これはツンデレというやつだろうか
前回のあらすじ
怪物降臨
フェイに連れられた俺は、10分ほど歩いたところで商店街の一角に着いた。
「お邪魔しまーす…」
女の子の家に入るような気分だ。いや、入ったことはないけど。
「作業場は奥よ。ついてきて」
「お、おう…ここってフェイの所有地なのか?」
「ううん、師匠の家。私は内弟子みたいなものよ。ちなみに今師匠は外へ出てるからそんなに緊張しなくても大丈夫よ」
緊張してるのは師匠相手ではなくフェイ相手なんだけどな…悟られないだけ勘違いしてくれた方がいいか。
程なくして作業場についた。なんというか、程よく散らかっている。
「ごちゃごちゃしててごめんなさいね…これでも片付けてはいるんだけど、師匠が来ては散らかしてくから…」
「ああ、なるほど…」
「で、本題に入るわよ。どんな杖にするんだっけ?」
「殴れる杖がいいな。でも細めで」
「難しいチョイスね…魔法を使える杖にするには、金属は論外。MATKにマイナス補正がつくから。でも殴るんだったらできるだけ硬い素材が必要なのよ」
「なるほど…」
「なにか素材持ってない?料金から材料代差し引くわよ?」
「じゃあこれとか…あ、木はここではむりだな。骨だけ」
俺はアイテムボックスから魔熊の骨を出した。
「これ!どうしたの?」
「午前中に友達と狩ってきたんだ」
「これならいいのが作れそうだわ…そういえばさっき木って言った?」
「ああ、斧持ちに頼んで切り倒してもらった」
「そんな発想が…木材を加工できれば素材費浮くわね!出して!」
「いや、多分ここで出したら色々壊れるような…」
「そんなでかいの?」
「アイテムボックスの8割ほどを占めてるな」
「じゃあ一回外に出てみましょうか」
外に出た。
「よいしょ」
「うわ、でっかい…これだけあればいけそうね。だいたい纏まったわ。図面描くから待ってて」
そう言って持ってきていたペンと紙(羊皮紙?)黙々とフェイは描きだした。
「……」
カキカキと、ペンの音だけが響き渡る。俺は黙って図面…ではなくそれを描くフェイを見ていた。か、かわいい…
「…そんなに図面気になる?」
「あ、いや、おお、そうだな」
フェイをガン見してるのがバレたのかと思った。あぶねー…
「自分の武器になるからな」
「まあそうね。だいたい描き終わったけど、どう?」
フェイが図面を見せてくれた。
「これは…棒?」
細長い棒であった。先端に加工がしてあるようだ。
「棒ね…ダメ?」
「いや全然、これでいい。むしろこれがいい」
なんというかシンプルで俺好みだ。
「そう、じゃあこれを早速作り始めようかしら」
「どのくらいかかる?」
「そうね…こんなの初めて作るから未知数だわ。終わったら連絡するのでいい?今日中には終わるから」
「それでいいよ。ところで連絡ってどうやるんだ?」
「フレンド登録すればメールを送れるのよ」
「なるほど…」
「じゃあほら…申請出したから」
『フェイ様からフレンド申請が来ました!』
『承認しますか?』
はいを押しておく。
「これでいいわね。じゃあ作業に入るから」
「何から何までありがとう。恩にきるよ」
「ッ…いいわよそんなの。商売なんだから」
そう言ってフェイは小走りで戻って行った。
と言うか今…照れた…だと…!?
俺は感動しながら第二の町へ戻った。
杖のイメージはケーンです。ケーンってあれです。今後そう言う展開になるとかならないとか