イメージはシーラカンスと巨人を足して二で割ったやつ
前回のあらすじ
戦闘開始
魚人達がまだ遠くにいるうちに鑑定をしておいた。
マーマン Lv19
マーマンソーサラー Lv21
マーマンソルジャー Lv25
マーマンキング Lv30
…前から思っていたがここの運営はネーミングセンスがないな?
まあそれはともかく、ソルジャーやキングはレベルが高めだ。本当に倒しきれるのか…と不安がまた出るが、もう振り向かなくてもわかる。この5人は嬉々として武器を振るうだろう。俺は不安を追い出そうと首を振る。…ふぅ。よし!
「〈マジカルピジョン〉〈マジカルピジョン〉〈マジカルピジョン〉〈マジカルピジョン〉!〈ジャンボ〉!〈カード〉!」
もはや定番になっている鳩の召喚に、先程使用したジャンボを加え、更にカードを引く。カードは…ワンペアか…。
虚空から出現した鳩は、その場で巨大化を始める。確か前にした時は10秒くらいだったか。終わるまでそのまま待機だな…!?
突然最前列の鳩が消えた!なんでだ?
『ソバタ!もう向こうが攻撃してきてるぞ!』
急な展開に頭が停止している間にも1つ、また1つと鳩が消えていく。なんの攻撃なんだ?
何も見落とすまいと空間全てを凝視していると、何か黒い影が勢い良く飛んできた。よく見れば、魚人達の中から石の塊が発射されていた。石が鳩に接触した瞬間、石は爆散し、鳩は消失した。飛び道具に当てられたら弱い攻撃でも鳩は消えるのか!
俺は急いで鳩に回避の指示を出す…が反応がない。既に敵味方の攻撃が飛び交う中、鳩は無防備にその場で巨大化を続けていた。これ、もしかして巨大化中は身動き取れないのか?なるほど…威力は上がるけど準備が整うまでは動けないのか。一長一短なんだな。
何分にも感じられた巨大化は、唐突に終わりを迎えた。
「よし!鳩は取り敢えず散開!」
俺は何よりもまず回避をさせた。これ以上の消耗を避けさせてから、じっくり狙いを定める。まずは…
『ソバタくん!杖持ちを最優先!』
どれを狙おうか迷っているところへ丁度よくカナさんから指示が飛んできた。
「了解!」
よく見れば左端の一体は氷漬けになっているから、残り全部で9体。王の隣にいる奴、陣頭指揮を執っている奴に後方で安心し切っている奴。探し出して頭に刻み込んでいく。目と頭が忙しなく動いているのが自分でもわかる。目の端にはソルジャーと壮絶な斬り合いをしているカイたちも見えた。
「行け!」
9体見つけ終わったところへそれぞれの地点へ突撃を開始させる。遠目だからそれぞれどのような動きをしているかは細かくわからないが、どこにいるのかは常に把握できる。あとは巨大な鳩がその周辺に落ちれば、確実にダメージを与えられる。
俺の若干の指示を受けた鳩は旋回しながらそれぞれの地点へ飛んで…
ドゴゴゴゴ!!
相変わらずの轟音が鳩の着弾ーー着地とも言うーーを表していた。なんとかなったか?
『ソバタナイス!よし突っ込むぞ!』
鳩が攻撃した後は若干抉れており、恐らく杖持ちと、その周りにいたであろう魚人が埋もれていた。カイたちがその真上を素通りしていく。この一撃によって相当数が減ったであろうことは明白であった。いい戦果に思わず頰が緩む。
「〈マジカルピジョン〉〈マジカルピジョン〉〈マジカルピジョン〉〈マジカルピジョン〉」
鳩を追加し、周りに周回させて俺は突撃したカイたちに続いた。
今や他の魚人の姿はなく、王は孤立していた。ただ、その顔に慌てぶりは見えない。何か嫌な予感がするな…
『中々やるギョね!だがそこまでギョ!本気を見せてやるギョ!』
「ギョギョうるさいな…」
カイたちが王に近づくと、不意に王は喋り出した。嘲るような笑みを見せたあと、王の体に唐突な変化が訪れた。
まず水の流れが変わった。これは…王の周りを渦巻いているのか?くっ流されそうだ。
さらに痩身だった体が膨らんでいく。ゴボウのような手足はもはやその面影を残さず、それぞれ前足と後ろ足に変化していた。鯛のようだった顔は今やどこの深海魚だと言いたいほど凶悪な顔へ変貌した。
『アハハハハハハ!!!この姿を見たもので生きて帰ったものはいないんだギョ!全員腹の足しにしてやるギョ!』
こんなに顔が変わっても声は変わらないんだな。あまりに現実からかけ離れた状況に思わず場違いなことを考えてしまう。
『三条!ヘイトよろしく!ゆきちゃんは水流どうにかして!』
カナさんの指示に現実へ引き戻された。
『はーい!いくよ!えええい!』
流されないよう必死に流れに逆らって泳いでいたが、急に流れが緩んだ。いや、よくよく感じれば、前に流されたり後ろに流されたりしているが…どういうことだ?後ろにいるゆきを振り返って見ると、杖を握って必死な顔をしていた。もしや…
「魚人の水流と逆方向の水流を作って相殺してる…?」
『そういうこと!よし、できた!今のうちにやっちゃって!』
「んなまた…」
やることが相変わらず神懸かっているな。そもそもそんな指示を出すカナさんも無茶振りが…あっそうか、この人たちゲーマーだったな。
気を取り直して、俺には俺のできる仕事をしようか。
現在三条が正面から王の攻撃をいなし続け、カイとプロムが左右に斬り込み、ゆきが水流の抑制と氷による攻撃、カナさんが全体の回復と指揮、魔法による攻撃をしている。俺のできることは…
『ぐっ、こいつ横に目でもついてるのか!?なんで横の攻撃に対応できるんだよ!』
戦況を見つめていると、カイが苦戦している様子が見て取れた。目…目ね。
俺はこの瞬間、一計を思いついた。これにはゆきの協力が必要だな。
「ゆき、作戦があるんだが、余力はあるか?」
攻撃を続けるゆきに近づき、囁いた。
『うん?あるけど、何する気?』
「実は…」
俺は作戦をゆきに伝える。ゆきは少し驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になった。
『了解、タイミングは任せて!』
よし、じゃあ後は俺の覚悟だけだな…これをすれば確実に痛手を与えられるが、俺もだいぶ危険な目に合うだろう。想像しただけで震えが始まる。が、やり遂げたいという想いが自分の中で恐怖を上回ったようだ。自然と口が笑っていた。よし!
「鳩!俺に続け!カナさん、俺も行きます!」
俺はカナさんに一言残して脚に力を入れ、王に突撃を開始した。
流石に鳩の群体は目立つのか、王の目がこちらへギョロリと動いた。やはり気持ち悪いな。
「はあああああああ!!!」
全速で泳いだスピードに加え、杖を突き出…『その程度でどうにかできるとでも?』
さない!
この動きを予測されているだろうと予測した俺は直前で後ろをついてきた鳩を前に出す。大量の鳩が予想通り王の前足によって消されていく。この間、おそらく俺を見失っているはずだ。少し上にずれ…前足が退けられた瞬間を狙う!
「こっちだ!」
全力を以って足で水を蹴り…
『よーいしょっ!』
更に、水流が俺を後押しした。そう、これはゆきが生み出した水流だ。至近距離からいきなり猛スピードが出るとは王も夢にも思わないだろう。水圧が顔や体にかかるが歯を食いしばり、杖を持つ手に力を込めた。
「はあああああ!!」
やっと俺を視界に収めた魚人の目が驚愕に見開かれる。急いで前足を眼前に戻そうとするが…こちらの方が早い!
ブスリ、となんとも言えない感触とともに、俺の杖は王の右目にめり込んだ。
『ウオアアアアアアアアアア!!』
王はその激痛に大きく体勢を崩した。作戦は成功したようだ。まずは一安心だな。さて、ここから…
「〈ボルトタッチ〉!」
すっかり久しくなった奇術以外の呪文を行使する。杖を通して、電撃を食らわせ…
「ああああ!?!?」
こっちにもビリビリきた!?痛いぞこれ!
『お、おい!ソバタ今度は何した!?』
「電撃流したらこっちにもきた!なんでだ!」
体が痺れてしまっている。俺は杖から手が離れ、ゆっくりと沈降していく。
『それはソバタくん、ここ水中よ!使っちゃダメでしょ!』
…あ。そうだった。
気づいたがもう遅い。俺は沈み続け、顔を下にして地面へ軟着陸した。体はまだ痺れて動かない。これ地面が砂じゃなくて良かったわ。埋もれて呼吸できなかったかもしれないな。
『戦闘に勝利しました!』
『種族レベルがレベルアップしました!』
『職業レベルがレベルアップしました!』
『光魔法がレベルアップしました!』
『闇魔法がレベルアップしました!』
『奇術がレベルアップしました!』
『取得条件を満たしました!ロックオンを取得しました!』
『水泳がレベルアップしました!』
『雷魔法がレベルアップしました!』
『回避がレベルアップしました!』
『杖術がレベルアップしました!』
下を向いている間に戦闘が終わってしまった。
ソバタ
人間 男 種族Lv21
職業 マジシャンLv9
ボーナスポイント12
ATK10
DEF2
MATK12
MDEF2
SPD11
DEX11
LUK2
セットスキル
SP残30
火魔法Lv13 光魔法Lv21 闇魔法Lv18
雷魔法Lv8 時空魔法Lv17 奇術Lv22
鑑定Lv30 軽業Lv31 識字Lv10
魔力回復上昇(微)Lv24 持久走Lv5 罠Lv4
ダッシュLv8 敵感知Lv20 回避Lv16
隠蔽Lv5 殴打Lv3 高速詠唱Lv14 杖術Lv8
水泳Lv22 マッピングLv- ロックオンLv1
取得呪文
ファイアボール
ヒートタッチ
ファイアアロー
フレイムラジエーション
シャインボール
ライト
シャインアロー
ホーリーライト
???
ダークボール
カモフラージュ
ダークアロー
イビルスピリッツ
ライトニングアロー
ボルトタッチ
ディメンションアロー
フライ
テレパス
マジカルピジョン
カード
アテンション
ジャンボ