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タロ_1

マリアが己の正体や過去をどうしてか知っていると判明した時、

タロはまた己の存在を失う事はもちろん、最悪、命を失う覚悟もした。


だが、サークリットは言った。


陛下に報告する前に、マリアがどこまで知っているかと

マリアの情報源を特定すべきだ、と・・・・・・


迷いつつ、提案に乗り、マリアの監視に加担した。



だが、どれほど監視を続けても、マリアの情報源だけが特定できなかった。


その時、また、サークリットが言った。


マリアを自分の後宮に入れ、生涯、自分が監視する、と・・・・・・



それには、強く反対した。


サークリットは誠実で、それゆえ、潔癖だ。


それに過去の事件のせいで、恋や愛、いや、女性を疎んでいる。


そんなサークリットがタロを護るためとはいえ、

男好きで無分別な、一番、サークリットが嫌うタイプの女性であるマリアを

妃として娶るなんて、そんな事、させられなかった。



もういい、と、国王たちに判断を仰ごう、と言ったタロにサークリットは言う。

「これは、タロのためだけじゃない。


万が一だ。万が一、アドリアンの事をアレが知ったら?


アレはどこからか突然、過去を暴く。


今は大丈夫だが、アドリアンの事を知ったら、どうなる?


それを、いつものように、誰が聞くとも知れない場所で、独り言で広め、

今までの様に、誰が見るとも知れない紙に不用意に書き付けたら?」


その言葉に、有り得る事態を思い浮かべ、ゾクリッとタロも悪寒を感じた。


絶対に、とサークリットは語気を強める。

「絶対にッ、私はタロと同じ目にアドリアンをあわせないっ!


絶対に、だっ!


それ位なら、私はいくらでも、偽りの愛を口にしよう。

それ位なら、私はいくらでも、己の名誉を捨てる。


その方がずっとマシだっ!」


その言葉で迷ってしまった。そして、結局、頷いてしまった。


でも、後悔した。


マリアの望む、優しい王太子を演じ続けるサークリットは

日に日に苛立ちを溜めていった。

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