名前だけ見て決めると後悔する。
前回のあらすじ
杖の作成依頼。
1:30 pm 第2の町周辺 洞窟エリア
杖ができるまでの間、一度狩りへ出てみた。第2の町は、第1の町とは似て非なる存在だった。理由は立地。山の麓にある、もっと言えば鉱山が近くにある。つまりここは鉱山都市だったのだ。周辺は深い森か洞窟しか無かったので、洞窟に来た。
今俺はスコップを持っている。何故か?罠を作るためだ。草原では手や杖でもなんとかなったが、洞窟ということもあってか土が非常に固い。だからわざわざスコップを調達したのだ。これは先程パーティを組んでこの周辺を探索した時に決めていた。
さて、罠を作り終えた。今回も典型的な落とし穴だ。ただし、下に槍を植えてある。スコップと一緒に購入したのだ。新品の槍をなんか勿体無い…と思ったが、まあやってて楽しいからいいや。
罠に引っ掛けるためにライトを使う。使ってて分かったが、どうやらモンスターは光に誘導されるようだ。そしてさらに、
「〈カモフラージュ〉!」
闇魔法で自身を隠蔽した。この魔法、見られてなければ気配を薄くすることができる。これで岩陰に隠れて、罠に落ちたところにトドメの魔法だ。さすがに自分も飛び降りるのは危険だろう。槍に刺さったら痛そうだし。
静かだった洞窟に、ドシッドシッと足音が響く。複数。…あれ?複数?これはまずいのでは…
そっと窺い見ると、熊が3体照らされていた。唐突の危機に俺の頭は高速で回り始めた。まずは一体、落とし穴に放り込む。残りの二体は…一体の足に矢を縫い付け行動不能にすればいいか。そこで距離を取れば一体だけ追ってくるはず。そこで魔法を乱打し倒した後、矢で縫い付けている熊を倒し、穴に落ちている熊にトドメを刺そう。実に単純な各個撃破ではあるが、これで行けそうだ。一応鑑定しておこう。
ブラッディーベアー Lv9
ベアーソーサラー Lv4
キングベアー Lv8
ただの熊じゃない…だと…?これはレア素材が取れるかもしれないな。気合い入れてくか。
熊の一団が罠に近づいていく。俺は闇魔法〈ダークアロー〉を放つ準備をしていた。
あと二歩、あと一歩…ん?熊が止まった。いや、キングベアーが他の二体を制止したのか?どういうことだ…まさか、罠がバレた?
まずいな、頭がここまで回るとは思わなかった。引き返すか?…いや、冷静に立ち回れば行けるはずだ。どうする?
効果の切れていたライトをもう一度付け直そう。それも熊の目の前で。そうすれば…
「〈ライト〉!」
光球が熊の目と鼻の先に現れた。
「グアア!!??」
「ガアアアアア!!」
さすがに一体…キングベアーは事前に察知したのか、避けてしまったが問題ない。まずは
「〈ファイアボール〉!」
ゆっくりめに火球を投げた。すかさず、
「〈ダークアロー〉!」
横に動き、目立たぬところから闇の矢を放った。
火球に気を取られていたキングベアーは闇の矢に足を縫い付けられた。まずは成功か。
火球を避けたベアーソーサラーがヤケクソ気味に土の球を投げてくる。常に動くことでなんとか回避しているが、これも当たればひとたまりもないだろう。
「〈ファイアアロー〉!」
なるべく時間をかけず、でもしっかり狙いをつける。難しい作業ではあるが、だんだんと慣れて来た。火の矢は狙い通り熊の頭に刺さる。あの熊は…ブラッディーベアーか。見分けにくいな。
「ゴアアアアアアア!!」
怒り狂ったブラッディーベアーは突進を開始する。罠が足元にあるのを忘れて。
結果、罠を踏み抜き、下へ落ちていった。おそらくもう生きてはいられないだろう。これで残り二体。
「〈ダークアロー〉!」
矢を強引に抜き、穴を超えて突進してくるキングベアーに放つ。片足をやられているキングベアーは避けることはできない、いやしなかった。右手に矢を受けながらも突っ込んでくる。後ろからは土の球の援護射撃。…
まずは距離を取り続けるために後退、しながら球の直撃を避ける為に左右にも動き続ける。怖いが、後ろを向いてはダメだ。向けばキングベアーからは逃げられるが球を見失う。
光陰付けた矢でダメージを重ねる。
「〈ダークアロー〉!…〈ファイアアロー〉!」
もっと早く!
「〈シャインアロー〉!〈ダークアロー〉!よし!」
矢が刺さりまくったキングベアーは残り3mかそこらで轟沈した。本気で怖かった…。
「残りはお前だけだ!〈ファイアアロー〉!」
飛んでくる土の球も少なくなって来た。おそらく魔力がないのだろう。また、火の矢を受けたベアーソーサラーはすでに瀕死であった。あと一撃か?
「ファイアアロー…ってあれ?」
火の矢が精製されない。…魔力切れか!
どうする俺。考えられる選択肢は…
1.殴る
2.…あれ?1しかないぞ?
ソーサラーとはいえ熊。一撃の威力は明らかに強い。そもそも殴ってダメージが入るかわからないが…
行くしかない!
「おおおおおおおお!!!」
俺の方から突進する。距離は10m、5m、2m、…
「おらああ!」
熊も殴ろうとするが、体格が小さいぶん俺の方が小回りがきく。腕の回らない位置に回り込んで、とりあえずグーパンしてみた。
「グアア!」
「あーいってえ!くそ、どこなぐりゃいいんだ…待てよ?首を締めればいいのでは?」
思いついたら即実行、後ろに回り込んで首を締めてみた。
「ガアア…アアア…」
素早く締めたためか、反撃が来る前に沈められたようだ。はあ、緊張した…
『戦闘に勝利しました!』
『種族レベルがレベルアップしました!』
『職業レベルがレベルアップしました!』
『転職が可能になります!』
『罠がレベルアップしました!』
『敵感知がレベルアップしました!』
『鑑定がレベルアップしました!』
『軽業がレベルアップしました!』
『持久走がレベルアップしました!』
『光魔法がレベルアップしました!』
『闇魔法がレベルアップしました!』
『取得条件を満たしました!雷魔法を取得しました!』
『取得条件を満たしました!隠蔽を取得しました!』
『火魔法がレベルアップしました!』
『回避がレベルアップしました!』
『ダッシュがレベルアップしました!』
『取得条件を満たしました!高速詠唱を取得しました!』
『取得条件を満たしました!殴打を取得しました!』
心地よい疲労感と同時に、怒涛のレベルアップだ。さらに気になるインフォもいくつかある。隠蔽、高速詠唱、殴打はそのままの意味だろう。雷魔法は…何が条件なのだろう?ゆきの氷魔法と同じで後から出て来るタイプなのだろうか。あとで試してみよう。まあただで取れて得した気分だ。そして転職。俺は何になれるのだろうか。
『転職します!職業を選んでください』
エレメンタルソーサラー【火】
エレメンタルソーサラー【光】
エレメンタルソーサラー【闇】
メイジ
マジシャン
ファイター
ハンター
マーチャント
何やらたくさん出て来た…が、よく見れば3つは最初にも選択できた職業だ。これは除外していいだろう。エレメンタルソーサラーというのは、恐らく属性の特化だ。メイジとマジシャンって何が違うんだろう…マジシャンって聞いたことあるな。聞いたことあるのってすごい気になるよな…よく考えてから選ばなきゃ…選ば…
『おめでとうございます!マジシャンに転職しました!』
つい押してしまった。まあ上位職なら強くなれている…はずだ。
とりあえず退却しながら説明を読んでみる。
マジシャン
奇術に特化したソーサラー
説明少なっ!てか奇術ってなんだ。魔術でもないのか?
『マジシャン固有魔法【奇術】を取得しました!』
おお、魔法が増えた。どんな魔法だ…?
マジカルピジョン 複数攻撃魔法
虚空から属性を持った鳩が飛び出し、相手めがけて飛んで行く。数はレベル依存。属性指定可能
ピジョン…鳩?
…俺はもしかして、手品師にでもなったのか?
ここから本番です。今まで序章です。むしろここまでこんなに長くするつもりではなかった。
マジカルピジョンはアレです。よくテレビでやってるハトを飛ばすやつです。あれが飛んで来ます。
いつのまにか5000超えてました…ブックマークもしてくださる方がいて、とても感慨深いです。完結できるように頑張ります!
ソバタ
人間 男 種族Lv13
職業 マジシャンLv1
ボーナスポイント17
ATK5
DEF2
MATK6
MDEF2
SPD6
DEX6
LUK2
セットスキル
SP残14
火魔法Lv11 光魔法Lv10 闇魔法Lv6 雷魔法Lv1
鑑定Lv15 軽業Lv10 識字Lv5
魔力回復上昇(微)Lv9 持久走Lv4 罠Lv3
ダッシュLv6 敵感知Lv8 回避Lv5
隠蔽Lv1 殴打Lv1 高速詠唱Lv1
奇術Lv1