五十二話目 最後の試練⑤
地図に出口が記されている場所に到着すると、何やら赤い球体が地面に置いてあった。
「あれに触れると、外に出られるのかな?」
アイシャがそう言った。
「なんか怖いから、ペレスさん触ってきて」
ミナが頼んできた。
俺も触ろうと思っていたし、頼まれたからではなく普通に球に近づき触れた。
すると、俺は別の場所に転送された。
大きな四角の部屋である。
「ここは?」
「あれ?」
球に触れたのは俺だが、他の連中も一緒に転送されているようだ。
これは出口に到着できたと見て良いのだろうか?
『これが最後の関門だ。今から問題を十問出す。それを全て解け。なおその際、妨害が入る。気を乱さずに解け。二十分以内に解けなければ、元の場所に転送される。その時には、あの場所に出口はなくなっているため、再び探す必要がある』
趣旨は理解した。
妨害行為、恐らく魔法生物が来たり、幻覚を見せられたりするのだろう。それに気をとられるずに、問題を解けという話なのだろうな。
『問題はこの紙に答えを記入せよ』
部屋のど真ん中に紙の束と筆記用具が出現した。
『それでは開始』
その合図とともに、部屋の中に魔法生物が湧いた。
こいつらは雑魚なので、俺がいなくても苦労することはないだろう。
「問題はわしが解く。他のものは魔法生物の退治をしてくれ」
グレースがそう言って筆記用具を持って、紙を見始めた。
この役割分担に異議はない。
この中で頭がいいのは、俺とグレースのツートップだろう。
いや、知恵の間では確かにあまり良い結果は残せなかった。
しかし、俺が1万年生きたというのは、間違いのない事実。
数十年しか生きていない連中に、知識で負けているわけがない。
いや、本当に負けているわけがないからな。
仮に知恵の間に何回も行った場合、一番正解できるのは、間違いなく俺だから。
とにかく俺とグレースが頭脳においては優れているが、魔法生物が来るということは、俺がそいつらを引き受ける必要がある。
今出ているやつみたいな、雑魚しか出てこないのなら、俺以外の奴らでも対処可能だろうが、強い奴が出た時、対処できないだろうからな。
と考えている間に、雑魚魔法生物の討伐は終了したようだ。
あれを倒すのに俺の出る幕はないだろう。
しばらく待つと、何やら虫が部屋に湧き始めた。
メオンが悲鳴をあげて魔法をぶっ放し、虫を攻撃するが、死なない。
明らかに幻覚だなこれは。
触られるとリアルな感触がする。
俺は特に虫に触られたからといって、どうということはないが、グレース以外の女どもは、顔を青ざめさせている。
メオンに至っては、目を白くさせて気絶した。こいつ精神の間以降、良いところがないな。
次に魔法生物が出てきた。
さっきに雑魚とは打って変わって強力な奴である。大きな牛を象った魔法生物だ。
「だから難易度上昇速度がおかしいんだってば〜!!」
「殺される〜!」
アイシャとミナが、涙を浮かべながら逃げる。
レミは何のつもりか魔法生物に向かっていった。
いや、何やってんだあいつ、勝てねーから逃げろよ。今ここで死なれるわけにはいかないんだよ。
俺は心の中でレミを攻めながら、一目散にレミが挑もうとしている魔法生物のところに行き、倒した。
残りの魔法生物も瞬殺する。
「レミー、ああいう時は逃げないとー」
「も、もしかしたら勝てるかもと思ってしまったんだ」
「勝てないよあんな馬鹿でかい牛ー。どうやってダメージを与えるのよー!」
「う、次からは大人しくしている……」
レミは反省する。
「グレース、何問解けた?」
「三だ」
三問か。まだ始まって一分足らずと考えると順調である。
残り七問奴が解くまで、魔法生物を倒し続けよう。
【読書の皆様へのお願い】
下にスクロールすると、ポイント評価を付ける項目があります。
PC、iPad等でお読みの方は、黄色い枠で囲まれたところから、スマホでお読みの方は『ポイント評価』の項目をタップして評価に進めるようになっております。
作品を見て面白いと思われた方、続きが気になると思われた方、大変お手数をおかけしますが、評価をぜひよろしくお願いします。




