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二十話目 母を探しに

「馬鹿な事を言わないでください。母は死にました。私はこの目で見たのです」


「間違いないのか?」


「間違いありません」


「でも、俺の魔法にも間違いはない。やはり生きているのだろう。ドラゴンはかなり丈夫な生物だから見間違えたのだ」


「そんなはずありません」


 頑なにバラシアは認めない。

 しかし、俺は自分の魔法には絶対の自信がある。間違えているはずがない。


「当時の状況を詳しく教えろ」


「それは……分かりました。話しましょう」


 バラシアは母ドラゴンが殺されたときのことを語り始める。


「私の母は人間と契り私を産みました。私の母は父だけでなく人間という生き物が好きで、人間を良く助けるような人でした。私は生まれてから魔法や学問で才能を発揮し、母に習って自分の力を使い人々を助けていたらいつしか黄の賢者と言われるようになりました。母が殺されたのは私がそう呼ばれるようになってから、そう時間が経過しないときの出来事です」


「どうやって殺されたんだ」


「私は殺された場面を見てはおりませんが、私のいない時に、母は殺害されました。母は強制的に人化を解かれドラゴンの姿にされ、胸を大きな槍で一突きにされ殺されてしました。死体から翼や爪や角などが取られていた事から、欲深いものたちが金儲けの為だけに母を殺したのです。ドラゴンから取れた素材は良く売れますから。私は母の息の根が止まっているの確かに確認しました、その後、母の亡骸を土に埋めて墓を作りました。これで死んでいないというのは、ありえないのです」


 母の死に様を思い出してバラシアは語る。言葉こそ淡々と述べていたが、彼女の表情は憎悪に染まっていた。


「ふーん。確かに妙な話だな。それで生きているとは」


「生きていないのです!」


「俺の術に間違いはない。お前は母親に生きていて欲しくないのか? なぜ頑なに死んでいると主張する」


「な! それは当然生きていて欲しいに決まっていますよ! でも確かに母は死んだのです! 私がこの目で看取ったのです……!」


「まあ、お前が俺の話より自分の目を信用するのは当然の事であると思うよ。俺もお前の目より自分を信じる。お前の母親は生きている」


「……っ!」


「生きているのなら生き返らせないし……そうだな。俺がお前の母親を探してくるから、ここにつれてきたら呪いを解く手がかりを教えてくれ。条件を変更して問題ないな?」


 生き返らせる事に比べると、面倒くささが上がってしまったが、致し方ない。


「それは……問題ないですが……」


「よし、じゃあさっそく探しに行くぞ。お前は母親を何処に埋葬したんだ? まずはそこを調べてみる」


「…………エルテンという町の近くです」


「エルテンね。聞いた事あるか?」


 俺ははじめて聞く町名だったので、ほかの奴らに聞いてみた。


「ベムサカスから南側に行ったところに、エルテンという町があったはずだが、そこだろうか?」


「そこのエルテンで間違いありません」


「ふん。べムサカスまで一旦戻らないとならないのか。面倒だな。仕方ないいくか」


 俺は外に出ようとする。ほかの者も付いて来る。


「ま、待ってください!」


 バラシアに呼び止められた。


「どうした?」


「私も行きます」


「信じないんじゃなかったのか?」


「母の墓を勝手に荒らすつもりでしょう。それは許せません。私が墓は確認します」


「分かった。ついてくるならくればいい」


 俺は行こうとすると、


「ま、待ってください!」


 再びバラシアに呼び止められる。


「どうした?」


「あの……魔力が切れている影響で動けないのですが……」


「あー……動けるくらいの魔力は返す」


 魔力を吸収することも出来れば、分け与える事も可能だ。

 バラシアに魔力を分け与えたあと、俺達は竜王の巣を出て、エルテンにあるというバラシアの母の墓へと向かった。



ここまで読んでくれて、ありがとうございます。

面白い。

続きが気になる。

更新頑張れ。

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