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たたかう奇術師  作者: 金箔
4日目
36/45

男のツンデレもきっとどこかに需要がある

前回のあらすじ

魚人軍撃破

5:50 pm 秘蒼城・玉座の間

やっと痺れが治った俺は体を捻り、周りを見渡す…と、5人がこちらを覗き込んでいた。

『あ、やっと起きたわね。大丈夫?』

カナさんが代表するように口を開いた。皆それぞれには違う表情を浮かべているが、心配してくれているよう…ん?ゆきはそれ、心配しているのか?

『毎回何かしらやらかすよねー』

隠そうともしないニヤケ顔と共に言われるが、確かに振り返ってみればそうだから言い返せない。思わず目をそらしてしまう。

そらした先には、ムッツリしたカイとこれまたニヤケているプロムがいた。これはどうした?

『カイ、ソバタが電気で沈んだ時にきr痛い痛い』

顔が上を向いている状態だからよく見えなかったが、何か言おうとしたプロムが急に足を抑えているところを見ると…踏まれたか?なぜ急にそうなるカイ。

『カイはソバタがだいsゴフッ』

続いてこれまたなにか言おうとした三条も無表情のカイに殴り飛ばされていた。

「どうしたんだカイ。なんかおかしいぞ?」

俺の質問にカイは顔を背けた。

『な、なんでもねえよ。それより、見ろあそこ。宝箱だぞ』

ま、なんでもないって言ってるならいいか。

俺は疑問でいっぱいだった気持ちを切り替え、カイの視線の先を追った。そこには、いかにもな宝箱が鎮座していた。そこにはさっきまで何もなかったような…

『ボスを倒したあと気づいたら有ったのよ』

カナさんが俺の疑問を察しているようにちょうどいいタイミングで解説してくれた。イベントならではの演出といったところか?出てくるところを見たかったな。こう、いつの間にか変わってるものの変わる瞬間がどうしても気になる…のは俺だけだろうか。

『ソバタが起きたらみんなで開けようって話してたんだー』

まあそれはともかくとして、待たせていたようだし早速開けてもらうか。

「待たせてごめん。もう問題ないから開けてくれていいぞ」

俺が頼むと、宝箱を誰が開けるかという話に移った。一番貢献した人物が開ける不文律になっているようだが、俺は周りに電撃で迷惑かけたし他薦されても辞退かな。

『じゃあ今回はカイかな?一番与ダメ量多かったみたいだし』

口を出さず見守っていると、どうやら決まったようだ。俺が突撃する前はプロムとカイが同じくらいの活躍をしていたように見えていたが、カナさんの意見に誰も反対していないところを見ると、カイの方が奮戦していたのか?俺が痺れて下を向いていた間に何が有ったんだ…

『おっし開けるぞー…ほい!』

物思いに耽っている間にカイは無造作に手を添え、一気に開いた。罠は…なかったみたいだな。

みんなが宝箱を開けたカイに注目する。中を覗き込んだカイは…時間が止まったかのように硬直していた。まぶた一つ動かしていない。何かあったんだろうか?

『なあカイ、何が入っとったん?』

沈黙に耐え切れなかったのかプロムが口を開きながら中身を覗く…と、

『これなんや?』

プロムは中にある物を片手でヒョイと持ち上げた。その手の中には、

「…石?」

ゴルフボール程度の大きさの球が6つ転がっていた。表面は灰色で、一見するとただの石ころだ。

『なにこれ。はずれ?』

あんな強敵を倒したのに報酬が石ころってどうなんだろうか。あの王や魚人が守っていたと仮定すればもっと高級な…それこそ宝石とか、そう言うものであるべきなはずだ。

みんなが落胆する中、俺もその石をよく見るべく近づく。

俺はそれらを覗き込み、凝視する。が、やはり金属の種類なんて分かるわけでもなく…あ。こんな時のために鑑定があるんじゃないか?

俺は期待を込めて鑑定を発動させた。


ミスリル 品質C

非常に硬い金属。魔力をよく通す性質がある。魔力を込めると虹色に発光する。


「ミスリル…ってなんだろう。聞いたことないな。誰か知らないか?」

非常に硬い金属だそうだが、残念ながら俺は知らないもののようだ。原子にそんなものはなかったから合金なのかな?

疑問に思い周りに聞く…と、

『それほんとか!?』

急に両肩掴まれた。見ればカイだ。その鬼気迫る表情は至近距離で見ると少し怖い。というか掴まれている肩が痛いのだが。

「落ち着けカイ、まずは手を離せ。痛いぞ」

掴まれている手に手を添えながらいうと、我に返ったかのようにカイは手を離した。まずは話ができる姿勢になったかな?

カイの後ろを見れば、やはりミスリルという単語に反応したのだろう4人が「ほぉ〜」とか言いながら石を摘んで眺めている。

「んで、ミスリルってなんだ?ゲーム特有のものなのか?」

『ミスリルはな、一般的には金属武器にしても魔法に対する効果減衰がないっていう超レア金属なんだ』

『ついでに言えば、ファイターが魔法を使うためには金属以外の武器を使う必要があったの。でも、他の選択肢は木とかモンスター素材を加工…つまり、金属より劣った出来のもので代用するしかないのよ』

カイの相変わらずな説明に、石に魔力を込めて遊んでいたカナさんが補足をしてくれた。その手にある石はなんとも言えない眩い虹色の光を出していた。

『でもこれ、小さすぎない?』

同じく遊んでいたゆきが疑問を呈する。確かにゴルフボール程度の大きさの金属でどんな武器を作れるのだろうか。…短剣?

『私も詳しくないけど、合金にするんじゃない?帰ったら鍛治師のフレンドに聞いて見るわね』

鍛治師のフレンドね…そういえば、と。

フェイも生産職ならこれの利用法が分かるのではないだろうか。今度持ち込んでみようかな。

…決して会う口実ができて喜んでるわけじゃないからな?

ようやく海回終了

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