油断大敵、ここ重要。
前回のあらすじ
洞窟探索
扉を開けた先は暗闇だった。
ライトを唱えようと杖を構えた時、急に明るくなった。あちこちで火が灯ったのだ。よく見れば、この部屋の外周に松明が設置してあった。
部屋の奥には、何やら巨大な人が(頭は牛と馬だが)鎮座していた。
牛頭 Lv??
馬頭 Lv??
ボスなのか見えない項目もあった。
「あれがボスか…でかいな」
「あれの持ってる武器、まともに受けたら一撃で逝けるよな」
「三条あれ防げる?」
「戦闘が長引くと盾が壊れるだろうな」
「短期決戦か…ソバタ、カナ、ゆき。出し惜しみはなしだ。最初から飛ばしてくれ」
「「「了解」」」
作戦会議が終わったのを見届けたのか、牛頭馬頭が動き出した。目に光が灯る。それは見るものに恐怖を与えるのに十分なものだった。
「いくぞ!」
「〈ファイアアロー〉!」
「〈アイスボール〉!」
俺は使い慣れた火の矢、ゆきは氷の球ーーつい先ほど氷魔法が取得可能になったらしいーーをぶつけていた。狙い通り火の矢は左手に突き刺さり、アイスボールも足にぶつかる。と、
「凍った!いいぞゆき!」
そう、氷球はぶつかると同時に、当たった場所が凍ったのだ。えげつない…
「ゆき、足元に放ってみて。多分足を止めるはずだ。ーー〈シャインアロー〉!」
「わかったー。〈アイスボール〉!」
再び放った氷球は、足を地面に縫い付けた。とそこにカイが走り寄る。
「ナイスゆき!いくぞ!〈スラッシュ〉!」
「ブモオオオオオ!?!?」
牛頭が唸り声を上げる。カイに斬られた後が相当に痛いようだ。怒りに任せてバットを振り回している。
「中々魔法が通じないな…〈ファイアアロー〉!弱点はどこだ…弱点?目か?」
「グッ!さすがに一撃が重い!」
カイが押されていた。体格もパワーも上回る牛頭とタイマンは、やはりきついようだ。このままではやられるかもしれない。
「俺も前に行く!ゆき、ヘイトを分散してくれ!」
「え!?なにすんの?危ないよ!」
「このままじゃカイがやられる!」
「…わかった。失敗しないでよ!〈ウォーターアロー〉!」
そして俺は牛頭に向かってはしりはじめた。
「カイ!ノックバックさせてくれ!」
「ソバタ!?危ないぞ!」
「おまえの方が危ないだろ!いいからしてくれ!」
「何かあるんだな!わかった、乗ってやるぜ!〈斬鉄剣)!」
カイは俺を信じて大技を放ってくれた。技の威力が大きい代わりに自分も技使用後に硬直してしまう諸刃の技だが、牛頭は威力に押されてノックバックしてくれた。この一瞬が好機だ!
「いけ!ーー〈ファイアアロー〉!」
至近距離から放たれた火の矢は、俺が狙った通りの場所、眼球に吸い込まれ…刺さる。と同時に眼球が燃えた。
「ブアアアアアアアアア!!!!」
牛頭が失明した事にさらに怒る。
「よっしゃ!」
俺は思わず油断し、声を出してしまった。
「ソバタ!避けろ!」
「え?…」
カイの声を聞き、それを頭が理解した瞬間。強烈な衝撃が全身を襲った。バットで横殴りにされたのだ、と認識した頃にはだいぶ飛ばされた後だった。
意識が朦朧とする。ひたすらに痛みで頭が霞んでいる。このまま死ぬのか…と思い視界の左上をふと見た。そこにはバーが2つ。HPバーとMPバーがあった。とは言ってもHPバーはもう棒とも言えないまでに減っている。と思った瞬間、バーが横に伸び始めた。同時に、体が楽になって行く。
「ソバタくん、しっかり!〈ヒール〉!」
横に首を傾けると、カナさんが駆け寄ってきていた。「カナさん…馬頭はどうしたんですか?」
「もう倒したわよ。ソバタくんたら、無茶して。後少しで死に戻っていたじゃない!」
「ごめんなさい、油断してました」
「〈ヒール〉!これで全快ね。牛頭の方は大詰めみたいよ。私たちも加わるわよ?」
「了解です!」
俺は立ち上がった。身体にあった倦怠感や痛みはもうない。遠く前方には、前衛3人に袋叩きにされ、ところどころ氷漬けになっている牛頭がいた。むごい。
「オラァ!よくもソバタをやってくれたな!〈斬鉄剣〉!」
「許さんぞ!〈巨木断〉!」
「あんたの罪は重いで!〈二段突き〉!」
もう虫の息だろう牛頭に狙いを定めて、矢を放つ。
「〈ロックアロー〉!」
「ーーー〈シャインアロー〉!」
岩の矢の少し後ろを追いかけるように、光の矢が飛び、眉間に刺さった。巨体の牛頭は遂に崩れ落ちた。
『戦闘に勝利しました!』
『種族レベルがレベルアップしました!』
『職業レベルがレベルアップしました!』
『鑑定がレベルアップしました!』
『火魔法がレベルアップしました!』
『光魔法がレベルアップしました!』
『ダッシュがレベルアップしました!』
『軽業がレベルアップしました!』
『持久走がレベルアップしました!』
『回避がレベルアップしました!』
『取得条件を満たしました!体力回復上昇(微)を取得しました!』
「ソバタ、大丈夫か?」
「ああ、なんとかな。油断してすまん」
「生きてたから良かったぜ。目に魔法さすなんてやるなあ!」
「ね、あれすごかった!軽業極めるとああなるんだね!ボクつい取得しちゃったよ」
「多分魔法使い必須スキルになるだろうな。カナも取得するのか?」
「私ヒーラーだからいらない気がするけど…ゆきちゃんはどう思う?」
「カナ姉もつけようよー」
「うーん、じゃつけてみようかなー」
『ボスを倒しました!これより第2の町に転送されます!』
「おっ、いよいよ新しい街に行けるみたいだな」
「楽しみやわぁ。ええ槍売ってへんかなあ」
「とりあえず着いたら清算しようか」
「はーい」
一瞬、意識が遠くなり、視界が真っ暗に。と次の瞬間、視界一面に景色が戻った。ここは公園であるようだ。
「ここが第2の町か。なんか雰囲気似てるな」
「そうだな。みんないるか?」
「いるぞー」「いるー」「はーい」「いるよ」
みんな口々に返事をする。まだ戦闘の余韻に浸っているようだ。
「じゃあ山分けすっぞー。まずは…誰かなんか欲しいものあるか?」
「あ、俺熊の骨が欲しいな。ボスベアーのやつだ」
「いいぞ、何と交換すればいい?」
「俺がもってんのは熊の毛皮、後はボスドロップの馬頭の毛皮だな。あーでも馬頭のは惜しいな」
「了解、毛皮でいいぞ」
「いいのか?確率では骨の方が出にくいんだぞ」
「俺には無用だからな。いいよ、木を切って貰ったこともあるしな」
「ならありがたく。商談成立だな!」
俺は熊の骨と熊の毛皮を交換した。他のメンバーも思い思いに交換している。
「そうだ、ゆき。借りたぶんのマナポーション3本、どうすればいい?」
「なしでいいよ!軽業の存在教えてくれたし!」
「それはなんか申し訳ないなぁ」
「ソバタくん、情報の価値は計り知れないのよ?」
「まあそれはわかるけど…わかった、ゆきありがとう」
「どういたしましてー!」
「じゃあこれで解散か?っと?」
急に5人の様子が変わった。なにか困惑しているような、嬉しいような…
「やった!転職だって!」
「よっし!何になれるかな…」
転職?
「え?なんの話だ?」
「ソバタ、今レベル幾つだ?」
「今は…12だな」
「12か、惜しいな。13になると転職が出来るらしい。上位職になるなり、他に転向したりできるんだ」
「なるほど」
なんか羨ましい。俺も転職したかったが、経験値が足りないらしい。
「よし、じゃあ解散かな。時間も時間だしね」
時刻を見ると、午前11時58分。そろそろログアウトの時間だ。
「じゃあまたお昼にね!ボク売りにいくからー」
「ほな、うちも槍を見にいこうかな」
「三条、俺たちも武器見に行こうぜ」
「いいぞ!」
そうして4人は歩いて行った。
「ソバタくんはどうするの?」
「午後一番に用事があるので、第1の街に戻りたいな…って、これ間に合わなく無いですか!?」
「安心して。そこに変なオブジェクトがあるんだけど、そこに触れれば行ったことのある町に転移できるのよ」
「それはすごい!よかったあ…」
「デートの約束でもしてたのかな?」
「な、なんで知って…」
カナさんはエスパーなのか?
「その反応は図星なのかな?だれだれ?」
「てことはカマかけ!?あ、あのですね、デートってわけでは…」
「ふーん、じゃあそう言うことにしてあげる。フフッ、ソバタくんっていじってると面白いね!」
「ええ…」
『テスターの各位にお伝えします。現在の時刻は午前12時です。これより一時強制停止の後、一斉ログアウトとなります』
「じゃあまたお昼にね!」
「はぁ」
そして俺たちはログアウトした。初めてのボス戦、いろいろあったけど、まあ楽しかったかな。
急にpvふえててびっくりしました(^ω^)
もうすぐ3000ですね笑
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ソバタ
人間 男 種族Lv12
職業 ソーサラーLv12
ボーナスポイント13
ATK5
DEF2
MATK6
MDEF2
SPD6
DEX6
LUK2
セットスキル
SP残12
火魔法Lv10 光魔法Lv9 闇魔法Lv5
鑑定Lv14 軽業Lv9 識字Lv5
魔力回復上昇(微)Lv8 持久走Lv3 罠Lv2
ダッシュLv5 敵感知Lv7 回避Lv4