微妙な雰囲気の原因になるってすごく肩身狭い思いだよね
前回のあらすじ
夜の逢瀬
6:00 am 研究所内・211
二日目の朝が来た。なんというか、怒涛の1日だったな、と振り返る。まあ通常の5倍、ゲーム内の時間が多いからそう思えるだけかもしれないが、現実世界、つまりここでも色々と恋…ならぬ濃い経験をした気がする。うまいなんて思ってないからな?
身支度を整えてドアを開けると、当然のようにそこにはカイがいた。
「おはー。どうだった?昨日は」
「おはよう。そうだな、充実していたよ」
「どこ行ってたんだ?部屋行ってもいねえし」
「あー…えっと、まあ散歩かな?」
「お前らしいな…そうだ、紹介したい奴らがいるんだが、いいか?昨日俺はパーティ組むって言ったじゃん?そいつらと顔合わせしてくんね?」
「まあいいけど…なぜ?」
「お前も加えたいからだよ。実はお前のスタイルってすごい貴重だから」
「どこがだ?罠張って突撃するスタイルが?」
「…お前何やってんの?まあいいや、それはおいおい話すよ。それよりあいつらも飯に誘ってんだけど、いいよな?」
「事後承諾かよ…もう誘った後なら仕方ないな、行くよ」
「そう言ってくれると思ってたわ。壊した杖の代わりはどうした?」
「杖なしでやってるぞ」
「マジかお前。確かゆき…ソーサラーのやつが杖を買い換えててお古があるはずだから借りときな。あった方がいいのは確実だから」
「おう、そうするわ」
「…壊すなよ?」
「善処する」
6:30 am 研究所内・食堂
現在俺は6人席のテーブルに座っていた。もちろん左端だ。右隣にはカイ。そしてその隣は…
「俺は三条。職業はファイターだ。主にタンクを担当している。カイとは他のゲームでもパーティを組んでいてな。その縁で組ませて貰った。前衛は任せてくれ」
ゴツい。第一印象がこれだ。顔も雰囲気も力強さで溢れているようだ。本当にゲーマーなんだろうか。ゲーマーといえばこう…インドア風なものを想像していたのだが。
俺の向かいには結構綺麗な女性が座っている。
「うちはプロム。職業はファイターで、槍つこうとる。よろしゅうな」
関西弁を全面に出している彼女は、明朗快活を絵にしたような人だ。
その隣はこれまた綺麗な、と言うか、かわいい系の女性がいた。おそらく中学生か?
「ボクはゆき。君と同じソーサラーだよ!覚えてる魔法は水だけ!よろしく!」
やたらテンションが高かった。
「私はカナよ。ソーサラーだけど主に回復担当。よろしくね」
最後は清楚な感じのお姉さんだった。雰囲気は看護婦という印象だ。
というかなんで男3人女3人なんだ?これって世に言う合コンなのでは…カイ恐るべし。
「じゃあ最後にお前だな」
「おう。俺はソバタ、職業はソーサラーだ。魔法は火と…取得しただけだが光と闇だ。よろしく頼む」
「よし、じゃあこの6人でパーティを組むことになるけどいいか?」
「おいカイ、俺だけゲーム初心者なのにいいのか?その、足を引っ張ったりとか…」
つい心配になって聞いた。周りにいるのは生粋のゲーマーばかりなのだろう。俺が迷惑になるのは避けたい。
「俺が推薦したんだ」
「なんでだ?さっきも言ってたが俺のスタイルってなにが貴重なんだ?」
この話題になった瞬間、5人は急に空気が変わった。いわば秘密の話をするように顔を近づけた。
「それなんだが、お前歩きながら魔法を使ってただろ?」
「お、おう。何か問題があったのか?」
「普通はね、ソーサラーは魔法を歩きながら使えないのよ」
まるで長年の勘違いを違うと教えてくれるかのような重い口で、カナさんが話した言葉を聞いて、俺は我が耳を疑った。
「じゃあなんで俺はできるんだ?今じゃ罠作りながらでもできるぞ?」
周囲が微妙な雰囲気になった。
「罠ってなんだお前…ソーサラーと言うよりはハンターじゃ…」
三条が呆れている。
「俺は効率的に狩っていただけなんだが…」
「と、とにかく!このパーティにはそれの検証も目的の1つなのよ。ソーサラーはその場から動けない都合上、それが弱点にもなりうるの。秘密を漏らすことはしないから、スキルを見せてくれないかしら。この通りよ!」
カナさんが急に頭を下げてきた。
「あ、いやそれは全く問題ないから、頭あげてください」
「まあそう言うわけだ。全員、何か言っておきたいことはないか?」
プロムさんが手を挙げた。
「なあカイ、ソバタくんが動けるいうことは、ポジションは遊撃ってことでええんか?」
「ああ、そのつもりだ。俺と三条が前衛プロムとソバタが遊撃、ゆきとカナが後衛だ。三条もいいよな?」
「ああ、任せろ!」
「あっそうだ。カイ、杖…」
「忘れてたわ。わり、ゆきかカナ、お古でいいから杖をソバタに貸してやってほしい。こいつ壊しちゃったんだよ」
カイが聞くと、ゆきが手を挙げた。
「あっボクのでよければいいよ。あの杖売ってもお金にならないから困ってたんだよね。ちなみになんで壊れたの?野犬にでも襲われた?」
「いや、野犬を襲った…」
再び微妙な雰囲気になった。解せぬ。
話進まないなあ