人は見かけによらない
4:00 pm 第1の町・闘技場
『これより本戦2回戦を行います!』
『あなたの試合まで残り5分です!当該エリアまで転移しますか?』
今のゆきの戦闘で本戦が一通り終わったようだ。戦闘が終わった直後、インフォが流れてきた。見ていてあっという間だったと思えるのは、やはり楽しめたからだろう。
「次試合みたいだ」
頭に流れた情報を理解するとともに口から漏れる。歓談していると段々思ったことがするりと口に出てしまうものだ。(俺は)
「2回戦の初っ端か。頑張るのはいいけど気負いすぎるなよ?ソバタは初心者なんだから」
カイがいつになく真面目な顔で忠告して来る。いや、ここまでできてるんだからいいとこまでいけるんじゃないかな、と自分では思っている。
「いやー、ゆきも派手やったなぁ」
戦闘の跡がまだ残る会場を見てプロムが呟く。そこには地面に突き刺さった氷や水たまりが多数あった。もちろんゆきのやったことだ。その可憐な容姿から打ち出される弾は裏腹に凶悪であった。
「並んで味方として戦ってるとわかんなかったけどこんなにすごかったのか…」
その戦闘内容には絶句するしかなかった。開始と同時に水をそこかしこに生み出しては氷に変えて全方位から相手を攻撃、すぐに氷漬けに変えてしまったのだ。相手が不憫としか言いようがない。
「ああやって見ると水と氷って相性良いのか?水があるときに氷魔法を使うと消費MPが減る…とか?」
三条が思索に耽りだす。その口から漏れる思考を聞き、俺もなるほどなと思った。1から氷を作り出すより自ら冷やすだけの方が苦労しない…みたいな。運営が考えそうだ。
「それはゆきが帰ってきたら聞いたらいいんじゃない?それよりソバタ、2回戦始まるわよ?」
カナさんが脱線しかけた話題を戻す。そうだ、俺って次試合じゃないか。
「じゃあ行ってくる」
そう告げて俺は転移を了承する。5人が手を振ってくれる光景を見ながら、俺の意識は薄れた。
お久しぶりです。
かなり投稿が遅れてしまい申し訳ないです。が、さらに申し訳ないことに今後のペースも落ちることが予想されます。気長にお待ちくださいorz