表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
196/202

蜘蛛の糸_2(※サークリット視点)

「我ら伍竜家ですら、命の危険があるため、

中腹にある転移陣に己の血を捧げ、山頂に向かい、

決して踏み入れない場所だ。


万が一、お前が少しでも遅れれば、容赦なく、切り捨てる。


他人を護りながら進めるような場所ではないからな。


それでも、来るか?」


はい、と即座に頷いたマゼランを見て、バジルクは頷く。

「なら、俺の傍にいろ。

戦闘になれば、俺も邪魔をしないのが精一杯だ。

結界の中で、コイツらが打破するまでジッとしてろ」


分りました、と頷いたマゼランを止めるのは無理だった。



なぜ、と非戦闘員であるマゼランを止めようとしないバジルク達3人を

責めるように見るサークリット。


ダウウルクはそんなサークリットを見つめ返す。

「命の使い方を決めるのは己の信念だ。

たとえ、友であってもそれを止める事はできない」


だが、と言い返そうとしたサークリットにムジカが言い足す。

「私たち紫音様の騎士の誰しもが、

紫音様を自らお迎えに上がりたい、それが本音です。


私がそれを己の手でねじ伏せて、押し留めたのは、彼らの覚悟を知るためです」



紫音の騎士たちは皆、今回の旅に志願した。


だが、私から一本取れた者だけを連れていくとムジカが宣言し、皆、敗北した。


当たり前だ。ムジカはダイチ族の族長代理。

それは、物理的な力で言えば、世界最強を意味する。


そして、敗北した彼らは素直にその言葉に従った。


当たり前だ。それが武人だから。


でも、マゼランは違った。

ハナから、ムジカに向かわず、許可さえ無視して、乗り込んできた。


マゼランは誰に何と言われようと、たとえ、志半ばで命絶えようと

紫音を迎えに行く、と己で決めていた。


マゼランは始めから誰の許可を求めてなかったのだ。



だからといって、と諦めないサークリットにバジルクが言う。

「まあいいじゃん。

てかね、何となくね、必要な、そんな気がするんだよ」


必要?、と聞き返すサークリットにバジルクも苦笑する。

「何となく、何となく、ね。


根拠はないし、占い師でもないけどね、そんな気がする。


そして、そんな気がした時は従った方がいいって俺は思い知った」



最期まで紫音を消す事を迷っていたバジルク。


紫音が犠牲になった事は致し方ない結果だ。


それでも、今でも、毎時毎分、あれで良かったのか、と胸がざわつく。


だから、面倒臭いとブチブチ文句を言いながら、伍竜家の元を駆け回り、

降臨の儀の許可をもぎ取った。


降臨の儀で何とかなる可能性なんて、前に言った様に、

億万が一もない、と頭で解っていながらも、そうせざる得なかった。


何かをしていないと、紫音のために動いてないと、気が狂いそうだった。


だから・・・・・・



「俺が責任を持って、彼を護るよ。


さっきも言ったけど、俺も物理的な戦闘力はホドホドしかないしね。


前準備が出来ないから、森での魔獣との戦闘で役に立つのは難しい。


まあ、彼と一緒に後方支援頑張るさ」


そうまで言われてしまえば、さすがにサークリットも止め難い。


納得はいかなかったけれど、分かった、と頷き、出立の準備にとりかかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ