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サークリット_4

おおよそ2年前、正妃としてきた5つ下の娘、シオン。


彼女と会った時、彼女と番う事になるなんて全く思ってなかった。


でも、彼女が出会った瞬間自分に恋に落ちた事はすぐ分かった。

自惚れではない、それが”よくある事”だっただけ。


そう、”よくある事”だ。


5大大国の一つアースランドの王太子であるサークリットにとって、

日常茶飯事とも言える。


だから、サークリットにとって、

シオンは”自分を恋い慕う(王子との恋に酔う)”その辺によくいる令嬢の1人だった。



他と違う点をあげるとすれば、その光輝くような美貌。


シオンの姿形は確かに一見の価値がある。

美形に見慣れたサークリットでさえ、芸術的とも言えるその美貌に感嘆を覚えた。


出会った頃はまだ10歳だったシオン。

それでも、その造形の美しさは特別と言えた。


そして、10代半ばにもなれば、彼女の名は

5大大国だけでなく、その周辺国まで稀代の美姫として知られている程だ。



それでも、

サークリットはシオンから一心に寄せられる好意に興味の欠片も感じなかったし、

シオン自体がサークリットの心に残りもしなかった。


なにせ、サークリットは出会った頃、既に婚約者のいる身だったし、

婚約者ベルリンは侯爵令嬢としても、王太子の婚約者としても

礼儀作法、教養全てにおいて申し分のない令嬢だった。


だから、ベルリンを引き下ろして、シオンに挿げ替えるなんて考えもしなかった。



そして、シオンの兄でウードランド王太子マグナも

シオンの我儘という呈で彼女の行動を放置してはいたが、

サークリットがシオンを娶るなんて考えもしなかっただろう。


冷淡で腹黒い男だが、あの男は妹を、そして、妹の無邪気さを愛している。


かつての敵国、いまだ、互いに火種を腹の中で燻らせるこの国に嫁げば、

シオンが苦労するのは目に見えている。

そんな場所へ大切な妹を、誰より可愛い姫を送り出す気はマグナ個人としても、

そして、ウードランド王家としても全くなかっただろう。


シオン1人盛り上がっていたが、

シオン以外誰一人その未来が現実になるなんて想定していなかった。


それが変わったのが今から4年前の学園在籍時に起きた事件に起因する。


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