待ち合わせしてると周りの足音に敏感になるよね
前回のあらすじ
ソバタ辛勝
0:05 pm 研究所内・食堂
「じゃあ、ボス討伐達成、おつかれ!」
「「「「「おつかれ!」」」」」
俺はカイやさっきの4人と机を囲み、打ち上げ会のノリで乾杯をした。
「いやあ、一仕事した後のカレーはまた格別だね!」
「いや昨日も食べただろ、カイ…」
「三条、気にしちゃダメだ。気にしたら負けなんだ」
「お、おう…」
「そういうお前も昨日だって蕎麦食べただろ?」
「それはまた別の問題だ。トッピング変えてるから問題は何処にも無い」
「いやあるでしょ!?」
「蕎麦…ソバタ…まさかソバタくん…?」
「あ、よく気づいたねカナさん」
「酷すぎる…」
「似たり寄ったりの幼馴染なんやなぁ」
「「何処が?」」
「「「「それは…ねえ」」」」
4人が口を揃えて言い淀む。なんで?何処も似てないだろ…
「ところでソバタは午後どうする?」
「ああ、…俺は午後予定あるんだ」
バラされやしないかと内心ヒヤヒヤしながらカナさんをチラ見する。大丈夫、言いはしないよみたいな目で返された。信用していいのか?そのニヤニヤは信じていいのか…?
「そっかあ…なら仕方ないな。5人で狩行くか」
「はーい」「いいぞー」「まあ買い足してからやね」「いいよー」
「なんかすまんな、俺のために枠開けっ放しで」
「それだけお前の戦力は貴重ってこった。期待してるぞ?」
「されても困るんだがなあ…」
こんな感じで、昼は過ぎていった。
1:00 pm 第1の町
さて、ログインした。確かフェイとの集合はここのはず…まだ来てないな。
妙にそわそわしつつ、周りを観察する。公園では子供(おそらくNPCというやつだろう)がはしゃぎ回っている。鳩に餌をやっている貴婦人もいる。こうしてみれば、どこもゲームのようには見えない。やはりよくできてるな…
後ろから駆けてくる音を聞き、バッと振り返る。僅かな期待が向けられた先には、どこか見たことのある巨体が…って、ムンコさん!?
「ハァッハァッ…探したわよ…なんであれ以降お店に来ないのよ!ずっと待ってたのよ?」
「えっと…」
フェイではなかったことに失望を感じつつ、言葉を濁す。ムンコヤに行かないのは、ギルドで売った方が利益になるからだ。しかしそれを直接言っていいものか…
「もしかしてぼったくりって思ってたの?」
「い、いや」
「ギルドは一律で料金を提示しているけど、私たち個人経営の店は品質も見るのよ。だから高い品質の毛皮は私たちの方が高く買い取れるの!それだけは覚えといて!」
それだけ言って帰っていった。なんというか、嵐のような人だな…
「ねえ、今の人誰?」
「!?フ、フェイか…びっくりした…」
「もしかしてソバタくんて…そっちの人?」
そっちの人…ムンコさん…妙に高速で回る頭は正確に答えを導き出した。
「オカマでもホモでもないよ!今のは…えっと、服飾店を経営してるNPCのムンコさんだよ」
「まあいいわ。あ、遅れてごめんね、待った?」
「いや、さっき来たばっかだから。大丈夫だ」
「じゃあいこっか」
「お、おう」
その頃、この光景を見ている一団がいた。
「カナ、あれが?」
「そうね、十中八九」
「おうふ、すげえ美人…どこで知り合ったんだ?」
「ふふーん、ソバタくんでも恋するんだね」
「うちはカイが彼女かと思うとったわ」
「んなわけねーだろ…」
「あっ移動するみたいよ?追いかける?」
「おっけー…って、お?」
「あら、みんなも?」
5人はこの瞬間、隠蔽スキルを手に入れていた。
いろんな都合で短め。すいません!ゆるして(割愛)