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たたかう奇術師  作者: 金箔
2日目
17/45

女子は幾つになっても着せ替えが好き

前回のあらすじ

戦術は大事。



9:30 pm 第1の町

第2の町に戻ると、俺とカイは別れた。目指す場所はフェイの店である。熊との交戦後、一度杖の耐久値を見てみたのだが、見事に半分になっていた。だから修復?してもらいに行くのだ。

どこか懐かしさを感じる街並みを通り抜け、店に辿り着いた。店の扉を開け、中に…

「だーかーら!折角ソバタくんが片付けたのに!なんでまた散らかってんのよ!」

「わーるかったって!ワシも悪いなとは思ってるから!だから片付けようとしたんじゃ!」

「それで逆に散らかってるじゃない!」

武器屋の老人を締め上げるフェイがいた。このままでは老人が死にかねないな…あれ?恍惚とした笑みを浮かべている。もしかしてそっちの人なのか…?

ともかく、埒があかないので声をかける。

「フェイ、今いいか?」

鬼の形相ーーでもかわいいーーをしていたフェイはこっちを向き、表情を元に戻した。

「あらソバタくん、いらっしゃい。今日はどうしたの?」

まるで何事もなかったかのように天使の微笑みを向けてくれた。かわいい…

「ワシの時と態度違いすぎいたい!踏むな!足!」

痛いと言っている割には笑顔の老人。うらや…ゲフンゲフン

「えっと、杖の修復依頼に来たんだけど」

俺が言うと、フェイは首をこてんと傾げた。

「え、もうそんな消耗してるの?ちょっと見せてくれない?」

「もちろん。…はい」

おれは杖を出して見せた。

「うわあ、耐久半分って…何したらこうなるの?」

「熊と正面からぶつかってね」

「あなた本当にソーサラー?」

真顔で質問された。いや、マジシャンです、なんて揚げ足取りみたいな発言はできるはずもなかった。


耐久値の回復はすぐ終わった。専用の呪符に魔力を流すだけでいいようだ。何それ欲しい。

「ふむ。中々特殊な武器を使うようだな。それはフェイのかの?」

老人がしげしげと見つめて来た。

「はい。愛用させていただいてます」

愛用というか代わりがないだけではあるが、実際コレで助かっているのは事実だ。

「フェイが作ったのかの?相変わらず性格の悪さが出てああああああ!!!」

老人の一言余計な発言は生来のものなのだろうか。ほぼ毎回お仕置きを食らってる気がする。

「ゴホン、とにかく、まだ改善点はある。精進するんじゃな」

そう言って老人は奥へダッシュで消えた。最後だけ言葉を取り繕ったが無駄である。

「待ちなさい!さっさと片付けろ!」

続いてフェイも奥へ消えた。老人の冥福を祈ろう。ナムー。


9:35 pm 第1の町・商店街

武器屋を出ると、ばったりカイと出会った。いや、カイだけではない。プロムやゆき、三条にカナさんまでいた。

「みんな、揃いも揃ってどうしたんだ?珍しいんじゃないか?」

「い、いや、別に偶然じゃないか?」

「ほらソバタ、服装変えるって話あったろ?」

みんなやけに早口だな。まあいいか。

「服装…って、ムンコの店行くのか?なんか気乗りしないなあ…」

どうしてもあの獲物を狙うような眼光には慣れることはできないだろう。あれは服飾店長特有なのだろうか。

「みんなでいけば怖くない!な!みんな?」

「あ、ああそうだな」「ボクソバタの新しい衣装見たいー」

「というわけだ。行くぞ!」

「行きたくないいいいい」

駄々をこねたら引っ張られてズルズル引きずられた。


俺は今、服飾店の前にいる。看板には相変わらず恐怖を呼び起こす字体で「ムンコヤ」と描いてある。まさに魔王城のような威容だ。

「なあ、本当に入るのか?」

「当たり前でしょ?こんなおもし…もとい、いい機会はなかなか無いのよ?」

「そうだ、せっかくならゲーム内くらい楽しまねえとな!」

「カナさんも三条も…いざという時は守ってくれよ」

「「なにから?」」

どうやら2人ともわかっていないようだ。この中で唯一店長の怖さがわかるであろうカイは…あれ?

「おい、カイは?」

「野暮用があるって帰ったよー」

「カイいいいいいいいいい!!!」

一悶着していると、突然ドアが開いた。

「なによ騒々しいわね…あら、ソバタくんじゃないの!どうしたの、さあ中に入って」

ム ン コ さ ん が 降 臨 し た。

「ヒィッ!」

つい変な声が漏れてしまう。これからどうなってしまうのか。

「えっと、店長さん、タキシードとか燕尾服みたいなのってありますか?」

「ムンコでいいわよ。もちろん、どんな服でもあるのがうちの売りだからね!」

「ほらソバタくん、行こう?」

それからの記憶は曖昧である。


「できた!これで完璧ね!」

カナさんの一言で意識が覚醒した。

「…これ、どうなってるんだ?鏡はないのか」

「あるわよ。…はい。似合うわぁ」

ムンコさんが大鏡を出して来た。そんな重そうなもの、なんで片手で持てる…?

鏡を見、全身を確認した俺は嘆息した。

「これ、どう見ても安っぽい手品師だよな?」

「安っぽくないよ!かっこいいって」

鏡の向こうの俺は、燕尾服ーー裾が燕みたいだからそういうそうだーーに、革靴のような靴ーー誰かがどこからか調達して来たーーさらにハットをかぶっていた。

「どう考えても動きにくくないか?」

ハットとか走ったら落ちるだろ。

「システムとして固定できるから大丈夫よ」

ええ…

「じゃあ、合計で400Gね」

「お金…」

こうして、俺は装備一式を揃えた。

PVの伸びが凄まじい…


ソバタ現在の装備

頭:ハット(MATK+2、SPD-2)

上半身:燕尾服上(MATK+3、MDEF+1)

下半身:燕尾服下(MATK+3、MDEF+1)

足:革靴(ATK+1、MATK+1)

セット効果【燕尾服】(MATK+2)

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