好きな食べ物を名前に取り入れるってどうなんだろう
前回までのあらすじ
ログイン!
『…認証しました。テスター211様、ユーザーネームを決定してください』
俺の目の前にはキーボードが浮かんだ。ふむ。手が動くようだ。身体もあるようなないような、不思議な感覚だ。
さて、名前か。俺は繁沢健太だから…そうだな、ケンでいいか?おい、安直って言った奴誰だ。
ふーむ…そばが好きだしそばで…いや、そば好き健太でソバタ?何か違うような気がするがいいか。
ソバタ…っと。入力完了。
『ソバタ 様、初期ジョブを決定してください』
一覧が浮かび上がる。これは事前に決めてあるからな。ソーサラー…これ押せばいいのか?
『ソーサラーに決定しました。ソバタ様、ようこそSOOへ。貴方だけの物語をお楽しみください』
視界が暗転する。
僅かな浮遊感とともに、視界がはっきりした。周りには同じようにダイブした他のプレイヤーが辺りを見回している。ここは広間のようだ。少し雲があるが晴れている青空。中世を思わせる石畳。皮膚をくすぐる微風。まるで現実のような精度で、俺はついホゥ…と息を漏らした。
さて、情報によればメニューは念じればポップアップするらしいが…
メニュー
→ステータス
→スキル
→アイテムボックス
→ログアウト
なるほど。これは前にさせられたRPGより明快で簡単だな。まずは所持アイテムの確認だな。
アイテムボックスを選ぶと、一覧が出て来た。と言っても1つだけだが。その名も魔法使いの杖(練習用)。まあないよりマシか。ボックスから出してみる。
なんともまあ…木の太い枝?
…ステータスでも見てみるか。
ステータス
ソバタ
人間 男 種族Lv1
職業 ソーサラー
ATK2
DEF2
MATK2
MDEF2
SPD2
DEX2
LUK2
SP残 5
情報が少ないな。SPってなんだ?
『SPはスキルポイントの略。SPを使用してスキルを得ることが出来ます』
急に頭の中にインフォが流れた。ヘルプを読んでくれるのか。ありがたいな。
『ゲーム開始ボーナス!スキルを3つ、SP無しで取得できます』
次に流れたインフォは、スキル取得に関することだ。
ふむ、どんなスキルを取ろうか。ソーサラーだし魔法関連で埋めるか?いや、1つくらいは他のものがいいだろう。
そもそも俺の理想はなんだ?…魔法を放って、でも前線でも戦えるような…ならなにか動きやすくなるスキルでも取った方がいいかな?条件を絞って…軽業かあ。いいな、取ろう。断じて適当では無い。
次は魔法関連にしよう。取得できる魔法は、火、水、土、光、闇だ。とりあえず最初にある火にしておこう。
3つ目は…なにか補助的なスキルが欲しい。何かあるかな…
条件を絞ったリストを流し見していると、ふと「鑑定」という文字が目に止まった。これ持ってれば役に立ちそうじゃないか?
なら初期スキルは火魔法、軽業、鑑定で決定だな。
『火魔法、軽業、鑑定を取得しました!』
『火魔法〈ファイアボール〉を会得しました!』
『火魔法〈ヒートタッチ〉を会得しました!』
じゃあステータスを見直してみるか。
ステータス
ソバタ
人間 男 種族Lv1
職業 ソーサラー
SP残 5
火魔法Lv1
軽業Lv1
鑑定Lv1
確かにスキルが増えてるな。ちょっとした達成感だ。
…何か忘れてる気がする。なんだっけか?
「…イ。オイ!健太!」
急に名前を呼ばれて視界をウインドウから上げる。目の前には海斗が立っていた。こんな人混みから俺をよく見つけたな…
「お、おう海斗か。どうした急に」
俺が言うと海斗の表情が驚愕と呆れがないまぜになった。なぜ?
「お前噴水前で集合って忘れてたろ?来ねえから探したぞ」
そうだ。言われてみればそんなことを忘れていた。
「健太は名前どうしたんだ?俺はカイだ!ゲーム内ではそう呼べよ?」
安直代表がここにいた。海斗だからカイ…
「了解、俺はソバタだ」
「ソバタ?また妙なのにしたな。まあいいか!とりあえず狩り行ってみようぜ!」
「お、おい待てまだ攻撃の仕方とかわからないって!引っ張るなよ!」
てな訳で、人生初の狩りが始まろうとしていた。このスキル達はどう機能していくんだろう。
全く話が進まない_(┐「ε:)_