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たたかう奇術師  作者: 金箔
4日目
37/45

団体行動でスーッと交差する時凄いドキドキする

前回のあらすじ

レアアイテムゲット

8:10 pm 海岸エリア

風呂を済ませ、夕食を終えた俺はすっかりお馴染みのカイたち6人連れで海岸エリアへ来ていた。明日は闘技大会ということで、その練習を約束していたのだ。

「よし!じゃあまずは予選の練習だな!」

嬉々として準備体操を始めるカイ。ゲームで必要なのか?それ。

「確かルールは体力を8割削られたら失格、残り2人になった時点でその2人が決勝に行ける…であってたよな?」

最近解説役と化している三条がルールを作成し、決闘の申請を送ってくる。とりあえず認証っと。

「そうね。だから今回の練習は単純に生き残りよ」

こう話している間に場が整ったようだ。開始を告げるインフォが流れてきた。よし、俺もこんなメンツに勝てるとは思えないが、やるからには全力を尽くそうか。


『決闘開始!』

まずは!

「〈フライ〉〈マジカルピジョン〉〈マジカルピジョン〉〈マジカルピジョン〉〈マジカルピジョン〉!」

地上にいても恐らく簡単に屠られる。そう考えた俺は先手を取られる前に空中へ逃げた。同時に虚空から次々と鳩を召喚した。属性は雷、火を2セットずつにしてある。

少し格好を付けて杖をクルクル回し、後ろ手に構えた。実は夕食後に少し練習したのだ。この姿勢なら前に突きを放てるし、横へ薙ぐこともできる。下にも殴打できる、と考えた結果だ。正しいやり方は知らないが、何事も試しだろう。

さて、十分高度を取ったところで戦況を…!

「あー、はずしたかぁ」

ビシッという鋭い音が聞こえ、思わず体を硬直させた。氷の針が真横を通り過ぎていったのだと、後から感じた冷えで理解する。

改めて下を見ればカイとプロム、三条が三つ巴を呈していた。誰かが動いたら、漁夫の利を得ようとしているあたり、3人ともちゃんと考えて行動しているのだろう。見た目とは裏腹に。

少し離れたところでは、ゆきとカナさんが…ん?両方こっち向いて…おわっ!?

間髪入れず大量の岩の柱や氷の柱が飛んでくる。これは避けるので精一杯だろうか。左右、上下に動いて外してはいるが、全く近づけていない。周りに配置している鳩も徐々に数を減らしている。ええい、ままよ!

「鳩、行け!」

その数はとても全てバラバラに操れるほど少なくはなかったので、2羽1組にし、それぞれに違う軌道を描かせる。

こちらが攻勢に回ったことで相手は鳩を相殺するために攻めの手を減らすだろう。

そう考えていた時期が俺にもありました。

「ほらほらほら!どんどんいくよー!」

なんで減らないんだ!?むしろ増えてないか?

鳩を呼び出しながら相手を攻撃するが、向こうには一向に当たらない。こちらもなんとか避けてはいるが…まだ余裕があるところを見ると当たるのも時間の問題かもしれないな。なにかないか、一矢報いる奇策が…なんとか目をそらして鳩を近づかせれば…注意をそらす?そうか!

「〈アテンション〉!〈マジカルピジョン〉!」

消えた分の鳩を追加するついでにアテンションを発動した。ただこちらはかなり上空にいるので、アテンションを発動したことはまだ気づいていないだろう。

相手は俺を狙って攻撃している。なら、俺を注視しているはずだ。ならその注視の矛先がいつの間にか幻の鳩へ移っていたら?

目の前にいるにもかかわらず奇襲が可能なはずだ。

そうと決まれば、と一度鳩の突撃を中止し、3つの集団に振り分けた。うち二つは鳩の集団を半分にし、もう一つは俺とその周りにいる幻の鳩だ。

ではこれで何をするか。ヒントは手品だ。説明が難しいが、トランプを裏返してシャッフルし、違うカードを違うと思わせないというような手法があった。これを応用し、この三隊をトランプをシャッフルするように交差させる。途中で、俺の周りにいる幻の鳩と本物の鳩を入れ替えるのだ。

早速実行とばかりに、空中を縦横無尽に飛んでみた。幻の鳩の効果か俺を狙い続けてるのかはわからないが、とにかくこちらへ大量の魔法が飛んでくる。結構これリスク高いな…

三隊が十分離れたところで、まずは最初の交差だ。決めた点に向かって三つの隊を急行させる。まるで団体行動のように流れていく鳩は一種幻想的だった。ここではそのまま素通りさせた。

さて、次の交差で仕掛けようか。俺はそのまま離れた三隊を大きく旋回させ、また違うポイントへ向かわせた。

相変わらず撃ち止まない雨のようなーー下から上に飛んでくる点では逆だがーー魔法を全速で避け続ける。ふと、昔カイにやらされた弾幕ゲームというものを思い出した。あれだな、集中している時こそふと思うことが多い。このゲームを始めてから気がついたことだ。

旋回してからずっと見えていた他の二隊がどんどん迫ってくる。自分で操っているとは言え少し怖いが、午後のボス戦でだいぶ慣れた為か、震えはしなかった。鳩のすり替えをするタイミングは…まだだ…まだ…今だ!

交差した瞬間、俺の周りにいた幻の鳩を90°方向転換させ、別の方向から来た鳩と入れ替えた。鳩たちは急な方向転換でも流石ゲームというべきか、なんとかうまく行った。

「よしっ!」

思わず声を漏れるがここは上空。念のため地上の2人を見るがバレていないようだ。攻撃の矛先は無事、幻の鳩の方へ向かっている。今のうちに俺が攻撃できる位置に移動すれば、いい攻撃になるはずだ!

幻の鳩を自動運転に切り替え、上空を適当に周回させる。そして残りの本物の鳩を地上すれすれまで集合させ…背後から強襲する!

「行け!」

鳩を細かく操作し、なるべく全羽当たるように時間差、多方向に撃つ。一直線に向かったそれは、空を見上げて魔法を撃ち続ける2人の背後へ襲いかかった。

「いたっ!ええっ!?」

「あれソバタくんいつそっちに?」

約80羽にもなる鳩を突撃させたが、半数が命中したところでさすがに気づいたのか、即座に撃ち落とされてしまった。でもこれでいいダメージを与えられただろう。このまま攻め切る!

「はあああああああ!!」

フライで出来る全速で突撃し、杖を突き出す!

「〈ロックウォール〉流石にその手は予想してたよ!」

そして眼前に出現した岩壁に、俺は止まるすべもなく突っ込み、激突した。


…ハッ!?

「あっ起きたー」

急に意識が覚醒する。俺はどうして…そうか、決闘をしてて壁に突っ込んだっけか。またツメの甘い終わり方だな。

起き上がった俺の視界に全員が映る。みんなボロボロであった。何をしたらこうなるんだ…?

カイが咳払いをして話し始めた。

「じゃあ結果発表ー。とは言ってもソバタ以外はみんな知ってるけどな。生き残ったのは…俺でーす!」

わー、とまばらな拍手が起きる。ああ、あの三つ巴を制した後カナさんやゆきにも勝ったんだな。すごいなカイは。

「それにしてもソバタくんは派手だったわね。いつ上空から地上に降りて来てたの?」

若干煤けているカナさんが俺に聞いて来た。気分は手品のタネ明かしだ。

「アテンションがかかっている幻の鳩の周りにいた、という認識を強く残して、すり替えることで俺から焦点を外させたんだ…でも負けちゃったけどね」

やはりこのパーティメンバーに勝つのは至難の技である。こんな技量の人ばかりが集まる大会に俺は勝てるのだろうか。とても心配であった。

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