熊の骨って太いんだよね
前回のあらすじ
新キャラ多数登場につき、少し解説。
プロム…槍使い。関西人。女。
三条…盾職。斧も使う。男。
ゆき…魔法使い。女。
カナ…魔法使い。回復職兼任。女
8:00 am 第1の町
食事を食べ終わった後は部屋に戻っていた。1時間弱余った時間?もちろん宿題を進めていた。ここに来て忘れそうではあるが学生なのだ。当然宿題もでる。それも大量に。俺は毎年問題なく終わるが、逆に問題があるのはカイの方だ。あいつはいつも最終日に全て終わらせるようなタイプだ。なぜその集中力を初日から発揮しないんだ…と思っていたのは昔の話。今?もう諦めた。
まあ話はそれたが、ログインした後、集合場所へ移動した。
「よしみんないるな!今日の目標は第2の町!いくぞ!」
「はいコレ、杖。期待してるよん」
ゆきが杖を手渡してきた。
「ありがと…ってカイ。第2の町ってどう行くんだ?」
「なんだお前知らないのか。第1の町から出てまっすぐ北に行くと洞窟にたどり着くんだよ。そこを抜ければ、第2の町なんだ」
「ついでに説明するとな、新しい町に入るのにはボスモンスターを倒す必要があるんだ。頑張れよ?」
カイの足りない説明に、三条が説明してくれた。そんなこと一言も聞いてない…
「まあ、わかった。三条ありがと」
「おう!じゃあいこうぜ!まずは肩慣らしと検証だ!」
「ところでソバタくんのスキル構成はどうなってるの?恐らく移動しながら魔法が撃てる要因はスキルにあると思うんだけど…」
「うーんどう説明すればいいかな」
俺が迷っていると、プロムが教えてくれた。
「ステータスは可視化して見せられるんやで?」
なんとかステータスを可視化させ、見せる。
「「「「「………」」」」」
みんな黙ってしまった。なんでや。
「スキル構成へのツッコミは置いといて…軽業なのか?」
最初に口を開いたのはカイだった。
「それ以外無さそうだね。軽業も無さそうなんだけど」
困り顔のカナさんがカイの質問に答えるように言う。
「実際にやってみせて!」
「じゃあちょいちょい倒してくるよ」
そしていつも通りの狩りをしてみせた。
『戦闘に勝利しました!』
『種族レベルが上がりました!』
『職業レベルが上がりました!』
『罠がレベルアップしました!』
『火魔法がレベルアップしました!』
『光魔法がレベルアップしました!』
『闇魔法がレベルアップしました!』
『軽業がレベルアップしました!』
『持久走がレベルアップしました!』
『鑑定がレベルアップしました!』
『取得条件を満たしました!ダッシュを取得しました!』
ついでにレベルアップした。しかも怒涛。それもそのはず、罠を設置して待機していると、高レベルの野犬が4体、一斉に襲ってきたのだ。まず一匹罠にはまるとそれを放置してダッシュ、野犬が縦一列になったところでファイアアローを放った。火の矢は狙い通り、野犬3匹を貫通。3匹目は傷が浅かったので光魔法のシャインボールを使って倒し、やっと罠から這い出てきた野犬には闇魔法のダークボールを使ってみた。レベルアップ、そこそこのドロップ品にホクホクしてみんなの方を振り返ると、唖然としていた。
「…おいソバタ、お前いつもこんなんなの?」
「そうだが?」
「おいカイ、こいつ本当に初心者か?なんであんな動きが出来るんだよ」
三条が呆れ果てている感を出していた。
「魔法使いの観念が壊れていく…」
「ボクもやりたい!ソバターやり方教えて!」
みんな口々に言い出した。カナさんはなぜか黄昏ている。ゆきははしゃいでいた。
「まあとにかくソバタの実力は確認できた。これなら充分じゃないか?」
「せやなぁ。あんだけ出来るんなら、ボス戦でもいい戦力になるやろ!腕がなってきたわぁ…」
みんなの足を引っ張ることはとりあえずなさそうだ。少しホッとした。
「じゃあもっと奥に進んで連携の確認、しようか!」俺たち一行はまっすぐ北へ向かっていた。
「ん?急に木が多くなったな。林…いや、森か?」
「そうね、洞窟の前には森が鬱蒼としてて、出てくるモンスターも変わるって話よ」
カナさんが答えてくれた。これも初耳だ。ちゃんと情報くれよカイ…
「そうなのかあ…なあ、ソーサラーが剣とか持つのっていいのか?」
「それは効率的ではないな。金属武器はMATKにマイナス補正が掛かる。だから木製だったりモンスターから出るドロップ品を素材にしたりするんだ」
三条が雰囲気とは裏腹に丁寧な回答をしてくれる。というか装備ゴツくないか?フルプレートアーマーっていうのか?こんなんでよく動けるな…
「へぇ…じゃあさ、ここらにある木で杖とか作れるのか?」
「…その発想はなかったね。やってみるの?」
「試してみたいがどうやって持ち帰ろう…カイ、なんとかならないか?」
火魔法では灰にしてしまうだろう。斬るか?
「俺のソードじゃとてもではないが無理だな。三条、お前のアックスならいけそうじゃないか?」
「おう、気分は木こりだな。やってみるか」
こうして三条が木を斧で切り始めた。
静かな森に、木が倒れる音が響く。なんと切り倒せた。
「やったぜ!てか斧のレベル上がったぞ」
「三条、お前木こりに転職するか?」
「それもいいな」
カイと三条がふざけあってる間に俺はふと疑問に思う。
「…これ、アイテムボックス入るのか?」
「容量次第やね。ソバタってどのくらいアイテムボックスに入れてん?」
「えーっと、野犬の毛皮57枚と野犬の牙21個かな。それ以外はないなあ」
「結構あるなあ。…ソバタはレベルが今7やから…残り40くらいやな。この木ならギリギリ入るんちゃう?」
「えっと、プロムさん、その計算式は?」
「アイテムボックスってな、種族レベルの2乗の重量分入るんよ。今のソバタの場合は49。野犬の毛皮は10枚で1、野犬の牙は20個で1の重量だから、正確に言えば43残ってるゆうことやな」
「なるほど、ありがとう。…入れてみるか」
木に手を伸ばす。これは入るのだろうか、少しの緊張を持って触れる。
入った。
「あんなデカイのが消えるのってなんかびっくりするねー…ソバタ、その木って重量いくつ?」
「えっとね…40だな」
「重いなあ」「うん、重い」「普通こんなん持たないな」「木こりは諦めるか」「おっも…」
みんな口々にいうが、まあ自分としては納得ではある。あんな木を何本も持ち運べていたらゲームでもおかしい。
「まあ気を取り直して先へ進むか!」
10:00 am 洞窟エリア
歩き続けて何時間か。途中、野犬やさらにはゴブリンという人間の形をしたモンスターが襲ってきた。緑色でなんというか…顔が怖かった。まあそんなこんなで山の麓、洞窟の入り口についた。
「ここからは洞窟だが、ランプ程度の明かりしかないから気をつけてくれよ」
「なあカイ、光魔法にライトってあるんだが」
「…なに?詳しくおしえろ」
「俺も使ったことないから今使って見せるわーー〈ライト〉!」
魔法が完成した時、光球が姿を現した。それも結構明るい。
「うーん、20mは見渡せるんじゃないかな?カイくん、ランプいらないんじゃない?」
「せっかく買ったのに…」
カイは残念そうな顔をしてランプをしまった。なんか申し訳ない…
「明かりにモンスターが寄ってくる可能性もあるから全方位気をつけろよな!」
「ほな、うちと三条が前、カナはんとゆきちゃんは真ん中、ソバタとカイは後ろでええか?」
「分かった。後ろは任せろ!」
6人でゾロゾロ中に入る。洞窟は見えている限りまっすぐ続いているようだ。
「…なにも出てこないな」
「ソバタ、あれだよ、油断大敵って」
「なるほどな、そこまで考えてもモンスターを配置したとしたら運営はさすがじゃないか?」
「来たぞ!前方に3!ゴブリンだ!」
「ゆきは詠唱開始!プロムは突撃だ!ソバタも撃てたら撃ってくれ!俺と三条は警戒!」
「了解!ーー〈ウォーターアロー〉!」
「よしーー〈ファイアアロー〉!」
ゆきと俺がそれぞれ水、火の矢を放つ。どちらも、ゴブリンに刺さった。その間にプロムは槍でゴブリンを攻撃、一撃で葬り去っていた。すげえ…
矢の刺さった瀕死のゴブリンはやはり槍で貫かれた。
「プロム凄いなあ…」
「ああ、なんたって筋力値極振りのムキムキだもんな」
「ムキムキ言わんといて!」
カイは地雷を踏み抜いたようだ。プロムに叩かれている。痛そう。
「痴話喧嘩しないで、ほら探索続けるよー」
「「違う!」」
「わお、息ぴったり」
カナさんもゆきもだいぶ弄っている。楽しそうだな。これがパーティの良いところでもあるんだな…
ゴブリン3体を倒して数分後、急に奴は現れた。
「後方、正体不明のモンスター!」
カイが急に叫んだ。カイが見ている方に目を向けると、何か大きいのが動いている。
ボスベアー Lv8
「鑑定確認!ボスベアーLv8だ!」
「熊!?まずい!三条、スイッチしてくれ!ゆきとソバタは魔法!」
「おう!タイミングは任せる!」
「〈ファイアアロー〉!」
「〈ウォーターアロー〉!」
「三条行くぞ!〈スラッシュ〉!」
「おう!スイッチ!」
火と水の矢が熊に刺さった直後、カイの剣が光ったかと思うと、カイが強烈な横薙ぎをした。その剣は熊の腕に防がれたが、威力に耐えかねたのか、後ろへわずかに仰け反る。そこへすかさず、三条が前へ出た。
「喰らえ!〈クラッシュ〉!」
態勢を戻した熊に、これまたやはり光る斧が炸裂。剣で切られた箇所に入った斧は、そのまま下へ、まるで摩擦はないかのように動いた。
「もう一回、〈ウォーターアロー〉!」
「よし、〈ダークボール〉!」
瀕死の熊に水の矢が刺さり、時間差で黒い球体がぶつかる。と、これで熊は死んだようだ。
『戦闘に勝利しました!』
『種族レベルがレベルアップしました!』
『職業レベルがレベルアップしました!』
『火魔法がレベルアップしました!』
『光魔法がレベルアップしました!』
『闇魔法がレベルアップしました!』
『鑑定がレベルアップしました!』
怒涛のレベルアップだ。ちょっとした達成感に浸る。熊はこんなものをドロップした。
幹部熊の骨 品質C
ボスベアーの骨。強靭である。
なんと骨だ。毛皮ではないのか…
「おっ毛皮きた!」
「私もね。活躍してなくて申し訳ないけど…〈ヒール〉!」
「カナさんはヒーラーだからしょうがないよ。…ヒールありがと」
「俺も毛皮かあ」
「ボクもだね〜。毛皮しか出ないのかな?」
みんな毛皮しか出てないってことはこれレアなのか?
「俺、骨が出たんだけど…」
みんな一斉にこっちを向いた。心なしか目が怖い」
「骨!レアドロップじゃん!まだ1つしか確認されてないって噂だったのに!」
「お前の運、分けてほしいよ」
「そう言われてもなあ…!?前方!熊!」
熊を発見した途端、緩んだ空気は再び引き締まった。
「後方にもいる!まずいぞ!」
「カナもゆきと攻撃に参加してくれ!プロムと三条で前方の熊、ソバタと俺で後方のやつを叩く!」
「「「「「了解!」」」」」
「プロム!初撃は受けるから横を叩け!〈シールドバッシュ〉!」
「はいよ!〈ランスチャージ〉!」
「三条、そのままそこにいてね!〈ロックボール〉!」
「ソバタ!俺がどうにかするから後ろに回り込んで撃ってくれ!〈スラッシュ〉!」
「分かった!」
「いくよ!〈ウォーターアロー〉!」
前方、後方でそれぞれ戦闘が始まった。カナさんはどうやら回復魔法の他に土魔法も取得していたようだ。確かに回復魔法だけでは職業レベルの成長は遅くなるだろう。
俺はカイが熊と切り合っている間に後ろに回り込む、と
「ガアアアアア!」
熊が叫んだと同時に、土の塊が飛んできた!?
「あぶねっ」
なんとか避けたが、今のを受けていたら軽く死ねたのではないだろうか。というか、なんで熊が魔法を?
ベアーソーサラー Lv7
熊が魔法使うとかそんなのありかよ…
「よくもやったな!〈ファイアアロー〉!」
「〈ウォーターアロー〉!」
熊の後ろに回りながら火の矢を放つ。と同時にゆきも矢を放っていた。二本の矢は偶然、熊の首元に刺さり、熊はあっけなく沈んだ。
「ふぅ…なんとかなったな」
「ああ、危なかったわ」
三条たちは既に終わっていた。おそらくあの強烈な槍の一撃を食らったのだろう。南無。
『戦闘に勝利しました!』
『火魔法がレベルアップしました!』
『取得条件を満たしました!敵感知を取得しました!』
『鑑定がレベルアップしました!』
『ダッシュがレベルアップしました!』
『取得条件を満たしました!回避を取得しました!』
これまたたくさんのスキルがレベルアップした。敵感知と回避、という2つのスキルを取得できたようだ。これらは文面から推測できるな。
ドロップしたのは、またも骨だった。落胆しかけたが、説明文を見た瞬間、そんな感情は吹き飛んだ。
魔熊の骨 品質B
ベアーソーサラーの骨。魔力がこもっている。強靭。
杖の作り方はわからないが、これで作れば魔法の威力を高められるのではないか?そう思えた。
「おー経験値美味しい!もっと熊探そうよー」
「確かに美味いけど魔法乱発してお前らMP大丈夫か?」
「俺は残り3割あたりかな…」
「ボクもそんくらい!でもマナポーション持ってきてるから大丈夫!」
「マナポーション?ってなんだ?」
「魔力の回復剤のことだよ。ソバタくん持ってないの?」
「まだ買い物してないんだよ…」
「あちゃあ、じゃあ一個貸そうか?終わった後に清算してくれれば問題ないから」
「ゆき、ありがとう。…ってこれ飲むの?」
ゆきから渡されたのは、毒々しい青色の液体が入ったガラス瓶ーーフラスコみたいーーだった。
「当たり前だろ?飲む以外にどうするんだよ」
「いやこれ明らかに人の飲み物じゃ…」
「案外美味しいよ!ほら飲んでみて」
「いーっき!いーっき!」
ゆきに催促され、三条は完全にお酒を一気させようとするノリだ。…すこし気乗りはしないが、飲むしかないだろう。
美味しくなかった。
ソバタ
人間 男 種族Lv8
職業 ソーサラーLv8
ボーナスポイント4
ATK5
DEF2
MATK6
MDEF2
SPD6
DEX6
LUK2
SP残4
セットスキル
火魔法Lv8 光魔法Lv3 闇魔法Lv3
鑑定Lv11 軽業Lv5 識字Lv5
魔力回復上昇(微)Lv4 持久走Lv2 罠Lv2
ダッシュLv2 敵感知Lv1 回避Lv1