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三十六話目 戦いの後

 俺がバグダムドを殺した後、観客たちがざわつき始めた。


「し、死んだ?」「本当に?」「夢じゃないのか?」「だってあの男が?」「物凄く呆気なかったぞ?」「でもどう見ても死んでる」「……」


 まさに唖然としているといった感じだ。


 そして、その後、ざわめきが歓声に変わった。


 物凄い大きな歓声だ。正直かなりうるさい。

 それだけバグダムドに苦しめられてたということだろうが、別に俺はこの国の連中を救うため、バグダムドを殺したわけではない。


 自分が死ぬ方法を教えてもらうためだからな。


 さて、バラシアと妹だが。


 どっちもぐったりと倒れている。


 バラシアは元々ダメージを受けて気を失っていたようだが、妹の方は血を流しすぎて倒れているみたいだ。

 とりあえず回復しよう。


 俺はバラシアと妹を回復魔法で回復した。妹も回復したのは、どうせ後で回復しろとバラシアに頼まれるだろうと予想したからだ。


 その後、2人は目を覚まし、


「あ……あれ?」


「なんですか? 騒がしいですね」


 と言いながら起き上がった。


 ちょうどその時くらい、観客が決闘場に大騒ぎしながらなだれ込んでくる。


「あんたすげーよ!」とか「お礼をさせてくれ!」とか言ってきながらやってくる。正直うざい。


「おい、とりあえずこっから脱出するぞ。話はそれからだ」


「は、はい」


「分かった」


 そう言って、俺はジャンプして決闘場から脱出した。


 バラシアと妹も後に続いてきた。


 町のほうに俺達は着地する。


「たぶんお前らの母親ってのは城にいるから、そこまで向かうぞ」


「……あの、あなたは?」


 妹が聞いてきた。


「ペレス・ギャントルだ」


「……私はマシャ・サーナルドという。今回は助けてくれて本当に助かった」


「あー、礼なんていいから。お前の姉から礼は貰うから」


「……そういえば」


 マシャはバラシアのほうを見る。


「あの……あなたお名前は……」


 どうやら見知った仲ではないようだ。結構よそよそしい。今日始めて会ったのか。

 しかし、髪の色も一緒で翼もあるから、どっちがどっちか分かりづらい。バラシアが杖を持っているから、判別可能だが持ってなかったら判別不可能である。


「バラシア・サーナルドです」


「サーナルド……やはり……」


「はい。恐らく私達は姉妹ということになるでしょう」


 それ以上会話は続かなかった。初めて会う姉妹と何を話せばいいのか分かっていないみたいだ。


「お、終わったか」


「メオンか」


 メオンが話しかけてきた。さすがに赤のツインテールはメオンだと覚えていた。


「そういえばほかの3人はどこに行った」


「知らぬ」


「まあいいか。別に」


 俺は探さず城に向かっていると、


「あー! ペレスさん!」


「何かかなり騒ぎになってるよー暴虐王が死んだって」


「ペレス殿が戻ってきて倒したのか……」


 誰かが俺達の前に出てきてそう言ってきた。


「……誰だお前ら」


「アイシャよ!」「ミナ!」「レミだ!」


「冗談だ怒るな」


「「「からかうな!」」」


 3人は同時に怒りながら叫んだ。

 さすがに覚えている。まあ顔の区別は付かないが、髪の色が違うのでそれで違いは分かるしな。


 その後、3人を伴って城に向かう。


 バグダムドに仕えていた連中も、俺がバグダムドを倒したと知るやいなや、顔を青ざめさせて、低姿勢で接してきた。母ドラゴンのいる所まで案内してくれるという。


 そして、母ドラゴンのいる場所まで案内してもらった。




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