これはデートになるのだろうか(願望)
前回のあらすじ
防具(燕尾服)
11:05 pm 研究所内・中庭
ログアウトした俺は、昨日と同じようにコーヒーを持ち、中庭のベンチに腰掛けていた。昨日は、こうやって星を見上げていたら、フェイが来たんだよな…
来ないかなと少しの願望を抱いたが、そう毎日もこないだろう。すぐそれを打ち消す。
今日の顛末を振り返ると、実にいろいろなことが起きた。知らない人とパーティを組んで、瀕死になりながらもボスを攻略。杖を作ってもらって、死地ながら熊の群れを2人で撃破して、さらには着せ替え人形になった。実に濃い1日だった。最後は記憶が微妙だったが。
今日も星は良く見える。いい夜だ…
「隣、いいかしら?」
ぼーっと上を向いていたら、顔が突然目に入った。気づけば、フェイが覗き込んでいたのだ。
「ああ、いいぞ」
俺はベンチの左端に座り直した。フェイは微笑みながら右へ座る。
「今日はあの後どうしてたの?」
「そうだな、知り合いに引きずられて…着せ替え人形に…」
「…」
フェイは愕然としていた。そんな顔も可愛い。
「て事は服、変えたの?」
「買わされたよ…」
「ねえ、じゃあ今度見せてよ」
「うえっ?」
突然のお誘いに変な声が出た。
「ついでにさ、第2の町に案内してくれない?行きたいのよ」
「ああ、勿論。でも第2の町に行くにはボスを突破しないと…」
「あら、一応私もちゃんと戦えるわよ?弓だけどね」
「2人で攻略するのか?相手も二体だぞ?」
「武勇伝を打ち立てて来たソバタくんならいけるんじゃない?それとも、2人きりは嫌?」
「嫌、じゃないけど…」
つい顔が赤くなる。2人きり…だと…!!
「なら決まり!じゃあ明日の夕方、広場でね!おやすみ!」
そう言って、フェイは去って行った。その挙動はまさに妖精というにふさわしい可憐さであった。
「さて、俺も寝るか…」
そういえば、武勇伝ってなんだろう?
短めですいません。まあ閑話、くらいに思ってください。