片付けが苦手な人は何処までも苦手で一生治らないと思う
前回のあらすじ
転職(失敗)
2:30 pm 第1の町・冒険者ギルド
今回の狩では、魔力切れがピンチをもたらした。だからポーション類を購入しておこうと思う。前回もそうだった?その通りだ。すっかり忘れていた。
ついでにいらない素材を売ったり、依頼を受けてみようかと思い、ギルドへ来ていた。第2の町にもあるにはあったが、やはり知らない人に声をかけるのは難易度が高い。最初に説明をして貰ったあの受付嬢さんに持って行ってみよう。
依頼票はボードに貼ってあった。なにか丁度いいのはないか…
倉庫整理のお手伝い
報酬10G SP1
こんなものを発見した。というか依頼ってSPも貰えるのか。良い発見だ。
あの受付嬢さんは…いた。暇そうにしている。
依頼を持って近づくと、向こうも気づいたようだ。にっこり微笑んでいるのは…覚えているからなのか?
「こんにちは、ソバタ様。今日は…依頼の受注ですか?」
「あ、はい。あとアイテムの売却、購入もしたいのですが」
「わかりました。まずは受注をしますね。…倉庫整理ですね、説明を受けますか?」
「お願いします」
「商店街の一角にある武器屋からの依頼ですね。どうもあそこの店主は片付けが苦手のようで、散らかりっぱなしのようです。そこで、整理をお願いしたいそうで」
「わかりました。そこのお店の地図ってありますか?」
「ありますよ、どうぞ」
「ありがとうございます」
地図を流し見する。…手書き?印刷されてないの?これ。
「次にアイテムの売却でしたね。売るものを出せますか?」
「はい…よいしょ」
出て来たのは野犬の毛皮、野犬の牙、各種熊の毛皮、そしてゴブリンの耳だ。ゴブリンからは耳しか剥げなくてびっくりしていたのは良い思い出だ。
「これはまた多いですね…王熊の毛皮と血熊の骨はレア度が高いものですが売ってもよろしいですか?」
「あー…じゃあこれはまだ自分で持っときます」
「わかりました…以上で200Gですね」
「ありがとうございます」
「では最後にアイテム購入ですね。何か必要なものはありますか?」
「ポーション類を見たいのですが」
「はい…ポーションが1つ5G、マナポーションが1つ10Gとなります。」
「ではポーションを5つ、マナポーションを10個お願いします」
そうしてポーションを購入した。
「ではお気をつけて行ってらっしゃいませ」
2:35第1の町・商店街
地図の通りに道をぶらぶらしてついたのは、とても既視感のある店…いやここ、フェイが弟子してる店じゃなかったか?
「お邪魔しまーす…」
「おう、客か?」
すぐに反応があった。太く大きい声である。
見ると、奥に剣を研いでいる男性がいた。初老かそれ以上ではあるが、しっかりした身体つき。そんな印象をもたらす。
「いや、依頼受けに来ました」
「倉庫整理か。じゃあ奥に来てくれ」
そう言って彼は奥へ手招きした。
「いやあ、わしゃあ片付けが苦手でな。最近弟子ができたんじゃが、そいつが片付けろとうるさくての。仕方無く片付けてみたんじゃが逆に散らかる有様で…」
弟子はフェイのことだろう。容易に思い浮かぶ。
「わかりました。片付けてみます」
「頼もしい限りじゃ。ほれ、ここだ」
引き戸を開けて中を見せてくれた。
「うわあ…これは…」
元は結構広かったであろう倉庫は所狭しと…というか主に散らばって、武器が置いてある。
「多い!てか危なっ!」
「じゃあ頑張ってくれ」
ええ…
2:50 第1の町・商店街
開始してからだいぶ経った。危険物が多いし慎重に動かしているからか、まったく進歩したように見えない。これあと何時間かかるんだ…
「ねえ師匠、刻印ってこれでいい…あれ?ソバタくん?」
開きっぱなしのドアから入って来たのはフェイだった。
「ああ、依頼で片付けててな。全く終わらん」
「それはまたハズレの依頼を引いたわね…そうそう、そろそろ杖、完成するわよ」
「お、そうなのか。じゃあこれ終わったら図書館で待ってようかな…っと」
「わかった。じゃあ仕上げてくるわね」
そう言って出て行った。
3:00 pm 第1の町・商店街
「やっと終わった…」
「よぉく整理されてるじゃねえか!あんがとよ!」
『依頼を達成しました!』
『報酬を取得しました!』
心地よい達成感の中、インフォが流れた。
もう一生こんな依頼やるか!
3:05 pm 第1の町・図書館
暇になった俺は図書館へ来ていた。今回探す情報は、後から取得できる魔法の取得条件だ。
3:10 pm 第1の町・図書館
『メールを受信しました!』
突然インフォが流れた。また識字のレベルアップかと思ったが違うらしい。…フェイからだった。中身はずばり、杖の完成。武器屋へ急行した。
「早いわね。できてるわよ」
「ほんとか!見せてくれ!」
「はい。色々と初めてな要素も詰まってるから試作品みたいな側面も有って、まあそのぶん代金から差し引くわ。そうだ、代金の代わりに素材があれば買い取るわよ?」
「うーん…血熊の骨なんかどうだ?」
「それで決まりね。じゃあ精算っと」
「ありがとな。これは良い武器だ。熊でも殴れそうだ」
「横に殴るんじゃなくて、突くようにすれば壊れにくいわよ。一応、こまめに耐久値は見てね」
そうして新しい杖を手に入れた。
魔熊骨のケーン(木製) 耐久500
ATK+5 MATK+5
3:15 pm 第1の町・図書館
また図書館へ来た。まだ見ていないエリアへ踏み込む。正直この膨大な書物を読むのはキツイが…頑張るか。時間はたっぷりある。
4:00 pm 第1の町・図書館
全く目当ての情報に行き当たらない。分類もなにもないな。
5:20 pm 第1の町・図書館
やっとそれらしきものに行き着いた。この間に識字スキルは5も上がっていた。
この本にはこういう記述があった。
「…火と光を極めればそこから雷が生まれ、光と闇を極めれば時空を操れる。水と土からは木を操作出来るようになり、水を極めれば氷をも操れるようになる。火と水で風を操れるようになり…」
俺が雷魔法を取得できたのは火魔法と光魔法を極める、つまりレベル10にしたからであるのだろう。同じ理論で言えば、火、光、闇で取得できるのは、あと時空属性か。…属性?まあ、そこを目指してみようかな。だから攻撃呪文は闇魔法を重点的にしようかな。でもまずはマジカルピジョンの試し打ち…順番にやってみようか。
5:25 pm 第2の町周辺・森エリア
未踏区域に踏み込んだ。先にカモフラージュを掛けているし、隠蔽スキルもあるので先制はされないはずだ。…と、向こうに蜂が複数見えた。あれ?縮尺がおかしくないか?でかい…?
キラービー Lv11
まあとりあえず打ってみようか。
「〈マジカルピジョン〉!」
『属性を指定してください』
呪文を唱えたところ、属性を指定するよう言われた。選択肢には火、光、闇、雷とあった。訳もないが、闇を選択する。
と、その瞬間、何処からか黒塗りのハトが飛び出した。すわ敵襲か、と思ったら、自分が出したものだった。自分の思い描く通りに動かせるようだ。一直線に敵を襲うように指示を出す。…命中したようだ。蜂が一匹沈んだのが見えた。他の蜂は…向かってくる!気づかれたか!
「〈ダークアロー〉!…遅い!」
ダークアローを唱えたが、以前より何故か発動時間が遅くなっている。原因はなんだ?
闇の矢はうまく刺さったが、使わないほうがよさそうだ。
「〈ファイアアロー〉!…〈シャインアロー〉!」
他の矢も放ってみるが、やはり遅く感じる。残りの蜂は一体、もう距離は5mとない。俺は杖を野球風に構えた。
「でやあああ!」
そして、殴る!ベチッと嫌な音がして、蜂は吹っ飛んでいった。
『戦闘に勝利しました!』
『奇術がレベルアップしました!』
『闇魔法がレベルアップしました!』
『条件を満たしました!杖術を取得しました!』
『隠蔽がレベルアップしました!』
『高速詠唱がレベルアップしました!』
戦闘には勝利したが、疑問の残る形で終わったのだった。
目指せPV7777!
ソバタ
人間 男 種族Lv13
職業 マジシャンLv1
ボーナスポイント17
ATK5
DEF2
MATK6
MDEF2
SPD6
DEX6
LUK2
セットスキル
SP残14
火魔法Lv11 光魔法Lv10 闇魔法Lv7 雷魔法Lv1
鑑定Lv15 軽業Lv10 識字Lv10
魔力回復上昇(微)Lv10 持久走Lv4 罠Lv3
ダッシュLv6 敵感知Lv8 回避Lv5
隠蔽Lv2 殴打Lv1 高速詠唱Lv2
奇術Lv2 杖術Lv1