当商会の社員は自動的に加入、給料から天引きされるものなのだ」
「福利厚生費? 自動的に加入? じゃあ俺が死んだ時の保険金の受取人は? 俺の母親っすか?」
「違う! 商会だ。もしもお前が死んだら商会へ金が入る」
「はあ? 何すかそれ!」
「社員が死んだら、商会が人的な損害をこうむるだろ? それを金で補填する為の保険だ」
「本当に何すか、それ!! 全くわけがわからないっす! いろいろと聞いてみましたけど、他の会社にそんなのないっす!」
「いち社員如きにわけが分からんでも構わん。社則で決まっておる、他は知らんし、ルールはルールだ」
「はあ~~~………」
あ~言えばこう言うブグロー部長。
結局、毎回このように不毛な会話となる。
「部長!」
「何だ?」
「この1年で俺、充分商会に貢献しました」
「はあ? シモンお前何、世迷いごと言ってる」
「世迷いごとじゃないっす! はっきり言います。俺、ミラテゲール商会をやめて転職します。魔法鑑定士試験のランクAの資格も取ったし、まともに冒険者やった方がずっとずっと稼げます。金貨300枚もきっちりお返ししますから、もう解放してください! 部長! お願いします!」
「がはははははは! 何言ってる? 無理だ無理! シモン! お前との間にはしっかりと契約がある。お前の直筆サイン入りのな! お前は未来永劫! 一生、死ぬまで永久にウチの社員だ。朽ち果てるまでず~っと働くんだよ!!」
「んな、馬鹿な!」
「裁判に訴えても構わんぞ! お前は必ず敗訴する! ウチの強力な弁護団には絶対に勝てねぇ! でもそんな事してみろ! 金貨1億枚どころか、ペナルティとして、10億枚むしり取ってやる!!」
本当にああ言えばこう言うブグロー。
抗議を諦めたシモンが大きなため息を吐いたその時。
階下が急に騒がしくなったのである。
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最後に、連載中である
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