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閑話 マゼラン_3

その言葉にマゼランはハッとしたのだ。


体調を押して、仕事をする彼らをずっと苦々しく思っていた。


なぜ、自分を大切にできない、と、

こんな状態で無理をして何になる、と・・・・・・


でも、きっと、彼らはその時、そんな状態を押してでも

己の役目を果たさなければいけない状態だったのだ。


マゼランと同様に、彼らもまた、己の役目を大切に想うが故に・・・・・・


その事をようやくマゼランは思い知った。



そして、紫音に助けられたのはそれだけじゃない。


上手く回っていなかった無料診療も紫音の手を借りて、公的な仕組みとなると、

今まで上手くいかなかったのが嘘のように、全ての歯車が回り始めた。


彼女曰く、

人が人らしく生きるためには、健康である事。それが一番大事、らしい。



ただ、紫音はよくいる貴族達のように慈善事業として、金をばら撒くのではなく、

らじお体操なる、奇妙だが、理に叶った体操を己が通っていた孤児院から広めた。


そして、炊き出しで貧民達を誘き出し、彼らにもその体操や清拭を強制した。


その動きを見て、体調の悪そうな者を呼び出し、診察した。


それも、学園に通う、医術を勉強中の医者の卵たちを実地訓練と称し連れ出し、

彼らに貧民達を診させ、少しでも気になる者はマゼラン達医者が診る。


そうすれば、誤診も防げるし、仮病で手を取られる事もない。


もちろん、人が多いので、盗みを働かれる事も少なくなった。


転売もあまりに病状が安定せず、薬を飲んだ気配がないと分かれば

強制的に神殿に保護され、治るまで出れなくした。


そうすると、彼らは仕事を止めなければならなくなるため、

それを恐れ、皆、ちゃんと飲むようになった。



そして、薬の元となる薬草を神殿内などで育て、その管理に

貧民の中で、よく貧民達に任される力仕事や危険な仕事にありつけない

女や子ども、老人などや孤児院の子ども達を雇い入れた。


雀の涙程度の給金だが、平民たちと同じように毎日2食与えられた貧民達は

思わぬ好待遇に、懸命に働いてくれた。


そのお蔭で、無料診療で使う分だけでなく、販売に回せる程、

高品質で、豊富な薬草を得るに至った。


その販売で男出も増え、また、薬草栽培が順調に進む。


1人であれほど苦しんでいた全てが、紫音と関わるうちに魔法のように解決した。

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