マグナ_1
「なぜっ、なぜ、すぐに報告しなかったんだっ!!!」
ウードランド王のしたことも大きな罪だが、
シオンのしたことは取り返しのつかない罪、だ。
もし、先に知っていれば、世界がここまでおかしくなる前に
マグナは家族を失ってでも、今度こそ、理を正すために動いたはずだ。
それが、5柱の1柱として生まれた者の役目であり、誇りだ。
マグナはそれを決して放棄したつもりも、忘れた訳でもなかったのだ。
反逆とも取れる行為に激昂するマグナ。
だが、そんなマグナに、ナールは変わらぬ笑みで言い切った。
「なぜって、それは貴方が間違えたからですよ?」
「・・・・・・っ?!」
にっこりとナールは主であるマグナを笑みで圧倒する。
「貴方は言いましたよね?
潔癖王太子は女に興味がないから隠れ蓑に最適だ、と。
婚姻の事実さえ残せれば、姫様を解放できる、と・・・・・・」
そう、マグナはシオンを解放するために、サークリットとの婚姻を結ばせたのだ。
王家に産まれた姫は婚姻こそが務めだ。もちろん、シオンも例外ではない。
ただ、シオンの場合は事情が事情だった。
その身に王家が秘匿すべき竜の力を宿してしまっているのだから。
他国へ輿入れなど論外だし、王城から出すのも危険だ。
だが、そんな事情を知らない王妃はシオンを疎むあまり、
月に一度でさえ、顔を合わせる事が許せなかった。
いや、そこに存在する事自体が許せなかったのだ。
だから、成人と同時に、
己の母国フロウランドの、女好きで有名な公爵の元へ送り出そうとしていた。
そして、手元に残る可能性を徹底的に潰すため、
予め、王妃はシオンの国内の縁談を全て潰していた。
マグナとしてはナールと番わせたかったのだが、
ナールの実家にも王妃の圧力がかかって、どうしても無理だった。
王や王太子以外に、姫の婚姻を決められるのは王妃だけ。
だが、ナール達術者を除けば、王とマグナしか竜の力の事は知らない。
それを王妃に知られれば、その事実を声高に叫んで、
すぐにシオンの命を贄に竜玉に力を戻すべきだと命じるだろう。
それほどまでに、王妃はシオンを疎んでいる。




