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たたかう奇術師  作者: 金箔
2日目
16/45

大量の熊って見るだけで恐怖

前回のあらすじ

お風呂シーン(男)

8:05 pm 第2の町周辺・洞窟エリア

夕ご飯を食べ終わった俺は、カイと一緒に検証を兼ねた狩りをする約束をした。と言うことで、洞窟へ来ていた。カイ曰く、ここの熊が実力を測るのにちょうどいいらしい。

「〈ライト〉!」

暗い洞窟内に俺の光球が灯る。あれ、これってマジカルピジョンで光をセットしたらどうなるんだろうか。

「〈マジカルピジョン〉!」

虚空から光り輝く鳩が飛び出してくる。どちらが明るいかと言えば…ライトの方が明るかった。というかこの鳩、攻撃以外にも使えるのか。よく見ると可愛い…かもしれない。

「ソバタ、お前何してんだ?」

「見ろよこの鳩、可愛くないか?」

特にこの愛嬌のある目。こう、保護欲を掻き立てられる。

「そうか?てかその鳩、敵にぶつけるんだろ?愛着湧いてできなくなったとかいうなよ?」

確かに一理ある。

「…これ、もう一回呼んだら前の鳩はどうなるんだ?」

「わからないな。やってみてくれ」

「〈マジカルピジョン〉」

今度は火をセットする。同じように何処からかやって来た鳩は、二匹仲良く滞空した。

「出来るのか…これは貯めておけば爆撃に使えるんじゃないか?」

「魔法の待機って魔力を食うんじゃなかったか?」

それは初耳だ…と、MPバーを見てみる。青色に染まるそれは、微動だにしていなかった。

「どうやら魔力消費はないようだぞ?」

「案外マジシャンもメリットあるんじゃん?」

そう願いたいな。


どれくらい経ったであろうか。そこそこの量の熊を倒して来た俺達は、どこか油断していた。と、

「敵!前方!多数!」

敵感知がたくさん反応した。が、なんのモンスターかがわからない。

「わからないってことは新種か?」

「ソバタ、無理はするなよ?」

「当たり前だろ…視認した。えっと…」


カイザーベアー Lv??


キングベアー Lv8


ブラッディーベアーLv10


ソーサラーベアーLv7


「カイザーベアーって奴がいた。その後ろに御付きがたくさん…全部で8体か?いるみたいだな」

正確にはカイザーベアーが一体、キングベアーが二体、ブラッディーベアーが三体、ソーサラーベアーが二体だ。

「おいおいマジかよ。パーティでなんとか処理できる数だろ」

「逃げるか?」

俺は退避するか聞いたが、カイは不敵に笑っていた。この顔を俺は知っている。死地にいて尚足掻こうとするゲーマーの顔だ。

「…愚問だったな」

「ああ。なにか名案はないか?」

俺は頭を必死に回転させる。何かないか。少数で多数を叩く方法…兵法…戦法…

油断した隙をつく?

「なあカイ。熊って油断したりするのか?」

「ある…のか?あったとして、どう油断を誘う?」

「俺たちが劣勢だと思わせるんだ。敗走した先には伏兵、そこで半包囲するんだ。ただ問題は、人数の少なさか…」

戦国時代、島津が使った戦法だ。劣勢の敵軍が敗走したと見せかけて、深追いさせたところで包囲させる。

俺は言葉を続けた。

「…まずは面倒なソーサラーベアーをマジカルピジョンの爆撃で潰す。ただし俺はカモフラージュで姿を見せない。カイがやったと思わせてヘイトを稼ぐんだ。その後は…」

「二体までなら同時に相手できるぜ」

カイは自信満々に答えてくれた。顔にはいっぺんの迷いもない。実に頼もしい限りだ。

「分かった。一体、又は可能なら二体倒して、逃走してくれ。逃走経路に罠を置いておくから、踏むなよ?右の壁沿いにまっすぐ走ってくれ」

カイは真剣に聞いているのを見て、俺は続ける。

「罠で熊が一体脱落すれば残りは半分。俺が脇に隠れてやり過ごすから、その後合図で挟撃だ。いけるか?」

「もちろん」

「よし。じゃあ準備だ」

そう言って俺は、カイにスコップを手渡した。カイ…なんでそんな微妙な顔するんだ。


無事、罠を作り終えた。

「…よし、できた。準備はいいか?」

必要はないが、カイは準備体操をしてみせた。

「いつでもいけるぜ」

「じゃあ手筈通りに」

熊たちはまだ居た。数は増えてもいないし減ってもいない。相変わらず顔が凶悪だな。

俺は岩陰に隠れて、魔法を行使した。

「〈カモフラージュ〉〈マジカルピジョン〉〈マジカルピジョン〉〈マジカルピジョン〉〈マジカルピジョン〉」

鳩を36匹、闇魔法をセットして出した。今の奇術のレベルは6、つまり鳩は6×4で24羽引き出せるようだ。

「いくぞ」

「おう…っしゃあ!こいや!」

カイは岩陰から飛び出し、熊を挑発した。と、同時に俺は鳩たちをソーサラーベアーに狙いを定め、飛ばした。鑑定はしてあるから、どれがどれかは、分かる。後は防がれなければ…鳩たちに複雑な軌道を描かせ、突撃させた。狙いは当たり。一体につき12羽命中、ソーサラーベアーは沈んだようだ。まずは作戦通り。

「じゃあ俺は行くからな。死ぬなよ?」

「任せろ!」

俺はその場を後に、次のポイントへ移動した。


「〈カモフラージュ〉!」

落とし穴の少し先にあった岩の窪みに身体を押し込み、身を潜めた。後はカイ次第だ。

「…」

暗い場所に一人でいると、だんだん心配になってくる。カイが無理して死に戻りしないだろうか。作戦通りに行かなかったらどうしよう。罠をカイが踏み抜いたらどうしよう。…心配事が次々に溢れてくる。このまま10分も何もなかったら見に行くべきだろうか。あのまま俺も加わって迎撃するべきだっただろうか…

ズドオオン!

「ソバタアアアアアアアア!!きたぞおおおおおお!!!数は4だ!!」

突然、洞窟の静寂を破る轟音が響いた。恐らく罠が発動したのだろう。と、同時に叫び声が聞こえた。カイが来たのだ。続いて、複数の大きな足音が聞こえてくるのも確認した。

じっとしていると、カイが見えた。カイめ、笑ってやがった。あいつの顔を見た瞬間、俺の心配は霧散した。続いて4匹分、熊が通り過ぎて行く。4匹めが見えた瞬間、俺は飛び出した。

「〈マジカルピジョン〉!ソーサラーベアーを倒したのは俺だ!こっちを向け!」

光魔法をセットした鳩たちを飛ばす。あと、理解はできないだろうが、挑発もしてみた。

「ガアアアアア!?」

鳩たちは4匹目の熊に当たる。流石に6羽では倒せなかったようだ。カイの方はどうだろうと、奥を見てみれば、

「行くぜ!〈ダブルスラッシュ〉!ハハハハハハッ!」

一度の振りで2つの剣線を見せていた。あいつ、ついに人間やめたのか…

視線を戻すと怒った熊ーーキングベアーだろうーーが走って来ていた。俺は新調した杖を構える。どうすれば熊を倒せるか…キングベアーは走って来ている…なら!

「ッシャア!」

俺は勢いよく杖を突き出した。走って来た熊はまさか俺が付いてくるとは想像もしなかったのか、そのまま突っ込んで…熊の速度と杖の勢いが合わさり、凄まじい衝撃を熊の頭部…と俺の手に与えた。

熊は数瞬滞空し、そして地面へと沈んだ。まずは一体!

他の熊を探すと、既にカイが二体を倒したところだった。残りは一体。あれはカイザーベアーだ。

「〈マジカルピジョン〉!カイ!大技行け!」

雷属性を与えた鳩をカイザーベアーに飛ばす。今まで使った鳩には、それぞれ魔法属性の特徴が出ていた。ならば、雷は…スタンのはず!

「ガアアア!」

狙い外さず当たった鳩は放電のエフェフトを残して消えた。同時に、熊は身体中に電気が走ったように痙攣を起こした。そこに光を帯びた剣を持ったカイが切り込む!

「〈斬鉄剣〉!ハアアアア!!」

カイの渾身の一撃を、防ぐ手立てのない熊はまともに受け、そして吹っ飛んだ。こっちに向かって。

「やっべーー〈マジカルピジョン〉!」

素早く火をセットし、6羽飛ばした。と同時に鳩と熊はぶつかり、熊は死んだようだ。死んだ時特有の割れるような消え方で、俺の目の前からいなくなった。ギリギリ間に合ったようだ。

「ソバタ!やったな!」

「ああ、良かった。カイが無事で安心したよ」

『戦闘に勝利しました!』

『種族レベルがレベルアップしました!』

『職業レベルがレベルアップしました!』

『罠がレベルアップしました!』

『闇魔法がレベルアップしました!』

『隠蔽がレベルアップしました!』

『取得条件を満たしました!気配遮断を取得しました!』

『奇術がレベルアップしました!』

『光魔法がレベルアップしました!』

『杖術がレベルアップしました!』

『杖術スキルを会得しました!』

『火魔法がレベルアップしました!』


大量のインフォが流れてくる。新しいスキルを取れたようだ。名前は気配遮断。つまりはそういうことだろう。もう1つ気になるのは、杖術スキルだ。何が使えるのか見てみた。使える技ーー武技と言うらしいーーは〈ブレス〉だ。説明文曰く、クリティカル率の上昇、らしい。地味だ。地味ではあるが、効果は計り知れないだろう。俺好みの技である。

この戦闘で、アイテムもたくさん得られた。魔熊の毛皮、血熊の毛皮、王熊の骨…そして新しいアイテム、帝熊の毛皮。ホクホクであった。

「結構消耗してるし、帰るか」

俺を待っていたのだろうか、ひと段落したところでカイが声をかけて来た。

「ああ…あっ忘れ物回収してからな」

罠に使ってある槍を取りに行った。あれ、地味に高い買い物だったからな。

PV1万達成…!!まさに感無量です!みてくださっている方々、いつもありがとうございます!


ソバタ

人間 男 種族Lv15

職業 マジシャンLv3

ボーナスポイント21

ATK5

DEF2

MATK6

MDEF2

SPD6

DEX6

LUK2

セットスキル

SP残18

火魔法Lv13 光魔法Lv12 闇魔法Lv9 雷魔法Lv3

鑑定Lv18 軽業Lv15 識字Lv10

魔力回復上昇(微)Lv13 持久走Lv5 罠Lv4

ダッシュLv7 敵感知Lv10 回避Lv6

隠蔽Lv3 殴打Lv1 高速詠唱Lv4

奇術Lv7 杖術Lv2

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