服飾店の店員ってこういう印象(偏見)
前回までのあらすじ
魔法おもしれー
5:55 pm 第1の町近郊・草原エリア
そんなこんなで俺の魔力が尽きるまで2人で野犬を狩った。
俺の現在のステータスはこうだ。
ステータス
ソバタ
人間 男 種族Lv4
職業 ソーサラーLv4
ボーナスポイント11
ATK2
DEF2
MATK2
MDEF2
SPD2
DEX2
LUK2
SP残6
火魔法Lv4 鑑定Lv6 軽業Lv2
魔力回復上昇(微)Lv3
「なあ、ボーナスポイントってどう振ればいいんだ?」
ステータスをどう育てていいかわからない俺は、この類のゲームに詳しいであろうカイに聞いてみた。
「そうだな。ソーサラーの場合は攻撃を受けない前提だから、INT…このゲームの場合はMATKに極振りだな」
「日本語でいいから。INTってなんだ。極振りも知らんぞ」
「お前ほんとに何も知らないなぁ。INTはインテリジェンス、つまり魔法攻撃力を上げるんだよ」
「ふむ。じゃあ極振りは?」
「極振りっていうのはな、ステータスのボーナスポイントを、一箇所に全て入れることだ。そのステータスが圧倒的に多くなるぶん、他のステータスは低いままだから…要は専門職みたいなもんだ」
「なるほどな。確かにソーサラーは魔法が主体だしそういうのもありか…」
口では極振りを肯定したものの、俺はあまり乗り気ではなかった。何故なら俺の目指す理想像は前線でも戦えるスタイルだからだ。今持っている杖は打撃に向いていないが、いずれ打撃もできる杖を手に入れる筈。そのときに備えて少しはATKつまり物理の攻撃力も上げるべきだな。あとは…
「なあ、このDEXって意味あるのか?器用って言ったって何が変わるんだ?」
そう。ATKにMATKはわかる。それぞれ物理、魔法の攻撃力だろう。DEFにMDEFも、物理、魔法の抵抗力だとわかる。LUKは幸運、まああげたい人はあげればいいようなものなのだろう。しかし、器用になって何が変わるのかがわからなかった。
「DEXは器用って書いてあるけど、要は命中率だ。例えば弓だったり、ソーサラーだって攻撃が命中するとは限らないだろ?どういうふうに影響するかはわからないけど、まあ上げてもいいんじゃないか?」
「なるほど、サンキュ」
そんなことを喋りながら、町へ帰投した。
ちなみに今回得たアイテムは、野犬の皮が10枚、野犬の牙が6個である。
「なあ、ログアウトまでの間、少し町を散策しないか?何か発見があるかもしれないぞ」
「おっいいねぇ。行こうか」
と言うわけで、町を見て回ることにした。
5:56 pm 第1の町・中央広場
「まずはマップの確認だな。確か町の中央に概略図があった筈だ」
「そんなのあったのか?俺町探検なんてゲームじゃしたことないんだわ。ここは任せるぜ」
「ああ。お前に引っ張られたときに見かけたんだ。店や強くなれるヒントがあるかもな」
「おっこれかあ…なるほど…うん、わからん。俺地理はダメなんだ」
「知ってた。というかお前は全部ダメだろ」
「よくわかってるじゃないか。さすが親友!」
「悪友の間違いだろ…っと、南に行けば商店街があるそうだ。毛皮や牙を売るとしたらそこか?後は…未開発エリアってなんだ?」
「それは…なんだろな。βでは関係ないんじゃないか?」
「なるほどな。…北に少し行くと図書館があるらしいぞ?興味があるな」
「図書館ってなんの役に立つんだ…俺本読むの苦手なんだけど…」
「なら後で俺だけで行くわ。先に商店街に行こうか」
5:57 pm 第1の町・商店街エリア
「へー、なかなかいろんな店があるもんだな!」
「そうだな。アイテムを買い取ってくれそうな店は…ここか?」
俺たちは商店街をぶらついていた。ちょうど足を止めたそこには、服飾店のような洒落た店が立っていた。
「普通のゲームって店1つしかないかギルドで売買出来るもんだけどな。そこで売らないのか?」
「ん?なんだそのギルドってのは」
またカイの言葉にゲーム用語が出てきた。ギルド?
「ギルドは登録して依頼を受けたりするところだよ。俺は一番に登録してきたんだがお前はしてないのか?」
「ギルドについて知らないのに登録したと思うか?」
「…ないな」
「んでギルドで買い取ってくれると言ってたが価格はどうなんだ?」
「適正ではあるだろうけど、一般の店と比べるとどうなんだろな。というか一般の店で買い取ってくれるのか?」
「そこは聞いてみないとな。もう時間はあんまりないから後で登録しようかな。あと買い取ってくれるとかは価格の比較もしないと」
「なんかめんどくせーなぁ。ギルドで一括でよくね?」
「1円でも多く儲けた方がいいだろうが」
「1Gだけどな」
服飾店の中はそこらじゅう様々な服が陳列されていた。現実では服を買いに行ったことがないため比較はできないが、一言で表すならギッシリ、である。
店主と思しき人は店の奥にいた。…
「あれってオカマか?」
「おいもうちょい声を小さくしろ。あれは…女なんじゃないか?」
そう。店主(仮)はゴツい顔に女性服を身に纏っていた。こんな人、いるのか…声かけづらいぞ…
「失礼、店主とお見受けしますが、ここの店では毛皮の買取をしているのですか?」
店主(仮)はゆっくりこちらを向いた。やべえ怖い。
「あら、お客さん?そうよ、私がショップ【ムンコヤ】の店主、ムンコよ。買い取りはやってるわよ。毛皮を持って来てくれたの?」
「あ、ああ。とりあえずこれでいくらだ?」
俺は毛皮を5枚出した。
「そうねえ…野犬なら…15ゴールドかしら?」
「毛皮一枚で3ゴールドか…よし、それで」
「あい、毎度あり。なんか買ってくかい?そんな平凡な格好じゃ、女の子寄ってこないわよ?」
「金欠でね。貯まったら買いにくるよ」
「あらそう?じゃあ待ってるわね」
そう会話し、俺は15ゴールドを手にして店を出た。
「おい、なんでお前毛皮全部売らなかったんだ?」
「バカ、ギルドと比較するんだろ?全部売ってもしこれが薄利だったらどうすんだ」
「なら聞くだけ聞いて売らなきゃいいだろ?」
「ムンコさんになったつもりで考えてみろ。それされてどう思うよ?」
「…怒るな。買い取ってくれなくなる?」
「そうだ。だから丁度いい量だけ試しで売ったんだ」
『テスターの各位にお伝えします。現在の時刻は午後6時です。これより一時強制停止の後、一斉ログアウトとなります』
カイに説明している時にインフォが流れた。
「もうログアウトかあ」
「おいおい、まだテストが終わったわけじゃないんだから、そんな気落ちするなよ」
「そうだな…じゃあ戻ったら風呂だ!大浴場いこうぜ!」
「了解。また廊下でな」
6:00 pm 研究所内・211
一旦暗転した視界や感じられなくなった聴覚、嗅覚などが急速に戻って来る。目を開けると、見覚えのある天井がみえた。どうやら無事、ログアウト出来たようだ。安全とわかっていても、少しの恐怖はあったようだ。
「…さて、風呂行くか」
俺は体を起こし、研究員に手伝われながら身支度を整え、廊下へ出た。
次回ヒロイン登場予定
ソバタ
人間 男 種族Lv4
職業 ソーサラーLv4
ボーナスポイント残11
ATK2
DEF2
MATK2
MDEF2
SPD2
DEX2
LUK2
SP残6
セットスキル
火魔法Lv4 鑑定Lv6 軽業Lv2
魔力回復上昇(微)Lv3