四十九話目 最後の試練②
そのまま長い一本道を歩き続ける。
「これどれくらいの広さなんだろう」
「普通迷路っていうから、分かれ道がたくさんあると思ったけど、全然ないよね」
「あまりにも広すぎて、分かれ道がある間隔が長いのか。それともたまたまこの道は、分かれ道が少ないのか……」
長い道に不安を感じて、三人が話し込む。
時間制限があると言っていたから、あまり広すぎると、まずいかもな。
俺だけがクリアすればいいなら、多少長くても全力で走って出口を探すのだが、全員でゴールする必要がある。俺の本気のスピードについて来られるものはいまい。
「あ、分かれ道だ」
進むと、十字路に到着した。
道は三択である。今来た道を引き返すという選択肢は今のところない。
今回も特にどちらに進めだとか、手がかりは書いていない。
どちらに進むのがよさそうか俺は各道を見ていると、右側の道の奥に巨大な魔法生物がいるのを発見した。
長く太い一本角を額から生やしている、いかつい顔をした魔法生物だ。
道を塞ぐように佇んでいる。他の道にはいないようだ。
「な、なんだあれは!?」
「なんかいる!」
俺以外にレミとアイシャも発見して、騒ぎ始める。
「あの道はやめましょう……」
「それはどうじゃろうか。重要な道じゃからあそこを塞いでおるかもしれんしのう」
「俺もメオンと同じ考えだ。右側の道を進もう」
「ま、まあ、ペレス殿がいれば、倒せないということもないだろうし、その方がいいのかもな」
そのあと全員、魔法生物がいる方に行くということで、意見が一致した。
右側の道に進む。
だいぶ近づいたが、魔法生物はピクリとも動かない。
死んでいるのか? と思った時。
いきなり動き始めた。
魔法生物が動いた瞬間、後ろから地響きがなる。
見てみると、後ろにも同じ巨大な魔法生物が。
挟み撃ち。
まずいな。俺以外の奴らが死んだら、試練失格らしいからな。
とにかく前の奴を瞬殺して、後ろにも対応しよう。
地面を蹴り、魔法生物の頭を一撃で粉砕する。
そして、速攻で後ろのも倒しに行こうとすると、既に倒されていた。
俺が前のに行った瞬間、ほかの全員で後ろから来た奴と戦っていたようだ。恐らくメオンの力が大きかったのか、見事に頭が破壊され魔法生物を倒していた。
二体を倒すと、紙がヒラヒラと空から舞い落ちてきた。
「なんだこれ」
俺はそれを拾う。
正方形の手のひらサイズの紙で、何やら複雑な模様が……いや、これは……。
「地図の破片か?」
「え?」
俺がそういうと、全員が紙を見にきた。
「確かにそうかも」
「小さいので分かりにくいが。確かに地図のように見えるのう」
「これでは外に出るまでの道は全くわからないな」
「集めろってことじゃねーのか? しかしそれでも、現在いる場所が分からないと、外に出る道も分からないけどな。役に立つのか?」
俺がそう言うと、
「現在地が分かる特殊な地図なのかもしれん。役に立たんと決めるのは早計だ。探してみるべきだ」
グレースが反論した。
まあ、確かにここで出すのに、手がかりでないなんてことあるのだろうかとは思うな。
集めてみた方がいいだろか。
「そうだな。今回みたいな敵が落とすなら、積極的に魔法生物は倒していった方がいいだろう」
俺の言葉にほかの者たちが頷いた。
地図を破らないよう慎重にポケットにしまい、先に進んだ。
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次回更新は今月二十七日です。




