タロ_4
そして、身体を合わせる様になってから、二年近くが過ぎ、マリアに子が出来た。
王家の男子として生まれたタロもまた子を見分ける術を知っていた。
宿った子が己の子と知り、覚悟を決めた。
マリアを娶る覚悟を・・・・・・
神官は伴侶を持てるが、高官程、伴侶を持っていない。
それは、神と崇める竜が生涯ただ1人を愛し抜くと言われるため、
神官もまた、伴侶を選ぶ時、生涯、ただ1人、と思える相手を望む。
心が求める相手、を・・・・・・
だから、出会えず、終わる者も多く、結果、未婚率が高い。
それに、神官は見習いと違い、休息日も神殿外へ出る事はよしとされない。
規則ではないが、皆、私用で神殿外へ出るのは年に一度あるかないか、だ。
もちろん、家族を得ても、神殿に与えられた小さな部屋で
質素に暮らす事が求められる。
それは、高官だろうが、なんだろうが、変わらない。
そんな環境のため、神官は同職者と結婚することが多い。
一般人にはそんな生活が耐えられないからだ。
だが、マリアに関して言えば、好都合だ。
後宮ほどでなくとも、神殿も立派に鳥籠として機能するからだ。
もう、宣誓書を改ざんした時点で、神官としての誇りは失った。
だから、たとえ、偽りの愛を神に誓い、信仰を失ったとしても、構わない。
誇りより、信仰より、タロには大切なモノがある。
それを護るためなら、
もう二度と家族を失わないためなら、タロはいくらでも穢れよう。
いくらでも、偽りの誓いを捧げようではないか・・・・・・
だが、そんなタロの決意はあっけなく崩される。
マリアはタロのプロポーズを蹴り、しかも、タロの子と薄々気付きながらも、
マリアはその子をサークリットの子として産もうとしたのだ。
タロは怒りで目眩がした。




