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十二話目 命令

 ベムサカス中央にある城、『べムサカス城』。

 高い築城技術を持つ者が築城したこの城は、名城の一つに数えられていた。

 この城は、べムサカス付近の土地を治めているハイドレル家が所有している。


 べムサカス城の内部。領主が座っている謁見の間。


「あなた達、今回の件、詳しくご報告をお願いしますわ」


 そう言ったのは、金髪縦ロールで豪華なドレスを身につけた女性、ハイドレル家現当主のミラーシュ・ハイドレルだ。

 彼女の目の前には3人の女が跪いている。


「えー……我々はミラーシャ様の命令通り、ゲルヘナードのアジトの調査に赴きました」


 そう言ったのは金髪の騎士、レミ・ファラクトーだ。彼女の横には、アイシャとミナが少し緊張したような面持ちで跪いている。

 レミは報告を続ける。


「そこで少しトラブルがあり、ゲルヘナードは壊滅しましたが、ボスであるメオンは取り逃がしてしまいました」


「わたくしが耳にした情報通りですわね」


 ミラーシャは少しため息を吐く。


「わたくしが、最初にあなた方へ下した命令を言いなさい、アイシャ」


「ア、アタシですか……!? え、えーと……アジトの調査をすること。見つけたら、部隊を呼び寄せて、攻略。そして、ゲルヘナードを潰して、敵のリーダーメオンは捕らえろと……」


「そうですわ。ゲルヘナードを潰したのはいいですけど、一番重要なのはメオンを捕まえることです。わたくしは有能な人材を集めております。まさに不老不死という究極的な術を開発するほどの知恵と力量を兼ね備えたメオンは、それに相応しい人材ですわ。今回、ゲルヘナードを潰す事はあくまでおまけで、メオンの捕らえる事こそが、最大の目標であると説明しましたわよね?」


「それはわかってましたけどー……」


「邪魔が入ったので……」


「どんな邪魔ですの?」


 3人はペレスについての説明をした。


「興味深いですわね。そのお方」


「「「え?」」」


 3人は嫌な予感を感じた。ミラーシュとの付き合いは長い。この後、彼女が何を言い出すか理解していたからだ。


「短時間で森に穴を大量に空ける。球を天井に投げて穴を空ける。常人が出来る事ではございませんね。圧倒的な戦闘能力を保有していそうですわね……」


「あの……ミラーシャ様? もしかして」


「あなた達に命令を下します。その者ペレスなるものが連れ去ったメオンと、それからペレス自身をこの城まで連れてきてください。方法は問いません。金でおびき寄せるも、力でねじ伏せるも、色仕掛けを仕掛けるもどんな方法でもいいので、連れてきなさい」


「ちょ、ちょっと待ってください! あのペレスというものは人格に問題があるし、メオンもゲルヘナードという凶悪な組織のボスです! 果たして我々に従うでしょうか?」


「従わせるのです。どんなものだとしてもね。仮に絶対に従わぬという意思を感じた場合は殺しますわ。強い力を持つ物を野放しにするのは危険ですもの」


「……えーとミラーシュ様……? アタシ達に達成可能な任務なのかなーなんて思ったりして……」


 アイシャが苦笑いを浮かべながらそう聞いた。


「もちろんあなた達なら出来るでしょう。なぜならあなた達は、わたくしが選抜した秘密の騎士団『レーシアス』なのですから。あなた達にこなせない任務を下す事はありませんわ。わたくしの期待に見事応えてくれると、信じております」


「そ、そうですか」


 3人はがっくりと肩を下ろす。これは大変な事になったと思った。

 ミラーシュの命令を聞かないわけにいかない。何があっても絶対にメオンとペレスの2人をこの城まで連れてこなくてはいけなくなった。


(しかし、可能なのかそんなこと……? あのペレスの戦闘能力は私の想像を遥かに超えていた……力ずくで連れてくる事はまず無理だ……言葉で説得しようにも何を言えば気を引けるのか、まったく想像できん……)


 これは大変な任務になると、レミはげんなりした気持ちで思った。ほか2人も同じ気持ちだった。


「では、さっそく任務に取り掛かりなさい」


「「「は、はい……」」」


 どんよりとした気分でそう返事をして、3人は城を出た。






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