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サークリット_20

「これ以上、シオンをないがしろにするなら、私にも考えがあります」


王妃の最終警告に、静かに目を閉じるサークリット。

「・・・・・・私にこれ以上、どうしろと?」


はぁ、と呆れたように溜息をつく王妃は母親の顔で息子を見やる。

「もちろん、シオンの事を妃として相応に扱う事ですよ」


扱っています、と言い返したサークリットにスッと目を細める王妃。

「それが足りていない事は貴方も重々分っていると思いますが?」


王妃の威嚇をものともせず、サークリットはジッと見つめ返す。

「アレは遠からず、ココを離れる妃です。

ですので、

私がアレと関わる必要性も、アレに掛ける手間も必要ないかと存じます」



「それはならぬと申し伝えたはずですっ」


ピシャリと閉じた扇を手に打ち付け、王妃は珍しく僅かに声を波立たせる。


それは王妃の怒りが頂点に達した時にする仕草で、

これをした王妃には国王ですら戦略的撤退を選ぶほど・・・・・・



「高位貴族たちはシオンを次期王妃として認めました。


貴方は既に裏でシオンの代わりを探しているようですが、それは無駄な事です」


実は、側妃の手配がうまく進んでなかったのだが、

王妃が止めていたのか、とサークリットはようやく事情を掴む。


急ぐ必要はない、と後回しにしていたせいで気付くのが遅れたようだ。



マリアのようなモノ(愛玩動物)を今増やしても、

余計な火種を産むだけで意味はありません。


王家を継ぐ資格を有するのは、

アースランド王家の男子とシオンの間に出来た御子。


それは、この国だけでなく、ウードランド王家の意向でもあります」



ギリッと拳を握り絞めたサークリットに王妃はトーンを下げて言い聞かせる。

「貴方にだって事の重要性は分っているでしょう?


この国が何度飢饉に見舞われ、

何度そのために無為に民の命が消えたか・・・・・・


豊富な農作地を有するウードランドは

我が国にとって、どんなことをしてでも手を繋ぎたい相手。


シオンがこの国に来てくれた事、

そのシオンが高位貴族に認められる人物だった事。


全てが奇跡と言える」


それぐらい分っている、と

サークリットは吐き捨てたいような気持ちをグッと飲み込む。

『だが、それでも・・・・・・』


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